ウクライナ戦況

ウクライナ国防省情報総局、黒海艦隊の大型揚陸艦をMAGURA V5で破壊

Ukrainska Pravdaは14日、関係筋の話を引用して「ウクライナ国防省情報総局(GUR)のドローンが黒海艦隊の大型揚陸艦シーザー・クニコフを撃沈した」と報じていたが、GURも「MAGURA V5の攻撃でシーザー・クニコフを破壊した」と発表した。

参考:“Magura” знищила “цезаря” ― розвідники потопили великий десантний корабель чф рф

ミサイル艇イヴァノヴェツの攻撃にも使用したMAGURA V5で大型揚陸艦シーザー・クニコフを撃沈

Telegram上に14日朝「クリミア沖(アルプカからカツィヴェリまでの海域)で何かが燃えている」「その周囲を2機のMi-8が飛んでいる」「大きな爆発音が聞こえた(シメイス村)」といった報告が登場、Ukrainska Pravdaも関係筋の話を引用して「ウクライナ国防省情報総局(GUR)のドローンが黒海艦隊の大型揚陸艦シーザー・クニコフを撃沈した」と報じていたが、GURもシーザー・クニコフ破壊を正式に発表した。

GURは午前10時頃「他の国軍と協力して情報総局は黒海艦隊の大型揚陸艦シーザー・クニコフを破壊した」「この任務はグループ13の特殊部隊によって実行された」「クリミア・アルプカ付近でMAGURA V5の攻撃を受けたシーザー・クニコフは左舷に致命的な穴があいて沈没した」「敵の救助活動も失敗に終わった」と発表。

MAGURA V5はミサイル艇イヴァノヴェツ(タランタル型コルベット)の攻撃にも使用した無人水上艇で、米ディフェンスメディアのThe War Zoneは「ウクライナが開発したMAGURA V5の航続距離は450海里、巡航速度は22ノット、ウォータージェット推進によって最大42ノットまで速度を上げることでき、中継器を搭載した航空機(無人機)やSATCOMとの通信に対応している」「海面から0.5mの高さしかないため非常に発見しずらい」と指摘したことがある。

追記:他の国軍とは「海外の軍事組織」という意味ではなく「ウクライナ海軍」や「ウクライナ特殊作戦軍」などのこと指している。

関連記事:ウクライナ軍、ドローンを使用して黒海艦隊の大型揚陸艦を撃沈か
関連記事:ウクライナ人ジャーナリスト、ミサイル艇破壊は無人水上艇による集団攻撃
関連記事:ウクライナ軍、無人水上艇で黒海艦隊のタランタル型コルベットを破壊
関連記事:クリミアでロシア海軍の大型揚陸艦が爆発、ウクライナ軍が関与を認める
関連記事:ウクライナ軍、巡航ミサイルで大型揚陸艦と改キロ型潜水艦の破壊に成功
関連記事:ウクライナ軍がセバストポリ造船所を攻撃、大型揚陸艦と潜水艦を破壊か
関連記事:ウクライナのダニロフ書記、もう1,500km離れた目標の攻撃に問題はない
関連記事:ウクライナ軍がノヴォロシスク基地を攻撃、ロシア海軍の大型揚陸艦が大破
関連記事:ウクライナ軍の自爆型USVはユーリー・イワノフに到達、ロシア側の主張を否定
関連記事:ウクライナが海中を徘徊する自爆型UUVを公開、自爆型USVの合理的進化
関連記事:ロシア領ノヴォロシースク港で爆発、ウクライナ軍が自爆型USVで攻撃か
関連記事:クリミアで発見された謎のUSV、ウクライナに提供された無人沿岸防衛艦?

 

※アイキャッチ画像の出典:Головне управління розвідки МО України

ウクライナ軍、ドローンを使用して黒海艦隊の大型揚陸艦を撃沈か前のページ

シルスキー総司令官、アウディーイウカとクピャンスクに予備戦力を投入次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    米戦争研究所は72時間以内のリマン陥落を予想、ウクライナ軍はクリリフカ解放に成功

