バイデン大統領は9日、第二次大戦時のレンドリース法を彷彿とさせるウクライナ・レンドリース法案(正式名称はウクライナ民主主義防衛レンドリース法案/S.3522)に署名した。
参考:Biden Signs Lend-Lease Act to Speed Weapons Delivery to Ukraine
ウクライナ・レンドリース法は「第二大戦で連合軍の勝利に貢献したレンドリース法」を多くの人々に思い出させる効果を狙ったもの
バイデン大統領は9日、ウクライナを支援するため米議会はが可決したウクライナ・レンドリース法案(正式名称はウクライナ民主主義防衛レンドリース法案/S.3522)に署名したと発表、これにより武器や物資をより効率的にウクライナへ送ることが可能になったと報じられている。
但し、第二次世界大戦時と現在の米大統領の権限は大きく異なるため、旧レンドリース法とウクライナ・レンドリース法の持つ意味も大きく異なるという指摘がある。
欧州がナチス・ドイツとの戦いに突入していた当時の米国は中立法の影響で交戦国に資金を貸し付けることも、現金決済以外の方法で交戦国に武器や物資を提供することも禁じられており、これを覆すため当該国の防衛が米国の安全保障にとって重要であると大統領が判断すれば「あらゆる軍需物資を当該国に売却、譲渡、交換、貸与、賃貸、処分することを認める」と規定したのが旧レンドリース法だ。
しかし現在の米国は中立法のような制限を受けておらず、米国の安全保障にとって緊急事態が存在すると大統領が判断すれば議会の承認手続きなしに「国防総省が手に入れられるものは何でも自由に当該国に送ることが出来る大統領権限(PDA)」を有しており、ウクライナへの武器や物資の輸送もPDAの活用のよって支援決定から24時間~48時間以内に輸送が始まっている。
PDA唯一の欠点は1年間に武器や物資を支援できる量を「1億ドル」に制限されている点だが、これについても議会がPDAの上限引き上げ(1億ドル→30億ドル→50億ドル)を随時認めているためバイデン大統領はルーズベルト大統領とは異なり「ウクライナ支援」を行う上で法的に何も困っていない。
つまりバイデン大統領は現行法のみでも「必要だと判断した武器や物資を素早くウクライナに提供できる」という意味で、ウクライナ・レンドリース法は「第二次世界大戦で連合軍の勝利に貢献したレンドリース法」を多くの人々に思い出させる効果=米国の歴史に深く刻み込まれた「Lend-Lease」に宿る精神をアピールする意味が強い。
ただ米ディフェンスメディアは「戦争において士気は物理的側面の3倍重要だというナポレオンの言葉を思い出せばいい」と指摘しており、連合軍の勝利に貢献したレンドリース法の復活という高揚感に水を差す「細かい事情」はこの際どうでもいいのだろう。
関連記事:ウクライナ・レンドリース法案は旧レンドリース法案ほど劇的ではない
関連記事:米下院、上院に続きウクライナ支援のためレンドリース法の復活を可決
関連記事:米上院、ウクライナ支援のためレンドリース法の復活を全会一致で可決
※アイキャッチ画像の出典:Angela Perez
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
士気高揚だったら日本も5月27日に対馬沖で観艦式やろうぜ
数少ない対露戦勝国なんだから
呉の護衛隊群と、佐世保のやつだそうよ。強襲揚陸艦「アメリカ」もきてくれたら感謝。そして、岩国のF35も出そう。
三笠では毎年記念式典を開催してるみたいだよ
勿論観艦式とは全然規模が違うんだけれども
士気が大事と言っていたナポレオン本人が、補給を軽んじて士気を失いモスクワから撤退していることを忘れてないか
凡人たる兵士たちに精神力求めても、そんなのいつまでも保てるもんじゃないよ、敗北した天才の言葉は真に受けられない
一回の失敗で全否定ってえらい極端なうえに戦争は兵士だけでやってるわけじゃないことを忘れてませんか?
