バイデン政権は過去最大規模となる10億ドルのウクライナ支援パッケージを8日に発表、さらに国防総省のカール国防次官は「対レーダーミサイル」の提供についても公式に認める発言を行い注目を集めている。
参考:Pentagon announces additional $1B in lethal aid to Ukraine
参考:Anti-Radiation Missiles Sent To Ukraine, U.S. Confirms
カール報道官の発言を額面通りに受け取れば、AGM-88HARMをSu-27やMiG-29に統合したことになる
バイデン大統領は8日に署名した18番目のウクライナ支援パッケージにはHIMARS向け弾薬、155mm砲弾×75,000発、NASAMS弾薬、医療機器を搭載したM113×50輌、120mm迫撃砲×20門、120mm迫撃砲弾×20,000発、ジャベリン×1,000発、AT-4×数百発、M18A1クレイモア、C4爆薬、医療品などが含まれている。
さらに興味深いのはウクライナで「AGM-88HARMの残骸」が確認された直後、国防総省のカール国防次官は「最近発表したパッケージにウクライナ空軍機から発射可能な対レーダーミサイルが含まれており、ロシアのレーダー等に影響を与えることができる」と言及した点だ。
大統領権限(PDA)で実行される武器支援は「米軍備蓄の譲渡」に限られるため、カール国防次官の発言を額面通りに受け取れば「米軍の備蓄にあるAGM-88HARMをウクライナに提供してSu-27やMiG-29といったウクライナ空軍機に統合した」という意味で、本当に旧ソ連製規格のSu-27やMiG-29にAGM-88HARMを統合してウクライナ空軍が運用しているならロシア軍にとって厄介な問題になる。
ただカール国防次官は対レーダーミサイルの具体的な機種名を明かしていないため、米ディフェンスメディアは「米軍が敵兵器の研究や分析目的で入手したKh-31、冷戦終結後にマクドネル・ダグラス社が米海軍向けに開発したKh-31ベースのターゲット・ドローン「MA-31」を対レーダーミサイルに改造してウクライナに提供した可能性もある」と指摘しているが、AGM-88HARMの残骸が見つかっているので流石に旧ソ連製の対レーダーミサイルを提供した可能性は低いだろう。
どちらにしても8日に発表された「過去最大規模のウクライナ支援パッケージ」はロシアが取り組んできた一連のネガティブキャンペーン(ウクライナ軍に提供した武器が闇市場に流れている、ゼレンスキーは捕虜収容所をHIMARSで攻撃するよう命じて自国の兵士に降伏するなと脅している、ウクライナ支援を止めないとザポリージャ原子力発電所を破壊するなど)が失敗したことを意味するので、今後ロシアがどの様に方針を変更してくるのかにも注目が集まる。
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※アイキャッチ画像の出典:Soldatnytt/CC BY 2.0 NASAMSランチャー
対レーダーミサイルの統合ってこんなに短期間でできるものなのか!?
アビオニクスが根本からして違うだろうに一体どうやって…
イスラエルやフランスの電子機器を載せたインドのSu-30MKIなんてのもありますが、アメリカはアグレッサー機、または研究用としてSu-27を保有していると目されています。エリア51上空での目撃情報があるので、事実なら色々といじくって試験していたんでしょう。
またwiki情報ですが、ウクライナ空軍の中古のSu-27UBをアメリカのPride Aircraftという民間企業が武装システムを外した状態で保有していたようです。ガーミンなどの西側電子機器や通信機器を搭載していたようですが、既に売却されたそうです。
アビオニクスだけならいいんだけど空力試験する時間ないように思えるのよね
空力試験やらないと下手をすれば発射時にミサイルが機体にぶつかってってのもあり得るし
マニューバー制限することで対処してるのかねぇ…
ハープーンやJASSMのようにロケットモーター点火を遅延式にすることで機体への影響を下げることも考えられますね。
スロバキアのMiG-29供与の話があったと思うけどどうなってたっけ。
あれならデータバスからMIL-STD-1553Bになってるし、西側機器も色々搭載してるから統合はなんぼかしやすそう。
数は少ないけど西側供与武器の発射母機として細々と運用するならありかも。
逆に自律性高い対レーダーミサイルだから何とかなったのかもしれないですね。
AMRAAMとかよりは統合しやすかったのではないかと。
ウクライナに引き渡されたMiG-29等にAGM-88HARM運用能力が統合済であった、或いは今回の提供に先行して改修作業が行われている、ということでしょうか。
先般の残骸は試射・訓練用に少数が持ち込まれていたもの、という可能性はありますね。
昨日の記事で5つの説をコメントに書きましたが、東側戦闘機からHARMが撃てるなら驚きしかないです。
ポーランドなどでアビオニクスが更新されたという情報はないものの、有事に備えてテストや開発を事前に行っていたのでしょうか。
ロシアがいくらネガキャンをしても、欧米諸国の信頼度がゼロである以上、逆効果でしょう。
常識のある侵略者?であれば、「これ以上、被害が拡大する前に講話しよう」という話が内外から起きる可能性もあっただろうが、ここまで蛮行を繰り返し信頼を損ねていたら、誰も停戦しようとは言い出しづらいですよ。
ロシア人は己と同等か、より強い相手としか交渉しない、
そうなると調停役は中国しかないが、中国に花を持たせるような役割はアメリカが絶対に認めないから不成立
この戦争はプーチン政権が崩壊するまで終わらない
MiG-29をスロバキアがウクライナに寄贈する?って話があったけど、
Wikiによると、MiG-29ASってのがNATO仕様に改修されてて、MIL-STD-1553Bデータバス装備だそうだ。
もっとも、スロバキアが対レーダーミサイル持ってたとは思えないし、電気的に装備できても、空力的に問題あるか試験する必要はあるからなぁ。
ドイツのMiG-29Gとかルーマニアのスナイパー(計画中止)とか用に開発してた資産があったりするのかも。
空力については何せ戦時の事だし、Kh-29/31辺りが使えるんだからヨシ!みたいな現場猫、もとい兵は拙速を尊ぶ案件じゃなかろうか。
正直なところMig−29にインテグレードできるなら空自のPRE機も同じような改造してもらいたいぐらいだ。
そもそも見た目に分かりやすいランチャー部分改造の話が出て来てないから無いとは思う。それが最低限のスタートで当然システムの方だってかなり弄る必要があるし、無理やりに専用端末と配線をしてまで使えるようにするだろうか?
少なくともHARM統合する位ならAMRAAM統合する方が先だと思う。
パッと思いつくのはこの辺ですが、最後の選択肢は多分ないと思いたいです。
・ウクライナ空軍機をNATO仕様に改装する、またはHARMの目標指示装置AN/ASQ-213などを後付け
・他国のNATO仕様のミグやスホーイとトレード
・アメリカ空軍のF-16とウクライナ空軍機をトレード
・アメリカ空軍のF-4Gワイルド・ウィーゼルを供与
多分、ミサイル自体に敵の電波諸元を入力した上で機体そのものとは発射信号と給電のみの繋がりというやり方だと思われ。F-16が初期にHARMを運用していた時と同じ方法。
まあそれでも安全性の観点から空力面でのインテグレートも本来必要なんだけど、非常時だから突貫でやったんだろうな。
ツイッターでも同じ推測をしていたものがありました。
そもそも東側規格のパイロンに物理的に吊り下げられるのか?とも思いましたが。
AGM-88は対応する為のキット(コンピュータ込み)みたいのがあるとして、困るのは電気の周波数と電圧と配線くらいだろう。ただこれも前例のない工事ではないので悩むことはないだろうし、工事するにしても割かし早く終わるはず。
ランチャーは下駄をはかせれば済むだろうし、工期(飛行テスト含まず)は一機2か月程度でかかりすぎと見た。
結局、ウクライナに提供されたHIMARSから、AGM-88を撃ったということになるの?
取り敢えず今年のお盆休みは手元にあるエフトイズのMiG-29とSu-27のウクライナ空軍仕様にAGM-88を装備したモデルを作ることに決定したわ