    米戦争研究所は「72時間以内のリマン陥落」を予想しているものの既にウク…

  2. ウクライナ戦況

    南ドネツクの戦いでウクライナ軍が前進、今度はマカリフカ解放を発表

    南ドネツクで反撃中のウクライナ軍はブラホダトネ、ネスクチュネ、ストロジ…

  3. ウクライナ戦況

    キーウ中心部で爆発が3回、ロシア軍が再びShahed-136で首都を攻撃

    キーウのクリチコ市長は17日早朝「キーウ中心部のシェフチェンコ地区で3…

  4. ウクライナ戦況

    エストニア軍諜報機関、現状でウクライナ軍が占領地を回復するのは困難

    ウクライナメディアの取材に応じたエストニア軍諜報機関のアンツ・キヴィセ…

  5. ウクライナ戦況

    英仏が自走砲提供を発表、まもなくウクライナ軍は東部で大きな前進を遂げる

    英国のウォレス国防相は「20輌以上のM109をウクライナに提供した、ま…

  6. ウクライナ戦況

    ウクライナ国防相、ロシア軍が保有する精密誘導ミサイルの残数は609発

    ウクライナのレズニコフ国防相は14日「ロシア軍には609発の精密誘導ミ…

コメント

    • ふむ
    • 2024年 2月 14日

    これ日本のイージス艦もまだ未対応ですよね…
    数で来られたら迎撃追い付かないでしょうし

    ドレッドノート登場や空母に匹敵するパラダイムシフトになるのか、多少の改修や装備の追加ですむのか…
    ドローンの普及は海洋国家である日本にはかなり重大な課題になりそうです

    40
      • Easy
      • 2024年 2月 14日

      2兆円も払ってるんですから,日本に1セットくらい売ってもらってもバチは当たりませんよ。研究せねばならない課題なんですから,カネはそう使うべきですね。

      31
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2024年 2月 14日

      日本海ですら波が荒れるのに、このサイズの自爆ドローンが安定運用できるかは極めて疑問です
      波が1~2mの少し荒れそうかな程度の状況でも転覆するとしか思えません
      日本が警戒または運用するなら、半潜水艇のような自爆ドローンになると思いますが、通信制御と航行速度が課題になります

      16
        • coke
        • 2024年 2月 15日

        現状では、サイズ的に航続距離も短く、無線誘導が必要ということで、外洋で単独の運用ではなく、沿岸かもしくは母船から発進・空中のドローンを経由して無線誘導とのことなので、仮に狙われるとすれば、瀬戸内海とか?ならば、波も比較的穏やかでしょう。
        そういえば、自衛隊の揚陸艦(?)もかつてプレジャーボートによる攻撃を受けたことがあります。

        2
      • はらへり
      • 2024年 2月 14日

      そもそもウクライナ軍はまともな海軍をもっていなく
      潜水艦からの長魚雷や水上戦闘艦からの対艦ミサイルによる攻撃ができないゆえの
      苦肉の策としてそれらよりはるかに迎撃が容易なはずの自爆無人艇攻撃なので……

      接岸中で動けない時に狙われたのならともかく
      先般のコルベットも作戦行動中でワッチもいるはずなのに
      魚雷より発見が容易でミサイルより鈍足な無人水上艇を効果的に迎撃できていない乗組員の能力と
      CIWSとしての仕事していないAK-630の対水上目標迎撃能力を疑うべきかと

      14
        • 平八郎
        • 2024年 2月 14日

        モスクワが撃沈された時も沈みかけの写真で火器管制レーダーが定位置を向いたままで迎撃の構えすら出来なかったんじゃ無いかという説がありましたね。
        ロシア海軍の水兵は全体的に見張りが甘いところがあるのかもしれません。

        9
        • 名無し
        • 2024年 2月 15日

        海面から0.5メーターしか出ていない物体をCIWSで迎撃って物理的に無理だと思うんですが

        2
          • はらへり
          • 2024年 2月 15日

          浮遊機雷なんかの海面にある物体への射撃も想定して俯角-12度までとれて
          レーザー・光学照準装置もあるAK-630に物理的に無理とは

          4
        • hiroさん
        • 2024年 2月 15日

        夜間航行中の船に乗ったことがあります?
        煌々とした満月ならまだしも闇夜の海面を視力で見張るのは限界があります。
        捜索レーダーやソナーを改良して遠距離で発見するしかないと思いますよ。

        3
      • 6ug3j
      • 2024年 2月 14日

      中国は2018年に波高1.25m~2.5m適応の無人ミサイル艇を公開していますね(瞭望者II)。
      中国は56隻の瞭望者IIを同時に自律航行させたりしていますので、今の中国は一体どんな無人艇を用意しているのやら。

