米国関連

米GA-ASIが提案するGambitのプロトタイプ、XQ-67Aが初飛行に成功

米GA-ASIは2月29日「米空軍研究所が主導するOBSSプログラムの下で製造していたGambitのプロトタイプ=XQ-67Aの初飛行に成功した」と発表、XQ-67AはGambit Coreと呼ばれる共通コアに基づいて開発され、GAは4種類の異なるGambitを提案している。

参考:GA-ASI Makes First Flight of XQ-67A OBSS

XQ-67Aは手頃なコストで戦闘用無人機を生産できると実証する第一歩

米GA-ASI(GA)が発表した無人戦闘機「Gambit(ガンビット)シリーズ」は有人戦闘機の拡張センサーとして機能するGambit1、有人戦闘機の弾薬庫として機能するGambit2、有人戦闘機のトレーナーとして機能するGambit3、高度なISR任務向けにステルスを重視したGambit4で構成されているが、このユニークな4つの機体は全て「Gambit Core」に基いて設計される。

出典:GA-ASI

Gambit Coreとは無人戦闘機の基本的なアビオニクスや降着システムなど重要な機能が集約化された「共通コア」のことで、GA-ASIは「自動車産業からインスピレーションを得た共通コアは各Gambitシリーズのコストの約70%を占める」と説明しており、異なる用途に最適化された無人戦闘機を別々に開発すると各機体の共通性が小さいため、共通コアを軸に各機体を作ることで「開発期間の短縮や製造コストの削減など規模の経済を提供できるようなる」という意味だ。

このGambitは米空軍研究所(AFRL)の目に止まり、昨年2月「AFRLが主導するOBSSプログラムでGambitのプロトタイプ製造とテストを行うらしい」と報じられ、AFRLの関係者も「2024年にGambitの初飛行を計画している」と明かしていたが、GAは2月29日「XQ-67A(OBSSプログラムで製造されたGambitのこと)の初飛行に成功した」と発表して注目を集めている。

ただOBSSプログラムの目的が何なのか、XQ-67Aのプロトタイプ製造で何を達成しようとしているのか、米空軍が進めているCCA(Collaborative Combat Aircraft)開発に関連があるのかなど何もかもが不明で、GAも「このシステムは手頃なコストで戦闘用無人機を生産できると実証する第一歩だ」とだけ言及した。

関連記事:米GA-ASI、共通コアを基づいた無人戦闘機ガンビットのプロトタイプ製造
関連記事:GA-ASIが無人戦闘機「Gambit」シリーズを発表、共通コア採用が目玉
関連記事:米クラフト、米空軍研究所が主導するプログラム向けに新型無人機を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:GA-ASI

C-390が売れる理由、整備権限、技術移転、サプライチェーンへの参加前のページ

豪シンクタンク、もがみ型の取得で海軍再編が上手くいくかもしれない次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米海軍、F/A-XXの機体候補はロッキード、ボーイング、ノースロップ

    ノースロップ・グラマンは米空軍が開発を進める次世代戦闘機について「プラ…

  2. 米国関連

    米メディア、米陸軍の実射試験に「19式装輪自走155mm榴弾砲」参加を期待

    米陸軍が採用を予定しているトラック搭載型の155mm榴弾砲に世界中の企…

  3. 米国関連

    無人戦闘機の可能性、米空軍が編隊飛行を行うF-22AとMQ-28Aを公開

    米空軍の無人戦闘機に関する新たな動画が登場、F-15EとXQ-58A、…

  4. 米国関連

    LRDR完成が新型コロナの影響で再び遅延、日本も採用の可能性が高い「SPY-7」に影響も?

    日本のイージス・システム搭載艦に採用するかもしれないロッキード・マーテ…

  5. 米国関連

    謎が謎を呼ぶ、F-117を世に送り出したスカンクワークス製の無人航空機が間もなく完成

    ステルス攻撃機F-117や超音速高高度偵察機SR-71などを秘密裏に開…

  6. 米国関連

    米欧州陸軍の元司令官、10日以内でロシア軍は積極的な戦闘が不可能に

    米欧州陸軍のベン・ホッジス元司令官は15日、ウクライナで戦うロシア軍は…

コメント

    • 黒丸
    • 2024年 3月 04日

    車でいうところの共通車台みたいなものを最初に作るわけですか
    でも中国も同じ発想をしてくると思うので、
    これだけでは数量とコスト面での優位性は確保しずらいかと
    F-35みたいに共通化を図るあまりにコスト超過にならないかが心配です。

