豪州のアルバニージー政権は軍の慢性的な人員不足の改善に乗り出し、入隊後の教育期間終了後に「3年間の継続勤務」を約束すれば5万豪ドル=約460万円のボーナスを支給すると発表した。
参考:Australia to pay soldiers bonus to stay as strategic risks rise
慢性的な人員不足の改善に乗り出したアルバニージー政権
オーストラリア軍は国防戦略の見直しを受けて大胆な戦力構造の再編(長距離攻撃能力、同兵器の国産化前倒し、陸軍の水陸両用戦対応など)に入ったが、慢性的な人員不足の改善にも乗り出しており、アルバニージー政権は軍からの離脱者を抑制するため4億豪ドルの予算を確保、軍で勤務を続けるためのインセンティブを提供すると発表した。
この恩恵を受けられるのは入隊後の教育期間(配属先によって期間が異なる)を終了した兵士で、今後3年間の継続勤務を約束すれば5万豪ドル=約460万円のボーナスが前払いで支給されるらしい。
因みに米軍の人材確保プログラムは充実しており、入隊ボーナス、入隊前や除隊後に利用できる各種の奨学金、除隊後に利用できる住宅ローンの金利優遇制度、多くの州政府や一部の大手民間企業で実施されている軍歴をもつ者に対する採用優遇、民間企業が提供する軍人や退役軍人に限定した特別な割引(車の購入、レストラン代金、結婚式の費用などありとあらゆる物やサービスが対象)を一生受けられるなど、国に奉仕した軍人や元軍人への優遇は非常に手厚いと言える。
契約期間の延長に応じた兵士も「毎月の給与に加算される最大80ドルの特別給」「一括で支払われる最大2万ドルのボーナス」「世界中の何処へでも送迎してもらえる最大20日間の特別休暇」の中から好みのインセンティブを選択することができ、一度軍を離れた者に対する再入隊ボーナス(5,000ドル~3万ドル)も完備されている。
特に米陸軍は入隊者に対して最大2万ドルのクイック・シップ・ボーナスを設定しており、新兵が30日間の基本的な軍事訓練を完了すれば最大1万ドルのボーナスを支給、新兵が約1年に及ぶ基礎訓練を終えて現役兵として入隊すれば追加で最大1万ドルのボーナスを支給、さらに米陸軍はクイックシップ・ボーナスとは別に入隊ボーナスとして最大4万ドル(職種によって異なり段階的に支給されるため4年or5年の契約期間を満了しないと全額を受け取れない)を支給されるため離職率の低減に役立っているらしいのだが、米陸軍の札束攻勢はまだまだ続く。
例えば現役兵として入隊する際に空挺コースを志望して無事資格を取得すれば最大1万ドル、退役軍人が国防義勇軍(州兵)に入隊すれば最大2万ドル(将校の資格があれば追加ボーナス)、特定のリスクが高い専門分野に採用されれば最大4万ドル、さらに入隊すれば米陸軍が未返済の奨学金を最大6.5万ドルまで代わりに返済してくれるので、奨学金の返済で行き詰まれば陸軍に入隊するのが最も堅実な方法だ。
この米軍モデルを参考にポーランドは非効率的で硬直した採用プロセスや待遇の見直しを行っているらしい。
関連記事:豪州が国防戦略の見直し結果を発表、陸軍を水陸両用戦に対応した構造に再編
関連記事:戦争を回避するには戦争の準備が必要、ポーランドが軍を30万人以上に増強
※アイキャッチ画像の出典:Australian Army/CPL Daniel Sallai
自衛隊もこのくらいやらんといかんかな?
うむ
でもパワハラ体質も改善しないと結局は同じだと思うね
介護士も保育士も教員も軍も、人にカネをかけないと質・量の低下は防げないってことよね
やりがい(笑)とか責任感(笑)の問題にしたがる謎の勢力がいますけれども
公になる自○以外にも、いろいろ問題あるはずだし、組織としても改善を期待したい
米軍でもパワハラは問題になっている。統計では戦闘経験のない兵士の自殺が戦闘経験のあるものより増えているそうで原因をリーダシップの欠如とされている。命のかかった戦場じゃ部下を虐めている余裕はないし、部下に信頼されていなければ任務もままならない。けれど戦うことがなければ(部下を虐める)余裕ができてしまう。
当然結成以来一度も戦闘をしたことのない自衛隊なんかはお察しだろう。多分これはモラルの向上どうのこうので解決できる問題じゃない。ぶっちゃけオーストラリア軍も似たようなものじゃないのか?
オーストラリア軍のボーナスですら、先進国から脱落した日本の平均年収より上という現実
いまワーホリでオーストラリア行って農場で働いた方が、貧しい日本よりよっぽど稼げるしな
海外の物価高は日本など目ではありませんよ。
日本よりも高い給与をもらっても物価高で相サツされてしまい、更に税金ですからね。
もっとも給与が上がらない日本の現状も問題てすがね。
余計なお世話かもしれませんが、相殺の読み方はソウサイですよ…
為替レートのせいで数年分の給料を何らの悪事もしてなく突如3割失った海外派遣社員にもそう言って上げて下さい
「オーストラリア軍のボーナスですら」って言い方は失礼じゃない?一国の軍隊だぞ。
日本だとただ奨学金チャラにしてーと騒ぐ人たちが多いので、導入したらいいかもしれない・・・
日本の場合、防大卒業時に任官拒否して事実上奨学金チャラどころか学生手当と賞与を貰い逃げする奴が居るから導入しても効果の程は疑問だけどな(現状、自衛官候補生と防衛医科大学校看護科学生は手当の償還義務が有るが防大生は2012年に法案が廃案となった為、手当の償還は不可能になっている)
制度上許されてるのに貰い逃げとか何言ってるの?って感じ
あれ給料だぞ奨学金ちゃう
会社辞めるから今までの給料返せって道理があるか
学資金ローンはアメリカでも大変大きな問題になってるようだ
軍人の地位高そうなアメリカですら札束で攻めなきゃ人が集まらないのかぁ…
それで「アッラーアクバル!!」とか言いながらほぼ無給で戦ってそうな奴らと撃ち合うんだから、「テロとの戦い」って本当に割に合わなかったんだな
>国に奉仕した軍人や元軍人への優遇は非常に手厚いと言える
志願制の軍隊にどうやって人を集めるか?
その答えって、結局はこれなんですよね。
待遇改善と言って分かりやすく給料を上げるのは結構なのだけど、最終的には軍隊勤めがステータスになり、次のキャリアに結びつくようにならなきゃ駄目だと思います。
軍隊で手足となって動くべき兵士は、必然的に若いうちの貴重な数年間を軍務に費やす訳です。
であるならば今までのように「満期務めたらボーナスあげますよ、再就職先も支援しますよ」くらいの話ではなく「しっかり勤め上げたら履歴書に自信持って書いてください、どこの企業でも評価されますよ」と言えるような環境を、国も経済界も協力して作らないと、自衛隊の人手不足は解決出来ないのではないでしょうか。
まぁ日本でこれをやるのは、歴史的経緯から言ってもかなり難しそうですが。
これは言うは易しの典型ですね
自衛隊上がりの人ってあんま評価高くないんすよ
軍隊の組織上仕方ない面もあるんですが、民間だとかっちりとした命令系統で動いてるのでもなく、上司の命令が正解なわけでもない
軍隊式の考えをいったん忘れてからもう一度覚えないといけないから大変だと思う
確かに軍隊生活と会社員生活でギャップはありましょうが、軍隊式が何でも悪いと言うわけではなく、程度問題ではないでしょうか。
一般論として民間就職で体育部出身者が好まれるのは、上下関係に慣れているであろうこと、気力体力といったある種の軍隊的な素養を期待されてのことです。
反面、自衛隊OBで軍隊式が全く抜けずにサラリーマンに馴染めない例も、聞いたことがあります。(顧客の目の前でも構わずに部下を叱責するとか…)
とは言え任期制隊員で考えるならば、年齢的には“娑婆っ気を入れ直す”のもそこまで困難では無いかと。即戦力にならないのは普通の新卒も同じことですしね。
まぁ若い人なら柔軟性があるから良いかもですね。体力もあるから何とかなる気がします
上のコメント書いた後で思ったんですが軍隊を正規部隊だとすると、民間は非正規部隊、ゲリラ戦って感じがします
少数で、資源的な制約が大きく(効率を求められる)、勝てる(得意な)ところでしか戦わない
メンバーも容易に離合集散するので無理が効かせられない。退職されてしまうw
軍が幅を利かせた挙句国を亡国に追いやった歴史的事実がある以上日本での自衛隊員(軍人)の地位向上は難しいだろうな
それこそ吉田茂の言った
歓迎されんだろうが、堪えてくれ
というやつだな
いつまでもそれじゃあこまるのだけど
あまりに旧軍のイメージが悪すぎるのがね…
安保三文書でも予算の大幅増に対して人員定数は変化なし
今後予算を投じて人手不足への対策を行ったところで、もはや人員増は望めないというところまで我が国は来てしまったのかもしれない
この状況を改善するには最早徴兵制を導入するか陸海空自衛隊の有人兵器の50%以上を無人兵器に置き換えるかにするしか無いでしょうな。
>今後予算を投じて人手不足への対策を行ったところで、もはや人員増は望めないというところまで我が国は来てしまったのかもしれない
かも知れないでは無く、もうそうなっています
なので、近年ではあらゆる分野で無人化が進みつつあります
身近な例だと店舗用の無人レジや無人営業のコンビニとかですね
自衛隊の装備計画でも無人兵器への投資が増える見通しになっています
良い例が戦時における人員損耗度が高い装備であるAH-1S/AH-64D/OH-1の退役とその後継としてのUAV導入ですね
こういう記事を読む度にハッキリする事がある。
豊富な資源や経済、高い技術力を持っていようが人を大切に扱わない国家や組織は遅かれ早かれ必ず衰退して最終的に滅亡する。
豪州の待遇改善は大きい一方で、これだけの額ができるのは元の規模が6〜7万人に留まるのも大きそうですね。
本邦の場合は今年度からの予算の大幅な増額をきっかけに建物の改修や、パワハラ対策等辞める人のザルの網目を小さくしてるように見えます。なので、報酬系はそれらが成果が出る頃か今回の大綱の後半くらいに実施するのかなと個人的に思っています。