ウクライナ軍のシルスキー大将は先月末「クピャンスク方面のロシア軍が複数方向に前進を試みている」と明かしていたが、ロシア軍がシンキフカ、オルリャンケ、イワニフカの3方向で攻勢を仕掛けていることが視覚的に確認された。
クピャンスク方面の攻防は個人的な予想よりも激しいと思っている
東部司令部の司令官を務めるシルスキー大将は14日「敵は損害から回復してクピャンスク方面で活発な攻勢を開始した。敵の主要目標はウクライナ軍を撃破してクピャンスクを包囲し、オスキル川沿いまで到達することだ」と述べ、14日~23日までに登場した視覚的証拠もシルスキー大将の主張を裏付けるもので、30日にも「敵は目的を達成するため我々の陣地を毎日攻撃している。特にクピャンスク方面では一度に複数の方向へ進もうとしている」と明かしていた。
10月24日~11月2日までに登場した視覚的証拠もシルスキー大将の主張を裏付けるもので、ロシア軍はオスキル川沿いからシンキフカ方向、ペルショットラヴネーヴェ周辺からオルリャンケ方向、ヤヒドネからイワニフカ方向の3軸で攻勢を仕掛けている。
it happens pic.twitter.com/APnZqKspNT
— John (@John20230) October 29, 2023
A Ukrainian AS-90 SPG was hit by Russian lancet loitering munition southeast of Petropavlivka, Kupiansk Raion, Kharkiv Oblast, Ukraine.
📍49.685286, 37.752895https://t.co/GdXdtIaJrGhttps://t.co/XmxuZ3YcFa pic.twitter.com/gRFyEqRCSp
— Vigorous Falcon (@VigorousFalcon) November 1, 2023
— EjShahid (@EjShahid) October 30, 2023
- Ⓙ=ロシア軍がウクライナ軍のレオパルト2A5を攻撃する様子
- Ⓚ=ロシア軍がイワニフカ郊外のウクライナ軍陣地を攻撃する様子
- Ⓛ=ウクライナ軍の攻撃で破壊されて放棄されたロシア軍車輌
- Ⓜ=ウクライナ軍がロシア軍のTOS-1Aを自爆型ドローンで攻撃する様子
ウクライナ人が運営するDEEP STATEも1日「敵は兵力の優位性を活かしてマシュティフカ南で部分的な成功(成功の内容は不明)を収めたがシンキフカへの攻撃には失敗した。両軍はペルショットラヴネーヴェやオルリャンケの周辺で衝突が続いている。敵は戦線の至る所でローテーションを行い戦力を一新させているため大規模な攻撃が予想される」と警告し、概ね視覚的な証拠と位置関係が一致する内容だ。
Мощный штурм украинского опорника бойцами 1 танковой армии на Купянском направлении. Всушники в итоге обращены в бегство pic.twitter.com/zL10Eggv30
— ВВМУПП-суперклуб (@chilim67) November 1, 2023
個人的に気になるのはⓀ=ウクライナ軍兵士がイワニフカ郊外の陣地を捨てて逃げ出している点で、そろそろロシア軍がイワニフカに取り付きそうな勢いと言える。
ペルショットラヴネーヴェやオルリャンケの周辺はロシア軍も少なくない被害を被っているが、ウクライナ軍もレオパルト2A5を失っている可能性が高く、クピャンスク方面の攻防は予想より激しいのかもしれない。
関連記事:クピャンスクの戦い、ロシアは消耗前提のストーム部隊を送り込み続けている
関連記事:シルスキー大将、ロシア軍が再編を完了してクピャンスクで攻勢を開始
関連記事:アウディーイウカの戦い、クラスノホリフカ南西の高台を失った可能性
関連記事:ウクライナ軍、ロシア軍は損害を被っても狂ったように押し寄せててくる
関連記事:ウ軍はドニエプル川左岸に上陸、ロ軍はアウディーイウカ南郊外の防衛ラインを突破
関連記事:ウクライナ軍のザルジニー総司令官、ATACMSの発射シーンを動画で公開
関連記事:シルスキー大将、ロシア軍が再編を完了してクピャンスクで攻勢を開始
