ロシア軍は3日連続で穀物輸出の重要拠点に対するミサイル攻撃を実施、20日の迎撃率は47%(38発中18発を撃墜)と低調なものに終わったが、イグナト報道官は「迎撃できないKh-22とK-300Pを差し引けば悪くない結果だ」と述べている。
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この結果は首都と地方都市の格差=パトリオットシステムやSAMP/Tの有無に起因している可能性が高い
ロシア軍は3日連続で穀物輸出の重要拠点=オデーサに対するミサイル攻撃(Shahed-136を含む)を実施、ウクライナ空軍は「20日未明にロシア軍がShahed-136×19機、Kalibr×3発、Kh-22×4発、K-300P×7発、イスカンデルK×5発=計38発を発射し、我が軍の防空部隊がShahed-136×13機、Kalibr×2発、イスカンデルK×3発=計18発を撃ち落とした」と発表した。
ロシア軍によるウクライナへのミサイル攻撃(無人機を含む) | ||
2022.09 | Shahed-136×26機(24機) 各種ミサイル×5発(4発) | 09月の総発射数×31 09月の総撃墜数×28 |
2022.10 | Shahed-136×244機(236機) 各種ミサイル×230発(149発) | 10月の総発射数×474 10月の総撃墜数×385 |
2022.11 | Shahed-136×63機(62機) 各種ミサイル×184発(134発) | 11月の総発射数×247 11月の総撃墜数×196 |
2022.12 | Shahed-136×99機(94機) 各種ミサイル×261発(186発) | 12月の総発射数×360 12月の総撃墜数×280 |
2023.01 | Shahed-136×108機(108機) 各種ミサイル×96発(75発) | 01月の総発射数×204 01月の総撃墜数×183 |
2023.02 | Shahed-136×45機(40機) 各種ミサイル×142発(79発) | 02月の総発射数×187 02月の総撃墜数×119 |
2023.03 | Shahed-136×89機(71機) 各種ミサイル×79発(38発) | 03月の総発射数×168 03月の総撃墜数×109 |
2023.04 | Shahed-136×71機(60機) 各種ミサイル×23発(21発) | 04月の総発射数×94 04月の総撃墜数×81 |
2023.05 | Shahed-136×408機(369機) 各種ミサイル×185発(154発) | 05月の総発射数×593 05月の総撃墜数×523 |
2023.06 | Shahed-136×214機(169機) 各種ミサイル×194発(132発) | 06月の総発射数×408 06月の総撃墜数×314 |
2023.07 | ||
02 | Shahed-136×8(8)、Kalibr×3(3) | 発射数×11 撃墜数×11 |
03 | Shahed-136×17(13)、スームィの建造物にShahed-136が着弾 | 発射数×17 撃墜数×13 |
04 | イスカンデルKがハルキウ州のペルボマイスキーに着弾して31人が負傷 | 発射数×1 撃墜数×1 |
06 | Kalibr×10(7)、ウクライナ西部のリヴィウに巡航ミサイルが着弾して41人が死傷した | 発射数×10 撃墜数×7 |
07 | Shahed-136×18(12)、ドニプロペトロウシク州にShahed-136の残骸が落下して2人が死亡 | 発射数×18 撃墜数×12 |
08 | Shahed-136×?(5)、ウクライナ空軍は発射されたShahed-136の総数を明かしておらず、一部のShahed-136を迎撃出来なかったと述べている。 | 発射数×ー 撃墜数×5 |
10 | 空軍の公式発表はないが、ムィコラーイウ当局は10日午前1時頃にイスカンデルMで攻撃を受けたと発表 | 発射数×1 撃墜数×0 |
11 | Shahed-136×28(26)、キーウ州で撃墜したShahed-136の残骸が落下してビル1棟と民家12棟が損傷、オデーサ州の港湾施設に撃ち漏らした2機のShahed-136が着弾した。 | 発射数×28 撃墜数×26 |
12 | Shahed-136×15(11) | 発射数×15 撃墜数×11 |
13 | Shahed-136×20(20)、Kalibr×2(2)、イスカンデルM×1(0) | 発射数×23 撃墜数×22 |
14 | Shahed-136×17(16)、ドニプロペトロウシク州にShahed-136が着弾 | 発射数×17 撃墜数×16 |
15 | Shahed-136×6(4) | 発射数×6 撃墜数×4 |
16 | 空軍の公式発表はないが、ハルキウ当局は16日夜に4発のS-300で攻撃を受けたと発表 | 発射数×4 撃墜数×0 |
18 | Shahed-136×36(31)、Kalibr×6(6) | 発射数×42 撃墜数×37 |
19 | Shahed-136×32(23)、Kalibr×16(13)、Kh-22×8(0)、K-300P×6(0)、Kh-59×1(1) | 発射数×63 撃墜数×37 |
20 | Shahed-136×19(13)、Kalibr×3(2)、Kh-22×4(0)、K-300P×7(0)、イスカンデルK×5(3) | 発射数×38 撃墜数×18 |
ロシア軍の総発射数:3,065発、ウクライナ軍の総迎撃数:2,443発 |
この日の結果は迎撃率47%に終わり、オデーサやムィコラーイウで無視できない被害をもたらしているものの、イグナト報道官は「もっと多くの無人機やミサイルを撃ち落としたかったが、高高度から急角度で目標に突入するKh-22は弾道弾迎撃に対応した防空システムでしか対処できず、水上艦を破壊するため設計されたバスチオン(K-300PのことでP-800の地上発射バージョン)は10m~15mの低空を超音速で飛行するため、これを我々が撃墜するのはほぼ不可能だ。それを差し引けば迎撃結果は悪くない」と述べている。
確かにKh-22とK-300Pを差し引いた迎撃率は66%なので47%と比べればマシだが、1月から6月までの平均迎撃率=77%(1月89%、2月63%、3月64%、4月86%、5月88%、6月76%)と比較すると10ポイント以上も低く、この結果は首都と地方都市の格差=パトリオットシステムやSAMP/Tの有無に起因している可能性が高い。
パトリオットシステムやSAMP/Tが配備されている(可能性が高い)首都に攻撃が集中すると迎撃率が上昇し、地方に攻撃が集中すると迎撃率が低下する傾向が強く、ゼレンスキー大統領も「パトリオットとSAMP/Tの追加供給があればオデーサを保護することができる」と訴えているが、今のところ追加供給に関する動きはなく、RTX(旧レイセオン)のヘイズ最高経営責任者が「パトリオットシステムの年間生産量を12基まで引き上げ、2024年末までに5基のパトリオットシステムをウクライナに引き渡す予定だ」と明かしだけだ。
ヘイズ最高経営責任者が言及したパトリオットシステムは米国もウクライナも言及しておらず、そもそも「国務省の承認」と「議会への通知」が行われないままウクライナがRTXにパトリオットシステムを発注するのは不可能で、米国もウクライナ安全保障支援イニシアチブの資金でパトリオットシステムを発注していないため「2024年末までに5基のパトリオットシステムをウクライナに引き渡す」という話は非常に怪しいものがある。
因みにロシアの穀物協定破棄を受けて国連や米国は「代替手段によるウクライナ産小麦の輸出」を模索しているが、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどが自国を通過するウクライナ産小麦の輸送をブロックしており、特にポーランドは「もしEUが農家の利益を保護しないなら独自にやる」と強行に主張しているため「代替手段による輸出」は暗礁に乗り上げている。
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※アイキャッチ画像の出典:Boevaya mashina/CC BY-SA 4.0
キーウのパトリオットをオデーサに回した方がよくね?
輸出港をやられる方がダメージが大きいだろ
これはウクライナ中央と地方でミサイル迎撃格差を生じさせて
地方が中央に対するヘイト、分断を起こさせるのが狙い?
防御力が高い象徴の攻撃拘っている位なら攻撃が通りやすい所でダメージ与える方が健全な気がするけどな。ISWがロシアはキーウに拘りすぎて他を見ていないとか分析していた気がするし。
自国兵器で防御が厚いキーウにダメージ与えるのも必要かもしれないが優先順位はもっと低くても問題無いと思うし、キーウを被害担当にして地方の攻撃を吸収する目的も有ったと思うからヘイトが向くかは疑問。
前までなら防御は高いけど明確な攻撃対象でも有った訳だしリスク考えるとうらやましく思う人って居たのかな。国土が攻撃対象になっている以上は特別な理由が無い限り防御が弱い所に居るのは自己責任でヘイトも糞もないと思う。
昨日の高橋杉雄さんは、クリミア大橋に攻撃を加えた無人ドローン艇の出発拠点としてのオデーサを狙ったと予想してた
WW2中の日本も風船爆弾の発射拠点と目された都市を徹底的に空爆されたことあるからさもあらんって感じだけど、現代の軍隊ならもっと正確に港湾施設狙えよと思わなくもない(ミサイル攻撃で中国領事館が少し損傷したらしい)
ウクライナの穀物に依存している国の中にはロシアのシンパもある
穀物輸出拠点を攻撃するのはロシアにとって政治的マイナスになる
破れかぶれの攻撃に近いような・・・
アゾフ捕虜の釈放やクリミア橋の破壊で弱腰見せたら右派の怒りの矛先がプーチンに向かうので外政より内政をとった感じ。
ロシアの小麦輸出は開戦後3割以上増えてるって報道も先日有りましたしウクライナのシェアをごっそり頂くつもりなんじゃないですか
むしろ関係深いイラン、アルジェリア、ワグネルがかなり介入したしたスーダンとかに対して普通に輸出している。タス通信の話だと輸出先はロシア友好国が9割近くを占めるらしいから価格面と供給量が十分の場合だとケアは出来ている事になり破れかぶれでもない事にはなる。
共同通信を引用した産経新聞のネット記事では。
消失した6万トンの小麦は、中共向けだったとのこと。
ロシアはアフリカだけでなく、中共も敵に回すのかな。
それとも、その辺りを調べずにミサイルを打ち込んだのかな。
穀物に色が付いてる訳でないので「消失した6万トンは中共向け」というのは額面通りに受け取るのはどうかと思います
焼けたサイロに誰の穀物が保管されていたのか、それはどういう取引の穀物だったか、という問題なので、「穀物に色が付いている訳ではない」とは言えないです。
輸出しなければ中国との関係性が悪化するのはウクライナですよ、まさか額面通りに受け取るほど中国は間抜けではあるまい、そういう口実でロシアと仲良くしてる俺たちに圧力掛けるの?としか取りようが無いです。
流石にこの状況下で輸出出来ないのはウクライナの責任とは中国も思っていないでしょう。
最近のウクライナからの輸出量の四分の一は中国向けであり、一国としては最大の輸出先です。
中国がどのような反応を見せるのか、興味深いところです。
色が着いてるのは、ウクライナから穀物を買ってるロシアの友好国に赴任してるロシア大使の顔。
真っ青になっちゃう。
あれはウクライナ側が言っているだけなのでブラフの可能性が高いです。またその話が真実だとしてもロシアは中国に向かうはずだった分を補填すれば良いと考えているのではないでしょうか。
やりたい放題だな…何なんだこの国。
黒海で無制限潜水艦作戦までやるって脅しかけてるし、自分から仕掛けて負けそうな戦争とは言え醜すぎる。
今回の件は西側諸国が合意したはずのロシア側の要望を叶えずにいた事が原因なので、『協定内容の履行有無』についてだけ言えば非があるのは西側諸国にあるというロシアの主張は間違ってはいません。
>穀物合意とは
2022年7月、国連とトルコの仲介で、「黒海イニシアティブ(通称・穀物合意)」が成立した。合意は主に2つ
