ユーロファイター・コンソーシアムは空前の需要に沸くタイフーンについて「3年以内に年間生産数を20機、海外から新規発注が入れば年30機まで増やすつもりだ」と明かしていたが、BAEは18日「GCAPの最終組立を開始するまでタイフーンの生産ラインを維持するのに十分な仕事量がある」と発表した。
参考:BAE says its Eurofighter pipeline is filled until first GCAP assembly
FCASが破綻した場合、エアバスをパートナーとして受け入れるかどうかは英伊日が判断する
英国、ドイツ、イタリア、スペインが共同開発したタイフーンは第5世代機と登場時期が重なったこと、冷戦終結後の国防予算削減の影響を受けたこと、海外入札でF-35Aと競合したため受注が伸び悩んでいたが、海外輸出機へのCaptor-E Mk0採用、ドイツとスペインも既存機へのCaptor-E Mk1導入、英国も既存機へのCaptor-E Mk2導入を開始し、ドイツはタイフーンT1を更新するためタイフーンT4を38機、トーネードECRを更新するため既存機を改造したEK仕様を15機、イタリアもタイフーンT1を更新するためタイフーンT4を24機、スペインもEF-18A+を更新するためタイフーンT4を45機発注。

出典:Airbus Eurofighter EK
さらにドイツは2025年にタイフーンT5を20機発注すると表明し、開発国からの新規発注だけでも127機の需要が見込める上、カタールも2024年「タイフーンT4を12機追加調達したい」と正式に表明、トルコも2025年10月「タイフーン(T4なのかT5なのかは不明)を20機調達する契約を締結した」と、バングラデシュも2025年12月「レオナルドとの間で意向表明書が調印され、この合意に基づいてバングラデシュ空軍にタイフーンを供給(推定16機)する予定だ」と発表。
ポーランドも空軍近代化の最後のピースと呼ばれる「第3の戦闘機取得(32機)」を進めている最中で、選択肢はF-35A、F-15EX、タイフーンが浮上しているものの、トゥスク首相は疎遠になっていた欧州主要国との関係強化を望んでいるためタイフーンを選択しても不思議ではなく、オーストリアでも安全保障環境の急激な変化に伴い「タイフーンT1をタイフーンT4で更新する計画」が浮上し、ユーロファイター・コンソーシアムは短期的な戦力増強を重視する新たな成長目標を掲げた。

出典:Eurofighter Typhoon
このコンソーシアムのデゲンハート最高経営責任者はパリ航空ショーで「安全保障環境の変化を受けて、我々はより多くの戦闘機をより早く生産することにした。タイフーンの年間生産数は現在14機だが、3年以内に年20機に増やし、海外から新規発注が入れば年30機まで増やすつもりだ。新しいタイフーンは2060年まで問題なく機能するだろう。問題はタイフーンの能力を脅威に対応させ続けることで、重要な鍵は定義されていない中間アップグレードの策定にある」「技術的な側面から言えば既存のハードウェアアーキテクチャは限界に達しつつあり、搭載されたコンピューターの能力問題も解決しなければならない」と言及。
ユーロファイター・コンソーシアムを構成するBAEシステムズのチャールズ・ウッドバーン最高経営責任者は18日、決算発表後の金融アナリスト向け会議で「朗報なのは、GCAPの最終組立を開始するまでの全期間にわたる生産要件を現在確保できていることだ。これは重要なことだ」「以前、タイフーンの生産ペースを倍増させる道筋について話をしたが、トルコ受注を確保したことで生産ペース引き上げの軌道にしっかりと乗っている。他にもチャンスはある」「我々はそのプロセスの順調な途上にあり、さらなる受注獲得に成功すれば必要に応じて生産ペースをさらに上方修正するつもりだ」と述べた。

出典:Keir Starmer
ユーロファイターの生産はBAEが前部胴体と垂直尾翼、エアバスが中央胴体と右主翼、レオナルドが左主翼を担当、後部胴体はBAEとレオナルドが共同で供給しており、ウッドバーン最高経営責任者の言及は「GCAPの最終組立を開始するまでタイフーンの生産ラインを維持するのに十分な仕事量がある」という意味で、英国のウォートン、ドイツのマンヒング、イタリアのカゼッレ、スペインのアルバセテに設置された最終組立てラインは「自国発注分」と「コンソーシアムに参加している自国企業主導による輸出獲得分」にしか関与できないため、ウォートンの最終組立てラインの維持は微妙だ。
因みにウッドバーン最高経営責任者は「FCASが破綻した場合、エアバスをパートナーとして受け入れる可能性があるか」と質問されると「パートナーシップ拡大に関する決定は英国、イタリア、日本の政府に委ねられている」「我々は非常に強力なパートナーシップがあり、大きな進展を遂げ、迅速に動いているという事実以外にコメントできない」と言及するに留まった。
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※アイキャッチ画像の出典:Royal Air Force





















少し前はタイフーンは生産終了間近とか言われていたのに
随分変わりましたね
アメリカ機(トランプ)とロシア機(制裁)が売れなくなった所に上手くはまった感じでしょうか
…そういえば最近F-16の話を聞かない気がします
BAE(イギリス)としてはもう半ば見放しててさっさと切りたい、でもGCAPまでは現場に仕事を与えたい思惑がありますから万々歳でしょうね
F-16はぶっちゃけ話題にならないだけで普通に順調です
ポーランドが48機のF-16V改修、パキスタンがBlock52の近代化改修を契約して、ブルガリアはF-16Vの新造機を調達していますね(今年にエンジンのスペアパーツを全品納品予定)
スロバキアも追加調達を交渉中です
補足ありがとうございます
個人的には台湾向けの機体が早く揃うといいなと思います
タイフーン大人気ですね!
アップグレード版も設計されたり、(今から)30年以上先でもどこかで飛んでいるのは間違いなさそうですね。
>エアバスが中央胴体と右主翼、レオナルドが左主翼を担当
「なんかこの機体、当て舵しないと左に進むなア」
ってならないのかな。レシプロ機みたいにw。
一応マジレスで回答すると、そういう誤差は組立時に調整するので大丈夫ですね
誤差を考慮して組み立てると言うよりも、「ここは◯◯度に調整して取り付ける」みたいな感じですね
いや真面目な工学上の理屈はともかく、そこでワークシェアするのかよって突っ込みたくなりもします。
ケーキを切れない少年たちかって。
そう言えば、タイフーンて当初ネジ穴の位置ズレてるとかで設計より機能が低下している問題がありましたが、ケーキ切れない人たちだったのかも。。。
F-2も左主翼は米担当らしいので…
F-22はさすがに左右でワークシェアは行わず前後でLMとボーイングが別れてますが、空自F-2は左右主翼でLMとMHIがワークシェアしてますし、事例自体はあると思います。
それは知りませんでした。
激しく前後でほとんど違法なら、まあわかるんですけどね。
タイフーンはフレームの穴の問題どうなったか知らなかったんだがチャピとグロクに聞いたら「詳しく調べたら大した事無かった」という風に書いてた
35年以上前のメガドラの「大戦略」で、“EFA”名義で最新鋭戦闘機として隠しユニット扱いだったタイフーンが爆売れとは…。現在の情勢が如何に歪で不公正で異常なのかの現れでしょうか…。
GCAPに関わってる日本としては、ユーロファイターが売れてくれたほうがいいですけどね。
BAEの利益や評価下がれば、暗雲がたちこめますし。
それでなくても英国の財政難で不安もありますし。