米国関連

米国防総省のライダー准将、パトリオットによるキンジャール迎撃を確認

米国防総省のパット・ライダー准将は9日「ウクライナ軍のパトリオットによってキンジャールが撃ち落とされたのを確認した」と述べたため、プーチン大統領が「全ての防空システムを貫通できる」と豪語していたキンジャール迎撃は事実だ。

参考:Pentagon Press Secretary Air Force Brig. Gen. Pat Ryder Holds a Press Briefing

今回の結果だけで「キンジャールは大したことはない」と侮るのは早計だ

ウクライナのDEFENSE EXPRESSは「キーウで見つかったミサイルの残骸はX-47(キンジャール)のもので、パトリオットシステムの運用が既に開始されていたことを考えると4日夜に極超音速ミサイルの迎撃に成功した可能性が高い」と指摘したが、空軍のイグナト報道官は「4日夜にキーウ上空で弾道ミサイルは検出されていない」と述べてキンジャール迎撃を否定、しかしオレシチュク空軍司令官は6日「キンジャールの迎撃は事実で歴史的快挙だ」と発表。

匿名の米国防当局者も「パトリオットシステムがロシア軍の極超音速ミサイルの迎撃に成功したという主張には信頼がおける」と述べ、CNNは「プーチン大統領が『全ての防空システムを貫通できる』と豪語するキンジャールを使用さえすれば『確実に目標を破壊できる』というロシアの計算が崩れた」と報じていたが、本当にパトリオットシステムがキンジャールを迎撃出来たのかについては懐疑的な声=ウクライナ軍によるプロパガンダを疑う声もあった。

しかし米国防総省のパット・ライダー准将は9日、記者から「パトリオットによるキンジャール迎撃を確認したのか」と質問されると「パトリオットによってロシアのミサイルを撃ち落としたのを確認した」と回答したため、ウクライナ軍がキンジャール迎撃に成功したと断言(国防総省の正式なコメントまで疑い出すと何も信じられなくなるため)して良いはずだ。

因みにロシア軍による一連のミサイル攻撃(4月18日~5月9日までに177発の巡航ミサイルとShahed-136を発射)は、西側製防空システムを受け取ったウクライナ軍の防空能力をチェックするためではないかと予想されており、キンジャールも「パトリオットシステムの能力を検証するため、ロシア軍はわざと迎撃範囲に向けて撃ち込んだ」という主張もある。

ロシア軍がキンジャールの使用方法に工夫を加えたり、迎撃を困難にさせる回避軌道を調整してくるとパトリオットシステムを貫通する可能性は十分ありえるため、今回の結果だけで「キンジャールは大したことはない」と侮るのは早計だ。

関連記事:パトリオットによるキンジャール迎撃成功、ロシア軍から確実な攻撃手段を奪う
関連記事:ウクライナにパトリオットシステムが到着、私達の美しい空がより安全になった
関連記事:オランダのルッテ首相、ウクライナへのパトリオットシステム提供を表明
関連記事:米国、パトリオットやJDAMが含まれたウクライナ支援パッケージを発表
関連記事:ドイツ、マルダー歩兵戦闘車とパトリオットのウクライナ提供を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. Alexandra Shea

イタリアはウクライナ支援で弾薬不足、全ての国が備蓄を増やすため競争中前のページ

ウクライナ軍がバフムート方面で反撃、ロシア軍の側面に突破口を開いた可能性次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    陸上戦も無人化の波、米陸軍が無人戦闘車輌の開発契約を間もなく締結

    米陸軍は次世代戦闘車両プログラムに含まれる無人戦闘車輌(RCV)につい…

  2. 米国関連

    海中を泳ぐマンタ? 米軍が開発に取り組むステルス機のような無人海中ドローン

    米国の国防総省は全翼機のステルス機を海中に沈めたような無人海中ドローン…

  3. 米国関連

    米空軍のF-22Aにトラブル、機首を滑走路に擦り付けながら着陸か?

    エグリン空軍基地に着陸したF-22Aにトラブルが発生、ノーズギアの問題…

  4. 米国関連

    米陸軍のブラッドレー後継車輌、GD案とラインメタル案で競争試作

    米陸軍のブラッドレー後継プログラムには5チームが参加しており、予備設計…

  5. 米国関連

    米GA-ASIが提案するGambitのプロトタイプ、XQ-67Aが初飛行に成功

    米GA-ASIは2月29日「米空軍研究所が主導するOBSSプログラムの…

コメント

    • 匿名さん
    • 2023年 5月 10日

    Defense Expressの「キンジャールの残骸」とされているノーズコーン?のような物(ツイッター表示で言う右上の部分の画像)ですが、なんか断面見ると妙な厚みを持つモルタル製っぽくてこれ本当にミサイルの残骸なのか…?🤔

    7
      • かず
      • 2023年 5月 10日

      ノーズコーンの曲面も何か形状が違うように見えます

      6
      • あばばばば
      • 2023年 5月 10日

      キンジャール自体核弾頭搭載可能な空対地ミサイルなわけだから、通常弾頭の場合重量バランスを合わせる為にモルタルの重しを載せているとか、地中貫徹爆弾的な意味合いでモルタル製の部品を載せているのでは?

