複数の情報源が「イランに逃亡した旧アフガニスタン政府軍の特殊部隊をロシアがリクルートしている」と報告しており、米ディフェンス・メディアは「タリバンに追われる彼らにとってロシアが提示する報酬は魅力的だ」と報じている。
参考:Ex-Afghan Commandos Fighting For Russia In Ukraine: Last Afghan Army Boss
旧アフガニスタン政府軍の兵士がロシア側としてウクライナ軍と戦うという構図は「皮肉な結果」としか言いようがない
約30万人もいた旧アフガニスタン政府軍について「戦わずして降伏した」というイメージが強いが、短期間で崩壊しまったのは旧政府軍の将兵が無能だったためではなく「トランプ大統領とタリバンが締結した和平協定による支援制限」や「航空戦力の保守・整備事業を独占していた西側請負業者の撤退」が影響しており、西側諸国の特殊部隊に鍛えられた旧政府軍の特殊部隊は非常に評価が高く、ガニー政権が崩壊後も西側諸国に協力してカーブル空港の警備を最後までやり遂げている。
英国軍統合司令部のリチャード・バロンズ元司令官は「彼らは世界的に見ても非常にレベルが高く、10年以上に渡って一緒に訓練を行いタリバンと戦闘の中で忠誠心を何千回も証明してきた。英国に避難した彼らの受け皿としてグルカ旅団のアフガニスタン人版を創設してはどうか」と提案していたが、西側諸国に連れ出された旧政府軍関係者はほんの一握りに過ぎず、イランには約4万人の旧政府軍(特殊部隊は5,000人)が逃げ込んでいるらしい。
イランは昨年11月からビザ延長を餌に「フーシの一員としてイエメンでの戦いに参加しろ」とリクルートを開始、最近では駐イラン・ロシア大使館がワグナーやイランの諜報機関と協力して「ウクライナとの戦いに参加しろ」と特殊部隊のリクルートを行っているという報告があり、旧政府軍の元将軍も「既に特殊部隊の何人かはウクライナにいると聞いた」と米ディフェンス・メディアに明かしている。
この元将軍は「この兵士達はあらゆる環境下での戦い慣れており、米国や英国の特殊部隊と何年も一緒に戦ってきたので西側の戦い方に熟知(旧政府軍の士官は英サンドハースト王立陸軍士官学校で教育を受けていた)している」と、特殊部隊を海外に連れ出す手助けをしていた元グリーンベレーの隊員は「ビザの延長や報酬(住居、医療、食料の提供)を餌に彼らは戦うことを強制されている」と指摘しているが、米国防総省は「報道を目にしたものの提供できる情報は今のとこない」とだけしか言及していない。
ただ米議会の議員達は「米軍の特殊部隊や諜報活動に知識をもつアフガニスタン人がロシアや中国といった敵対国に協力すると米国の安全を脅かすかもしれない。特に旧政府軍の特殊部隊は米軍がどのようにシグナル・インテリジェンスを行うか、どのようにヒューマン・インテリジェンスを行うかを知っている。もし1人でもアフガニスタン特殊部隊の元兵士がロシア側の兵士としてウクライナに登場すれば国家的な恥だ」と述べている。
今回の報告が事実なのかどうかは謎だが、旧アフガニスタン政府軍の兵士がロシア側としてウクライナ軍と戦うという構図は「皮肉な結果」としか言いようがない。
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※アイキャッチ画像の出典:Public Domain アフガニスタン軍の特殊作戦部隊
アフガンの精鋭がロシアと共に戦うのは書いてある通り皮肉としかいいようがない。
とはいえ我が国なんかも協力者置き去りに逃げてたわけで、米英にそれ以上を期待してもそれは駄目な話なんだろうが。
置き去りにしてません。集まらなかった。
その後に一旦、隣国へ逃げた人達は後日日本へ入国してます。
置き去りは言い過ぎかもしれないが、集合場所から空港へ移動するバスが米軍の護衛がつかずに移動を断念した報道はあったと思います。
一番つらいのは本人たちだよな、祖国奪還の目途は立たず逃げ延びた先でいいように扱われ、意味不明な戦争でかつての仲間(義勇兵)が居るかもしれない相手と戦う日々
WW2の頃とかだったらそれこそ亡命政権樹立して可能な限り兵士を回収してアフガン解放を目指すとかやったんだろうけど、今の時代にはなぁ…
広範囲に散らばって戦闘を繰り広げていたという点、あまりにも急速に国家体制が崩壊してしまった点など、どうしようもないことが多かったのが原因なんだろうけどアフガニスタン人旅団が編成出来ていたらと思わずにはいられない
もともとアフガニスタンも、ウクライナと同じような多民族・多言語国家であり、アフガニスタン人というアイデンティティはほとんどないと言われます。
パシュトゥン人が多く住むのはパキスタンであり、タジク人の国家としては、別にタジキスタン共和国があり、ウズベク人の国家としては別にウズベキスタン共和国があり、他にイラン人に近い民族もいます。
アフガン人というのはパシュトゥン人の別名であり、タジク人やウズベク人はアフガン人、つまりパシュトゥン人ではないというわけです。
一方でパキスタン人であるパシュトゥン人も非常に多く、実際にタリバンはパキスタンの支援を受けていました。
アフガニスタンの内戦とは別に、タジキスタンの内戦というのもありましたが、マスードの北部同盟はタジキスタン内戦にも参加していました。
そもそも統一国家としての体制は、最初から形骸だったのかもしれません。
アフガニスタン政府軍というのも、NATOから供与された西側兵器で武装した弱小地方軍閥の寄せ集めという体だったとも言われ、アフガニスタン政府軍特殊部隊というのも、そもそもどういう基準で隊員が選抜されていたのかよくわからない面が多いと言えます。
それこそ元をたどれば冷戦時代のアフガニスタン政府軍というのは、ソ連軍に訓練されたソ連式の軍隊であり、ソ連で教育されていた士官なども多かったのです。
冷戦時代には、イスラム原理主義のゲリラを支援していたのがアメリカのCIAやイギリスのSASであり、それと戦うアフガニスタン政府軍を支援していたのがソ連軍やスペツナズでした。実際はソ連軍に協力するアフガニスタン人も多かったのです。
タリバンを支援するパキスタンにさらに武器支援していたのがCIAであったことを考えると、アフガニスタン政府軍が本当に米英軍を信頼していたかは、疑わしい部分もあります。
米帝さぁ・・・・
三国志演義で漢中に逃げた馬超みたいな境遇。
100万円上乗せでリクルート
超大国の都合に振り回される旧アフガニスタン兵の境遇については唯々同情しかないですが、任務遂行能力についてはどうなんでしょうかね。
相応しい装備と兵站を十分に与えれば、西側水準の部隊として機能するでしょうが、軍事資源に困窮し組織的に破綻しロシア軍に参入したところで、まともに機能するとは思えませんし、そもそも使い所を間違えて大砲の餌として消費されかねない様な気がします。
一般兵ならそうかも知れませんが流石に特殊部隊の隊員を使い捨てにするような事はまず無いでしょう。
徴兵された兵士を最前線に配置して精鋭を後方に下げて居るみたいだから、貴重な特殊部隊兵士を無駄にしないと思いたい。
イランには東西の弾薬に対応した豊富な武器があるので、それらとボディーアーマーと様々な武器を装備させて前線でウクライナ軍兵士を狩って武器弾薬を補充させて前進阻んだりする使い方するかもね。
アメリカの子分だった
イラン・サウジアラビア・アフガニスタン北部同盟軍が次々とロシアに流れていってる
イランはホメイニ革命からこっち、アメリカには死を、で一貫してアメリカアンチ。