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ウクライナ軍の上級将校が、ロシア軍が戦力補充している事に、次々と言及している事は興味深いですね。
ロシアが、戦車や自爆ドローンなどの戦時量産体制が確立しただけでなく、人的資源も補充したということでしょう。
ウクライナ軍が、人的資源・物的資源にどれ程の余力が残っているのか、兵器の量産体制がどうなっているのかが気になっています。
端的に言えば、援軍として派遣できる予備部隊が、どの程度あるのかということでしょうか(前線が敢闘しても補充がなければ、最終的にすり潰される可能性があります)。
2023年以降からロシアはウクライナ側を凌ぐ程に自爆無人機を多用し始めた
週に1000機以上は調達してる模様
問題はロシア側の使用してる無人機は本体ないしパーツの大部分は中国製だということ
密輸してるにせよ中国が把握してない筈はない
米中関係からして、競争とはこの様な手段もあると注視に値する
仰る視点は、重要ですね。
外交関係が悪化すれば、敵の敵は味方理論になるという事でしょう。
ウクライナは、中国と戦後の経済関係も見据えているため、何とも皮肉なように感じてしまいます…。
米ロ関係も、IS掃討の頃には一種の協調関係にあったため、2010年代~目まぐるしく外交関係が変化していますね。
外交の重要性を痛感します。
ロシア側が人的資源を補充したというよりは、これまでウクライナ側が主張していた「ロシアには予備兵力がない」が嘘だったのではと思います
単にロシア側が反撃の時まで兵力を温存・育成していたのを、ウクライナ側が「ロシアに兵なし!」と楽観的に見てしまっていたのだと考えると辻褄が合いますので
仰る通り、嘘か見通しが甘かったと言えるかもしれないですね。
常備軍主体による大隊戦術群ならば、そこをすり潰せば兵力は減っていく事になりますが…
追加徴集を行えば、予備兵力を増やす事は可能になります。
ウクライナ軍の広報戦略、日本のマスコミ報道について、たまに思う事がありまして。
戦時ですが、外国の支援のおかげで戦争が継続できているため、(特に日本人の性格を考えれば)ある程度正直に説明した方が戦後の支援に繋がる気がするんですよね。
クピャンスク方向にレオパルト2A5まで持ち込んでるんですね
そうなると本当に押されててまずいので手当て部隊として送ったという事でしょうか
2A5を撃破した周辺の高地を占領すれば谷沿いに歩兵が浸透できると思われるので、正念場ですね
現在ウクライナでレオパルト2を運用している部隊は2つあって、第47旅団が各国から供与されたA4とA6を、第21旅団がスウェーデンから供与された10輌のStrv.122を運用しています
第21旅団のStrv.122がこの方面に展開しているのは9月下旬には確認されているので、ヤバくなったから急遽投入されたというわけでもないかと
第47旅団がザポリージャでの攻勢からアウディーイウカの防衛に転出したように、投入されてる地域がウクライナの関心の高さを示しているとは言えるのかもしれないです
1ヶ月以上前から配備されてたんですね、こちらの知識不足でした。
ご指摘感謝です。
レオポルド2の旧型スペック的に、t62以降の戦車には、正面から撃破される可能性はあり、今回流れている動画からも、戦車戦で正面からロシア戦車に撃破されたみたいなので、ロシア戦車が、いわれているほどは弱くないが証明されたようですね。
ロシア人自身が、イラク戦争などのロシア戦車不遇から、旧型西側戦車を過大評価していたみたいで、めちゃくちゃ喜ばれるていますが、ロシア軍の大攻勢でも余り侵略すすんでいませんので、アウディーイウカ要塞はあと半年は持ちそうですね゙。
人も物も消耗が激しすぎてなんか再編の小休止を頻繁に挟む感じですね、1日の戦闘回数や爆撃回数が明らかに減って死傷者数ががた減りする。
そしてしばらくすると戦闘回数が増えてまた死傷者数が増える。
バフムトの時はそれがなく、ゾンビアタックがずっと続いた。
ストームV部隊を使い潰した時にロシア軍はどうなるのか、そしてどうするのですかね。
戦力を次から次と投入すればアウディーイカを半年持たせることは可能かもしれんが、それだとバフムトから何も学ばなかったことになる。
人的にも物的にも資源の劣るウクライナはロシアの消耗戦に付き合うべきではないんだよ。
流石に今回は早期のアウディーイウカ撤退も考えていると思いたいですが…
今ウクライナがやるべきなのは露軍反転攻勢に備えての防衛線の構築なのではと素人ながらに思います