      知らんけど

      3
      • 拓也
      • 2023年 5月 10日

      これはキンジャールの形をした囮やわざと性能を落とした廉価版みたいな可能性はないんかね

      1
      • XYZ
      • 2023年 5月 10日

      MiG-25で耐熱性重視で鉄が使われたように焼き物に近い材質なのかもしれませんね。
      スペースシャトルの耐熱パネルのような感じです。
      最大速度マッハ10が本当ならば弾頭部分は相当な熱が発生するはずですから。

      24
      • 通りすがり
      • 2023年 5月 10日

      極超音速ミサイルともなればノーズは高温にさらされるため、どんな素材が使われるか興味があるところですね。

      21
      • ネコ歩き
      • 2023年 5月 10日

      極超音速飛行するミサイルなんで、ノーズコーン部は相当な高温になります。
      超耐熱構造材が使われているという証になる画像でしょう。

      13
      • のののの
      • 2023年 5月 10日

      流石にモルタルではなく無機系の断熱材でしょう
      秒速2000m以上の空気抵抗と空力加熱に耐える高度な物のはず。

      知らんけど

      7
    • emp
    • 2023年 5月 10日

    まぁ本来迎撃できる確率は10%とかで、今回たまたま当たった可能性もあるしね
    40%以上あるなら、複数発撃つことでそれなりに迎撃できるんだけど…

    9
    • 匿名
    • 2023年 5月 10日

    なんで空軍司令官と報道官の言ってることが違うの

    1
      • hiroさん
      • 2023年 5月 10日

      報告ルートが違うとか、情報入手の時間的差異とか、誤った報告がされていたとか、発言者の誤解や思い込みとか要因は色々あると思います。
      日本でもたまに大臣の発言を事務方が訂正したり、官房長官と大臣が異なった発言をすることがありますよね。

      14
      • sss
      • 2023年 5月 10日

      ロシアに情報与えるだけになるし本当は隠しておきたかったのでは?情報がいろいろ表に出てきて認めざるを得なくなったとか。
      パトリオットで迎撃出来るとわかればそれが無い場所に打ち込まれる可能性が増す訳だし。今後情報出しすぎればどんな軌道なら迎撃が難しいかといったことまでロシアに教えてしまうことになりかねない。

      2
    • 名無し
    • 2023年 5月 10日

    とりあえず迎撃が可能という事と対応可能、という事には大きな壁があるからなあ
    迎撃成功率が8割位あれば安心できるんだが
    パトリオットのセット数ももっと必要だけど、各国に余裕があるのかどうか

    6
    • 7.74
    • 2023年 5月 10日

    流石にウクライナ1国では無くアメリカも確認済みの様ですし一旦は迎撃可能と言う事で信じて良いのでは
    素人目で見て疑うと色々思い込んでしまいそうです。後は情報が間違ってたら訂正されるかと。
    ただ今後パトリオットをどう回避するのかがやはり気になりますね。

    22
    • 無能
    • 2023年 5月 10日

    ロシア側はどういう対応するんだろ?

    パトリオットの無い地域を選んで披撃墜率を撹乱することも出来るし、あえて「キンジャールですよ~」ってわかりやすくかつ迎撃しやすい軌道でパトリオットを消耗させたり、「キンジャールなんて雑魚w」という認識を持たせた上で、ここ一番で絶対に破壊したい目標へ本気で打ち込むなんて事も出来るけと

    7
    • 58式素人
    • 2023年 5月 10日

    KE弾頭の直撃で破壊されたのでしょうか。
    とすれば、PAC3の設計意図は達成されているのでしょうね。
    破壊された弾頭の写真を見ると、鋳造された金属みたいに見えます。
    昔のトールボーイ爆弾は、防弾鋳鋼で弾殻を作っていたそうだけども。
    キンジャールは徹甲弾頭ということでしょうか。
    鋳造された(?)金属の種類は何でしょうか。
    Mig25は、高熱に耐えるために、チタンよりもニッケル鋼を多用したそうですが、
    今回もそんな感じでしょうか。

    2
    • 匿名(JDAM博士)
    • 2023年 5月 10日

    マッハ10は運動エネルギーだけでも相当なものです。
    落ちした場合とでんもないクレーターができて、こんな画像にはなりません。

    1
      • 鼻毛
      • 2023年 5月 10日

      マッハ10で突っ込んだんじゃなくて空中で撃破されて、自由落下に近い減速時間を挟んだのではないでしょうか

      32
      • バーナーキング
      • 2023年 5月 10日

      元々M10のまま地表に突っ込むものではないし、撃破されたなら尚更。
      バラバラになって質量を減らし、空力性能を失って抗力の増した破片は急速に速度を失う。
      特に音速まではあっという間だと思うよ。