      14
      • kitty
      • 2024年 2月 15日

      米海軍艦艇は、すでに全艦に無人機対策の電子装備が追加装備されているそうですが、おそらく衛星回線通信には対応できていないものでしょうね。
      わーくにの海自はそれすらも配備されていなさそう。

      2
    • どぶろく
    • 2024年 2月 14日

    そろそろ、色んな事考えなきゃいけない時だと思うのですが、またやっちいましたか。戦とは、どんだけ指導部が冷静を保てるか、なんかね〜
    そもそもウクライナは海の民でしたっけ。

    15
    • 名無し
    • 2024年 2月 14日

    黒海艦隊だけの問題じゃなくて世界中の海軍の問題なんだよなぁこれ…

    57
      • 名無しの悪夢
      • 2024年 2月 14日

      海上の防衛と海運が機能しなくなる未来見えてきましたね
      協力した他の国軍とやらは何を考えてるのやら
      まあ現実的に可能な技術だから遅かれ早かれこういう事態は起きるという実験と実演をしてるだけのつもりなのかもしれませんが

      9
      • ふむ
      • 2024年 2月 14日

      米英中心の紅海での作戦も、イエメンフーシ派のミサイルの迎撃が完璧じゃないようで
      度々イギリスやらの貨物船が着弾炎上してるようですね
      そもそも撃滅が目的でないからか、貨物が少し焦げるくらいで済んでいるそうですが

      大国でなくとも大艦隊に抗し得る、そんな時代になって行くのでしょうか

      22
    • 思い付きだけど
    • 2024年 2月 14日

    すでに言われているかもしれないけど、太平洋戦争で実在していた兵器としては「震洋」が近いですね。人間が操縦しなければならなかったことを別にすれば、80年の時間差でもって震洋が再現したというか。

    37
    • ak
    • 2024年 2月 14日

    小型の海面スレスレを移動する無線誘導魚雷みたいなイメージですか。

    ウクライナの大戦果だと喜ぶ人が多いんでしょうけど、これに一番反応して顔色青くなっているのは「アメリカ海軍」なんだろうなぁ、と。
    構造が良く分からないので波の荒い外洋で使えるのかはともかく、沿岸部での使用は問題無いのと、構造上レーダーなどでの監視が出来難く、しかも(多分)大変に安価で構造も簡単だろうという。「非正規戦」にびったりの兵器だ事で。
    貧乏国でも武装勢力でもほんの小さな平気で大国の大海軍に対抗出来ることが証明された、まさにエイラート・ショックの再来です。

    世界に漢たる大アメリカ海軍の空母機動艦隊が、小さなドローンで無力化される未来がこれで見えて来た訳です。
    年内にもフーシ派やイランが使用初めてもおかしく無いですね。

    34
      • 名無し
      • 2024年 2月 14日

      見ただけで、ああ、これ、めっちゃイランとフーシが得意そうな領域の工作物だ、感があります。

      22
      • 匿名
      • 2024年 2月 14日

      記事内容によればドローン航空機も中継に利用した無線誘導艇。
      自律による高度な最終誘導まではやってないようなので露側はジャミングすら出来てない。
      それと海面から0.5mの高さしかないとありますが、南米の麻薬密輸半沈艇相手で哨戒はできてるはずなので、前回同様に露艦艇の対応力の無さに対し、同様の物を米艦艇に期待するのはどうかと自分は思いますが…。

      7
        • 6ug3j
        • 2024年 2月 15日

        麻薬密輸用潜水艇は全長12m~24mで速度は時速11km程度ですが、MAGURA V5は全長5.5mで巡航速度は時速41kmです(最高速度は時速78km)。
        米軍も自爆用小型ボートの接近を許してイージス艦が大破したことがありますし、今のアメリカ軍でも対応は難しいのではないでしょうか。

        11
        • paxai
        • 2024年 2月 15日

        2019年沿岸警備隊は、麻薬を満載した半潜水艇を推定11%しか捕獲していない。
        米海軍は分からないけど沿岸警備隊は壊滅させられそう。

        2
        • hiroさん
        • 2024年 2月 15日

        哨戒しきれていないから南米から大量の麻薬が流入しているのでは?

        1
    • 名無し
    • 2024年 2月 14日

    破壊ってことは魚雷くらって大破みたいな感じか
    ただ揚陸艦がなにやってたんだ?
    輸送車任務?

