ウクライナからグリペン提供を要請されているスウェーデンは6日「提供検討はスウェーデンのNATO加盟後に行う」と発表、米上院は「批准しない限りトルコへのF-16V売却を認めない」と、トルコは「F-16V売却が認められない限り批准しない」と主張しており、もう訳が分からない。
参考:Sweden says it’ll consider sending Gripens to Ukraine only after NATO membership
果たして最初に折れるのは誰になるのか、それとも政治的な膠着状態がこのまま続くのか、もう訳が分かららない
スウェーデンはウクライナの要請に応じて「グリペンの運用評価を行う機会」を提供中で、スウェーデン国営ラジオは先月「まもなく政府はグリペンの提供条件を調査するよう軍に命じる予定だ」と報じ、長期的な取り組みとしての「グリペン提供」が動き出していたが、ジョンソン国防相は6日「安全保障上の理由でグリペンのウクライナ提供検討はNATO加盟後に行う」と発表して注目を集めている。
この問題を理解するにはトルコのパトリオット導入まで話を遡る必要があり、最大限短くまとめると以下のようになる。
トルコはオバマ政権時代にパトリオットシステム導入交渉を開始、防衛産業の自立を目指すトルコは技術移転や現地生産を要求したが米国が難色を示したため、トルコの条件を最も満たしていたロシアの提案=S-400導入を決断、これに慌てた米国は導入交渉を再開したものの決定を覆すに至らず、今度は「F-35AとS-400の同時運用は不可能」と主張して「S-400導入撤回」と「完成品のパトリオット導入」を要求し、もしS-400導入を強行するなら「F-35プログラムからトルコを追放する」と圧力を加えた。
F-35プログラムへの参加条件に「ロシア製装備品の導入禁止」という条項は存在せず、S-400導入を理由にトルコをプログラムから追放する法的根拠がないため「何を導入するかはトルコの安全保障に基づいた決定で、完成品のパトリオットを買わないならプログラムから追放するというのは米国の横暴で主権の侵害だ」と反発、しかし「全てのプログラム参加国が賛成した」という理由で米国はトルコを追放。
更に米議会は「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づくトルコ制裁を政府に要求、トランプ政権はトルコ追放の後始末=「トルコがF-35プログラムに出資した資金を没収するのか返還するのか」「製造に参加していたトルコ企業への保障をどうするのか」「トルコが発注済みで支払いも終えているF-35Aの取り扱いをどうするのか」といった問題を放置したままCAATSAを発動。
この制裁法の欠点は「米国の国内法」で第三国の主権に基づいた決定に「制裁を加える」という点で、さらに国内からも「運用基準が曖昧で米国の都合に合わせて抜け穴が後からどんどん追加される」と非難されており、S-400を導入したインドにはCAATSA発動を事実上免除したが、エジプトやインドネシアにはCAATSA発動をチラつかせてロシア製装備品の調達を断念させるなど、第三世界からもCAATSAは米国の横暴だという非難が絶えない。
当然、トルコもCAATSA発動に激怒して「プログラムへの出資金」や「支払い済みの代金」を全額返還するよう要求、政権を引き継いだバイデン大統領は拗れた関係を修復するため「F-16V売却」を提案したと噂されており、この提案を受け入れたトルコは「新造機のF-16V×40機」と「V仕様アップグレードキット×80機分」を要求したが、今度はトルコと対立するギリシャや米国のアルメニア系住民が議会に働きかけてF-16売却を妨害。
バイデン政権はF-16売却を認めるよう再三要請したものの、米上院外交委員会のメネンデス委員長が「トルコとギリシャの対立」を理由に承認を拒否、そうこうしている内にロシア軍によるウクライナ侵攻が勃発し、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟問題が浮上。
トルコは懸案だったPKK問題やシリア内戦に関連した両国からの禁輸措置解除を批准の条件として要求、先に条件を満たしたフィンランドの加盟を批准したものの、スウェーデンでは「エルドアン大統領に似せた人形の逆さ釣り」や「トルコ大使館の外でコーランを燃やす」といった騒ぎが発生して交渉が難航。
最終的にNATOとスウェーデンは「テロ対策の継続」「テロ対策ポストの新設」「トルコのEU加盟に対する積極的努力」を、エルドアン大統領も「スウェーデンの加盟議定書を議会に送付して速やかに批准手続きを進める」と約束したが、メネンデス委員長が「スウェーデンのNATO加盟をトルコが批准しない限りF-16売却に応じない」という態度に出てしまい、エルドアン大統領も「米国がF-16V売却に応じればNATO加盟を批准する」と主張。
スウェーデンも「グリペンのウクライナ提供はスウェーデンのNATO加盟が条件となる」と言い出し、この原因を作ったメネンデス委員長は「賄賂を受け取ってエジプトへの便宜を図っていた疑惑」が浮上して先月22日に上院外交委員長を辞職している。
メネンデス委員長が去った上院外交委員がトルコにどう出るのか不明だが、トルコは米国がF-16V売却に応じない限りスウェーデンの加盟を批准せず、スウェーデンはNATOに加盟するまでウクライナへのグリペン提供に応じず、これまでの立場を堅持するなら上院はトルコがスウェーデンの加盟を批准するまでF-16V売却に応じない構えで、更に言えばトルコは「批准に応じてもギリシャを理由にF-16V売却をブロックされるのではないか」と警戒しているため、スウェーデンのNATO加盟もウクライナへのグリペン提供も上院次第になってきた。
果たして最初に折れるのは誰になるのか、それとも政治的な膠着状態がこのまま続くのか、もう訳が分かららない。
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※アイキャッチ画像の出典:mashleymorgan / CC BY-SA 2.0
アメリカに逆らう国は世界の敵という考え方がアメリカ人の一部には有るのかもしれませんね。
一部なのか?
自国主権に基づいた決定をアメリカの国内法で制裁され、資産凍結やSWIFT停止やられたら困るもの。誰もがアメリカの横暴を目の当たりにしたからBRICSへの支持が決定的になって潮目変わった。ドル離れとアメリカへのデリスクリングはどんどん進むしトルコの次期BRICS加入はもう確定的だが、NATO抜けるのはソ連無き今では利用価値がないから絶対叩かれる。NATOを内側から壊していくしかない
関係各国、全部暇なんですかねえ?
要はそのまま放ったらかしにしたい気満々としか思えないですが
これでロシアが勢いを取り戻したらどうなるか楽しみですな(ジト目)
ここで平沼首相の捨て台詞をもう一度
「どうも日本人は西洋かぶれをしたがる。殊に地位に在る人―政治家と云はれる人、学者と云はれるやうな人がさうである」
(違)
ヨーロッパは多くの国や民族が入り組んで、政治・経済・軍事情勢は複雑怪奇
日本人が正確に理解するのは極めて困難
1939年も2023年も複雑怪奇な状況は同じ
F-16Vをトルコに売って、F-35をギリシャに売ってやればいいじゃないのもう。トルコは自分でカーン作るでしょ。
トルコが先んじて譲歩する動機は薄そう
アメリカは自縄自縛
スウェーデンはどのくらいロシアの驚異を本心で感じているのか測りかねる
複雑怪奇なり
トルコで作った胴体のF-35Aが、ギリシャに行くのかな?
スロバキアでは親露政権が新たに誕生し、ハンガリーのオルバン首相は「急ぐ必要はない」とスウェーデンの加盟問題について発言した。トルコもF16で揺さぶりをかけて国益の最大化を図る。
スウェーデンのNATO加盟問題は大方の予想に反して長期化する模様だ。
アメリカはこう言うところが信用できないので、日本単体での自主国防なんかは100%無理にしても、こう言ったゴタゴタを解決するまでの時間を十分守り切れるだけの国防力は可能な限り自立させなければ。アメリカに限らずヨーロッパ諸国のうち何カ国がすんなり日本を支援するかも話からないのでなおのこと。対中国でも利権が色々絡む以上内輪揉めは絶対に起こる。
仰る通りです。
西側とくくって、日本を全ての国がタイムリーに支援すると考えるのは、極めて危険です。
他国を信用できないからこそ、他国との独自チャンネルが極めて重要になります。
とはいえ西側以上に非西側諸国こそ日本支援する理由に乏しいからねぇ
強いて言えば同じく中国ロシアと領土問題を抱える国々(敵の敵な味方理論)で台湾インドASEAN諸国、フィンランドくらい?北朝鮮繋がりで韓国に対露強硬派の東欧……正直微妙な面子
やっぱりアメリカへのロビー活動に注力するのが一番無難かも
仰る通りです。
政治は、特に政権交代を含めて反動はつきものですからね。
アメリカ国内で、海外支出に批判が高まり、政権交代や政治情勢に変化。
日本に損失が出ることは勘弁して欲しいです、バイデン大統領に何の為に巻き込まれたのか本末転倒になります…
宗男ちゃんが隠し札で使えるかどうか?
