英国防省は電磁式カタパルトとアレスティングワイヤに関するRFI(情報提供依頼書)を発行に続き、無人機に搭載する画期的な早期警戒システムについてコンテストを実施すると発表して注目を集めている。
参考:Look Out! Maritime Early Warning Innovations: Competition Document
英国は海軍が開発を予定しているProject Vixenの無人航空機に搭載する早期警戒システムのアイデアを募集
英海軍はクイーン・エリザベス級空母にF-35Bの戦闘重量に非対応な電磁式カタパルトとアレスティングワイヤを搭載する方針で、これはF-35Bよりも相対的に小型な無人プラットフォームを空母に統合するため下準備だと見られており、公開された将来の海上航空部隊に関するプレゼンテーション資料にも2030年までに空母からの発艦や着艦に対応した無人航空機「Vixen/ビクセン」の開発が予告されている。
この無人航空機開発プログラムは「Project Vixen(※)」と呼ばれており、英海軍は将来の脅威に対応可能で損耗を吸収でき過度な人命リスクを負うことなくディープストライクを実行するため基本型となるUAVを開発して無人戦闘機、無人早期警戒機、空中給油機などの用途に応じた複数のUAVを実用化するつもりらしい。
補足:Vixenとは英海軍の艦上戦闘機デ・ハビランド シービクセンに因んでいるのではないかと噂されている
つまり英海軍は噂されているF-35B調達削減によるギャップを埋めるため仕方なくUAVを用いるのではなく、英空軍参謀総長を務めるマイク・ウィグストン大将が言及したように無人化技術の発展による戦力構造の変化に対応するためF-35B+UAVの構成に修正しようとしていると見るべきで、英国防省は電磁式カタパルトとアレスティングワイヤに関するRFI(情報提供依頼書)を発行に続き無人機に搭載する画期的な早期警戒システムについてコンテストを実施すると発表して注目を集めている。
英海軍はクイーン・エリザベス級空母を中心とする空母打撃群を守るためマーリンHM.2に搭載可能な早期警戒システム「Crowsnest/クロウズネスト」を開発して早期警戒ヘリを運用しているのだが、英国防省が発効した文書には「クロウズネストは2029年までに運用を終了するため大型センサーを搭載した無人プラットフォームに搭載する画期的な後継システムに関するアイデアを募集する」と書かれており、恐らくこれはProject Vixenで開発が予定されている無人早期警戒機のことを想定しているのだろう。
まだクイーン・エリザベス級空母への電磁式カタパルトやアレスティングワイヤの統合やProject Vixen計画は大きなスポットライトが当たっていないので入手出来る情報に限りがあり、断片的に漏れて出てくる情報をつなぎ合わせて英海軍が何を考えているのか推測することしか出来ないが、少なくとも英国は米国、ロシア、中国に勝るとも劣らないスピードで無人化技術の導入を進めているので今後10年で陸海空の戦力構造は劇的な変化を遂げるかもしれない。
因みに英国は空軍主導の無人戦闘機Lancaa/ランカ(技術実証機の名称はモスキート)や海軍が開発を予定している無人航空機「Vixen/ビクセン」のようなハイエンドのUAVだけではなく、トルコ製UAV「バイラクタルTB2」の成功を受けて導入中のMQ-9Bよりも安価で武装可能な無人航空機の国内開発を検討しているので近い内に英国製のローエンドUAV開発計画が登場してくるだろうと管理人は予想している。
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※アイキャッチ画像の出典:英国空軍 無人戦闘機Lancaaの技術実証機モスキート
一方その頃日本は・・・・
哨戒任務こそほんとUAV向きなんだよな
長時間空域にとどまってセンサー役を担うって辺りが特に
ところで、原潜更新でクソ金がかかる予定だけど開発費は出せるんですか(小声
そ、それもPFIで。。。(小声
日本と大差ない国防予算しかないのに、トライデントミサイルの更新にえらく苦心したり空母建造に金がかかり、さらに進水早々に不具合で改修する羽目になって上乗せされ、さらにそれを維持したりと金食い虫が多いからなぁ
取り敢えず機密文書の中に天安門事件のファイル入れとけば、中国も嫌がるんじゃね?
機密文章見る=中国政府なのに天安門事件のデータいれたところでダメージになるわけないじゃん(笑)
こんな幼稚なコメントどんどん増えてくるとなるとゾッとする
画期的…紅茶キメてそう
早期警戒システムは飛行船じゃダメなのかな。使わないときはガスを抜いてコンパクトにできると思うんだが。
大昔は戦艦に気球積んでいたりしたし
早期警戒レーダーという高価な機材を搭載しているのに機動性が皆無で自衛手段を持たない飛行船だと、長距離ミサイルで真っ先に狙われる的にしかならないと思う
距離と高度のコラボで、ミサイルが届かない所での運用を志向する、とかかな対処法は。
空気の薄い高度ではフレミングの法則を利用して、大気圏外でも運用可能な飛行船の構想が昔あったけど、その後どうなったのかな。
今ヘリウムガスが高騰しているんですよ。
海水を電気分解して水素ガスを充填したら。
危ないか?
ヒンデンブルグ号爆発事故待ったなし
ちなみに、最新の研究では水素を充填してたのが墜落の原因じゃないらしいよ
日本も基礎研究レベルでは色々やってるんだけどね
しかし実機が全く出てこない辺り
多分防衛省の上の方に無人機ガチアンチ星人が居て
「俺の目が黒い内は無人機の採用なんて絶対させないから覚悟しとけやボケ」
みたいな事になってんだと思う
いや「思う」かよ。最後まで読んじまった
防衛省では運用について鋭意研究してる段階ですね。
主要要素技術については基本的に国内研究開発の方針で、次期戦闘機と連携する戦闘型UAVに至る研究開発過程で確立したものを応用し各種UAV開発を検討する計画です。(将来無人装備に関する研究開発ビジョン)
例によって情勢が防衛省の当初予測を上回っているのですが。
UAVではないけど、
先日、豪州と「複数無人車両の自律化技術」の共同研究を開始したと、防衛装備庁が発表したね。
米英以外でも、共同研究・共同開発が少しずつ広がっているみたい。
リンク
単なる予算の問題で、
遡ると、UAV開発予算の獲得に動くグループの発言力が弱いとなり、
最終的には派閥の力学に集約しそう。
防衛装備庁や防衛省も、所詮官僚組織だから。
無人機にレーダーだけ載せて、生データを母艦に送って処理というのも、一案だな。
現在の早期警戒ヘリはそのやり方
対潜哨戒ヘリも昔はそれ、というか技術が立ち遅れている国は昔ながらだと思う
ボディは木製、左右非対称、左右のドラムに付いたロケットで加速、ティータイム用のテーブル設置。はい完成。
つまり英国やこのブログの管理人に言わせれば
F-35が『完成』するころには、F-35に期待されている能力の大部分がより低コストな無人機で代替可能になってしまっているだろうと
そういう事?
F-35が『完成』するころがブロック4の完成を指してるのか良くわからないけど、F-35かUAVかじゃなくてF-35とUAVを組合せた戦力構造の方がより作戦効率が高いという意味じゃないの?
記事にはF-35に期待されている能力の大部分がより低コストな無人機で代替可能なんて一言も書いてないし
無人機による数と頻度の暴力に、有人機だけだと太刀打ちできなくなるんだろうなあ。