ロシア関連

ロシア国防相、ウクライナは常にミサイルの種類を間違って識別する

ロシアのショイグ国防相は16日「ウクライナが撃ち落としたと主張するほどのキンジャールを発射していない。彼らは常にミサイルの種類を間違って識別する」と指摘し、6発のキンジャールを撃ち落としたというウクライナ側の主張を否定した。

参考:Шойгу о якобы сбитых Киевом “Кинжалах”: мы столько не запускаем
参考:US assessing potential damage of Patriot missile defense system following Russian attack near Kyiv
参考:Белый дом пока не подтверждает поражение ЗРК Patriot в Украине

まだ真実がどこにあるのか何も断定できない状態だ

ロシア国防省は16日「キーウ周辺に配備されていたパトリオットシステムをキンジャールで破壊した」と発表したが、ショイグ国防相も「ウクライナが撃ち落としたと主張するほどのキンジャールを発射していない。彼らが主張する撃墜数は我々が発射しているミサイルの3倍だ。ウクライナは常にミサイルの種類を間違って識別するため命中しないのだ」と指摘し、16日に6発のキンジャールを全て撃ち落としたというウクライナ側の発表は事実に即していないと主張した。

出典:Lockheed Martin

CNNも米当局者の話を引用して「火曜日に行われたロシア軍の攻撃でパトリオットシステムは完全に破壊されていないものの損傷した可能性が高く、米当局も被害の程度を調査中で、この結果次第でシステムを完全に引き上げて修理するのか、現地でウクライナ人が修理するのかが決まる」と報じていたが、別の当局者もCNNに「ロシア軍のミサイルがパトリオットシステムを構成する幾つかのコンポーネントに命中した可能性がある」と述べ、レーダー、管制システム、アンテナ、発電機、複数のランチャーの何れかが損傷したことを示唆。

ただ国防総省のカービー報道官は「まだパトリオットシステムが損傷したか確認がとれていない。もしシステムが損傷し国外での修理が必要なら米国は必ず支援する」と述べているため、まだ真実がどこにあるのか何も断定できない状態だ。

関連記事:米当局、ロシア軍の攻撃でパトリオットシステムが損傷した可能性が高い
関連記事:ロシア国防省、パトリオットシステムをキンジャールで破壊したと発表
関連記事:ウクライナ軍、ロシア軍が発射したキンジャール6発を全て撃ち落とした
関連記事:米国防当局、迎撃されたキンジャールの標的はキーウ郊外のパトリオット
関連記事:米国防総省のライダー准将、パトリオットによるキンジャール迎撃を確認
関連記事:パトリオットによるキンジャール迎撃成功、ロシア軍から確実な攻撃手段を奪う
関連記事:ウクライナにパトリオットシステムが到着、私達の美しい空がより安全になった
関連記事:オランダのルッテ首相、ウクライナへのパトリオットシステム提供を表明
関連記事:米国、パトリオットやJDAMが含まれたウクライナ支援パッケージを発表
関連記事:ドイツ、マルダー歩兵戦闘車とパトリオットのウクライナ提供を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Пресс-службаПрезидентаРФ / CC BY-SA 4.0

バフムート市内の戦い、ワグネルがウクライナ軍最大の抵抗拠点を制圧前のページ

ウクライナ軍発表のロシア軍戦死者が20万人を突破、3ヶ月間で6万人増次のページ

関連記事

  1. ロシア関連

    ウクライナ国境沿いに集結したロシア軍は10万人を突破、無人航空機を3,700機配備

    ロシアは本気でウクライナ侵攻を準備していると報じられており、もう間もな…

  2. ロシア関連

    ロシア国防省、戦車や歩兵戦闘車がクリミア半島から引き上げる様子を公開

    ロシア国防省は16日、クリミア半島に展開していた装備品を積み込んだ輸送…

  3. ロシア関連

    ロシア、ウクライナへのインフラ攻撃は飢餓をもたらし難民を発生させる

    露国営メディア「Russia1」の番組に出演した連邦議員達は「ウクライ…

  4. ロシア関連

    ロシア軍がザポリージャ原子力発電所を攻撃、ロケット弾が原子炉近くの施設に命中

    ロシア軍は多連装ロケットシステムでザポリージャ原子力発電所を攻撃、ロケ…

  5. ロシア関連

    ロシア、制裁の影響下で弾道ミサイルや精密誘導ミサイルを288発製造

    ウクライナのレズニコフ国防相は「ロシア軍の弾道ミサイルや精密誘導ミサイ…

  6. ロシア関連

    露メディア、ロシア軍が花束とパンで歓迎されないのはウクライナのせい

    いつもウクライナを巡る戦いについて欧米視点の情報ばかり取り上げているの…

コメント

    • K(大文字)
    • 2023年 5月 17日

    >ウクライナが撃ち落としたと主張するほどのキンジャールを発射していない。彼らが主張する撃墜数は我々が発射しているミサイルの3倍だ

    ああ、なるほど。キンジャールは2発やそこら撃つので精一杯ということね。ミサイルが払底していますなぁ。

    冗談はさておき、撃墜数に限って言えばロシア側の主張は分からなくもない。とは言えロシア軍もハイマース撃破数とか、大概だと思うけど…

    35
      •  
      • 2023年 5月 17日

      どっちも同じで戦果確認はそれほど難しいってだけの話だろう

      29
        • チェンバレン
        • 2023年 5月 17日

        太平洋戦争のエンタープライズみたいになりそう

        5
      • 名無し
      • 2023年 5月 17日

      今回のパトリオット破壊作戦では、たぶん、それぞれ異なった飛行プロファイルとなるキンジャールとイスカンデルとカリブル(もしかしてシャヘドも)を、同時着弾するよう調整して発射してる。
      だから、内訳が違う、という表現になり、種類誤認しているから命中しないんだ、という発言に繋がってるんだと思われる。

      11
    • ミリオタの猫
    • 2023年 5月 17日

    この話、ロイター電だと米高官からの初期情報として「米国とウクライナはシステムを修復する最善の方法について話し合っており、現時点ではシステムをウクライナから撤去する必要はなさそうだと述べた」との事なので、単にキンジャールか何かの破片がパトリオットのランチャーかレーダーのアンテナに当たって破損したのかも知れません

    後、ジョイグ国防相の発言に関しては「お前は何を言っているんだ」としか…まあ確かにロシア軍なら、先日友軍のSu-34やMi-8をウクライナ軍の敵機かミサイルと勘違いして誤射した疑惑が有るから、そんな寝言が言えるのでしょうが(ウクライナ軍の場合、撃墜した残骸を分析出来る為、少なく共ロシア軍よりは誤認は少ないと言える)

    39
    • らっしー
    • 2023年 5月 17日

    ミサイルの数や種類を誤認するのはままあるとして、
    常に現実全般から目を背けて誤認するあんたらが何言ってんの・・・って。

    44
      • らっしー
      • 2023年 5月 17日

      セルフレスで付け加えると、
      もしロシア側の主張が本当ならそこは
      「しめしめ、あいつら実数より多く誤認して弾数浪費しやがった!」
      ってほくそ笑んで黙っておくべき処だと思うんですが。

      もし本当なら、少ない弾数で迎撃弾を消費させ、
      多めに撃てば撃破の期待値が上がるわけですし。
      わざわざこんなコメントを発する心理を推理すれば
      ・・・、逆に自虐的に評判を落とした上の情報戦?!

      5
    • 例のアレ
    • 2023年 5月 17日

    少し前に味方を4機撃ち落としたロシアから出たとは
    思えないようなセリフですね

    32
      • 匿名
      • 2023年 5月 18日

      分かりやすく発覚したのが4機というだけで本当はもっと撃ち落としてそうだけどな

      4
    • 鳥刺
    • 2023年 5月 17日

    破片が出てるので誤認の主張は通り難いですよショイグさん

    より重要な攻撃目標を無視して、特定の兵器システムの破壊に数は多くないミサイルを集中投入してくれるのなら、それはそれでウクライナに利益のある展開と言えますかね。

    ゲラシモフ・ドクトリンって、軍事的合理性よりも宣伝戦のネタの収集に全力を注ぎこむって趣旨では無かったような???

    17
      • ふさ
      • 2023年 5月 17日

      パトリオットに関しては野戦軍の防空にも振り分けてるけど、
      都市防空担当のユニットが損傷すれば穴を埋めるために野戦軍から引き抜いて、
      その分、野戦軍の防空が俺らの頭のように薄くなる可能性があるから、決してロシアに利益がないわけではない。

      むしろ防空網を突破して重要度の高い目標を精密に攻撃する能力をキンジャール(=イスカンデル)が持っていた、
      という現実は脅威として捉えておくべきかなと思う、正直もっと雑なもんだと思ってたし。

      14
        • hiroさん
        • 2023年 5月 17日

        パトリオットは米国·ドイツ·オランダから各1セット合計3セットの供与ですが(全て到着したかは不明)、野戦軍に配備した報道がありましたか?
        そもそも高高度の弾道ミサイル対応が目的と思いますが、野戦軍に帯同させる運用があるのでしょうか?

        3
          • あか
          • 2023年 5月 17日

          3セットのソースは?
          前線部隊へパトリオットをつけるとは防衛研究所の高橋先生が仰ってたが。

          1
          • 名無し
          • 2023年 5月 17日

          現段階で配備されているのは2セットのはず。

          • みり
          • 2023年 5月 17日

          ドイツとオランダは共同で1セットでした
          なので現在は2セットです

          • hiroさん
          • 2023年 5月 17日

          まとめて返信すると、
          ①高橋先生とかの言う事が正だという根拠を教えてくださいください
          ②3セットの根拠はロイター他の報道です
          ③配備されているのが2セットなのか3セットなのか明らかではないので不明としました
          ④ドイツとオランダが共同で1セットの根拠を知りたいですね、二国で共同運用していたのですか?

      • 名無し
      • 2023年 5月 17日

      むしろSAMシステムほど重要な攻撃目標はなかろうに

      3
      •  
      • 2023年 5月 17日

      破片でイスカンデルとキンジャール見わけられるわけないじゃん

      2
    • 2023年 5月 17日

    「そんなにたくさん撃ってない」って言い訳としても情けなさ過ぎる
    相当ミサイル生産能力落ちてるってことじゃん

    29
    • issh
    • 2023年 5月 17日

    うちはキンチョールじゃなくてフマキラー派だけど、側から見ると同じようなものか

    10
    • ななし
    • 2023年 5月 17日

    ウクライナ軍「キンジャールを6発撃ち落とした」
    ロシア国防相「2発だけだ」

    無敵なはずのキンジャールが撃ち落とされたことを暗に認めたシェイグ国防相

    44
    • 下僕
    • 2023年 5月 17日

    キンジャールは対レーダーミサイルなんですかね?極超音速では高温になるためシーカーが動作しないとか以前聞きましたがレーダー探知はできてもおかしくないわけでしょうか。ショイグの言うとおり2発中1発がパトリオットのレーダーを破壊したとするならかなり優秀という気がします。さらに、台湾の防空にPAC-3があってもDF-17で撃破される事になるのかどうか気になります。

    5
    • 2023年 5月 17日

    常に嘘ついているから国内以外誰も信じないけど
    そういうところだぞ

    7
    • 鼻毛
    • 2023年 5月 17日

    今のはメラゾーマではない、メラだ(MP切れ)

    11
    • 折口
    • 2023年 5月 17日

    キンジャールの発射母機であるMig-31BPが8機も同時展開してないから8発同時発射は無いだろ(Tu-95から射撃した可能性は否定できない)と指摘している人がいましたが、どうも正しかったみたいですね。

    まぁウクライナに供与されている以上のHIMARSを破壊したと誇ってた軍隊の長が指摘できることじゃあないと思いますが…。

    9
      • KNOB CREEK
      • 2023年 5月 17日

      なんだったら供与が決定したばかりで投入はまだ先だって時にブラッドレーを撃破したとか言ってましたしね

      6
    • ブルーピーコック
    • 2023年 5月 17日

    ソビエトロシアは自国の航空機も識別できずに撃ち落とすからな。ウクライナより先んじてる。

    9
    • tori
    • 2023年 5月 17日

    誇らしげですが、「いや、結局撃ち落とされてたんかい」と思っちゃいますね。。

    仮にウクライナが数十発撃ち落としたと主張していて、実際はその3分の1というならまだ強気の理由も分かるんですが
    6発を2発だと力説されてもなんとも言えない。
    ショイグ感のある発言ですね。

    1
    • Artillery
    • 2023年 5月 17日

    何か勘違いしてる人が多いですが、ロシアはこれより前にキンジャールでパトリオットを破壊したと発表しているのだし、これは言い訳ではなく自慢の類いでしょう(2発で成果を出してやったぞと)。

    実際ロシアの言う事が本当なら普通に脅威です。
    西側式防空網に対して2発中最低1発が突破し、目標への攻撃に成功してるわけですから。
    現行パトリオットなら空中発射だろうがイスカンデルくらい高確率で迎撃できると思ってましたが、そう単純な話でもないのかもしれません。
    あるいはショイグの言うようにウクライナ側がオペレーションをミスったのか。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
PAGE TOP