欧州関連

ドイツ、フリゲート2隻と装甲車輌900輌の調達に70億ユーロを投資予定

Bloombergは8日「ショルツ政権はドイツ軍再建の一貫として総額70億ユーロの発注をまもなく行う」「政府は約30億ユーロでF126フリゲート×2隻を追加発注し、約40億ユーロでFuchs装甲兵員輸送車を最大900輌調達する予定だ」と報じている。

参考:Germany to Order Ships, Armored Vehicles Worth Up to €7 Billion

Rheinmetallがウクライナで生産するといっていたFuchsとLynxはどこにいったのか?

F126フリゲート(旧MKS180)はミッションモジュールを変更することで対水上戦、対空戦、対潜戦、非対称戦に対応でき、あらゆる海域(公海、近海、沿岸水域)に加えて北極圏や熱帯地域を含む気候下での運用能力を備えており、1番艦ザールランドの引き渡しは2028年を予定している。

出典:Damen Schelde Naval Shipbuilding

ドイツ海軍はF126フリゲートを4隻調達するため52.7億ユーロの契約をDamenと締結していたが、この契約には2隻のオプションが含まれており、ショルツ政権はオプションを行使してF126フリゲートを計6隻調達するという意味だ。

Fuchs1はドイツを含む10ヶ国が採用したため1,200輌ほど生産され、ドイツ陸軍は継続したアップグレードを施して684輌(最新バージョンはA8)を運用中だが、既に生産は発展型のFuchs2に移っており、アルジェリア(980輌)、クェート(12輌)、アラブ首長国連邦(32輌)が1,000輌ほど発注済みで、ドイツ陸軍も約40億ユーロを投資して2025年からFuchs2の取得(最大900輌)を開始する予定らしい。

出典:rheinmetall-defence/CC BY-SA 4.0

因みにRheinmetallのパッパーガー最高経営責任者は昨年末「FuchsとLynxの契約が来年早々にウクライナとの間で成立する見込みだ。Fuchsは契約締結後6ヶ月~7ヶ月以内に、Lynxは契約締結後12ヶ月~13ヶ月以内に最初の車輌を完成させたい」と述べたことがあり、契約が見込み通りに成立していればUkroboronpromと共同生産するFuchsは2024年夏頃に登場する見込みだが、契約が成立したという話は聞こえて来ない。

今のところRheinmetallとUkroboronpromの取り組みはウクライナでの戦闘車輌保守に限られているようだ。

関連記事:ドイツとトルコがウクライナに兵器製造工場の建設を開始、ロシアが反発
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※アイキャッチ画像の出典:Damen Schelde Naval Shipbuilding

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コメント

    • Teshdo427
    • 2024年 4月 11日

    ドイツが強くなってくれるのは嬉しいな~ドイツはいつの時代も強い国であってほしい

    2
    • 無印
    • 2024年 4月 11日

    F126は満載排水量が10,000tを超えるのに、VLSが16セルしかないですが、そんな軽装で大丈夫?

    14
      • ネコ歩き
      • 2024年 4月 11日

      前級のF125は長期海外派遣活動・多様任務遂行能力重視(ただし低脅威度下の運用(対テロ戦)前提なので低武装・非対称戦装備重視)でしたので、搭載武装に比して排水量はかなり大になっています。対空及び対潜戦闘力が貧弱で高強度戦能力が低く、海軍の評価は散々なようです。
      F126はその運用構想を引きずったまま計画が進行してしまいました。搭載兵装からすれば5000~6000t級に纏めることも可能だったはずですが、長期海外派遣・多機能・操艦要員省人化という要求は取り下げなかったわけで、建造決定時点で情勢変化を見通せていなかったことになります。
      追加建造に走ったのは、急速な要員増がこれまでの軍縮まっしぐらのツケで困難ということかもしれません。

      7
      • nachteule
      • 2024年 4月 12日

       軽装で大丈夫かどうかの判断なんて、こいつが想定して居る任務次第でしょうに。ドイツの艦船仕様と想定している任務とか考慮したら、ひゅうが型のVLSが少ないとか言っているのに近い感じは受ける。

       ミッションモジュール構造の時点で固定武装と比較して排水量は増える傾向であるし、基本自己防衛でミサイルが沢山必要な高脅威度環境に行くかやESSM block2積むなら半分の8セルぐらいでもまともな防空環境作れるでしょう。UAV対策とかを考えたらRAMでも機関砲でも増やせば良い。

    • kitty
    • 2024年 4月 11日

    「ミッションモジュールを入れ替えることであらゆる任務に使用可能」

    なんか最近はフラグにしかキコエナイ。

    30
    • AH-X
    • 2024年 4月 11日

    フリゲート1隻に15億ユーロ!!!

    本邦のイージス艦より大分高額!!かといってイージス艦ほど役にたつのかな。
    ところでフクスってまだ作ってたんですね。全部ボクサーに切り替わるかと思ってました。

    5
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 4月 11日

    ドイツ海軍の存在感の薄さよ…強化する意味があるんかしら

    8
    • 似非市民
    • 2024年 4月 11日

    ミッションモジュールの交換中で身動き出来ないところを自爆ドローンの集中攻撃を受けるオチしか見えないわ。

    2
      • あばばばば
      • 2024年 4月 11日

      どのみち、入港中は動けないし、自国もしくは友好国の湾岸が安全でないのならば詰んでいるのでは?

      8
    • 折口
    • 2024年 4月 11日

    F126は旗船の建造が始まった時に話題になってましたね。省力化設計とモジュラー化によるマルチミッション対応という欧州船のド定番をやっていることと、省力化追求しつつも将兵搭乗スペースを持たせて船体を大型化しているのは非常にドイツ的だと思います。ドイツ的というか陸軍国家の海軍デザインって感じですよね。多機能化は帝政時代からずっとそうですし、兵員搭載スペースが多く割り当てられるのも戦前からそうですし(といっても+70人程度では10隻作ってもヒッパー級1隻に及ばないですが)。

    3
    • とおりすがり
    • 2024年 4月 11日

    ミッションモジュールで入れ替えできますは結構だけど
    使う人間がそう簡単に別のミッションに対応出来ないのはどうすんだろ(´・ω・`)
    人を入れ替えるにしてもその船に馴染むには時間かかるだろうしね

    あと1万トンの船を沿岸水域に送り込むのも勇気必要だと思う

    6
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