    4
    • paxai
    • 2024年 2月 14日

    他の国軍の協力を本当の意味で使っても実際はそっちの方が適切じゃないかなあと。
    黒海にはグロバールホークとかがビュンビュン飛んでるし。

    9
      • T.T
      • 2024年 2月 14日

      それなんですよね。ウクライナ軍は、ロシア軍が手を出せないNATOのAWACS・偵察機・レーダーサイト・衛星、手を出されても文句言えない義勇参戦してる特殊部隊等からの情報をフルに使って作戦出来る事実上のNATO軍であると矢野氏が開戦当初指摘していましたっけ。戦場の霧の濃さではロシア側の方が不利を背負ってるハンデ戦なんですよね。

      18
    • ななし
    • 2024年 2月 14日

    内海とかブラウンウォーターでは有用でしょうけど、外洋で同じ事が出来るんでしょうかね。母艦とセットで運用して行動半径を広げたりするのかな。

    10
    • パラベラム
    • 2024年 2月 14日

    海上で揺れ動く同士なので狙われた側の艦船はCIWSでも確実な迎撃は出来そうな感じはしない。
    逆に安定した海中から迎撃出来るものがあれば対応出来そうな気もする。

    1
      • ras
      • 2024年 2月 14日

      現状は当然ながら海上目標への対応装備が軍艦の主流でしたので、それを覆す安価な兵器ですね
      今後の軍艦は海中迎撃のために海中随伴無人機を置き迎撃用の魚雷発射する時代になるのかなと雑に想像してますが、上で言われてる通り民間輸送船は相当脆弱な存在になりますね

      1
    • 765
    • 2024年 2月 14日

    自爆ボートは凄い、迎撃が大変だって持て囃されてるけど普通に長魚雷でよくない?感はある

    6
      • paxai
      • 2024年 2月 14日

      現代で魚雷が使用された事例ってあったっけ・・・ケンサクー天安沈没事件
      もしかして軍艦自体とっくの昔に自衛困難になってたりするんか?

      5
      •     
      • 2024年 2月 15日

      ボートの群れは母艦が要らないし、高価値ターゲットが出て来るまで散開・潜伏していると思うので
      魚雷とは敵の艦船を破壊するという最終的な目的は同じでも、地雷と大砲くらい使い方が違うものだと思います。

      6
      • 航空太郎
      • 2024年 2月 15日

      米軍の潜水艦が使う長魚雷Mk.48でも、射程は30~40km程度、アクティブソナーで対象を認識するしかないんですよね。自爆ボートは衛星回線経由で、遥かに長い距離を人が指示して移動させることができて、他の自爆ボートと連携して襲い掛かるといった真似もできているので、戦術的な幅は自爆ボートの方がかなり広いと言えるでしょう。

      もう後は突入するだけ、というフェーズなら魚雷が圧勝なんですけどね。そこに至るまでの自由度が段違いです。
      あと自爆ボートだと値段が1/10とお安い点も見逃せませんね。

      11
      • 2024年 2月 15日

      魚雷とUSVは射程も誘導方式も全く違う別の兵器
      魚雷で10発同時攻撃なんて出来ないだろ

      1
    • はる
    • 2024年 2月 15日

    なんか陸上の悲惨さを見てると揚陸艦を沈めてもなぁ感を感じます
    無人機だとコスパもいいし今後も海のほうは戦果をあげれそうですね

    1
      • のー
      • 2024年 2月 15日

      ロシア黒海艦隊が無力化されてしまえば、ウクライナは船舶による貿易ができるようになります故。
      戦況にも少なからず影響があると思いますよ。
      将来的にロシアも同じような手を使ってくる懸念はありますが、黒海の公海上ではNATO機での監視が可能なので、ロシア軍は容易には近づけないと思います。

      8
    • ななし
    • 2024年 2月 15日

    最初は停泊中の船に対する攻撃ぐらいしか成功していなかったのが、今では航行中のコルベットや輸送艦を撃沈できるところまで進歩しておりウクライナ軍の運用能力が上がって来ているのを感じますね。
    操作性やタイムラグ、爆薬量や爆発の指向性といったようなHW面での改善があるのかもしれませんが。

    1
    • ひまじん
    • 2024年 2月 16日

    無人機でメッシュネットワーク張らせて最適制御で全自動で攻撃させたりできないものか

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP