ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は7日「文字通り何もかもが不足している現実をアウディーイウカで目の当たりにした」と報告、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも「アウディーイウカ北東郊外に侵入したロシア軍が線路を越えた」と報告した。
参考:In Avdiivka
参考:ZELENSKYY IS AGAINST ZALUZHNYI: CONSEQUENCES
ウクライナ軍司令部が準備された予備戦力を投入すると決断させすれば敵を払うことは可能
ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏が設立した「Цензор.нет(Censor.NET)」は非常に人気が高く、情報の信頼度についてもInstitute of Mass Informationのモニタリング(ジャーナリズムの基本的な基準に違反した記事の割合)で88%という結果が示されており、高い信頼性が担保されたウクライナのオンラインメディアの1つと言える。
このCensor.NETで編集長を務めるブトゥソフ氏は自ら戦場に出向いて取材(ソレダルでもギリギリまで市内に留まり続けていた)を行っており、アウディーイウカ方面についても相当早くから問題を指摘していた。
昨年10月に「街を守る第110機械化旅団は配備されてから1年半の間にローテーションが1度も行われていない」「長い戦いに疲れ果てた兵士を休ませるため戦力の補充と強化が必要だ」と、11月には「時間は十分過ぎるほどあったのに後退した線路の西側に準備された第2防衛ラインが存在しない」「恐らく軍の中にアウディーイウカ包囲を予見したものは1人もいなかったのだろう」「適切な陣地の欠如はセベロドネツク、リシチャンシク、バフムートでも問題になっていた」と指摘。
今年1月には「敵がアウディーイウカ郊外に足場を築いた」「ゼレンスキー大統領は持ち堪えろと命じるのではなく本物の援軍派遣を命じなければならない」「現在の戦力では奇跡は起こらなし敵には防衛ラインを突破するチャンスがある」「ゼレンスキー大統領は訪問したアウディーイウカで増援を約束したももの必要最低限の増援させ提供されていない」「今直ぐ必要なのは突破口を塞いで戦力密度を高めるための増援派遣だ」「これが実行されず市内に定着されるとバフムートの二の舞いだ」と指摘。
今月3日には「増援を送り込む敵と我々の間に大きな戦力差が生じている」「敵は常に人的損失を補充して定期的なローテーションも実施している」「ウクライナ軍は予備戦力が不足しているため兵士に休息を与えることが出来ない」と指摘、5日には「危機的な状況のアウディーイウカに入った」と報告して「この状況について今夜詳しく書くつもりだ」と述べていたが、7日に公開した記事の中でブトゥソフ氏は以下のように述べている。
“我が軍の兵士が守る民家をロシア軍の突撃部隊が襲撃し、最後まで降伏することなく戦い続け家が完全に燃え尽きる映像を見た。別の映像で負傷した我が軍の兵士が捕虜になっている様子も見た。この捕虜は修理中隊の1人だと仲間が話していた。捕虜になった修理中隊の兵士は敵の尋問に対して『小銃を持てる者は全員アウディーイウカを守るのに必要だと言われた』『通りまでの道路を守れと命じられ殆どが戦死した』と述べた”
“私は兵士らがアウディーイウカを守るために如何に必死で戦っているか、どのような状況で戦っているのか、文字通り何もかもが不足している現実を目の当たりにした。兵士らは国が提供してくれない武器や物資を購入してほしいとボランティアに懇願している。国はアウディーイウカを防衛するのに必要な十分な資金も準備された物資もないため、ここで戦う英雄達は不足分を自身の血で支払っている”
