ウクライナ軍東部司令部のチェレバティ報道官は17日「バフムート郊外での領土解放が続いている」と主張したが、郊外の前進と引き換えに市内ではロシア軍が前進を続けており、ユビレイナ通りの下区画に対する攻撃は激しさを増している。
参考:Украинцы отвоевали еще полкилометра на бахмутском направлении – Череватый
バフムートを巡る戦いは最終的に「より大きな利益」を誰にもたらすのだろうか?
ウクライナ軍東部司令部のチェレバティ報道官は17日「過去24時間の間にバフムート方面で500m前進して領土を解放した。敵は何も状況が変えられないと知っているにも関わらず街の奪取を諦めていない。同時に戦いの主導権が徐々に我々へ傾いているのを敵も気づいている。我々は装備や兵力で敵に劣り、多くの予備兵力を持っていないにも関わらず、敵を打ち負かし、防衛作戦を成功させ、敵の側面を攻撃している」と主張した。
チェレバティ報道官が言及した「領土解放」がどこを指しているのか不明だが、ウクライナ軍の反撃はオリホヴォ・ヴァシリフカ方面とイワニフスキー方面で続いており、オリホヴォ・ヴァシリフカ方面では高地のドゥボヴォ・ヴァシリフカに向けてロシア軍を少しづつ押し戻しているのが視覚的に確認=①③され、イワニフスキー方面ではクリシェイフカに向けてロシア軍を少しづつ押し戻しているのが視覚的に確認=④⑤⑥されている。
但し、郊外の前進と引き換えに市内ではロシア軍が前進を続けており、ユビレイナ通りの下区画に対する攻撃は激しさを増している。
Ⓐを進むウクライナ軍兵士の様子が視覚的に確認されているため同区画の支配は「ウクライナ軍にある」と推定されるが、Ⓑから撮影されたドローン映像は同区画に対するノンストップの砲撃を示しているため、何れコンクリート製の建物が使い物にならなくなるとウクライナ軍は後退を強いられるだろう。
仮にウクライナ軍がユビレイナ通りの下区画から押し出された場合、チャイコフスキー通りをMiG-17モニュメント周辺に向かって徐々に後退する可能性が高く、砲撃で抵抗拠点になりそうな建造物を潰して前進するロシア軍を止めるには「それを上回る火力を叩き込むか」「敵砲兵部隊を直接叩くか」のどちらかで、はやり市街戦でも野戦でも投射火力量が戦場の優位性を決定づけるのだろう。
Один день у Бахмуті🇺🇦
(можна побачити ситуацію у місті,та “нестачу” боєприпасів у ворога)https://t.co/r2JmiAr56j pic.twitter.com/JSyffYQeYl— Мисливець за зорями (@small10space) May 17, 2023
Extensive destruction in Bakhmut is visible in new satellite imagery from @Maxar.
These images show what areas of the city looked a year ago, and how they appear today. This area is in the western part of the city (48.592, 37.965). pic.twitter.com/b9qXiKba41
— Brady Africk (@bradyafr) May 17, 2023
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※アイキャッチ画像の出典:UMFT-UA Military Flight team
あーあ、町がめちゃくちゃだよ。
ロシア人はひどいことするなぁ。
市内から退く代わりに南北の高地を奪取、
三方向から圧力をかけつつ逆包囲の不安も煽ることで引き続きロシア側の戦力を拘束する、
といったところだろうか。
因果が逆で市街の状況を変えるために南北の高地の奪還を企図しているのでしょう
二重包囲を伺うほどの両翼の衝撃力はありません
もうすでに市内に戦略的価値はないし高地確保はバフムト奪還のためでも維持のためでもなく次の係争地になるチャシブヤール防衛のためじゃないかな?
ウクライナ軍の企図としてはそうかもしれませんが、ロシア軍の方は全然気にしていないでしょう。戦勝記念日もやっぱり関係ありませんでした。
ユビレイナ通り南西側の団地のアパートの中には、市街のあちこちから退却してきたウクライナ兵の生き残りが寄り集まっているのでしょうが、文字通りの集中砲撃を浴び続けて悲惨の極みです。
かといって、遮蔽物の少ない畑の斜面の真ん中を徒歩で駈け下りてイワニフスキーまで逃げるのも相当な勇気が必要でしょう。チャイコフスキー通りに逃げるにしても、わざわざ敵前を横切るのと同じです。クロモヴェの方の道路もすでにロシア軍に遮断されそうです。
沖縄戦末期みたいな語り口だけど、島嶼戦じゃないんだから。
街の西端からイワニフスケまで2キロとすると、
東京でいうと東京駅から新橋くらいでしょ?
しかも途中に陣地は作ってあるだろうし。
普通に撤退していくだけだと思うけどね。
というか敗残兵が寄り集まって最期の時を待つみたいな状況だったらとっくに占領されてるはずでしょ。
ウクライナとしてはロシアに防衛に兵士と弾薬まわさせることで市街地の制圧を少しでも阻止したいという気持ちもあるだろうね
最悪の場合都市部は諦めるにしても周辺高地を奪取すればロシアのそれ以上の進行を阻止しやすいし都市の奪還もしやすい
ロシアとしては今後の攻勢や防衛の起点となる高地はバフムート市街よりも重要なはずだけど、兵力の分散をどこまで許容できるやら
この攻撃でロシアの戦力をさらにバフムートに引き付けつつ別の場所で反攻作戦……とまではいけないかな
仮にウクライナ軍がオリホヴォ・ヴァシリフカとクリシェイフカに取り付けたら、ロシア軍がバフムートを制圧するメリットはあるのでしょうかね。
あと、ロシア軍はイワニフスキー方面とチャシブ・ヤール方面の橋を今更攻撃し始めましたね。
一連のバフムト反撃の中でイワニフスケからクリシェイフカへの攻勢軸が最も成功しているが、ウクライナ軍自身が要塞化したクリシェイフカ近郊の高地が立ちはだかる。ロシア軍はこの丘を火力優越と迂回軌道で攻略したが、現在のウクライナ軍の攻勢軸は一方向から遮蔽無しで丘を駆け上がるものになる為現有戦力での攻略は難しい。
ロシアとしては市街地の攻略が完了すればワグナーの予備兵力が解放されるが、引き続きこの戦域を担当するのか注視したい。
古いビルの解体ではアスベストなどの有害物質が拡散するからってめちゃくちゃ密閉されますが、こんな風に全部砲撃でビル解体やってたら、そのあたりで戦ってるだけで肺が悪くなりそう。実は、核戦争並みに兵士の身体に悪かったりして…?
こんな場所で戦って体に悪くないわけないんだよなあ… 郊外では泥沼の塹壕で都市部では瓦礫と粉塵まみれ プラス周りは死体まみれで不健康で不十分、非衛生な食事 まあいつ死ぬか分からない戦場でそんなこと考えてられないんでしょうけど
ウクライナ側は瓦礫の山となった都市部をごり押しする必要がない。周辺を攻略する事で反包囲をしたり、敵が退くかを確認すればいい話ですね。後で取り返すか、囲んで閉じ込めれば良い話なので別に保持する必要はないが、一部区画を係争地に出来ればロシア軍を苛立たせられるでしょう。
ロシア側は残っていた予備兵力を投入してまで都市部に押し寄せさせたそうですが、その後はどうするのだろう?まあ、プリゴジンと責任の押し付け合いをしてるので、あれこれ悩んでる場合ではないのかも知れないが。