      20
      • 7.74
      • 2023年 5月 10日

      ウクライナ軍以外迎撃時の状態がどうなってたのかは知り得ないので画像から想像するしか無いですが、弾頭に縦に沿って傷が入ってるので、迎撃された後地面に対し浅い角度で突っ込んで擦ったんじゃ無いですかね。
      後はキンジャールがマッハ10で激突した際のクレーター見た事無いんで参考等ありましたらご教示ください

      4
    • ぷーん
    • 2023年 5月 10日

    いつもキンチョールに見えてしまう。
    もうすぐ蚊の季節ですな。

    14
      • らっしー
      • 2023年 5月 10日

      ハエハエ カカカ キンジャール ♪

      う~ん、一発で雑魚っぽく感じてしまう。
      CMキャッチコピー恐るべし。

      4
        • M774A6
        • 2023年 5月 11日

        蚊の迎撃に特化した家庭用防空システム、モスキートドームを三菱が開発しないかな。
        うっかり実体弾で迎撃する設計にしちゃって部屋の中に残骸が降り積もったり。

        ていうか虫型の超小型偵察・毒物による暗殺用UAVなんてのがいずれ現れたら本当に作られるかも…

          • らっしー
          • 2023年 5月 11日

          ゴキブリは既にラジコン化されてますからね・・・。

    • 無題
    • 2023年 5月 10日

    すべての防空システムを突破できるってのがそもそも誇大広告で実態はただの空中発射型弾道ミサイルだしな
    油断は禁物だが過剰に恐れる必要もあるまい

    11
    • 鼻毛
    • 2023年 5月 10日

    謎のベールに包まれた東側兵器、過大評価されがち問題
    ちなみに逆の意外と過小評価されててヤバかったパターンってあるんですかね?

      • チェンバレン
      • 2023年 5月 10日

      Tu-95ベア

      13
      • 匿名
      • 2023年 5月 10日

      アメリカはパトリオットでキンジャールがロシアのいう通りのスペックでも1割は迎撃できると分析していましたから油断は禁物ですね。
      アメリカとロシアの核戦争ではアメリカが生き残るために、電磁波発生させ核ミサイル使用不可能にする核ミサイル百発を先にロシアにぶつける可能性が実戦で高まったので、パトリオットシステム増やしそうですね。
      ロシアは対アメリカ核戦争プラン慌てて改定してそうですね。
      核戦争だけは、相互抑止力だけで納めてほしいです。

    • nachteule
    • 2023年 5月 10日

     双方の内容が分かるのはあと何年後だろうか、意図的に射程が短いパトリオットにキンジャールぶつけたなら持てる能力を出して撃墜された事になるだろうし、パトリオットは考慮の外で射程優先とかにした単純機動とかだと射程を犠牲にして高軌道にしようとか今後それなりの対応をするとかしそう。
     もしくは油断を誘ってここぞというタイミングで最大の効果を狙うような器用なまねしてるなんてないよな。

     最近の兵器は極端にハードを変えないでソフトウェアで対応して能力向上あるから、ロシアも回避プログラムとか変更して突破率上げてきそう。攻撃と防御はいたちごっこだしロシアだって考える頭はあるんだから、最悪を想定してことに臨んで貰いたい所。

    3
    • あああ
    • 2023年 5月 10日

    中距離以上BMの耐熱ノーズコーンは特殊装甲そのものですね。終末段階となればKEビーグルのヘッドオンでなければ当たっても無力化は不可能でしょう。
    この勢いで弾薬続くかぎりロシアBMを落としまくってくれるとそこらのMD不要論も潰えるでしょう。アショアと代替艦がアレでもMDがアレなはずはありません。
    本邦のように世界で最もミサイル脅威に晒されてる国がMD推進を疑うべきではないしMD空白は戦争誘発の可能性を高めるだけです。

    4
      • 58式素人
      • 2023年 5月 11日

      素人考えですが。
      Defense Expressの写真を見て見ると、
      懸架時のつるつるした外観と、撃墜後の外観を比べて、
      徹甲弾頭+熱シールドかなと想像します。
      宇宙ロケットの再突入体表面に貼るものですね。
      自身は蒸発して熱を奪い、内部を冷やすものですね。

    • 匿名(JDAM博士)
    • 2023年 5月 11日

    この破壊画像に写ってるのはBETAB-500ですね、形が全然違います。

    1
    • a
    • 2023年 5月 11日

    「ロシアのミサイル(キンジャールとは言ってない)」じゃないの

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP