ウクライナ軍のチェレバティ報道官は19日「敵はバフムート中心部の奪取に失敗し続けて莫大な損失を被っている」と発表、バフムートとチャシブ・ヤールと繋ぐ幹線道路(T0504)沿いからロシア軍を押し戻したのが視覚的に確認された。
参考:Россияне атакуют Бахмут по инерции, неся огромные потери – Череватый
バフムートの包囲を最短で閉じることが出来ないロシア軍が「攻めあぐねている」とも言えるが、市街戦の様子はウクライナ軍にとって思わしくない
ウクライナ軍のチェレバティ報道官は19日「敵はバフムート中心部の奪取に失敗し続けて莫大な損失を被っている」と発表、バフムートとチャシブ・ヤールと繋ぐ幹線道路(T0504)沿いからロシア軍を押し戻したのを視覚的に確認したが、ロシア軍はオリホヴォ・ヴァシリフカとフリホリフカに向けて前進しており、市内でもじわじわと中心部に向けて前進している。
ウクライナ軍はイワニフスキーの西で限定的な反撃(リンク)を行い、ロシア軍を約1kmほど押し戻すことに成功したためT0504ルートの安全性が高まり、バフムート市内へのアクセスも維持されているが、ロシア軍はオリホヴォ・ヴァシリフカとフリホリフカに向けて前進している。
この方向に前進するロシア軍の意図については諸説あり、クロモヴェ方面の守りが固いため「チャシブ・ヤールの背後に回り込もうとしているのではないか?」という声が多く、バフムートの包囲を最短で閉じることが出来ないロシア軍が「攻めあぐねている」とも言えるが、市街戦の様子はウクライナ軍にとって思わしくない。
アルテモフスキー金属工場の大部分を抑えたバフムート北地区のワグナーは線路を超えて東地区に侵入、Ⓔで敵との接触に備えるウクライナ軍兵士が待機しているので前線が近いことを示唆しており、Ⓗでウクライナ軍兵士が敵に発砲しているためバフムト川沿いに北上してくる敵は「あと300m」で行政庁舎周辺に到達する。
さらに南から線路沿いに北上してくる敵はスタジアム周辺に侵入し始めたという報告があり、南地区の住宅地域を守るウクライナ軍部隊は(退路を断たれる前に)後退を強いられる可能性が高い。
戦況マップに書き込まれた視覚的な証拠は以下の通りで、Ⓐ~Ⓘをクリックすればソースに飛べます。
- Ⓐ=ウ軍が敵の塹壕を攻撃する視覚的な証拠
- Ⓑ=ウ軍のUAVが敵を攻撃する視覚的な証拠
- Ⓒ=ウ軍兵士が敵から塹壕を取り戻す視覚的な証拠
- Ⓓ=ウ軍がアルテモフスキー金属工場周辺の敵を攻撃する視覚的な証拠
- Ⓔ=ウ軍兵士が敵との接触に備えて待機している視覚的な証拠
- Ⓕ=ウ軍兵士がバフムト川に近づく敵を攻撃する視覚的な証拠
- Ⓖ=ウ軍兵士がバフムト川を渡ってロ軍支配地域に入る視覚的な証拠
- Ⓗ=ウ軍兵士が敵に向けて発砲する視覚的な証拠
- Ⓘ=ウ軍兵士が敵に向けて発砲する視覚的な証拠
Desperate #Ukranian wounded fighter sends plea for help & goodbye. He says “I am from 54th Brigade, they refuse to evacuate me. I’m badly wounded. I fought hard, didn’t give up but they left me wounded and alone on position”
Fighters discarded by their command not good for moral pic.twitter.com/9gT3xW8q8F— Arthur Morgan (@ArthurM40330824) March 18, 2023
追記:負傷したウクライナ兵士が救助要請と別れの言葉を述べている動画が出回っている。
EUが155mm砲弾の共同購入に踏み切っても、増産が可能になるのは最速で3年後になる。
エストニアは年内に砲弾100万発をウクライナに提供するよう要求しており「来週のEU首脳会談で何らかの決定が下される」と予想されているが、Handelsblatt紙に続きFinancial Times紙も「仮に決定が下され資金が割り当てられても増産には3年かかる」と指摘している。
簡単に言うと砲弾工場の新設自体は簡単だが火薬の供給量が圧倒的に不足しており、防衛産業の関係者は「欧州には火薬の原材料を生産する企業がないので『ニトロセルロース』の生産量を短期間で大幅に増やすのは不可能だ。もし火薬の生産量を増やすなら少なくとも3年はかかる。対応できない需要の増加は製造に必要な原材料の価格をむやみ押し上げるだけで砲弾価格(既に20%上昇しているらしい)に跳ね返るだけ」と警告。
砲弾工場に火薬を供給する欧州最大の企業「Explosia AS(チェコ国営企業)」は155mm砲弾向けの火薬をフル操業で生産しているが「2026年まで増産計画はない」と述べており、ルーマニアが米国企業や韓国企業と火薬工場の新設計画について交渉中だが、これは2004年に火薬工場を閉鎖して失われた生産能力を取り戻すことが目的=自国向けなのでウクライナ向けの需要に対応するものではなく、砲弾増産に積極的なラインメタルも火薬工場の新設を仄めかしているが「政府の投資=自社資金でやらない」でなければならないと主張。
155mm砲弾を生産するスペイン企業(Fábrica de Municiones de Granada)は「砲弾を生産するための基本材料や部品の調達が困難で、(ウクライナ向けに)生産量を増やすため4ヶ月~5ヶ月はかかった」と明かしているが、同社を所有するスロバキアのMSMは「スペインで155mm砲弾の生産量を拡張する計画はないが、スロバキアで155mm砲弾の生産ラインを新設する計画はある(具体的な内容は未定)」と述べており、戦争が早く終わればいいのだがと付け加えているのが印象的だ。
関連記事:年内に砲弾100万発をウクライナに供給可能か? 西側諸国の倉庫は空っぽ
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
一方でロシアは伝統的に化学肥料の生産量が多く、共通する原料である窒素化合物を火薬に転用することも容易なので、火薬の生産量はNATOを上回っていると言えるでしょう。
このままNATOがロシアの得意分野で対抗しようとするのは、非常に分の悪い勝負としか言いようがありません。
NATOとウクライナがやるべきなのは、ロシアの脆弱な兵站線を叩き続け、前線に届く砲弾の量を少しでも減らすことであって、何年先になるか分からない中距離の砲弾の生産計画を考えている場合ではないと思うのですが。
確かにロシアには砲弾の原料があるが、生産量自体はそんなに急に増えてないのでは?
(実際、砲撃数は減少しているみたいだしね。)
元々、短期で終わる予定だったのだが、思わぬ長期戦で攻め手のロシア自身も対応が後手に回っている感じがする。
これがアメリカなら、原料があれば1年以内にガンガン生産量増やせそうだけど、やはりロシアはソ連からの官僚体制で動きが遅いのかな?
アメリカの工業力はグローバル化により衰退し続けていて長年民主党の地盤だったかつての工業地帯が共和党支持に回った結果誕生したのがトランプ前大統領です。
たとえアメリカが強権的に戦時体制に移行したとしてもそんなに急に生産量を増やすことは出来ません。
対してロシアは冷戦崩壊以降防衛産業の赤字を国庫から補填するという政策を続けていたためこの分野の工業力を維持しており、開戦前にもその生産力は引き上げられています。
生産量がそんなに増えていないのでは?と言われましても現実として砲撃数はロシアの方がはるかに上です。
砲弾工場は、ロシアが最新式工場で、アメリカは、日本やドイツとの戦争のために作った第二次大戦の工場をまだ使っている。
最新式工場は、今は半導体とか必要なために工場つくるだけで5か月かかる。作業員の身元調査や教育考えたら一年間はかかるらしい。
スペインが砲弾工場増設して、元々余り気味だった従業員に働かせて砲弾生産数増やしたが、5か月かかりましたからね。
Web4.0やらの掛け声の裏で、欧州の基礎工業生産力がここまで低かったとは知らなんだ
低いというよりも、軽薄短小な電子化、情報化、IT化、グローバル化という名の工場の賃金の安い海外への移転に特化しすぎて、重厚長大な工業生産力が
「低くなった」
つまり衰退した、というわけで、アメリカのラスト・ベルト
「錆びた地帯」
というのもそういう理由で生じたわけです。
しかし、第54旅団の重傷を負ったというウクライナの負傷兵は、部隊がこの負傷兵を後送するのを拒否して、陣地に置き去り、放置して移動した、あるいは退却した、士気が下がるのは当たり前、と訴えているわけで、前に走っている救急車が少ない、と言っていたのはまさにこういうような理由、事情からではないでしょうか?全く悲痛な叫び、訴えです。
本来ならスマホで自撮りなどしている場合ではないのでしょうが、このまま息絶える前に現実を知らせたいと最後の力を振り絞って、動画を投稿したのでしょうか?
市街戦の自撮り動画のようなのも、全く昔プレイした
「メダル・オブ・オナー」
だとか、
「メタルギアソリッド」
みたいなFPSのゲームのようにしか見えませんが、とにかくウクライナ軍がバフムト市街の中心部に追い詰められているのはよく実感できます。
>前に走っている救急車が少ない
バフムトの様子を映した報道ではM113などの装甲車両が車体に赤十字をペイントした上で市街の戦闘区域をひっきりなしに往復していました。ただ現地のウクライナ兵によるとロシアは赤十字の車両でもお構いなしに攻撃してくるとのこと。
報道の映像でも負傷兵を載せたと思われるデザートカラーのM113装甲救急車(おそらく車体色から米軍供与)がスピードを上げて走行していましたが十字路など見晴らしのよいところでは激しい銃撃を受けていました。
ロシア軍が赤十字を狙うのは何時もの事。
また最近負傷したワグネル兵が自決する動画が出てる。
攻撃側ですらこれだから半包囲の守勢側のウ軍の救急医療体制なんか完全に崩壊してるだろう。
見捨てるというより助けてやることが不可能なんだと思う。
それをすると全員死ぬ。
そもそも基礎工業力が貧弱だからこその一発逆転のグリーンディーゼルだぞ
マスコミはアホだからまんまとEUのプロパガンダに乗せられて海外ageしてるがな
もしEVでアメリカ、中国、日本、韓国勢にヨーロッパが遅れを取れば、今度はEVを叩き始めるのは目に見えてる
某所でイワニフスキー近辺と00506道路に海外で訓練をした精鋭が投入されたという話は聞いたけれど、動きを見ると増援がロシアを押し戻しているのは確かなようで
これで補給が少しでも楽になれば市内の状況も少しは楽になるだろうか
やっぱ精鋭とかしてるよなバフムートで
春攻勢に響くやろ
もともとイワニフスキー周辺は戦車装甲車等の重装備が充実しててウクライナが優位な場所。
逆に言えばここに戦力を集中させすぎたため北部を抜かれてしまったんだけど。
俺の生え際戦線は膠着状態
なお増援は来ない模様
耐える事が重要。
きちんと皮膚科を受診するのも大事です。
>欧州には火薬の原材料を生産する企業がない
これは現有の砲弾を使い尽くすと終了のつもりだったという事でしょうか。
しかも、その在庫量も短期間しか持たない量とは・・・。
大規模な戦争が発生しないという前提でなければ成立しませんね。
ハイテク兵器だけでは敵を降伏に持ち込めない事が判明しましたから、見直しが必須です。
ウクライナ軍もせめてロシア軍の半分程度砲撃できていれば、ここまでバフムートで押し込まれていなかったはずです。
ハイマースもジャベリンもハイテクかと言うと中位。
F16にしたって過去の傑作機なだけで、ロシアがローテクなだけで、西側が持つコモディティ兵器をロシアが持ってないだけだと。
西側がハイテク兵器を出し渋っている結果が現状かと。
そんな虚しい精神勝利しても総力戦をやったら数の揃えられない理屈倒れの西側兵器じゃ生産性に勝る東側兵器に勝てないって現実的に証明されちゃったのが今回の戦争では
事実を書き連ねただけで、特に新しいことは何も言っていない。
F35を支援している訳でもなく、特にハイテクでもないけどatacmsも供与してない。
(atacmsについてはXYZさんが過去に言及してますね)
ただアメリカもそこまで支援する義理はないということだと思うが
事実としてハイテク兵器を含めた全力支援をしていない。
WW2だとフライング・タイガースとかあるから、仮にロシアが核大国でなければ、そういう支援も考えられたのかもしれませんね。
中国企業に依存しているという話もあります
2022.12.5「中国頼みの弾薬生産、ドイツ軍の弾薬備蓄量が数時間~数日分まで急減」(航空万能論GF)
大規模な戦争が起こらないと考えていたと同時に、こうも深刻な東西のイデオロギー対立が深刻化するとは思ってなかったんでしょうね
西側兵器の中国依存をみるとグローバリズムの終わりをひしひしと感じます
warmapperで数日ぶりにロシア軍進軍見られましたが、ウクライナ側が中心部に戦力集中させているのか、ガチで防衛戦突破されているのか判別不可。どうする家康では信玄がプーチンに重なって見えました。もっとも信玄は電撃戦で駿府制圧、かたやプーチンはキエフ攻略失敗ですが。静岡分割密約はww2のポーランド分割密約と似ています。戦国時代は寒冷だったとはいえ、当時でも静岡は雪は珍しいでしょう。
国も企業もババを摑まされたくない一心で支援体制作りが遅れる一方ですね。
やはりEUやNATOのような指導力に欠ける集合体は危機に弱いということでしょうか。
遅れる云々の前に支援体制の構築自体時間がかかるというべきか。あとはウクライナという中途な所だったからか。そんなことを言っても仕方ないからやれることやるしか無いでしょうね。
軍用火薬についてちょっとだけ調べてみたのですが、榴弾に限って言えばニトロセルロースが必要なのは発射薬だけみたいですね(間違っていたら申し訳ない)。例えば米軍のM107/155ミリ榴弾規格だと弾頭に充填する炸薬はコンポジションB(自衛隊でいうB3号爆薬)が使われていて、これはRDXとTNTをワックスで可塑化させたコンポジション爆薬です。
火砲に用いられる事が多いトリプルベース火薬の発射薬の場合はニトロセルロースの成分比率は2割程度なので、ほんとうに一部の原料が局所的に足りなくてネックになっているという感じなんでしょうね。他の発射薬、例えば小銃弾に使われるシングルベース火薬もニトロセルロースが主成分なので、兵器製造業界内で割当なおしたり他業種から融通してもらうなどすればそこまで深刻な問題にはならないのでは。まして製造プラントの新設なんて話が出ているので、そのあたりの手配はプラントの稼働までに誤魔化せるんじゃないかなぁ。逆にRDXやTNTは無機化合物を有機溶剤や酸でプラント処理して作らねばならないので、これが不足し始めたら今度こそ終わりだと思います。
もうレーザー兵器に移行したら?と思ってしまいますね。
単なる思いつきですが。。。
>>逆にRDXやTNTは無機化合物を有機溶剤や酸でプラント処理して作らねばならないので、これが不足し始めたら今度こそ終わりだと思います。
元の記事はファイナンシャルタイムズですが、有料記事なので、その内容を引用した
リンク
によれば、プラスチック爆弾もTNTも不足しているそうです。
米国、インド、韓国の企業と供給について交渉中ともありました。
ウクライナの春の大攻勢までに間に合うかは??
ロシア側も弾薬の種類によっては供給不足に悩まされており、
特に152mm砲弾はイランが大規模に製造していないので、中国または北朝鮮に供給を依頼する必要があるとのこと。
リンク
北朝鮮はともかくも中国が今のロシアに兵器を供給するメリットはあまりないような気がするのですが。
T0504に増援の装甲車両が到着したと各所で写真が挙げられていましたが、やはり予備戦力を投入して南に向かって反撃が行われたようですね。
この反撃はT0504の補給線を再開させる目的だったのでしょうが、結局砲兵陣地のあるクリシェイフカ南西の高台をどうにかしないと多少前線を押しこんだだけではどうにもなりません。
バフムートはワグネル潰す為の罠では?
西側の危険だ撤退しろ云々は引き込むための三味線でしょ
バクムト後方のチャシブ・ヤールも攻撃されてる状態で罠はあり得ないと思われる
バクムトが陥落するとウクライナの敗色濃厚と悟られ西側の支援が萎むことを恐怖して撤退できないのだろう