実際に開戦後のウクライナ人のコメントやインタビューを見ていると彼らは度々「私達を忘れないでほしい、話題にし続けてほしい」と発しており、彼らがそれを恐れていることが見て取れます
ウクライナ政府が積極的に情報と広報を駆使して宣伝戦を繰り広げているのも同じです
精神的に支える意味で「我々はあなたたちを忘れていない、支援を続けていく、これだけの国があなたたちの味方だ」と言葉と行動で示し続けるのが重要だと思いますよ
士気は大切だが、先ずアメリカのなすべきはより大規模な物理的支援だろう、アメリカ兵が血を流すわけでなし、
応援してますよじゃロシアには勝てない
だからこそバイデン大統領はさらなる支援のために5兆円規模の追加予算を議会に要請したりしてますけど、何が問題なんですかね
誰も物的支援はもう十分とか止めるなんて話してませんよ?
もし自分のコメントがそういうふうに見えたなら「言葉と【行動】で示し続けるのが重要」という部分を読み落とされていますね
トーリスガーリン氏に同意ですね。
局面において一度も負けたことが無い=戦局が不利になっていくとはどういうことかを体感してない将は名将たり得ません。
士気も装備も補給もどれも大事で相互に密接に関わってますが、どれかが高められる機会があれば存分に活用するのが当たり前のことです。
横からくさしたりせずにね。
補給が万全である、という根拠があることで士気が上がるなら、問題ないのでは?
正義は我にあり、では腹は膨れないけど。
法案が通ったなら、口だけの約束ではないということ。
もつ待ちきれないよ!早く援助を出してくれ!
今回の記事は今までのやつの焼き増しやな(辛辣) 投稿頻度は下げてでも身体をいたわって、どうぞ
最大50億$かぁ、多いような少ないような額やな。
援助物資で一番金額がでかくなるのは自走砲でしかね?それともジャベリンのセット?
これだけの更新頻度をキープするのは大変だから、身体を労るのは当たり前だよなぁ?
管理人は今回のレンドリースを政治的なポーズの面が強いと見てるけど、バイデンが困ってないとはいえ、1億→30億→50億ドルと支援上限が上がっていったのは議会がそういう方針だったからに過ぎないよね。
言ってみればたまたまバイデンと議会が同じ方向を向いて二人三脚していただけで、今回の法案で議会の方針に関係なく支援出来るようになるのは実質的にも大きな価値があると思うよ。
「5月9日」のタイミングで、というところが象徴的ですね。狙い澄ました政治的パフォーマンス。もちろんgood!ですが。
実務的には法的なお墨付きを与える事後承諾のようなもので、軍需物資輸送の実務は成立前からやってる訳ですから。たぶん成立前と後で極端に何か大きく変わる訳でもないのでしょうけど。
バイデンさん、これからさしずめルーズベルトpart2みたいな存在になるのかな。
プーチンが戦勝記念の式典で総動員を宣言、それにかぶせるようにアメリカがレンドリースを発動、というのを少し狙っていたかもしれないですね。実際には総動員は発令されなかったし、そもそも情報に基づくというよりは「そういうこともありえる」という推測だったようですが。
今だけではなく、先々を見据えた措置じゃないでしょうか。
いずれ議員達はウクライナ戦争に「飽きる」ので、支援への積極性が失われていくはず。そうなっても大統領権限で上限無く支援を継続できるのは、大きいかと。
ウクライナへの大規模な支援の継続に法的な裏付けがあるってのは重要だな
俺はウクライナ情勢に未だ夢中だが、嫁は既に飽きてきている。横から「また、ウクライナのニュース?まだ終わらないの?」なんてほざきやがる!!
もう2ヶ月かまだ2ヶ月かは人によって違うんだよな…
初戦の怒りも高揚も同情もいずれ薄れて誰もが戦争に飽きてくる。
長期戦はウクライナに有利だと言われてはいるけど、厭戦気分が深まるのは当事国のロシアとウクライナだけではなく支援国にも言えること。