太平洋戦争は、なんとなく南仏印進駐、なんとなく1945年にソ連講和仲介希望などで、地獄を見ましたからね(本当に大した外交的な根拠もなく、なんとなくやってます)。
使えるものは使えるようにして、上層部に会えるようにしておくのは大事です。
中国なんか、親中派政治家の訪中が最近断られるレベルなんですよね、大丈夫かと…。
アメリカも日本の事は完全に信用していないので。
完全自主防衛再軍備は100%妨害してくるし在日米軍も絶対に撤退しない。WWⅡという多大な犠牲を払って得た戦利品日本という不沈空母&中継補給基地をおいそれと他国なんぞに与えるワケがない。
中国も国内の最下層の不満が大爆発しそうなので、他国ともし戦争するなら十二分に準備した上で勝てると踏んで短期決戦を仕掛けてくるだろうね。中国国内の治安維持費は毎年上がっているから。ロシアみたいにダラダラ戦争している場合ではない。
仰る通りです。
海洋国家として、理想的な海外基地を得た訳ですからね。
日本経済の出入口も、アメリカは抑えてますし。
鈴木宗男さんも一利ある(アメリカは国益で動いてハシゴを外す時がある)面がありますし、相当上手く立ち回る必要があると思います。
ゆうてロシア製の兵器なんて米国製に比べたら欲しくはないわけでしょう?
もう答えは出ているような気もするが
ソ連のS300はウクライナで有効なのは判明しました
ロシア製S400?うん……やっぱりロシアはソ連の下位互換に過ぎないんですね……
トルコのS-400の導入の経緯が、次のクーデターが起こった場合、自国の西側航空機を撃ち落とせるように
エルドアンが画策して強行して導入した。
なので、S-400のレーダーからF35の機体情報を得られる懸念は導入前からアメリカは再三警告していた。
この記事の該当文章だと、少なくともアメリカを酷く悪者にしている傾向が見受けられ、
エルドアンが強行したという点は確実だし、
慌てたとか煽る単語を使った経緯の内容は、他の記事でも事実なのか疑問が湧いてしまう。。。
悪者にしている傾向っていうかこの件については普通に悪者じゃねえ?
軍事装備の調達は各国の主権行使の範疇に過ぎず第三国に干渉出来る権利権限が無いでしょ
アメリカは再三警告していた?つまり内政干渉しようと試みたって話だよね
この時点で客観的に見て酷い悪者以外の何者でもないでしょ
エルドアンが強行した?主権行使に強行も何もない
それにしてもエルドアンが強行した~とかは煽る単語を使ってることにならないんですかね?
>>次のクーデターが起こった場合、自国の西側航空機を撃ち落とせるようにエルドアンが画策して強行して導入した。
とか妄想で断定して思いっきり煽ちゃってますよね?ご都合主義過ぎて呆れますね
まあ宗教上の理由か何かでアメリカの一挙手一投足を全肯定しなきゃならない人はいるから…
とりあえず妄想でも断定でも無い。
私は調べて知ってることに基づいて言っていて、
あなたは何も調べもせずに妄想と言うのは、まさに妄想。論理がめちゃくちゃ。
自分で調べて考えるプロセスを持つべきですよ。
このブログをふむふむと読んでいたけど、
他の記事もそうかもしれないと思っただけ。
別に勘違いはあると思うし、読み手に任されることだから。
ただのつぶやきだね。
管理人さん自らが「中立」なんか意識すらしてない、と明言されてますよ。
(記事「スロバキアがウクライナへのMiG-29引き渡しを発表、ポーランドと合わせて計17機」内)
↑は「取り上げる記事の取捨選択」についての話ですが、当然ながら本文の表現等についても同様でしょう。
その辺を知ってか知らずかここの記事や管理人さんの見解に否定的な事を書いた私他の人間に「個人ブログで主の言を否定するとは何事だ、出てけ」的な事を仰る方が時々いらっしゃいましたが削除されたのはその方々の発言だけでした。
管理人さんは「思想と言論の自由」を掲げる国の国民としてごく妥当な活動・言動をしていると思いますよ。良くも悪くも自分に対しても他人に対しても。
そのそうかも知れないと思ったのが妄想であり断定でしょ。
訂正:断定ではなかった
それは流石に読む側の問題でしょ。
ここの記事ではそんな偏った書き方はされてないよ。
勝手なことを言うと。
英国〜スウェーデン〜フィンランド〜バルト三国〜ウクライナで
対ロシア同盟を結ぶのが良いのでは。使命はNATOの起動。
トルコは放っておいて、ウクライナにグリペンのライセンスを認める。
以上を組にして一票。
それらの国が同盟を結ぶメリットは?