“ウクライナ保安庁の関係者は健康に支障がなく、十分な食事にありつけ、国から支給された良い車を乗り回し、国から支給された金でキーウのホテルに3日間も宿泊し、女性ジャーナリストの部屋にビデオカメラを設置したことを知った。このような違法行為のための資金があるのに、アウディーイウカ防衛のための資金を見つけられないという者は恥知らずのクズだ。修理中隊の高齢者が塹壕で死闘を強いられている中で、こういった者はウクライナの裏切り者だと想う”
ブトゥソフ氏はドンバス(恐らくアウディーイウカ)で行ったストリーミング配信の中でも以下のように述べている
“前線の状況は本当に厳しい。我が軍はどの方向にも戦略的な防衛線を構築できていない。コンクリート製の構造物もなければ計画的に掘られた塹壕もない。最低でも無人機の偵察から身を隠せて、120mm迫撃砲や122mm榴弾砲の攻撃から兵士を守れるような強化された塹壕がない。だから敵はどの方向でも素早く陣地を崩して前進してくるのだ”
“誰も戦略的な防衛線を掘っていない。戦略的な決定もない。資源の配分もない。もちろん前線への補充や動員もない。ウクライナ軍の最高指揮官であるゼレンスキー大統領は憲法と動員法の下で責任を負っているにも関わらず何もやっていない。消耗した兵士が補充されないのに部隊がどうやって機能するのか?アウディーイウカを守る第110機械化旅団の指揮官達は有能だが、必要な補充が与えられていないため敵は数の上で何倍も優勢だ。だからアウディーイウカで敵は前進できるのだ”
アウディーイウカから撤退すべきかという質問についても以下にように回答している。
“アウディーイウカはドンパスにおける戦略的な交通要衝で防衛の拠点だ。ここを敵に明け渡すということは得策ではない。もしアウディーイウカを失えば地形的に不利な戦場で戦うハメになるしかなく、ポクロウシク、ミルノフラド、クラホヴェが最前線の街になるだろう。つまりアウディーイウカを失うということは戦闘に有利な地形まで後退することを強いられ、その過程で多くの土地を失うという意味だ”
“だからこそザルニジーを始めとする軍上層部は「アウディーイウカ防衛に手を尽くす必要がある」と考えているのだろう。我々にとっても敵にとってもアウディーイウカはバフムートより遥かに重要で、まだウクライナはアウディーイウカを守り切る可能性が残っている。ウクライナ軍司令部が準備された予備戦力を投入すると決断させすれば敵を払うことは可能だ。全ては司令部の戦略的決断にかかっている”
因みにウクライナ人が運営するDEEP STATEは6日「軍当局者の発表にも関わらず街の状況は悪化の一途を辿っている。敵が前進した場所もあれば我が軍が攻撃を撃退した場所もある。より正確な状況は今後明らかになるだろう」と述べていたが、7日に更新した戦況マップの中で「北東郊外に侵入したロシア軍が線路を越えた」と報告している。
このままコークス工場とアウディーイウカ市内の間を貫通されるとT-0542へのアクセスが遮断され、市内で戦うウクライナ軍部隊は厳しいことになるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
悲惨と言う他ない。
キエフ政権の無能な方策で死ななくてもいい人間がまた大勢死んでいるのだ。
アウディーイウカの悲惨な有様を知りながら、総司令官を解任させる余裕があるんだから必勝の策でもあるんでしょう。
ゼレンスキ―はザルジニーの解任をアウディーイウカ陥落まで待っているというウワサがあります。
敗北の責任を全てザルジニーに負わせて辞めさせるつもりだと。
もしそうだとしても、それで国民を納得させられるとは到底思えませんがね。
>キエフ政権の無能な方策で死ななくてもいい人間がまた大勢死んでいるのだ。
コメディアン俳優を大統領に選び、その無能な命令で動員兵が補充も受けられず死んでいく。
この世でこれほど笑えないジョークがあるだろうか。死守命令を下す死神を自分達で大統領に選んだのだから。
ウクライナは憲法に、『死守命令を出す大統領には、軍の総司令官あるいは最高裁判所長官が拒否権を行使可能』、『戒厳令を繰り返して選挙を行わない大統領は罷免される』とでも、書いておくべきだったか。
この人はこんなに発言して大丈夫なんですかね?