    6
      • バーナーキング
      • 2024年 3月 04日

      仰る通り共通プラットフォームによるファミリー化でしょうね。
      COTS部品の活用との併用により大幅にコスト削減は見込めると思いますが、これまた仰る通り、中国も同じ事を進めるでしょうし、その場合選べる部品は中国の方がはるかに多いんですよね。
      米側は(F-35の部品で起きた様に)細かい部品や材料に至るまで中国製の混入を気にしなきゃいけないのに対して中国側は米製だろうが日本製だろうが混ざっててもお構いなしなので。
      とはいえやらないよりははるかにマシとは思うので頑張ってもらうしかないし、できれば本邦にもどんな形でも良いのでその「ファミリー化」の中に喰らい込んで欲しい物です。

      12
    • クル
    • 2024年 3月 04日

    本体改修じゃなくて随伴無人機によって機能拡張するの面白いですね

    5
    • 58式素人
    • 2024年 3月 04日

    何だかですが。
    無人機版のF35になりそうな気がします。
    かつてのゴタゴタを今度は無人機で?。
    必要なのは”見切り”では?、と思ったり。

    3
      • ネコ歩き
      • 2024年 3月 04日

      エンジン含めた共通コアという構想だと、例示されている4機種の性能仕様は概略それぞれ決まることになります。
      運用側の要求仕様が機種によって差が大だと、特定の機種に最適化すれば他機種では不足だったり過大だったりするかもしれません。その辺が懸念されるのかなと思います。
      いずれにせよ技術実証段階なわけで、今のところはこういう発想も有りかなぐらいで良いのでは。

      3
        • 58式素人
        • 2024年 3月 04日

        そうかもなのですが。
        他国のことだし、某Z省に与するのでも無いけれど。
        GAの言うような、「このシステムは手頃なコストで
        戦闘用無人機を生産できると実証する第一歩だ」
        、が上手く行くと良いですね。
        口と金?を出す者が増えると、エンジンの大きさから
        変わって行きそうな気もします。つまり大型化/高額化。
        後は何回も繰り返された道を辿りそうな気がします。

          • バーナーキング
          • 2024年 3月 05日

          何回も繰り返されたのは「異なった複数の要求仕様を出来るだけ共通の機体で賄おう」って話では?
          コレは「共通のコアからこんな派生ができますよ」という話でしかないし、
          そもそもUAVなんて既存機の仕様に不満なら別機種を開発すれば良いんだから、わざわざ開発中のファミリーのコンセプトから外れた要求仕様を無駄なコスト掛けてまでねじ込む意味がないでしょう。

          3
            • 58式素人
            • 2024年 3月 05日

            そうかもですね。
            プロジェクトを統括する者の
            立場と見識次第かもです。

      • ブルーピーコック
      • 2024年 3月 05日

      実質3つの機種を開発していたF-35よりも、C-130輸送機をベースにAC-130ガンシップやKC-130空中給油機を開発するようなものだと思います。ゴタゴタの有無は未知数ですが。

      2
    • 名無しの悪夢
    • 2024年 3月 04日

    なかなか壮大な話でイメージが追い付きませんが、ゲーム的に捉えると目指すところは無人機編隊でしょうかね。
    ゲームのコンバットシミュレーターなどそれこそ大量にあるので機体制御に繋げるシステムを開発すれば十分可能でしょう。

    話は変わりますが、ガンビットはFF12で登場したロールプレイングゲームでは有名なコマンド制御システムで、ゲーム
    史上でも秀逸なシステムとされながら、その後のゲームでは開発の難解から一切採用されてない物っぽいので
    この無人戦闘機のシステムを考えた方もFF12をリスペクトしているのかもしれません。
    という話をしていたらプレイヤーの操作に追従するキャラが自動で戦うイメージかなり繋がって来ました。
    コンソール上で目標優先度を設定するユーザーインターフェイスがそんな感じだったら確定でしょう。

      • 名無しの悪夢
      • 2024年 3月 04日

      追記
      もしかしたらわかる人だけわかるようにFF12のイメージを共有させるために、こういう名前を付けてたのかもしれません。
      まさか兵器開発者が日本のロープレからインスピレーションを受けたなど吐露するとは思えませんし、スクエニもそう言われてもなんとも言えない気持ちになるでしょうね。

      • kitty
      • 2024年 3月 05日

      いやふつーにチェスのギャンビット戦法からでしょ。
      無人機のコンセプト的にも。

      7
      • ブルーピーコック
      • 2024年 3月 05日

      アメリカならX-MENのキャラの方を想起しそうな気もしますが。

      1
    • MarkⅡ
    • 2024年 3月 04日

    個人的にミサイルの対ジャミング性能の向上、レーダークラッター処理能力の向上でマクロスのゴーストみたいな超高機動無人機が出て来るんじゃないかと思ってる。

    ステルスについてはちょっと前に調べたけど、米軍でも次世代はステルス頼みじゃないらしく意外と先が短い技術かもしれない、クラッター処理等、ソフトの性能を上げるだけで無効化出来そうな感じである

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP