米空軍のアーマゴスト少将は9日、開発を進めているB-21について「現在6機存在している」と明かして注目を集めている。
参考:A Sixth B-21 Raider Stealth Bomber Is Now Being Built
B-21はすでに近代化の努力が組み込まれており、統合可能な新技術を飛行前に追加していく方法は有益でエキサイティング
ケンドール空軍長官は昨年9月に「5機目となるB-21のプロトタイプが製造されている」と明かしていたが、核抑止サミット2022に登場した米空軍のアーマゴスト少将は開発を進めているB-21について「現在6機存在している、6機の組み立ては最近始まったばかりだ」と明かしたため、米メディアは「現行のB-2も開発試験機(EMD)を6機製造したためB-21もプロトタイプを6機用意するのではないか」と報じている。
さらにアーマゴスト少将は「B-21の燃料制御システムにインストールするソフトウェアは非常に複雑だが、デジタル上に再現したモデルのお陰で1度も飛行することなくソフトウェアの開発を行うことができ、これを実際に組み立てた燃料制御システムでテストして設計通り機能することが確認されソフトウェアが完成した」と語り、デジタル・エンジニアリングがB-21の開発プロセスで如何に重要で開発期間の短縮に貢献しているかを強調したが、さらに興味深いのは飛行も完成もしていないB-21のシステム要件がすでに近代化している点だろう。
開発を始めた時点の技術要素で構成されたシステム要件に「新しい追加要素=開発後に出てきた新しい技術や装置など」を組み込む作業を従来の開発プロセスで行うなら「B-21完成後」になるのだが、デジタル・エンジニアリングのお陰で開発途中でも新しい追加要素を組み込みデジタル上でテストを行うことができるためアーマゴスト小将は「B-21はすでに近代化の努力が組み込まれており、統合可能な新技術を飛行前に追加していく方法は本当に有益でエキサイティングだ」と語っている。
ただし統合可能な新技術を飛行前に追加できるのはデジタル・エンジニアリングのみの成果ではなく、米空軍が従来とは異なる斬新な開発・取得プロセスでB-21を開発しているためだ。
米空軍の地球規模攻撃軍団(AFGSC)で司令官を務めるティモシー・レイ大将はB-21にJASSM-ERを統合する例を持ち出して「B-2にJASSM-ERを統合するのかかる時間や手間の1/10でB-21はJASSM-ERを統合可能だ、このような素早い開発・取得プロセスは複雑で時間ばかりかかるF-35プログラムの反省に基づきサブシステム統合に関する事前承認をB-21開発を管理するAFGSCが得ているためだ」と明かし、この事前承認によってB-21は各種サブシステムを統合する度に複雑で手間のかかる国防総省の手続きをスキップすることが出来るらしい。
開発・取得プロセスの見直しとノースロップ・グラマンが採用したデジタル・エンジニアリングによってB-21の近代化は「専用デポに送り返すのではなく運用部隊の現場で随時行う体制に移行する」とレイ大将は語っており、ブロック毎に区分された従来方式の大掛かりなアップグレードは「よほどのことがない限り行うつもりはない」と付け加えているのが興味深い点だ。
つまり長年に渡る兵器開発の過程で失敗やミスを防ぐため設けられた国防総省管轄の各種の手続きや検証・認証プロセスを開発現場に一任、ここにデジタル・エンジニアリングが加わったことでB-21の開発・取得プロセスが大幅に短縮され開発を開始以降も随時新技術を追加する努力が行われているという意味で、この成果について肥大化した兵器開発に批判的なことで有名な下院軍事委員会のアダム・スミス委員長も「F-35プログラムで学んだ教訓を生かしたB-21プログラムは開発予算の超過もなく予定通りにインテリジェントな方法で開発が進んでいる」と称賛している。
因みにB-21の初飛行は2022年中に予定されており、もしかするとB-21の実機が一般向けに公開されるかもしれない。
関連記事:開発が順調なステルス爆撃機B-21、米空軍が新しいイメージイラストを公開
関連記事:開発予算の超過もなく予定通りに進捗、F-35を批判する軍事委員長も称賛するB-21の開発状況
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force graphic
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