ブダノフが何かやりそうな気がするんですが
今戦争中だけ見ても強引な街頭動員への批判や防衛ライン構築の必要性、大統領と総司令官の関係悪化など、世論に影響を及ぼして政府が動かざるをえなくなるまで発信が続いた不都合な意見は無数にあるので特別視する程ではないかと。
仮に何か起きたとしても世間の関心を惹いた後かつ問題の本質的な解決にはならないので誰かが続けるでしょう。
前線で兵士が血を流している間、安全な後方では遊びながら盗撮遊びをやっていたわけですか。
ゼレンスキー大統領の発言と実体は異なり、停戦はウクライナの方がメリットはあったというのが、結果論かもしれませんね(個人的な意見です)。
アウディーイウカの状況を見れば(1年半以上戦い続けている)、そもそも南部攻勢に出られるような、戦力の余裕がなかったいう結論になる気もします。
>ウクライナ保安庁の関係者は健康に支障がなく、十分な食事にありつけ、国から支給された良い車を乗り回し、国から支給された金でキーウのホテルに3日間も宿泊し、女性ジャーナリストの部屋にビデオカメラを設置したことを知った。
万が一、マジもんのスパイだった場合はお遊びとは言えないから難しいところ
防諜対策は、たしかに重要ですね。
管理人様の過去記事ですが、寺島朝海さんだけなく取材制限を厳しくしている話は出ていますね。
(2023年12月19日 ウクライナメディアもドニエプル川左岸の作戦を批判、作戦状況は絶望的 航空万能論)
もう線路を越えられてしまった以上、市内にいるウクライナ軍への補給路と撤退路は事実上切断されたも同然ですし、ロシア軍が制圧している範囲的にO-0542線にも容易に攻撃が届くでしょうから、仮にようやっとキエフ首脳部が撤退を許可したとしてもあらゆる攻撃が降り注ぐ道を膨大な犠牲を出しながら突破を図るか、街の西側に広がる泥濘と化した農道や荒れ地、農場をこれまた砲火に晒されながら逃げるしかないでしょうね
それに予備選力といいますが、ギリギリまで撤退も増援も行わず中高年を徴兵して最前線に送るような惨状なのに果たしてまともな予備選力が残っているのか、もし仮にあったとして今更投入してどれだけ役に立つのかというのが…
結局南部反攻然りバフムート然り今回のアウディーイウカ然り、素人が政治案件にこだわりまくった結果自分たちが志向する戦争継続という目標に必要な兵力を無駄に磨り潰しているという
アウディイウカ解囲のために南部反攻の部隊回したくらいですし、そこから何の進展もないところを見ると正直ロシア軍を抑えるための予備はないんでしょうね。
ローテーションも出来てない、弾薬もないというのは確定していますし、後方に防衛線をという話もどこまで進んでいるかかなり怪しいのでここを失えばドネツク全体の勢力図が変わるのは間違いないと思いますね。
いつの時代もそうだけど追撃を上手くいなせないと戦力を更に削られるから難しい…
誰が殿を務めるのか…
“アウディーイウカはドンパスにおける戦略的な交通要衝で防衛の拠点”というのは既に過去形のような。
現状の戦場支配域では、単なる突出点に堕してしまいました。
その責任はもちろん戦っている兵士のものではありませんが。
まるで絞め技みたいだぁ……
予備兵力足りねぇって話もあったし本当に兵力が枯渇し始めてるんだろうなぁ……
要塞線の建設に残ったリソース全ツッパしているのか?
あのフォーブスすらウクライナにネガティブな報道し始めてるから末期が眼の前に迫りつつあるように感じる
エイブラムスが配備されるとしたらここか?まぁ無いよりマシ以上にはなれないだろうけども…
整備工場もなく、燃料も砲弾も不足している中で、余計な兵站の手間にしかならないデカブツ戦車など、無い方がずっとましかと。前線に配備してもロシアに鹵獲される危険が高まるだけ。
後出し知恵の極みのような発言になるけど、
こんな状況になるなら無理をしてでも攻勢に出るべきではなかったな。
まさかロシアにまだこれだけの底力があるとは想像出来なかったわ…
あの頃が懐かしいですねぇ…
レオパルト2とブラッドレー配備されたし楽勝!なムードが西側世界に漂っていて私含めてスロヴィキンラインを散々馬鹿にしていた記憶が…
スロヴィキンラインは第一防衛線が突破されたらあとはスカスカでアゾフ海まで打通は余裕! ロシア軍は予備役使い果たして戦線維持が不可能! なんてよく聞きましたねえ…。 かくいう私も去年の11月頃は、メリトポリは不可能としてもトクマクの奪還はできるだろうと甘く見積もっていましたけどね。
アウディーイウカの部隊もゆくゆくは白旗をあげるような状況になるのでしょうか?
このままウクライナがずるずると負ければ、西側にとっては余計な防衛負担が増えそうですよね
ひいては日本にも何らかの影響はあるのかもしれません
ウクライナにはやるべきことをやってほしい
日本式の玉砕戦術が21世紀に復活
まさに、仰る通りなんですよね。
死守命令、火砲で削られ続ける、ベテランを消耗(死傷・捕虜)、見捨てて降伏、士気が下がる、徴兵逃れが増える。
この悪循環だなあと。
いつかクリンキとここならこっちだって言ったけどやっぱりチェンジで
要塞線作らせてもらいます
アウディーイウカは大量の備蓄があるのですぐには落ちない。むしろここから瓦礫の山の中で地獄の市街戦が始まる、生きて出られるロシア兵はいない!
アウディーイウカを攻めるロシア軍は大量の備蓄があるのですぐには戦力は落ちない。むしろここから瓦礫の山の中で地獄の追撃戦が始まる、生きて出られるウクライナ兵はいない!
ちょっと文言変えてみましたがこちらが正しいと思います。
ゼレンスキー大統領が約束したという増援すら来てないというのには心底驚きました
おそらく五月雨式に増援はあったのでしょうけど、損耗をカバーできるような規模の増援ではなかったのではないかと思います
それにしても、人員を回しているというゼレンスキーラインは一体どこにあるんでしょう?
ウクライナはどういう戦略で防衛をしようとしているのかがさっぱりです
防衛態勢で消耗戦を挑むのなら、アウディーイカで兵員を損耗する前に早期撤退を決断するか、大規模に増援を入れて強固な守りを有効活用すべきだったのでは?
一応、第47独立機械化旅団を始めとする独立大統領旅団などの各旅団が増援として
到着してますよ、戦車部隊は郊外に展開してましたがロシア軍に押されて敗走、
のこりも徐々に押されてて今の状況に至ります。
撤退の判断をするにしろ反撃に出て再度の前線の安定化を試みるにしても、今後48時間から24時間が補給線の運命を決定する瞬間となるだろう。ここで更にロシア軍が前進に成功し補給路を遮断すればアウディーウカのウ軍の運命は完全に決する。
現地の天気予報は今後数日間から1週間は気温が高くなる予報であり、0℃近くの雨模様。
泥濘に足を取られながら地雷と不発弾だらけの野原を突き進む撤退戦は悲惨なものとなるだろう。
俺がウクライナの政府高官なら支援金着服して国外に逃げるだろう
俺がウクライナの一般市民なら前線に送られ特に戦果という戦果をあげることもなく寒さの中で死ぬだろうな
M1戦車が投入されたようですが、よりによってこんな所に投入しても戦果
なんか上がらないと思いますがね、ヤケクソ感が半端ないです。
政府も軍も人が足りないって随分前から言ってましたものね。
政府は国民に人気無い徴兵やりたくなくて軍の責任でやってもらいたくて色々言って、軍はそんな権限無いから政府が責任持ってやれと責任の押し付け合いしてたましたけど。
まあ、人だけでなくて武器も弾薬も足りないんですけど!
正直このままだと支援での武器や弾薬届いても、使う人がいないとかになりそうな気がするんですよね。
市街戦になると、兵力の大きい方がどうしても有利ですね。
遮蔽物がたくさんあるわけですから。そこに隠れれば良いわけでしょう。
防衛側は怪しい建物を全て壊すような直射火力が必要と思います。それも大量に。
何せ、敵のいる建物が多すぎるでしょうから。建物ごと破壊してしまわないと、ですね。
適当なものがあれば良いのですが。多分、120mm直射迫砲しか持ち合わせが無いのでは。
少し開けた場所なら、戦車砲で代用でしょうが。
以前に、アウディーイウカ郊外に陣地を構築中とありました。
撤退計画はできているのでしょうから、極力自軍の損耗を少なくしつつそちらへ撤退では。
怪しい建物を破壊しながら進むのは攻略側だと思いますよ・・・
防衛側のウクライナ側が兵力は少ないでしょう。
ですから、全ての建物のコントロールはできないでしょう。
拠点となった、あるいは怪しい建物は、発見次第に破壊では。
先日のバフムト攻防戦の様子の記事を見てみると、
攻撃側のロシア側は砲撃で、交代するウクライナ側は
建物に爆薬で爆破する形でそれに対処をしていたように見えます。
建物を破壊しなければならないのは、攻防の両側で行われていると想像します。