主目的は、NATOが起動するまでの時間稼ぎでしょう。
戦争機材と他補給品の融通、場合により聖域の設定。
当然、作戦と情報の共有。
ロシアに多方面での消耗戦を強いて消耗させること。
NATOからしたら勝手に第5条の発動をアテにされて同盟組まれて好き放題やられても…って感じでしょそれw
そうですね。確信犯(笑)でしょうか。
でも、NATOの存在意義でもあるような。
実際問題NATOが5条を発動するのは第4条を経てからなんで無理だよ
ロシアがウクライナだけを攻撃すればNATOの他の集結国が5条の発動を否決して現状と変わらない結末になるからその案はうまくいかないと思うよ
なるほど、ですね。
非NATO加盟国がロシア相手に生き延びるのは、
なかなか大変なのですね。
何かしら、対策を考えておかないとですね。
今ウクライナと同盟を組むということは対露参戦することと同義だが、ウクライナ以外の国にメリットはあるんでしょうか?
特にバルト三国は先に参戦した以上侵攻されても文句を言えなくなるし、
スウェーデンもロシアと戦争しないためにNATOに入りたいのにロシアと戦争するというあべこべな状況になります。
また、NATOと違う枠組みの同盟でNATO加盟国が参戦したところで、NATO5条が発動する理由にはならないですよ。
日本が攻撃されて米国が参戦してもNATOが自動的に参戦するわけでは無いでしょう?
そもそも、エスカレーションを気にしないなら今すぐ兵力を送れば済む話で、そんな面倒なアプローチは不要です。
流石に考えが明後日の方向に行きすぎでは。
なるほど、です。
バルト三国とウクライナは参加するに押しても、
今回のウクライナ戦役が終わってからですね。
バルト三国は、ウクライナよりは組み易い相手
と見られるでしょうから。
>スウェーデンでは「エルドアン大統領に似せた人形の逆さ釣り」や「トルコ大使館の外でコーランを燃やす」といった騒ぎが発生して交渉が難航。
「頭の悪い」愛国者の存在が国益を棄損することがよく分かる出来事
グダグダだなぁ
アメリカが他国の軍事装備品に介入し圧力をかけて来るのは昔から
たちの悪い所は外交圧力で導入を阻止しておいて十分な見返りを与える気が無いところ
日本だと戦闘機開発なんかで散々やられたし
今でこそ兵器輸出国として地位を確立しつつある韓国もM60戦車ライセンス拒否から始まるK1戦車開発とそれに対するアメリカのちゃぶ台返し的介入やら、ソ連から借金のカタに入手したT80Uが気に入ってT72対策に大量購入しようとしたらアメリカから深刻な警告を受けて断念、でもT72を圧倒できるM1戦車の中核技術供与はアメリカは拒否。その癖、軍事バランスを考えずに在韓米軍機甲戦力は縮小しようとするわけで、アメリカの同盟国であってもある程度の基幹軍事装備は自給できるようにしないとまずいですわ
【速報】パレスチナ武装勢力がイスラエルに5000発を超えるロケット弾を発射し
イスラエル領内に侵攻し複数の住居を占拠
イスラエルは戦争状態であると宣言
イスラエル攻撃のパレスチナ勢力
壁を破壊し手当たり次第
イスラエル住民を銃殺しまくってる…
映像見たがこれは見るに堪えない…
明らかな虐殺…憎悪が爆発してる…
これはイスラエルは全面戦争突入だわ
こんなことされてイスラエルは最早止まらないだろう…
パレスチナ地区は反撃されて完全に消滅するな…