ウクライナ戦況

ウクライナ軍の砲弾発射量は1日2,000発未満、ロシア軍と比較して1/3以下

ウクライナのウメロフ国防相はEU関係者に宛てた書簡の中で「砲弾不足によってロシア軍の火力投射量はウクライナ軍の3倍に達している」「火力投射量で相手を上回った方が戦いに勝利する」と警告し、2024年3月末までに砲弾100万発を供給する約束の履行を要請した。

参考:Ukraine Tells Allies Troops Are Outgunned Three-to-One by Russia
参考:Russia plans to acquire about 4.5 million shells, Ukrainian army fire three times less – allies

ロシアを確実に上回るには「世界中で生産される155mm砲弾」をウクライナに供給するしかない

レズニコフ国防相(昨年9月に交代)はEU加盟国に宛てた書簡の中で「ウクライナ軍の砲兵部隊は砲弾消費に制限がなければ月56.4万発を発射可能」「前線で必要とされる火力投射量は最低でも月36.6万発」「砲弾不足のせいで砲兵部隊は発射可能な20%分しか火力を提供出来ていない」「この数字はロシア軍が使用する量の1/4」と訴え、EUに月25万発の砲弾供給を要求したことがある。

出典:Сухопутні війська ЗС України

月56.4万発は保有する砲兵装備(榴弾砲、自走砲など)のキャパシティ、この20%分しか火力を提供出来ていないということは「月11.28万発を発射している」ということになり、レズニコフ国防相は「月平均で11万発の155mm砲弾をウクライナ軍は消耗している」とも明かしたことがあるため、月56.4万発や月11.28万発という数字は155mm砲弾を指している可能性が高い。

つまり「ロシア軍は月平均45万発もの152mm砲弾を発射している」「これに対してウクライナ軍は月平均11万発の155mm砲弾しか発射できない」「火力投射量の格差は1対4だ」という意味で、この訴えを受けたEUは昨年3月「砲弾100万発を2024年3月末までに納入する」と約束したが、ドイツのピストリウス国防相は昨年11月「期限までにウクライナへの砲弾供給は100万発に達しない」「個人的に100万発供給を保証したことはない」「早い段階で納期を守るのが難しいと聞かされていた」と発言。

出典:U.S. Army photo by Sgt. Victor Everhart, Jr.

EU域内の砲弾生産能力は2024年春までに年100万発、2024年末までに年130万発~140万発に到達する見込みで、数字だけ見ると「砲弾100万発の納入」は達成可能なように見えるが、EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏は「期日までの砲弾供給は達成できないだろう」「企業が生産量の40%を世界中に輸出している」と述べて砲弾製造企業を批判、これに対して業界団体は「増産準備の期間が短すぎる」「どの企業も域内顧客の在庫補充に追われている」と反論。

欧州防衛産業協会は「欧州諸国が砲弾調達を削減したため製造能力は縮小した」「これをウクライナのニーズに合わせるには政治家が考えているより多くの時間が必要」「業界は原材料費の高騰、労働者不足、リスクの高い設備投資、不安定な受注環境など不利な投資環境下でも可能な限り増産措置を講じている」「投資削減の中で最小限の製造能力を維持するのに域外向け生産は不可欠だった」「この契約を一方的にキャンセルするのは信頼を損なう行為で到底許されない」「当初からEUの約束は挑戦的なものに見えた」と主張した。

出典:Thierry Breton

要するに「砲弾100万発を2024年3月末までに納入する」という見積もりは「ウクライナ向け需要に対応した増産時間」を反映しておらず、この状況でEUの約束を履行するには「加盟国が備蓄埋戻しのために購入した砲弾」と「受注済みの海外向け砲弾」の両方をウクライナに回す必要があり、ブルトン欧州委員は「まだ期限内の100万発納品は達成できる」と主張していたものの、EUは31日「期限までに砲弾納品が約束の半分程度になる」と認めて「2024年末までに約60万発の追加供給を行う」と決定。

ここからが今回の本題なのだが、ウメロフ国防相はEU関係者に宛てた書簡の中で「ウクライナ軍は約1,500kmに及ぶ前線において1日2,000発以上の砲弾を発射できない」「これはロシア軍が発射する砲弾の1/3以下だ」「火力投射量で相手を上回った方が戦いに勝利する」と警告し、2024年3月末までに砲弾100万発を供給する約束の履行を要請した。

出典:Рустем Умєров ウメロフ国防相

エストニアのペヴクル国防相も「ロシアは自国生産分と北朝鮮分(約100万発)を合わせて152mm砲弾を450万発を確保する見込みだ」「ウクライナ軍保有の榴弾砲と照準システムはロシア製よりも洗練されている」「そのため同レベルの効果を得るのにロシアほど多くの砲弾を必要としない」「それでも質は量の不足分を完全にカバーすることはできないだろう」「現在の問題はウクライナに何を送って何を与えるかだ」と述べたが、ロシアが450万発を何時までに入手するのかは明かしていない。

米国の生産能力は2024年春までに月5.7万発=年68.4万発、2025会計年度までに月10万発=年120万発、EUの生産能力2024年末までに年130万発~140万発、2025年には200万発に到達する見込みだが、エストニアの試算が正しいなら「ロシアの生産能力は年350万発」ということになり、2025年に生産される砲弾を全てウクライナに引き渡しも「ロシアを上回るのは難しい」という意味だ。

出典:Mil.ru/CC BY 4.0

勿論、約250万発も砲弾があれば「格差が是正されて質で量の不足分をカバーできるライン」に到達するかもしれないが、そもそも全生産分をウクライナに引き渡すという設定自体に無理があり、ロシアの砲弾生産量も2025年までに増加する可能性が高いため、ロシアを確実に上回るには「世界中で生産される155mm砲弾」をウクライナに供給するしかないのだろう。

追記:この話は工業生産力でロシアが欧米を上回っているのではなく、資金、資源、労働力、労働条件といった要素を軍需生産に集中させてきたロシアを「民需を犠牲しない平時の枠組みで超えるのは難しい」という意味で、もし同様の戦時体制に移行すれば軍需生産でロシアを上回るのは確実だが、これが出来ないのは「やる気」の問題ではなく「経済を犠牲にするところまで踏み込めば政権が持たない」ためだ。

関連記事:欧州委員長、この異常な時代に年100万発の砲弾生産量では足りない
関連記事:欧州の砲弾生産能力、2024年春までに年100万発、年末まで年130万発に到達
関連記事:米国の155mm砲弾増産、2025会計年度までに月10万発を達成する
関連記事:ロシア軍の火力投射量はウクライナ軍の4倍、レズニコフ国防相はEUに月25万発の砲弾を要求

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

ゼレンスキー大統領、軍や米英の圧力を受けてザルジニー解任を覆した前のページ

ウクライナ侵攻708日目、ロシア軍がリマン方面やドネツク西郊外方面で前進次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ、ゼレンスキー大統領が降伏宣言を行う偽動画をロシアが準備中

    ウクライナ国防省傘下の諜報部門は3日、国民に「ゼレンスキー大統領が降伏…

  2. ウクライナ戦況

    バフムートの戦い、再びウクライナ軍がクリシェイフカの高台を掌握か

    ロシア側情報源は「ウクライナ軍がクリシェイフカに隣接する高台を掌握した…

  3. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領、後退した方が有利だがセベロドネツク奪還は高くつく

    ゼレンスキー大統領は6日、一進一退の攻防が続くセベロドネツクについて「…

  4. ウクライナ戦況

    バフムート周辺でウクライナ軍が限定的な反撃、市街戦はロシア軍が前進

    ウクライナ軍のチェレバティ報道官は19日「敵はバフムート中心部の奪取に…

  5. ウクライナ戦況

    ロシア軍がハルキウ州からの大規模撤退を開始、ボルチャンスクも放棄

    ロシア軍がハルキウ州の占領地から大規模な撤退=戦線縮小を開始しており、…

コメント

    • 無名
    • 2024年 2月 01日

    発想の転換が必要だ。ロシア国内の砲弾製造工場を叩けばよい。そちらのほうが遥かに低コストだ。
    ロシアの報復は有るかもしれないがプーチンに核を使う度胸は無いだろう。

    11
      • 歴史と貧困
      • 2024年 2月 01日

      >発想の転換が必要だ。ロシア国内の砲弾製造工場を叩けばよい。
      世界最大の面積を持つロシアの、あちこちに点在している砲弾製造工場を叩くための、超遠距離攻撃の砲弾やミサイルが足りません。
      ⇒ 工場への発注を急げ!

