ウクライナ軍はロシア軍に占領されていたドニエプル川右岸地域の「ほぼ全域」を奪還することに成功、現地住民はウクライナ軍の到着に歓喜の声を上げており、連邦領併合を望んだというロシアの主張はゴミ箱行きが確定した。
参考:Зеленский: В Херсоне пока только ССО, остальные – на подступах к городу
参考:Бойцы ВСУ в некоторых местах Херсонщины уже дошли до Днепра – Генштаб
参考:Первый закупленный украинский морской дрон будет называться “Херсон”
ウクライナ軍はロシア軍の抵抗を排除してドニエプル川右岸地域を奪還したというより、ロシア軍の撤退を待って前進したという表現の方が正しい
ウクライナ軍がヘルソン市内やベリスラフを解放したことが確認されたため、ロシア軍に占領されていたドニエプル川右岸地域の「ほぼ全域」を奪還することに成功した格好だ。
まだウクライナ軍の到達が確認されていない地域も青色に塗り替えられるのは時間の問題だが、ロシア軍はアントノフスキー橋、鉄道橋、ノーバ・カホフカにある水力発電所の橋桁を落として撤退したため、ウクライナ軍が重装備を伴いドニエプル川右岸から左岸に渡河するのは不可能に近い。
そのため両軍はドニエプル川を挟んで対峙する格好になり、今後はザポリージャ~ドネツクからクリミアやアゾフ海を目指すことになりそうだ。
個人的に疑問なのはリマン包囲で見られた撤退するロシア軍への追撃が確認されていない点で、ウクライナ軍はロシア軍の抵抗を排除してドニエプル川右岸地域を奪還したというより「ロシア軍の撤退を待って前進した」という表現の方が正しいく、ある種の協定下で撤退と解放が進められたという印象を受ける。
どちらにしてもドニエプル川右岸地域の解放に成功したのはHIMARSによる兵站ルートへの攻撃が原因なので、ロシア軍が善意で撤退したのではなく「ウクライナ軍に撤退を強いられた」という事実に変わりはない。
今後ウクライナ軍はクリミアからヘルソン州に繋がる鉄道や道路の一部をHIMARSの射程圏内に捉えることになるが、ジャンコイからメリトポリに向かう鉄道や道路には手が届かないため、クリミア経由で流れ込むウクライナ南部への物流は機能したままだ。
ただウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相は正式に「資金調達プラットホームUnited24を通じて自爆型無人水上艇(セバストポリを奇襲したやつ)を100隻調達している」と発表したため、これが黒海を徘徊し始めるとロシア海軍の水上艦は行動を制限され、黒海海上からの巡航ミサイル発射はキロ級潜水艦に依存=戦闘効率が落ちるためイラン製無人機による攻撃が益々増加するだろう。
Ukraine is creating the world’s first Fleet of Naval Drones — so, we are launching our biggest fundraiser yet🔥It will protect the🇺🇦waters, prevent cities from being struck by missiles, and also help unlock corridors for civilian ships that transport grain. #FleetOfNavalDrones pic.twitter.com/9V07vqZXkl
— U24 (@U24_gov_ua) November 11, 2022
因みに解放された地域の人々が感情を爆発させており、連邦領への併合を殆どの人が選択したというロシアの主張はゴミ箱行きが確定だが、権威主義にとって投票は結果は建前に過ぎないので、これを見たところでロシア人が罪悪感や負い目を感じることはない。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
ヘルソン市奪還の結果を先ずは喜ぼうと思います。管理人さん、情報収集ありがとうございます。
今後、ヘルソン市で行われたロシア軍の蛮行、嫌がらせの置き土産(地雷トラップとか)、それと撤退時の追い打ちでどの程度、削り倒せたのか、といった続報に注視していきたいと思います。
泥濘期には戦線は膠着と言われていた前評判を覆して、要衝を奪い返せたことは、この後、厳冬期に再会されるウクライナ軍の反撃にも大きな自信を与えてくれるでしょう。
冬の寒さが侵略者に牙を剥く厳冬期こそが最大の削りシーズンですからね。反撃はこれからが本番です。
花束とパンで迎えられる軍ってのはこういうのを言うんやね(本来はロシア軍の予定)
これでウクライナ軍もヘルソン方面の戦力を大幅に転用できるようになった
ドネツク、マリウポリ方面を強化するのか
あるいはメリトポリからクリミアを目指すのか
これを見るとロシア軍はただの山賊だったと改めて認識出来ますね。
ウクライナ頑張れ。
12月からはザポリージャ戦線の攻防が激化すると予想されます。
ヘルソンからの大規模な渡河が出来ない状態だと、メルトポリへの打通が一番有力されるからです。
他の戦線も両軍がヘルソンに割いた部隊を転用することによって変わるかもしれません。
住民が結構残ってるのが驚きです。宇軍がカホフカ水力発電所を破壊するからドニエプル川沿いの住民は左岸に逃げろ!と散々アピールして、退去完了!と言ってたのに現実とは違うとは。
ただ、撤退時の盾にされた人達も居るだろうし、子供をロシア領に連れ去り民族浄化を狙ってた節があるから。その辺の事は明るみにしてほしい。
ドニエプル川右岸は落ち着いたからザポリージャ戦線に注目ですね。
> 権威主義にとって投票は結果は建前に過ぎないので、これを見たところでロシア人が罪悪感や負い目を感じることはない。
普段冷静に記事を書いてる管理人さんにしては珍しいくらいの皮肉で草
皮肉でもなんでもなく、事実そのものでは。これでも選挙という建前を取り繕うとするだけ進歩したまで言えそうですが。
どうも、携帯電話の信号発信源を調べたらドニエプル川の中からってのが結構あるらしくて……恐らく渡河中に相当の被害出てますよこれ。
砲撃位置と照らし合わせると、ウクライナ軍はボトルネックになってロシア軍が集中してるところに砲撃を重点的にぶち込んでたみたいです。
あと、これほど早いのは明らかに重装備の多くを置き去りにしてますね。鹵獲できれば万々歳ですが、まあ流石に多くは処理してるでしょう。
大量に装備を放棄してるみたいですね。ブービートラップを仕掛けてるようです。
リンク
…一か月近く時間があり、別にルートは二つの橋以外にもヘルソン市には港湾施設がそれなりにあるから船でも持ち出せたのに何をやってたのか疑問に思えます。アントノフスキー橋が破壊されたのを見て殿が渡りきったのだと思ってたけど。
撤退中の爆破とは…。奴らが運び出したのは家電、医療機器、美術品その他で肝心な装備はほったらかし。
露助軍の行動は理解に苦しむね。
オデーサ近辺からウクライナ軍の対艦ミサイルが飛んでくるので、海路での脱出は不可能です
クリミアまで行くにはキンバーン砂洲をムィコラーイウの方に向かって迂回するしかないから仰る通り狙い撃ちにされる。ただ、マリントラフィックを見てると一度だけウクライナ船籍の船がヘルソン側から東岸に移っていたり(乗り捨て?)、浮橋はヘルソンの造船所から調達したと思う。
河口を出なければ、それなりに動けたと思います。
へルソン解放、早かったですね。双方に合意があった?にしても
一週間くらい猶予があったのか? でも、そんなに綺麗に撤退させるわけがない!
略奪、虐殺誘拐、インフラを破壊しつくす連中に、時間をやるわけがない
しかし、おそロシアの真骨頂。空挺部隊や対空ミサイル、正規兵?も撤退の後で、アントノフスキー橋を破壊
携帯電話の位置情報マップは、ホントに絶望的な状況を描き出してますね。
橋を渡った少数、大多数は渡れず大混乱。そして、川を流れる赤い点々・・・
この点々をロシアの上層部に見せてやりたい。(何も感じないか。人でなしは)
ロシアの一般人は、この絶望マップを見る機会はあるよね? 何か行動しろよ!(少しは感じる?)
破壊できずに残した装備はどれくらいかな?
ウクライナの理性的な攻勢に期待。でも、キーウが気がかりだなあ
イランのミサイル、組み立てる前に爆破してほしい(どこかの機関、お願いします)
ウクライナ軍を歓迎するために歓呼の声を上げて繰り出してきた住民たちの数の多さは、改めてヘルソン市が大きな都市であることを実感させる。ここを奪還したことはいろいろな意味で大きいのだろう。ようやくこの時を迎えることが出来てほんとうにおめでとうございます。
ロシア軍がインフラを破壊していったので、電気とかガスとか水道とかは大丈夫ではなさそうだな。まともな食料もあるのだろうか? 間もなく西側からの支援物資が届くと思われるけれど。
楽しいクリスマスを迎えられそうだけれど、緊張した状態はまだまだ続くんだろうね。ドニエプル川対岸に陣取るロシア砲兵陣を牽制するためには、HIMARSや自走砲やドローンが活躍するんだろうね。自爆攻撃を仕掛けてくる敵ドローンの対策も必要だな。
南部は河をはさんであまり動けそうにないので、今後は両軍とも東部に軍を振り向けるのでしょうね。ロシア軍は重装備が渡河出来ないので置いて行くしかありませんでしたが、ウクライナ軍はザポリージャなと上流の橋が使えるので東部に重装備を移動させることができます。ウクライナのさらなる攻勢に期待しています。
ヘルソンはインフラ復旧や対岸からの砲撃が続きそうで心配事は尽きませんがまた一歩前進できたことをお祝いしたいです。かたやポパスナやドネツク方面でロシア軍の攻勢が強まっているという情報が出始めましたね。ヘルソンの失陥を誤魔化すためか戦力の再配分が有効だったのか気になります。
ウクライナ、ロシア双方で撤退の合意の可能性を先日に書き込んでいたけれど、
どうもそれっぽいようですね。
ウクライナ側としては市街地戦を避けたい、ロシア側は兵力の温存をさせたい、双方の利害が一致したのでしょうかね。
撤退自体は先週、先々週あたりからもう始まっていたようなフシがあります。
でなければこれほどまでの早い撤退はありえないでしょうから。
ヘルソン橋頭堡を遂に叩き潰しましたね。
侵略者ロシアの戦略上の選択肢~南部海岸部の占領によるウクライナの封鎖~の可能性を最終的に消滅させた大戦果と言えます。そして、重要な前線での消耗戦にロシアがウクライナ(とオール西側)に敗北した、ということになります。これは戦争の趨勢の決定的な変化の表われです。基本、ロシアが相手にその意思を押しつけるような優位な講和は無くなり、全般に防勢を強いられて行くわけです。
西側の援助と制裁を外したい? ではロシアは何を西側に払うんです?
ロシア自身は、独自の世界観に基づいた戦争~ドネツク州の寸土を求めて無意味な攻撃を続けているわけですが、開戦から今に至るまで、ロシア軍は残骸としか言いようがない程損耗した自軍の精鋭部隊の再建に失敗し続けているわけです。国家レベルでの戦力の消耗は覆うべくもありませんし再生産も困難なままです。北朝鮮の分を使い切った後の次の弾薬庫はどこになるんでしょうね?
それにしても、無人自爆艇の大群が水上艦の作戦を制限する、というか一定の海域から駆逐してしまうなんて状況が現出しそうになっているとは… 戦前に検討されたら、小艇故の能力の制限(行動力と索敵)が必ず指摘されていた筈です。「個別の兵器の欠点を補う創造的な運用」が次々に披露されるのもこの戦争の特徴のひとつですね。
まぁロシア海軍の能力の水準が質・量共に低過ぎるせいでもあるんですが、この新しい脅威に対応した部隊を敵地沿岸に展開できる海軍が世界にどれだけあるかとなると…
ドニプロ川西岸に露軍残党がどれだけいるかは不明ですが、一段落ついたら宇軍はいよいよ東部増援ですね。宇軍進軍が早すぎて照度作戦する間もなかったようです。もちろん露軍も多少は撤退に成功できた兵士もいるようなので、東部転回もありそうですが敗残兵と勝利後の兵士とでは士気が違います。
バフムトやドネツク西は、ウクライナ側は南部戦線からの友軍増援が近いとみて無理に死守せず、ある程度は引きながら応戦しているようです。
逆に露軍・ワグネルは最後のチャンスとばかりに猛攻でしょう。正規軍主体のクレミンナの露軍はヘルソンニュースで絶望感で満たされているでしょう。
11/12、南部ウクライナ軍のフメニュク報道官は、ドニプロ湾の出口にあたるキンバーンスピット(ミコライウ州)で、同軍が現在作戦行動中であると発表した。
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また、同軍がキンバーンスピットの東に位置するビロベレジア スヴャトスラヴァ国立公園に上陸したとの未確認情報が出ている。
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