バイデン大統領が署名したウクライナ支援パッケージにはHIMARS追加提供に加え「榴弾砲用の精密誘導砲弾が含まれている」と報じれれており、米国はGPS誘導のエクスカリバー砲弾提供に踏み切ったのかもしれない。
参考:U.S. to send $400 million in weapons to Ukraine, including more HIMARS
もしかすると高い命中精度を誇るGPS誘導のエクスカリバー砲弾の供給に踏み切ったのかもしれない
バイデン大統領が8日に署名した約4億ドルのウクライナ支援パッケージにはHIMARSの追加提供分4輌(累計12輌)が含まれており、国防総省の関係者は「ロシア軍が破壊したと主張するHIMARSは現在も使用されていることが確認されている、ウクライナ軍はHIMARSを非常に効果的に運用してロシア軍の兵站を破壊し続けている」と明かした。
さらに今回のウクライナ支援パッケージには非常に興味深い弾薬が含まれている。
これまで米国がウクライナに提供するのを控えていた榴弾砲用の精密誘導砲弾が今回のパッケージに含まれているとロイターが報じており、もしかすると高い命中精度を誇るGPS誘導のエクスカリバー砲弾(M982)の供給に踏み切ったのかもしれない。
CBC紙は過去「カナダがウクライナに提供する砲弾の中にはGPS誘導砲弾が含まれる」と報じていたため、アフガニスタンで使用するため購入したエクスカリバー砲弾の残りをウクライナに提供した可能性が高いが、この砲弾は1発6.8万ドル(初期生産ロット時は20万ドル以上)と高価でカナダがウクライナに提供したエクスカリバー砲弾の数は多くないと予想されている。
しかし膨大な米軍備蓄からエクスカリバー砲弾の供給が始まるならウクライナ軍は残数を気にすることなく、25km以上先の目標をM777(CaesarやPzH2000でも使用可能)で攻撃できるようになるため、今以上にロシア軍の兵站はウクライナ軍の攻撃で破壊されることになるだろう。
今のところ「榴弾砲用の精密誘導砲弾」をウクライナに何発提供するのかは不明だが、まだ120門以上(提供数は126門で最低でも4門はロシア軍に破壊された)残っているM777が40km先の目標を攻撃できるようになると戦い方も変わってくるかもしれない。
追記:パッケージに含まれる「榴弾砲用の精密誘導砲弾」について米ディフェンスメディアもエクスカリバー砲弾の可能性が高いと指摘しているが、ウクライナに提供される量は「1,000発(推定7,000万ドル相当)」だと報じられているのでエクスカリバー砲弾で間違いないだろう。
関連記事:カナダ、ウクライナに榴弾砲M777×4門とエクスカリバー砲弾を提供
関連記事:ロシア軍がHIMARS×2輌を破壊したと発表、但し視覚的な証拠はなし
※アイキャッチ画像の出典:Photo by Staff Sgt. Helen Miller
供与の内容もあくまで駆け引きなんですよ、最終的には戦車や戦闘機までもっていく。
誰もプーチンロシアが一方的に定めたルールに従う義務はない、ここを勘違いしてる人は、最初からウクライナの敗北に期待してる回し者だけですよ
貴重な実戦テストの場だからなぁ
GPS誘導弾がロシア軍に通用するのか気にはなる
GPSジャミングですかね。
確か第2ロット以降は対策が施されていたはずですが。
今ごろ米本土では鹵獲されたクラスハ4がいたぶられてるんでしょうね。
仮にクラスハ4がアメリカで分解調査されていたとしても、おそらくロシアの方もそれに対して、クラスハ4の改良型を開発中、試験中というようなことは容易に想像できる。
M777用の155mmGPS誘導砲弾、M982エクスカリバーの方も、妨害電波に強い改良型を次々と研究、開発するだろうが、ロシア軍の方もさらにそれに対する妨害電波を研究、開発すると思われ、キリがない。
本質的な問題は、GPS電波が、妨害電波の工夫で妨害できるという点にある。絶対完璧な対策というのはあり得ない。
おそらくロシア軍の方は、M777、エクスカリバー砲弾で狙われそうな重要拠点の周辺で妨害電波をバンバン発信するかもしれない。
もちろん逆に完璧な電波妨害というのもあり得ないので、絶対命中しないとも限らないが、ドローンに関してはロシア軍の電波妨害がすでに成功しつつあると言われ、エクスカリバーに対してはそれがきかないなどという保証はない。むしろ逆に、無誘導の砲弾による弾幕砲撃の方がかえって電子戦には強いという逆説もある。
ああ、クラスハ4の解析データがウクライナに供給される砲弾にフィードバックされるとは流石におもってませんが、紛らわしかったですね。
まあどちらが上なんて断言できないんですが、仮にGPSをソフトキルできても弾頭自体は無力化できないので、精度は落ちても結局は着弾はするんですよね。
具体的な話をすると、クラスハ4の有効効果範囲は300km^2と言われていて中々のものですが、半径でいうと10km弱。そこに入るりゅう弾砲の放物線軌道(目標地点=クラスハ4と同地と仮定)を加味すると9km弱。ECCMを追加されたインクリメント2以降の弾頭なら有効半径は更に下。
数十キロ離れた地点から撃たれた砲弾にターミナルフェイズでECMをかけてどれほど効果があるのかは疑問です。複数のクラスハ用意すればいいかもしれないけど、一つ一つの集積所や司令部にいくつもあてがえるほど用意あるんですかね?T-14やSu-57の現状見ると・・。
ちなみに蛇島への攻撃に使われたのは誘導弾が多かったようですが、宇軍が上陸した際の映像にはクラスハ4の残骸が写ってましたね。100%誘導弾で破壊されたとは言えませんが。
兵器が在庫限りで旧式化が進むロシア軍と差がつき始めるのでは
資源があっても経済規模が小さいロシアにとってはきつくなりそう
東部でロシア軍がセベロドネツク・リシチャンシクを制圧し、ウクライナ軍が敗走したタイミングで行われたHIMARSによるロシア軍兵站網の破壊が効果的だったのと、現状ではウクライナ軍の再編に時間が掛かると見込まれる点から、バイデン政権が自制していたエクスカリバー砲弾の供給に踏み切ったと言う所でしょうか。
また、ロシア軍は東部で作戦を停止したとか、ウクライナ軍がザポリージャ方面で反撃をしていると言う情報も流れていますので、もう少し様子を見てから判断したいですね。
一番怖かったのはセベロドネツク以降、無誘導弾での量の圧倒で勝つパターンが確立しつつありましたから
この勝ちパターンに有効な対抗策を示せずロシアがおっせおせになって一気にウクライナ側が総崩れになる事でした。個人的にですけどねw
HIMARSの兵站破壊によって、少なくとも弾薬を鉄道の近くに平積みで集積する事が出来なくなり、
分散して配置する事をロシア側に強いる事になったのでこれで勢いをくじく事に成功し、おっせおせが出来なくなった事で
少なくとも疲弊したウクライナ軍が一息つける時間を確保できたかと思います。
搬入を直接、ウクライナの空港へ米軍の輸送機で行えば大分、ペースが上がるだろうな。
早めに戦闘機と戦車も提供したほうがいいと思うが。精密誘導弾の写真見たけどもう砲弾じゃなくてミサイルだろこれ。米軍も輸送機を大量に使ってるんだろうけど、どのくらいのスピードで物資を提供できるかが気になるな。
まあ誘導機構の開発元もレイセオン「ミサイルシステムズ」ですしね。
とはいえ砲弾自体に推進能力がない以上ミサイルでもロケットでもなく「砲弾」です、という事かと。
既存のロケット弾に誘導装置付けたのを精密誘導ロケット弾と言い張ったり誘導爆弾にAGMナンバー付けたこともあったのでその辺は結構曖昧ですね…
誘導砲弾1,000発、戦線から30km以内の補給段列・集積や司令部は戦々恐々ですね。
門数の劣勢を、攻撃効率の劇的な向上でどこまで押し戻せるか。
>国防総省の関係者は「ロシア軍が破壊したと主張するHIMARSは
>現在も使用されていることが確認されている
ロシアの宣伝がが6日付、比較的信用度が高い西側政府筋からの否定情報までは3日。
今回は、話題が注目を集める新兵器だったんで少しペースが速かったかな?
アメリカの兵器の事だから運用制限が強く懸念されるが、HIMARSを運用できている南部は海岸線防衛に力を入れる事ができるのは間違いないだろう
だからと言ってウクライナ軍を前進させる事の出来る強力な支援でもないが……