TIME誌は「反攻作戦の責任を問うため反攻作戦を担当した将官をクビにしなければならないとゼレンスキー大統領の側近が述べた」と報じたが、現地メディアは「ウメロフ国防相が反攻作戦を指揮したタルナフスキー准将の解任手続きを準備中だ」と報じている。
参考:В Минобороны подумывают над увольнением трех командующих – источники
本当にタルナフスキー准将が解任されるなら「反攻作戦失敗の責任を問われた」と映るだろう
TIME誌はゼレンスキー大統領の側近の話として「冬が来る前に遅々として進まない反攻作戦の説明責任を果たすため、最低でも大臣と反攻作戦を担当した将官を1人づつクビにする必要がある」と報じていたが、ウクライナメディアは「ウメロフ国防相がタブリア作戦軍司令官のタルナフスキー准将、統合軍司令官のセルヒイ・ナエフ中将、医療軍司令官のテティアナ・オスタシチェンコ少将の解任手続きを準備している」と報じている。

出典:President Of Ukraine 女性として初めて少将に昇進したテティアナ・オスタシチェンコ少将
統合軍司令官のセルヒイ・ナエフ中将は「ヘルソン州に関する防衛体制の不備=侵攻直後のチョンガル橋爆破の失敗や主要拠点の地雷を撤去していた問題など」の責任を問われており、医療軍司令官のテティアナ・オスタシチェンコ少将は「粗悪な医療機器を調達している問題」で安全保障委員会に召喚され、現場の医療関係者からも解任を求める声が上がっていたが、タブリア作戦軍司令官のタルナフスキー准将はウクライナ南部の反攻作戦を指揮していた主要人物の1人だ。
タルナフスキー准将は昨年秋のヘルソン反撃を指揮した人物で、現地メディアも「今のところ解任理由は不明だ」と報じているが、ロボーティネ解放直後にGuardian紙へ「ロシアは1年以上も準備した防衛ラインが突破されないと信じていたが、我々は数週間に渡る地道な地雷処理作業の末、ザポリージャ方面で敵の第1防衛ラインを決定的に突破した」と、CNNの取材に「秋の長雨は大地を泥濘ませるため戦車のような重装備の移動を困難にさせるかもしれないが、我々は少人数編成の歩兵部隊で前進しているため、天候の変化が反攻作戦に大きな影響を及ぼすとは考えていない」と述べていたことがある。

出典:47 ОМБр
当時、タルナフスキー准将が語った見通しは「ロボーティネ解放」に成功した直後だったため大きな注目を集めたものの、ロボーティネからトクマクへの前進はほぼ停止し、ベルベーヴへの前進も集落郊外から先に進めず、南ドネツク方面の状況も同様で、本当にタルナフスキー准将が解任されるなら「反攻作戦失敗の責任を問われた」と映るだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Об’єднаний пресцентр Сил оборони таврійського напрямку
司令官が次々と解任させられるのはウクライナ侵攻初期のロシア軍を彷彿とさせます。 あの時のロシア軍はまとまりに欠け、軍が弱体であると露呈させたようなものですが、その番がウクライナ軍にも回ってきたように見えます。
状況はさらに悪いのではと思っています。
戦争初期での司令官の解任ならば、ドクトリンなどの改善のためという言い訳も立ち、実際にその後ロシアの戦争行動は改善していった。また、戦争初期のロシア軍はマリウポリ、セベロドネツク、リシチャンスクと戦果が多かったので、その点で非難される心配もなかった。
しかし、20ヶ月が経過し、反転攻勢が失敗しバフムートを失って以来戦果に乏しい中での将官の解任は、「敗北の責任」という印象が強くなる。
WW1でフランス陸軍は、ペタン将軍に納まるまで担当を何度も変えています。
WW2で英国陸軍は、モントゴメリー将軍で同じことをしています。
両軍とも、その間、総司令官は変更していません。
当たり前のことをしているだけと思えます。
交代なんか当たり前のことなんだけどロシア軍の司令官が交代したときは異常事態だ内部崩壊だと大騒ぎしてたんだからさ
早めに”勝てる人”が見つかると良いなとは思います。
”勝てる人”は、表現悪いですが、年齢や学校の成績優秀者とは
必ずしも一致していない様ですから。
昔の日本軍はその意味で”最悪”であったと思っています。
替えられてしまった人は、今その位置に居るには不足、
なだけでしょうから、復活のチャンスはあるでしょうし、
適所で働いて貰えば良いのでは。
ソ連とかロシアでは悲惨なことになる様ですが。
ロシアの場合は侵攻作戦全体の司令官をすげ替え続けてたのが異常だった訳で
各戦線の指揮官が替えられるのは別に
勝った場合は昇進するし褒賞もあるんだから,負けた場合は交代する。当たり前だし,これができない組織は逆に怖い。
事態の改善のために将軍を変更するなら仰るとおりなのですが、「責任を取らせる」事を目的に将軍を変えるのであればその限りでは無いと思います
タルナフスキー准将らを交代する事で、戦略・戦術の大転換が出来るならよいのですが、後任となる将軍にその権限が与えられるかも不明ですし、大転換のビジョンも現状では不明瞭です
後任が誰であれ、何らかの明確なビジョンを持った方が就任しないと何も変化しないままになりかねません
むしろ旧日本軍は全然交代しなかったから敗北したとも言える
日中戦争から見ると、政治家の方が交代してたんじゃない?
WW2末期のドイツぽくなってきたな
無茶な進軍命令に死者命令
老人兵の国民突撃隊
次は「春の目覚め作戦」でしょうか
やはりハリコフ取ったあたりで
一撃講和しかなかった気がしますね
仰る通りですね、それにしても戦争を始めれば終わると難しいですね。
大日本帝国・ナチスドイツの論評も、国家間戦争が始まれば、停戦は難しいと変わってきそうですね。
ザルジニー総司令官が、寄稿やインタビューで示唆した内容は、重要な事だと思います。
政治(政権幹部)が、国力差や現状を認識できる能力があれば、批判覚悟でハリコフ周辺奪還後に講和を模索していたのでしょうね(if論になってしまいますが…)。
2027年頃まで、戦争が5年間続くと仮定して、国力がどこまでの持つのか疑問に感じます。
歩兵中心だから、南部攻勢は続けられるという、意見を見かけましたね。
自衛隊元将校が、ロシア軍の歩兵突撃・犠牲を批判しながら、ウクライナ軍の歩兵主体の反攻作戦を称賛しているのが意味不明でした(BSフジ・TBSなど大手メディアのYoutubeに残っています)。
ウクライナ軍は、ロシア軍の第1防衛線を突破したと言われていますが、突破幅が狭く・正面幅の拡大に失敗しています(今も逆襲のリスクは高い盤面でです)。
ロシア軍が、第2防衛線以降の守備に成功した理由が総括されておらず、同じことの繰り返しになるリスクがありますね。
少し疑問なのは、准将クラスの将校に、責任を押し付けている事です。
南部攻勢のプロパガンダは、あんなに煽られていたのに、将官の階級だけ見ればトカゲの尻尾切りに見えてしまうのが残念です…。
>CNNの取材に「秋の長雨は大地を泥濘ませるため戦車のような重装備の移動を困難にさせるかもしれないが、我々は少人数編成の歩兵部隊で前進しているため、天候の変化が反攻作戦に大きな影響を及ぼすとは考えていない」
>歩兵中心だから、南部攻勢は続けられるという、意見を見かけましたね。
>自衛隊元将校が、ロシア軍の歩兵突撃・犠牲を批判しながら、ウクライナ軍の歩兵主体の反攻作戦を称賛しているのが意味不明でした
まあ、意味は分かります。
ウクライナの人海戦術は緻密に計算された正義の戦術で、ロシアの人海戦術は非人道的で野蛮な戦術という事です。
はい、当然皮肉です。
民主主義の根幹は正確な情報なんですけどもね。
政府とマスコミが半ば阿吽の呼吸で有権者の判断を誘導するような情報を作為的に流している状況は、民主主義が集団自殺を図っているようなものです。
他国の戦争ですらこうなんですから、自国の戦争になったらどうなるかなんて想像もしたくないですよ。
今からでも9条絶対護憲派に転向しようかなと考え始めるくらいには
仰る通り、正確な情報は、本当に重要ですからね。
日本は、戦争当事国ですらないのですから。
日本の大手メディアが、過剰なプロパガンダを流して納税者の判断を歪めている事は、民主主義に対する背信だと考えています。
元自衛隊将校の一部が、(どういった理由か分からないですが)そこに乗っかっており、彼らが忌避するロシアや中国と似たような事をやっています。
ウクライナ軍が有利、ウクライナ軍が不利、そのまま情報を流して判断を委ねるべきです。
仰る通り、自国が戦争に巻き込まれた時に、期待しない方が無難でしょうね。
抑止力を高めて、未然に防ぐことが、自分達を守るために大事であると考えています。
元将校がバカみたいな発言を連発するのは
幹部の質を疑われるから本気で止めてほしいわ
自衛隊が雑魚だと思われると侵攻を招くぞ
仰る通りです。
なんであんなアホな発言を繰り返してるのか、さっぱり分からないんですよね。
元将校が、自著を売りたいのか・金のためか…抑止力の根幹を揺るがしてるわけですから酷いもんですよ。
例の人はTwitterみるに金とかプロパガンダとかではなく本気でそう思ってるように感じるんだよね。
無能は働き者は●すしかない、の典型例みたいな人ですね
どの組織にもいますが、本当に困ったものです。
自衛隊の自浄作用は、(軍隊組織のため)低そうですね。
航空支援なしで突破するのがもとから無茶な話なんですけどねえ
他二名はともかく、開戦直後にヘルソン州が大きく蚕食されたことに対する責任が本当にセルヒイ・ナエフ中将のものであれば、ようやくの解任かといった感想です。
一部与党議員グループがSBU職員の背信行為を取り上げヘルソン失陥の全責任を押し付けようとしていたのは、今戦争で何度か見かけた同組織への攻撃の中で最も見るに堪えないものだったので。
航空優勢なし、火力戦を機動戦で代替しようとする・・・
こんな定番の失敗例のような条件が揃っているのに本気で反攻が成功すると思っていたのが驚きです。失敗するのは承知の上で決行したのかとすら思っていました。
まあでも考えてみればこんな不利な条件でやる戦いなんて他に選択肢がない、かつ手元に継戦可能な戦力が残っている(講和や降伏は政治的に選べない)ときにやるものだろうからこんなものか。
無理筋な作戦を不可能と知りつつできるといい、失敗後に言い訳や責任追及をしているのが今。インパール作戦風味?