      という本末転倒になるだけかと。兵器工廠全てにアイアンドームやパトリオット級の防空能力はないでしょうが、ロシア領内への攻撃には対応されるでしょうし、発射ルートが特定されれば、反撃で発射点が潰されます。かといって、簡単に移動できる攻撃システムでは遠いロシアへ届きません。(紅海へ撃てればいいフーシ派などとは違います)

      イスラエルのような国土が狭く、兵器を製造する資源を自国内で調達するのが厳しい国を相手には多少は取り得る選択肢かもしれませんが、アメリカ・ロシア・中国・インドなどの領土大国相手には攻撃側のコストのほうが遥かにかかってしまい余計に人的資源と費用がかかるだけかと。低コストどころか割に合わないだけで、ロシア人の怒りも買うと、良いことが何もありません。【なぜその発想をやってしまった】という部類の転換になる可能性が高すぎます。

      37
        • ページ
        • 2024年 2月 01日

        実際に、ロシア国内の製油所や変電所を無人機などで空爆してる
        また、兵器輸送中の鉄道をシベリア近辺で爆破したこともある
        直接、間接的に武器生産をエネルギー面から抑制する戦略に見える

        6
          • もも
          • 2024年 2月 01日

          それだけやっても火力で負けてんだよ

          当然ロシアもウクライナ国内の倉庫を叩く砲弾の絶対数を増やすしか解決策はない

          29
      •  
      • 2024年 2月 01日

      >>発想の転換が必要だ。ロシア国内の砲弾製造工場を叩けばよい。そちらのほうが遥かに低コストだ。

      ロシアですら数千発のミサイルや無人機を使ってきていまだにウクライナの軍需産業やインフラを完全に破壊することなどできなかったのに何故ウクライナがやれば低コストで可能だと思えるのか?

      31
    • 名無し
    • 2024年 2月 01日

    CO2増えるからと工業どころか牛や豚減らそうとしてるくらいだからなあ

    22
      • たむごん
      • 2024年 2月 01日

      庶民の生活を貧しくしてまで、何をやりたいのでしょうかね…。

      環境原理主義者に従っていては、戦車や戦闘機などは燃費が悪いですから、安全保障もボロボロになりそうです。

      25
    • kame
    • 2024年 2月 01日

     「経済を犠牲にするところまで踏み込めば政権が持たない」 結局はこれに尽きますね。支援をしている国の政府と国民がどこまで自国経済に痛みを受けてでもウクライナ支援に踏み込めるのか?これはある意味で、支援国への踏み絵となっている。
     ウクライナにとっても、支援国がどこまで動いてくれるかはその国の民意次第なのでもどかしい限りでしょうが、こればかりは手の打ちようがないので助けを求め続けるしかない。

    26
      • 歴史と貧困
      • 2024年 2月 01日

      助けを求め続けるしかない状況下で、西側からの物資搬入の玄関口となっているポーランドと穀物問題で対立し、WTOへ提訴したのは大失敗でしたね。2023年の9月の頃から、東欧の国々の対応も徐々に冷たいものに変わり始め、スロバキアの新政権は否定的。今も輸送業者の軋轢は続いており、解決の糸口は見えない状況。

      NATOの盟主であるアメリカが「我々が軍の大半を担っているのだから、金くらいお前らももっと出せ」と言うのと、「我々ウクライナが盾として戦っているのだから、支援するのは当然だ、早く出せ」と加盟国ではないウクライナが言うのでは、似たような言葉でも受け取られ方は違うでしょうし。

      20
      • 琥珀
      • 2024年 2月 01日

      侵攻から始まったのももう今年で三年目に突入する訳ですけど、最初の半年ぐらいは支援してる各国の国民も理解して我慢はしてくれても、一年以上も続くと不満やら政権へ行きますしね。
      自国民へ負担を強いて他国を優先してる政権……国民からしたら支持する理由無いでしょうし。

      西側の支援国何かは国内の政策の失敗もあって支持率どんどん下がってるし、そこで経済を犠牲にしてまで支援とやれば選挙で大敗するでしょうね。
      アメリカとか今年選挙あるから絶対やれないでしょうし。

      10
    • 58式素人
    • 2024年 2月 01日

    砲弾生産については、時間稼ぎが必要なのでしょう。
    前にも書いたことがあるけれど、NATOは兵器保管庫の底を叩く必要があるのでは。
    155mm口径以外のもの、榴弾砲以外のものについてもあるものは出すべきでは。
    擲弾筒、迫砲、ロケット砲、戦車砲、無反動砲、etc。
    素人が不思議に思っているのが、106mm無反動砲M40が出てこないこと。
    砲も砲丸も予備はたくさんあると思うのだけど。
    足りなければ、海軍砲も出してはどうかと思ったり。
    嫌われているらしいM114榴弾砲(155mmL24)の砲身を海軍現用の54口径長
    127mmカノン砲に換装してはどうかと思ったり。射程が23.5kmになります。
    装填補助装置もつければ、毎分25発を撃てたりしますし。
    こういったことは、むしろ、ロシアの方が熱心に行っている印象があります。

    4
      • 名無し
      • 2024年 2月 01日

      砲弾については、台湾向けを出来る限り多く残しておいてください。。。
      あの国、中国の上陸作戦に対するカウンター攻撃の生命線が榴弾砲攻撃なのよ。なので、ウクライナに砲弾送れば送るほど、台湾で負ける可能性が高まる。
      なので、「最後の最後の予備」は、我が国目線でいうと、ウクライナにではなく、台湾に送ってください。

      24
        • kitty
        • 2024年 2月 01日

        下の方に資料貼りましたが、既に台湾の兵器調達はかなりワリを食らっているそうです。
        米国から買う予定だったものがウクライナに流れて、予定がエラいことに。

        19
        • 58式素人
        • 2024年 2月 02日

        台湾有事の見通しがそろそろ欲しいものです。
        素人の意見では、米国に見捨てられない限りは
        (=海上補給線が確保される限りは)持ち堪えると思いますが。
        まずは着上陸に持ち込まれないことでしょうか。
        台湾海峡内ですべきことは結構ありそうな気がします。

        1
    • D-day
    • 2024年 2月 01日

    逆に言うと有効なものの在庫が既にない、或いは高くて調達できないのです。
    本来なら車輌、トラックを削るジャベリンや対空のスティンガーが花形だったのを覚えていますか?因みにジャベリンは一発25万ドルくらいします。
    それが尽きMARSになり今は榴弾(カエサルみたいな)ものが主体になっている。
    使えそうなものはジャカスカ送りアメリカ軍が制式採用していないGLSBDまで送るありさまです。
    補給のメドや運用があまりにもひどいものはウクライナにとり迷惑ですし、あくまでも上から目線の援助です。

    6
    • Easy
    • 2024年 2月 01日

    日本もトヨタとニッサンとホンダの自動車工場を全部砲弾生産に転用すれば、その金属加工や板金加工の設備で155ミリ砲弾など年間2000万発くらい軽く作れる能力がありますが。
    で、そんなことやって莫大な犠牲を払って、一体何になるの?という基本的な問題がクリア出来ないわけですね。
    やればできるけど、やる理由がない。それがこの戦争の全てなんですね。冷たい表現をすれば,ウクライナにそれほどの価値が無いんです。

    55
      • たむごん
      • 2024年 2月 01日

      まさに仰る通りです。

      日本が、外貨を獲得したり対価を得られない(喜捨)ですから、国がドンドン貧乏になっていきます。
      砲弾製造に、高度な技術は必要ないですから、部品製造・加工の各Tierで働く人達も、まとめてリストラされますね。

      逆説的になりますが。北朝鮮ほど砲弾製造に最適な国はないですし、外貨・物資を獲得する機会を得て、国力を爆増させています。
      北朝鮮の軍事支援、Youtubeなどで馬鹿にされていましたが、非常に浅はかで危険な考え方と思います。

      39
        • Easy
        • 2024年 2月 01日

        >北朝鮮ほど砲弾製造に最適な国はない
        まさにそうなんですよね。
        まさかの偶然が積み重なり、なんと先軍政治が正しかったことが瞬間風速的に証明されてしまったんですよ。
        砲弾ぐらいしか生産できるもののない国が、その砲弾が突然大ヒット商品となってもはや砲弾バブルとでも言うべき大ブームになっているわけです。砲弾で石油も買えれば食糧も買える、痩せた土地に必要な肥料も買えるし、ロケット技術も衛星技術も買えるんです。
        歴史というのはつくづく不思議なものだと思いますね。一時的な現象とはいえ、まさか北朝鮮のあんな政策が正解になる世界線がこの世にあるとは・・・

        35
          • 朴秀
          • 2024年 2月 01日

          先軍政治で経済が発展しなかった→人件費が非常に安い
          経済制裁で新しいものが作れなくなった→旧式兵器の軍需工場を残さざるを得ない

          まさかこうなるとは思いませんよね

          14
        • kame
        • 2024年 2月 01日

         中央アジアの三カ国(ロシア・中国・北朝鮮)の中で役割分担が出来ているのがミソですね。ロシアは軍事的に行動を起こし、中国は軍事的な威圧と経済面で動き、北朝鮮は砲弾とミサイルの製造に極端に生産能力を振ることで外資を手に入れる。生活や軍事に必要な物資に関しては、概ね三カ国の中で供給網が完成してしまう(中国経由でのすり抜け貿易も加味した場合)事も考えれば、今回のロシアへの北朝鮮製砲弾供給も今後の三カ国の結びつきを強くするための布石とも言えるでしょう。
         米中政府間の会合が複数のレベルで行われていますが、中国側はロシアとの強い結びつきを声高にし続けていますし、バイデン・トランプどちらの候補者が大統領の座に就いたとしても両国の関係性がすぐに壊れるとは考えにくく、アジアでの軍事・経済両面での緊張感は更に高まっていくことでしょう。

        12
          • たむごん
          • 2024年 2月 01日

          仰る通りで、教科書通りの『貿易の比較優位』が、3か国で綺麗に成立してしまいました。

          日本は、中露北の三ヵ国と国境を接しており、外交関係が悪化しているという非常に厳しい状況に感じています。

          日本外交は、貧乏くじを引かないように、上手にやっていって欲しいものです。

          8
      •  
      • 2024年 2月 01日

      ドイツ連邦議会議員の人が動画でしゃべってましたけど、ドネツク・ルハンシク地域の欧州最大のリチウム鉱がどうしても欲しいとか
      でまあ現状煽り続けている感じかと

      4
      • T.T
      • 2024年 2月 01日

       あまり無茶を言わないで欲しいな。生産設備には転用出来る物と出来ない物があるのです。
      例えば砲弾製造となると、大まかには鋳型で弾体を鋳造して切削加工、爆薬の充填って流れですね。
      これだと自動車の組み立てラインはここでは全く役に立ちません。高度に自動化されたラインは他に流用しにくいしね・・・。プレス加工設備も小銃生産とかならともかく砲弾には使えない。使えるのは下請け工場の汎用旋盤やマシニングセンタの類い。結局の所鋳造工程と爆薬充填設備がネックになり、これは一から揃えるしか無い。
       戦前製鉄事情でも、コストの為に平炉中心だったから戦時体制に入ったところで高炉が次々生えてくる訳でも無く、鉄鉱石が有っても生産量を伸ばすことが出来なかった。まして今では空洞化で製造業はGDPの2割まで落ち込んでいて、動員出来る設備自体も少ない。元の規模が無ければ転用の仕様がないのだが、実際国内で作れる部品や材料がどんどん少なくなって結局中国頼みになって困ってます。
       EUの砲弾製造能力の話も、単にリソース割当の問題なら戦時体制に入れば問題無いのですが、そもそも生産設備が維持されていなくて増産の為に投資する必要があった以上、いくらGDPや工業生産力全体でロシアを上回っていても、現時点で特定の品目の生産能力がロシア以下である事に変わりは無いのです。そして生産ラインの立ち上げには年単位の時間がかかりますので、戦時体制に入れば上回れるかというと正直疑問ですね。

      28
    • jk
    • 2024年 2月 01日

    北朝鮮分の約100万発が結構大きいな、現状でEUの生産量を上回ってるわけだし。
    粗悪砲弾が混ざってるという報道も結構あるから品質は確実劣るんだろうけど、それでも髪の毛と一緒で、無いのとあるのでは戦い方に影響があるわけで。

    その点、皆様は髪の毛が無い前提で作戦を立てられるから楽ですね(^^)

    19
      • 無名
      • 2024年 2月 01日

      EUの目標の生産量が100万でしたものね。
      実際EUが用意出来たのが30万で、それも韓国一国だけで用意出来たりしましたけど。

      まあ、粗悪だろうが当たれば人は死ぬので…
      それに生産続ければその辺は自ずと改良されるのでは?

      8
        • nimo
        • 2024年 2月 01日

        古くていらない砲弾から渡しているから品質が悪いと思う

      • 名無し
      • 2024年 2月 01日

      届かない砲弾<<<<<<<<<越えられない壁<<<<<<品質が悪くても手元にあって使える砲弾
      これは差別ではない差異だ

      24
        • kame
        • 2024年 2月 01日

         でも、北朝鮮製のミサイルはウクライナの都市まで届いたわけですし、供給された砲弾の幾らかが不良品でも届かない砲弾よりは役割は全うできているような気がします。

        13
    • 樺太
    • 2024年 2月 01日

    自衛隊から間もなく退役する203mm自走榴弾砲と203mm砲弾を米国経由で台湾陸軍ないしギリシャ陸軍へ送り、玉突きでウクライナへ送ることを検討してもいいのではなかろうか

    弾薬の大増産が決まっている以上、弾薬庫の新設のみならず用途廃止になり203mm砲弾の弾薬庫スペースを早急に空ける必要がある

    日本政府の英断を期待したい

    5
      • 歴史と貧困
      • 2024年 2月 01日

      「砲弾の輸送費のために、消費税15%に上げます」と増税メガネ殿が発言した際に、国民が『さすが岸田首相! 英断だ!』と褒めたたえるのか、『自民党の裏金で賄えや! 糞が!』となるのか。

      まあ、上のは極端な話としての例に過ぎませんが、日本国民の大半は今更ウクライナなどに何の興味もありません。遅きに失しているうえに、『大阪万博の亜種』として叩かれるだけではないかと。

      政府としては、石川県の震災被災地へ自衛隊所有の移動型の簡易トイレの増産を国内企業に要請して送ります、のほうが国民からの支持も遥かに得られて、有意義な金の使い方となるのではないでしょうか。(震災への備蓄という名目でも可)

      29
      • Rex
      • 2024年 2月 01日

      そんな事して意味あるの?
      ウクライナ自体が劣勢な今 日本だけがわざわざロシアからヘイトを買う理由が無い

      ロシア寄りでも無いがウクライナ寄りでもない。EUが要請してくるならまだしもわざわざ頭突っ込むのはやめた方がいいと思う

      46
      • kitty
      • 2024年 2月 01日

      ウクライナの状況を踏まえた弾薬調達基盤の複線化について 菅野 隆

      という論文がSSRIから出ています。

      >かつて、アーミテージ(Richard Lee Armitage)米国防長官が、国防次官補の当時「自衛隊の弾薬備蓄は、三日から一週間しか持たない」(質問主意書 質問第20号昭和60(1985)年1月22日より)と発言したと言われており、冷戦時代の我が国防衛力整備における継戦能力の欠如の状況が垣間見える。

      とか出典はこれだったのかとか感心したものもあれば、自衛隊の保有弾数を炸薬の重量で割って類推しているとか、あまりにもな不明瞭さに愕然としました。
      引用も公的資料がほとんど無く、「のりものニュース」が真面目に記載されていたのには脱力w。
      著者に文句を言っているわけではなく、我が国には、本当にまともな公開資料が無いんだなと言う感想です。

      22
      • Easy
      • 2024年 2月 01日

      かなり前から廃用が決まってる装備ですから、弾薬なんてもうここ何年も調達していないはずですよ。現状で在庫数は100発もないんじゃないでしょうか。。。 我が国には、203ミリの弾より先に買わなければならない装備のリストが山のようにありますよ。

      24
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 2月 01日

    数字自体は盛っているんでしょうが、火力投射量で負けているのは事実なのでしょうね
    とにかく砲弾をくれという話はわかるのですが、米英(と最近の独)以外は記事内での指摘のように自国の経済や政権安定を脅かすほどの戦時体制には及び腰なのでなかなか話が進まないまま2年経ってしまいました
    それでも2025年には年間100万発体制が実現できそうな見通しなので、この紛争が更に長引けば状況は改善しそうにも思えます
    それまでウクライナの兵員・軍組織が保つのかはわかりませんけど

    7
      • Easy
      • 2024年 2月 01日

      >2025年には年間100万発体制が実現できそう
      問題は、対エジプトの第x次中東戦争やレバノン侵攻を控えているイスラエルが大量の砲弾と装備を各国に要求しているので、そっちにかなりの装備が割り当てられるのが確定していることと。当のアメリカ自体が対イランの緊張が高まっていてその準備をしなければならず。さらにはNATO諸国のバルト3国が自国防衛のために大量の備蓄を開始しており。
      増産分がすんなりウクライナに渡るとはとても思えない状況が続きますね。

      17
        • たむごん
        • 2024年 2月 01日

        仰る通りですね。
        ウクライナ戦争から3年目ですが、圧倒的なトップトピックではなくなったように感じています。

        各国、自国の安全保障が第一ですから、ほんの2.3年で世界情勢の変化を大きく感じますね。

        7
    • ポンポコ
    • 2024年 2月 01日

    ウメロフは、ウクライナ軍は1日2000発で、ロシア軍の1/3と言っている。そうすると、ロシア軍は1日6000発ということになります。

    レズニコフは、ウクライナ軍は月に11万発で、ロシア軍は月に45万発で、ウクライナ軍はロシア軍の1/4だと言う。1日にするとウクライナ軍は4000発弱で、ロシア軍は15000発になる。

    ウクライナ側からの発言であるが、もし、差が1/3や1/4なら、今までとそう変わらないのではないか。そして、今ではその砲爆撃の数の劣性を、ウクライナ軍は潤沢な兵士の数の優勢で補ってきた。

    だから、もし、ウクライナ軍の今の状況がかなり深刻なのであれば、砲爆撃の差がもっと大きいのか、強引な動員力に陰がさしているのか、または、その両方だと思う。

    ちなみに、久しぶりの1月30日の小泉氏と兵藤氏が出たプライムニュースで、ウクライナ軍は1日2000発でロシア軍は1日20000発で、10倍だと説明されていた。

    15
    • たむごん
    • 2024年 2月 01日

    ウクライナは、世界中から砲弾を掻き集めたとしても、ロジスティクスの問題がつきまといます。

    地中海=ポスポラス海峡=黒海=オデッサの海運ルートが、ほぼ使えないからです。
    ポーランドなど西部隣国からの陸運に頼るのであれば、港での積み替え・貨車への積み替え・トラックへの積み替えなど、滞貨が発生しやすくなります。

    リードタイムが長いですから、前線に砲弾が届きにくいという状況は、増産・生産できたとしても即解決とならないのが難しい所ですね。
    最低でも2.3か月のズレを見るのが、無難と思います。

    13
    • 名無し
    • 2024年 2月 01日

    rdx火薬の主要原料はメタノールとアンモニア。メタンとアンモニアの主原料は天然ガスのメタン。
    ロシアは天然ガスの大生産国。アンモニアの生産は中国が一位で2位がロシア。輸出はトリニダード・トバゴが1位でロシアが2位。
    ヨーロッパはロシアの安いパイプラインの天然ガスとアンモニアに依存していたから肥料に使うアンモニアの高騰に悲鳴をあげているし。
    火薬が高騰している。 生産余力もどの程度あるか怪しい。
    世界は想像以上に基礎的原料をロシアに依存していた。ロシアは単純に原油やガスを輸出している国とは違うんだよな。

    35
      • たむごん
      • 2024年 2月 01日

      まさに仰る通りです。
      ロシア製の安い天然ガスなどに、ヨーロッパの化学産業も依存してきました。

      ドイツの化学産業は、BASFなど有名ですが、インフレにより赤字転落でボロボロになっています。
      BASF 2023年7〜9月期決算(第3四半期決算)、ご参考までに共有します。

      売上高157億ユーロ (前年同期 219億ユーロ)
      営業利益6億ユーロ (前年同期 13億ユーロ)
      純損失2億49百万ユーロ (前年同期9億9百万ユーロの純利益)

      (20231102_BASF、2023年第3四半期の業績を発表_JP.pdf)

      8
    • Natto
    • 2024年 2月 01日

    弾はともかく砲身の供給が足りないからロシアがジリ貧って話はどうなったんだろ?
    砲身の供給はウクライナも足りないとは思うけど。

    4
      • たむごん
      • 2024年 2月 01日

      牽引砲の砲身が、1万門以上あり、大量に使い回しているようですね。
      月60万発・2000発で損耗と仮定して、月300・年間3600の砲身が損耗しますので余力はあるかと(個人的な推測と意見です)。

      ロシア軍は、弾薬の投射量を確保できていますから、砲身の精度が多少下がってきても(散布界が広がっても)問題ないと考えています。

      8
      • NHG
      • 2024年 2月 01日

      北朝鮮から砲弾とともに相当量の供給をうけたらしい
      韓国が去年提供した砲弾量は欧州の1年分を上回ったようだけど、今年も砲弾提供するのかとか砲身などの支援もするのかの続報が気になる

      4
      • クル
      • 2024年 2月 01日

      開戦初期に話題になった「ロシアはネジを作れない」って話と同じでサプライチェーンに頼っていたから作ってないだけで当たり前ですけど作れないわけではないんですよね
      平時のままだと砲身の供給に問題があるでそのまま破綻まで無策で突き進む阿呆はいませんよ
      相手を低く見た楽観主義に過ぎません

      23
    • lang
    • 2024年 2月 01日

    まあ確かに火力投射で負けてるってのはそうなんでしょう

    でもちょっと待ってほしい 戦争の期間中をロシアがほぼ攻撃側でウクライナが守備なんだからずっとロシアが不利でウクライナが有利なポジにいるはず 原因は本当に砲弾投射量の差だけなのでしょうか

    ウクライナの戦術を詳細までしってるってわけでもないですが、とにかく戦い方が悪すぎるように感じてる

    装備をよこさない西側が悪いという責任転嫁では?

    3
    • 黒丸
    • 2024年 2月 01日

    22年12月5日のこのブログの記事、中国頼みの弾薬生産、ドイツ軍の弾薬備蓄量が数時間~数日分まで急減

    2つ目の致命的な問題は弾薬の生産量を増やそうとしても欧州の弾薬製造企業の殆どは「リンターコットン」の供給を中国のサプライヤーに依存しているため「中国がリンターコットンの供給量を増やさない限り増産は不可能」という点だ。
    COVID‑19の影響でリンターコットン輸入に慢性的な遅れ(COVID‑19前は約3ヶ月前後→現在は6ヶ月~9ヶ月)が発生、弾薬製造企業が発射薬を手に入れるためのリードタイムは現在14ヶ月に達しており、DieWelt紙は「中国資本に買収された火薬企業は半年ほど前から欧米企業に発射薬を供給しなくなった」と報じている。

    1年経過しましたが、発射薬の原料確保の問題は解決しているのでしょうか?
    いっそウクライナの農家に小麦ではなく綿花を生産してもらった方がポーランドとの問題解決にもなり
    一石二鳥になるのではと思いますが。

    4
      • 古銭
      • 2024年 2月 01日

      ウクライナ南部における綿花栽培適性は30年以上前から(主に旧東側サプライチェーンの断絶が起こる度に)唱えられ続けてきた黄金郷伝説なので夢を追ってみるのもいいかもしれませんね。

      7
    • 暇な人
    • 2024年 2月 01日

    やはり砲兵は戦場の神なんでしょうね。
    三倍の差があるってことは少な目にみても三倍は死んでるでしょうし
    えげつない死傷者でてそうですねえ

    5
    • うし
    • 2024年 2月 02日

    1/3という数字。
    ウクライナが西側の誘導砲弾を使っているなら、目標の座標を入力して初弾命中が可能だが、ロシア側は、着弾点を確認して修正しながら砲撃すると発射数は3倍になるわな。

      • den
      • 2024年 2月 02日

      その誘導砲弾もGPSジャミングで使えなくなって久しいですね

      ウクライナは西側兵器がGPSに依存しすぎていたツケを今支払っている

      3
      • T.T
      • 2024年 2月 02日

      別にロシアだってクラスノポールD使ってもいいんだぞ

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
PAGE TOP