の協定からなっている。
1つはウクライナの黒海沿岸の港から穀物を輸出するもの。もう1つはロシア産食料、肥料への輸出制限の解除に向けた国連との合意となっている。
協定は人道的性格を持っており、食糧不足に悩む最貧国への穀物・肥料の供給を目指していた。
だが、 実際は主に先進国やより豊かな発展途上国に供給された。また、ロシア側の協定に関しては、西側諸国による各種制限が障害となり完全には履行されない状況が続いていた。
ま、欧米諸国とウクライナが人道よりもロシアへの制裁を優先するならば、ロシア側も合意を守る必然性などないということですよね。
その後の報道も見るにつけ、お互いがありとあらゆるものを「武器」にしているなぁと無情な気分になります。
本当に戦争というのは碌でもないものです。
輸出されたウクライナ産の食料の殆どは裕福な国に回り最貧国には殆ど届いていないというのは事実。
でもロシアが欧米ばかりあげつらうのはどうなんでしょう。
統計だと輸出されたウクライナ産食料の行き先の38%がEU諸国で24%が中国だそうです。
つまり単独の国としては中国が一番買っている。
それなのに中国はスルーなわけですから、やはり人道云々は欧米の悪口を言うための方便に見えてしまいますね。
>それなのに中国はスルーなわけですから、
それはね,中国は協定の当事者でも仲介者でもないからからですよ
長文を書き連ねる前にそれくらいは解してほしいです
今のロシアは的確にウクライナのウィークポイントを狙った攻撃をしている
対してウクライナは目に見える成果が出せるロシアのストロングポイントを攻撃している
外部支援は無限では無い
コスパの悪いウクライナの戦い方でどうやって勝利に至れるのか…ウクライナの将来性を導く終戦戦略に必要なコストであって欲しいですね…
ウクライナの港湾施設を作りなおす方が、迎撃に使うパトリオットの値段より安そうですからね・・・
米軍としては「パトリオットは無料じゃないんだ、コストも少しは考えろ」と言いたくもなるでしょうね。
軍港ならともかく穀物の積卸港を攻撃ですからね
本当にどうしようもない
この施設はカーギルが2015年から51%出資して建設した設備の一部では?
それはどのような意図の指摘でしょうか、ちょっとわからないです
ん…?それはどういうことでしょうか?
アメリカの穀物メジャーが出資した施設だからアメリカに攻撃したのと同じってコト?!と言いたいのかな
となるとクリミア大橋攻撃したドローンの母港はどこなんですかね?
その後穀物倉庫から戦車が出てきたのであった
オデーサが潰されたらウクライナは国としては八方塞がりで100%支援頼みで国家運営をしていくしかない
国境を囲む国から穀物輸出への協力にNOを突きつけられた時点でロシアは「不足分はうちが補填しますよ」と持ちかければウクライナの経済を破壊しても大した批判は出ないと判断したんでしょうね
あとはトルコがロシアとの敵対を覚悟で黒海を完全封鎖するかにかかってるかと
@管理人さん
細かい事ですが、ロシアは穀物協定を延長しなかっただけなので、破棄したわけではないです。
これに正面から立ち向かうには西側の対空兵器の生産能力を増大させるしかないが非効率。
やはり生産拠点を直接叩きたい。パルチザンの拡充、地方のロシア人を雇う、自由ロシア軍の越境攻撃時に特殊部隊を潜入させる等絡め手を使って実現できないだろうか。工場ごと破壊できなくとも、工作機械にダメージを与えれば生産遅延を起こせるだろうし、保管されているミサイルを直接破壊するでも良い。
色が着いてるのは、ウクライナから穀物を買ってるロシアの友好国に赴任してるロシア大使の顔。
真っ青になっちゃう。