中国は開幕した全人代で2023年度の予算案を公開、国防予算には1兆5,537億元(約2,247億9,000万ドル)を配分しており、この数字は前年度と比較して7.2%増=8年連続で一桁台の伸び率に留まるため「抑制された数字だ」と主張している。
中国の驚異的な部分は「伝統的な戦力の強化」と「無人化技術=UAV、USV、UUV、UGVへの投資と開発」を同時並行で進めている点
全人代に登場した李首相は「5%前後」の経済成長率を目標に掲げ、国防予算に1兆5,537億元(約2,247億9,000万ドル/前年度予算から7.2%増)を配分した2023年度の予算案を発表、この数字について中国人のアナリスト達は「中国の経済発展と安全保障のニーズを考えれば控えめな数字」「世界平均の2%まで増額(現在は1.5%未満)することも十分可能なのに、8年連続で一桁台の伸び率に押さえているのは抑制的な行動」「ドル換算で言えば前年度(2,290億ドル)よりも少なくなっており中国が軍拡競争を参加していない証拠だ」などと主張している。
中国の国防投資額が過剰なのか適正なのは主権の問題なので中国人が好きに解釈すればいいが、中国が軍拡競争を参加していないという下りは詭弁だ。
人民解放軍は2050年頃までに世界規模の軍事能力=米軍並に地球上のどこでも軍事力を行使できる能力の確立を目標に掲げており、これに伴う軍事力の強化がインド太平洋地域の軍拡の原因になっているのは明白で、GDPに占める国防支出の割合や国防予算の伸び率だけで「軍拡競争を参加していない」と結論づけるのは一方的な解釈でしかない。
まぁ数字上の話はさておき、人民解放軍空軍は2023年中にJ-7を年内に廃止して「近代的な戦闘機戦力への移行を果たす予定だ」と報じられており、現時点でJ-10×500機+、J-11×350機、J-16×245機+、J-20×208機+、Su-30MKK×73機、Su-35×24機の計1,400機以上を保有する空軍戦力は引き続き増加、人民解放軍海軍も2022年に進水した空母「福建」を海上試験を年内に実施、ステルス戦闘機J-35、カタパルト射出に対応したJ-15T、EA-18Gに相当するJ-15D、E-2Dに相当するKJ-600、空母運用に対応した無人航空機の準備も並行して進めている。
さらに西側諸国のアナリストが「イージスシステム搭載の駆逐艦に相当する」と評価する052DL型駆逐艦を1つの乾ドックで5隻同時に建造中なのが確認(2022年8月)され、この駆逐艦はステルスタイプの航空機を検出するのに有利なメートル波使用の長距離レーダー(JY-27Aベースの可能性が高く最大検出距離は400km前後)まで追加されており、アーレイ・バーク級を凌駕する055型駆逐艦は8隻目が就役、もう8隻の建造が予定されているらしい。
人民解放軍が保有する無人機戦力は謎に包まれているものの、昨年の珠海航空ショーで公開した無人機の種類や数は圧倒的で、その殆どが「書類上の存在」や「CG上の産物」ではなく実機で海外の顧客に輸出可能と言うのだから、人民解放軍向けの機体は別に存在すると考えるのが妥当だろう。
先月にアラブ首長国連邦で開催されたNAVDEX2023に中国船舶工業集団(CSSC)は様々な無人水上艇や水中無人機を出展、その中でも魚雷発射管を搭載した超大型水中無人機(XLUUV)の概念を披露して注目をあつめており、XLUUV開発に取り組む米国、フランス、英国も武装型の概念にはまだ到達(仏OUDDがF21重魚雷を搭載可能なミッションベイを備えているため将来的に対潜戦に対応する可能性があると言及している)していない。
***BREAKING***
First image of #Chinese extra-large submarine drone (XLUUV). Similar in size to #USNavy Orca, this design. Has torpedo tubes and, it appears, flank array sonar. Implies anti-submarine role (!!!)https://t.co/ARLOdYgNxN
— H I Sutton (@CovertShores) February 23, 2023
中国の驚異的な部分は「伝統的な戦力の強化」と「無人化技術=UAV、USV、UUV、UGVへの投資と開発」を同時並行で進めている点で、もう中国は無人化技術を「人民解放軍の作戦にどう統合するのか」というレベルに到達し、実際の演習でも無人化技術を使用したものが登場しているので成熟度(実戦で必要な要求要件の算出が進んでいる=研究段階を脱しつつあるという意味)が高まっている。
関連記事:第5世代機と第4.5世代機の生産が順調な中国、今年中にJ-7が退役
関連記事:中国、米イージス艦に相当する052DL型駆逐艦を5隻同時に建造中
関連記事:中国空軍はJ-20を200機以上保有が確定、大量生産への移行が濃厚
関連記事:中国が発表した無人戦闘機FH-97A、艦艇運用や空中給油にも対応
関連記事:中国が改良したCH-7を公開、対称戦で求められるハイエンドUAV
関連記事:中国が次々とUAVを発表、新型のWing LoongやTB2にそっくりなUCAVが登場
※アイキャッチ画像の出典:kremlin.ru / CC BY 4.0
日本が防衛費を増額したら軍拡競争を招くって言ってる人たちは、すでに進行している軍拡競争に追随しなかったら軍事バランスが壊れて戦争を招くってことが何故分からんかね。
中共の軍拡が途上の時は「中国脅威論を煽るな!」
いざ脅威が明確になってきたら「諦めて降伏しろ!」
いやぁ明らかに悪意を持ってやってますねこれは
あれは信仰、宗教の類なので無理です。
>「世界平均の2%まで増額(現在は1.5%未満)することも十分可能なのに、8年連続で一桁台の伸び率に押さえているのは抑制的な行動」
中国政府発表の統計はGDPも国防費も信頼性が無く、本当の数値はソ連の様に崩壊するまで判明しないだろう
完全に憶測だが、中国の国防費のGDP比は、アメリカや開戦前のロシアの3%台後半ぐらいという数値と、
大して変わらないんだろうなと思っている
完全に憶測の数値を主張しても無意味だと思いますが…。
中国の軍事費には武装警察の予算が含まれていないので実態より少ないとは思います(日本も同じですが)。
また、中国は軍民融合が進んでいるので、軍事と民間の予算の区別が難しいという事情もあります。
それでもGDP比1.5 %しかないというのは恐ろしいですわな。経済成長と世界の工場が合わさると、あんなに軍艦作っててもこの程度で済むという。
これを言うと、すぐあなたみたいに噛み付いて来る人が居ますね
完全に憶測ですけど、GDPが公表値より低いのはほぼ確実だと思いますよ
中国はあんなに大きな国なのに、他国に比べ異常に早く速報値が出ます
あり得ない速さです。正確とはとても思えません
また、中国以外の国はGDP成長率が、年によってだいぶブレ幅があります
当たり前の話ですね。それぞれの国の景気があり、また世界経済ともつながっているのですから、
好景気の年は上振れし、景気が悪ければ下振れ、酷い時にはマイナス成長となります
しかし中国の成長率は、ほとんどの年で政府の景気予測に沿った数値となります
また、異常にブレ幅が狭い。8.0%→7.8%→7.7%→7.5% こういうあり得ない推移を示しています
こんなハッキリ言って大本営発表みたいな数値を30年以上続けた結果が、今の公式発表のGDP値となっており、
全く信用性はありません。あると思う人の方が変としか思えませんよ
中国の経済成長率で「8.0%→7.8%→7.7%→7.5%」のような推移は無かったと思いますが。
直近5ヶ年(2018~2022年)の推移は「6.7%→6.0%→2.2%→8.1%→3%」ですし。
さらに5年前(2013~2017年)に遡ると「7.8%→7.4%→7.0%→6.8%→6.9%」ですね。
30年単位で中国の経済成長率を確認したらブレ幅は結構大きいですよ。
「一桁なので抑制的~」という話は完全に詭弁ですし擁護する気もないのですが、近年の中国の軍拡規模や物価上昇による購買力低下を含めると確かに数字は少ないんじゃないかなあという気はします。電卓叩いたわけじゃないのでただの印象ですけど、実際はもっと伸びてる(あるいはどこかで神がかり的な帳尻合わせをやってる)ように見えるんですよね。海軍なんかあのペースで船作ってるのは実際とんでもないですし、何より他国と違って船舶の更新じゃなくて純増だから水兵の定数ごと増えてるはずなんです。数年前に軍の人員削減はやったので人件費だけで足が出るという事でもないのかもしれませんが…
艦隊への投資というのは子育てみたいなもので、船買ったら終わりじゃなくて退役させるまで絶え間なく金がかかり続けますからね。ロシアなんかそれで地上軍の軍備再建がずいぶん食われましたが、果たして中国の軍拡はどういう未来に繋がっていくのか。
>水兵の定数ごと増えてる
人民解放軍の人員は公開されていないので数字の正確さは微妙なんですが、規模の割に人手のかかる037型の様な小艦艇を退役させ、056型で置き換えているので、水兵の定数自体は実は大きく増えてない気がします。
まあ公開されている国防費は元々信頼性が低く、大体はストックホルム国際平和研究所の推計に頼っているわけですが、それでも対GDP比で3%行かないくらい、というのが妥当なところかな。つまり、軍拡はしているが、無理な範囲ではない。
核兵器や宇宙開発でも相当お金がかかっているのではないでしょうか?
ざっくり核兵器でGDPの1%、宇宙開発でもそのくらい掛けていると思う。
たぶん3.5~4%くらいの韓国程度ではないでしょうか。
宇宙開発や防衛費を使いすぎると国の成長が厳しくなりますからね。
ところで、日本の情報収集衛星は結構な値段してますけど(1機150~400億程度、通算20機くらい。打ち上げも一回100億。)、防衛費じゃないよね?
文科省か内閣府の予算なのかな?
詳しい人教えて。
なるほど、90年代以前のPLANを支えていた旧式のコルベットやフリゲートを整理して省力化しているなら全体としての雇用規模は変わっていないのかもしれませんね。解放軍のPR動画なんか見ていても新造艦に乗り込む若い水兵に混じって4~50代の人が居たりしますから、海上自衛隊同様にそのあたりのやりくりは重視しているんですかね。
この垂直立ち上げのような急激な海軍の軍拡は仰る通り、今後膨大な艦隊維持費負担が発生しますし、また、
垂直立ち上げですから同時期に一斉に旧式になります。
この軍拡のやり方は、「ハッタリ」なのか、「既に侵攻が決定している台湾侵攻のスケジュールに合わせたもの」
なのか、どちらの解釈をするかで分かれますよね。
前者であれば、数の圧倒性で日米から妥協を引き出す期待の為のハッタリですよね。
ただ、中国の場合は、前者でしょうね。
後者のように真正面から日米海軍に挑む覚悟を決める国柄ではありません。
後は、中国から見たら海軍に注力することは、日米に威嚇のサインを出せると同時に、ロシアの目を欺く効果もあるんですよね。
中国は台湾を狙っているという世界の中国観の固定観念を強める事で、ロシアが沿海州をどんどん手薄にするんですよ。
このままウクライナ戦争が泥沼になり、ロシア経済をどんどん疲弊させていき、数年後には訪れるだろうプーチンの死またはプーチン政権の崩壊のタイミングでシベリア独立運動を焚きつけてロシア式の「独立運動→併合」の切り取り戦略でロシア軍なんか疲弊しきって殆ど居なくなった沿海州・シベリアを手に入れようというパターンにもこの海軍の軍拡は使えます。
> 真正面から日米海軍に挑む覚悟を決める国柄ではありません。
これはどのような根拠に基づいているのでしょうか?
ここまで来ると残念ながら日本は追従できないでしょうね。
核兵器の保有を考えなければなりません。
核抑止力の高さはロシアと北朝鮮で証明されています。
自分が中国軍だったら、こんなにハイペースで軍拡しない。
もともとリーマンショック後に雇用対策も兼ねて軍艦等を大量に製造したんだから、そろそろ順番にメンテナンスしないとまずいと思う。
上の方で折口さんも書いていたが、大型艦は人員もいるので、固定費もかかっていくだろう。しかも中国も少子化が深刻。
防衛費が増えても正面装備を増やさない海自の対応は非常に合理的・現実的だ。
もっとも、中国は台湾有事で旧式艦を使い切るつもりかもしれないけどね。
インフレもあるから軍事費が伸びてるのは確かだけど、中国の恐ろしいところはこれだけ使ってもまだまだ余裕があるってとこですね。軍事費に無理しすぎるとどうなるかはソ連が証明してくれたので中国もそこまで無茶はしないと思うけど、余裕があるってのが不気味。
そりゃ一党独裁なんですから当たり前でしょう?
人民が食うに困っても公安と軍事と宇宙には予算をまわすと思いますよ。
それが独裁政権ですわ
中国の経済規模があまりにも巨大過ぎて
日本が背伸びして防衛費に2%拠出しても加速度的に差は広がる一方であり、
縮小する日本経済の中で無理に2%出す意味あるんでしょうか?