日本が開発するF-3ではデジタルエンジニアリングがうまく使えるかどうかが、第1の課題だが
デジタルエンジニアリングはできても、開発・取得プロセスの短縮のための開発現場への権限移譲が
どうできるかだな、できるのかな・・・
デジタルエンジニアリングはMitsubishi SpaceJetですでに使われているし、次期戦闘機のインテグレーション支援の内容の中に「コンピューター・シミュレーションを駆使した設計作業」が含まれているので、大丈夫だと思うよ。
「従来とは異なる斬新な開発・取得プロセス」の中身が「国防総省管轄の各種の手続きや検証・認証プロセスを開発現場に一任」だけのように読めますが、これだと現場判断尊重・官僚主義の打破という極めて旧来的な改善手法な気が。
まぁ悪い事ではありませんが、デジタルエンジニアリングをいったん脇に置くと、国防総省がどれだけ肥大化/官僚主義の罠に陥っているかを示しているだけのように思えます。
開発の成功は防衛省が民と話せる有能なリーダーを官として確保できるかにかかっていると思います。防衛省のReCSや各種大規模シミュレーションなどの開発実績は技術幹部の中の高いリーダー性を持った幹部数人で開発してきた経緯があります。防衛装備庁に再編されたうえで、長年の開発者が定年を迎えていなくなった現在で開発を成功させるにはどこから技術幹部を引き抜くか。どんな人材を指揮官に据えるかにかかっていると思います。
B-21の開発が順調なだけではなく、B-21そのものの成功を確信してるフシがある
成功というのは、当初思い描いていた、ただの爆撃機というカテゴリにとどまらず、
航空兵器として、ひとつの転換点をB-21が迎えるのではないかという予見すら見てだと思う
でなければ、当初配備機を大きく上回る調達数を関係者が口々に漏らしたりはしないだろう
B-21がこれだけ順調ならB-21ベースのステルス電子偵察機やステルス洋上哨戒機や
ステルス空中給油機とか派生型をどんどん作って量産効果出しちゃえばいいのに
日本あるあるですが、成功した記憶が無いのでまずは爆撃型だけに集中するのではないでしょうか?
米軍の爆撃機の話なのになぜ日本あるある?
既存の爆撃機の数を超える数の調達を早々に仄めかし始めてるんで、
爆撃機だけで使う気はもうなくなってるんじゃないかな?
派生機として誕生させるのか、マルチロール機になるのかはわからないけれど、
爆撃機だけで終わりそうではないということは見え始めてる
積荷(弾か油か(偵察)機械か)の種類はあれど、デリバリーするのが仕事ですしね。
ところでステルス機の飛ぶだけでお金も飛ぶ件…。
>当初思い描いていた、ただの爆撃機というカテゴリにとどまらず、
航空兵器として、ひとつの転換点をB-21が迎えるのではないかという予見すら見てだと思う
どんな転換点をB-21が迎えるの?
B-21は今のところはただの爆撃機でしょ。
そういえば中共のH20とかってどうなってるんだろうか。
お手本がまだなので
あとは実機を飛ばして、初期不良以外で何も無ければ成功か。組み立てで問題起こしてくれるなよ
優れた設計、先進的な技術でも、それを作り上げる人間の力が足りないと絵に描いた餅
近頃アメリカの物造り能力が危ういもんな、不安は消せない
B-21は、どんなデータリンクを積むんでしょうか?
MADLかな?
詳しい人教えてください。
戦闘機と爆撃機は、どちらの方が開発が難しいのでしょうか?
戦闘機の方が開発に要求される技術レベルは高いように思うのですが、どうなんでしょう?
そりゃ爆撃機でしょ
でかい図体で敵地上空で生き残れる生存性が求められる
昔なら高度や速度、今はステルス、未来はレーザーかな
そいつ荒らしだから放置しといたほうがいいよ
他の記事でも荒らし回ってるし、それも一つや2つじゃない
荒らした記憶はないのだが
事実だけを書いてる。
あの記事で言い負かされて怒ってるの?
あと、匿名って複数人いるからね
高速道路の話をしてるのに延々と走ってる車の話をし続けてたもんね
マジで話が通じなくてやばかった
こんな事を書いて申し訳ないのだが、
> 米空軍のアーマゴスト小将は
記事で3回とも小将って書かれているけど、少将じゃないの?
ちょっと気になる。
意味の分かる誤字脱字ミスタイプの類は丸パクリ避けだと思うのでスルーが吉。
未だにここの記事を丸パクリした動画を配信してる輩いるからね。
自分のコメントまでそのまんま使われててドン引きしたわ。