若いZ世代は革命世代の言ってる意味わからん、となって反アメリカが薄まってきたのが現状かと。
アメリカの子分だったのはバーレビ国王の政権までで、1979年から反アメリカだった。
国王も聖職者を危険視せず、聖職者の政党が民主主義の中で勢力を伸ばし、国民も危険性に気がつかず支持して革命が起こった。
革命で政権奪取後は、強権で反対派を弾圧して、強権国家になった。
なんか宗教警察を使う以外、ナチスとあまりかわらん気もするが、革命世代の若者には熱狂的な支持を受けたみたい。
その革命世代がジジイになって、若いZ世代にウザいと思われてるのが皮肉だ。
アフガニスタンは、たぶん何処の子分にもならない。
大して稼ぎがなく小国なのに、全盛期のイギリスを振り回し、ソ連をイワして、アメリカも逃げ出した国。
親分に従順な子分になるようなタマではない。
特にマスードとか北部同盟は独立の気概が強い。
最後まで抵抗していたが、よくタリバンは抑えられたと思う。
再就職先はまたもや支援体制が怪しい組織だし、敵国になるウクライナの大統領は自国と違って敵前逃亡せず。
不幸や怨みから西側への復讐に走ってもおかしくない・・・
アフガニスタンの元特殊部隊兵士、西側の訓練を受けて確かに精鋭かも知れません。しかし、いくら精鋭部隊や屈強な兵士でも兵士を動かす戦略が伴わないと実力を発揮できず、それが当初から欠けているロシア軍では尚更でしょう。
実際にロシアのウクライナ侵攻当初にアントノフ国際空港の戦い(ホストーメリの戦い)で第一次攻撃部隊であったロシア空挺軍はヘリボーンにより電撃的に空港を占拠しましたが、ウクライナ国家親衛隊の即応旅団に周囲を包囲され、空挺降下の為に基本的に軽装備なロシア空挺軍は重武装のウクライナ側と戦わざるをえず、周囲を包囲され撃破されました。この戦いではロシア空挺軍の他にロシア特殊部隊スペツナズが200人ほど参戦していますが壊滅しています。
士気の低いロシア軍に代わり遊撃部隊として活躍するワグネルでさえ残虐行為によってウクライナ軍の恨みを買い、ウクライナ軍の執拗な攻撃により古参クラスのベテラン兵が減り、遂には囚人をスカウトするという有様です(自拠点のSNSへの投稿など自業自得な面が多々あるが)。いくら優れた兵士・部隊を戦場に投入してもロシア軍がプーチン大統領の顔色を伺いながら作戦を立てている限り、戦場の露として消えていくでしょう。
使い捨ての傭兵として一生を終えるつもりか、大義なき戦いに加わると2度と祖国に戻れなくなりますよ
誇り高きアフガン人がロシアの手先など選ばないように
だいぶ前にシリア内戦で戦ってきた兵士が、戦いが収束したものの、国は荒廃して職が無い為、経済的に困って海外の戦争に出稼ぎしてる実態を描いたドキュメンタリーをやってましたね。
特にリビア内戦に行く人が多く、両陣営でシリア人同士で撃ちあいする状況になっているようです。
このアフガニスタン人兵士も記事によるとイランに逃げてきてるわけですから経済的に困窮してるわけです。
日本もブラック企業というのが横行しましたが、これも基本的に景気が良く人手不足の社会であれば発生しない企業です。
待遇が悪くても転職先の見当がつかないからそんな職場でも会社にしがみつき、過労で心身を潰してしまうのですよね。
経済的に弱い立場になるとあるべき姿を貫く事は出来なくなるんですよね。
ちょっと前まで仲間だった人たちが今となっては敵同士とかホント皮肉よなぁ…
それこそウクライナに丸ごと投降してもらえれば悪いようには扱われないんじゃないかと思うんですが、言語の壁があるし難しいのかも知れませんね。
ウクライナに投降すりゃ確実に処刑されて存在しなかったことにされるよ
アメリカにとっちゃ不都合なことなんだから
多額の税金かけて自分たちが育てて捨てた部隊がイランとロシアに寝返ってるって