米国防総省のジョン・カービー報道官は1日「ロシアがドンバスで試みた攻勢は失敗に終わり、戦略的に重要な領土を奪うことは出来なかった。バフムート地域だけで過去5ヶ月間に10万人の死傷者を出した」と発表した。
参考:US believes Russians in Ukraine have suffered 100,000 casualties in 5 months
ロシアは新たに獲得した戦力30万人(+4万人~5万人の囚人)の約1/3を5ヶ月間で消耗
ロシア軍はハルキウ州での反撃を受けて占領地域の戦力密度が小さすぎることを認識、プーチン大統領は国防省の提案を受け入れ「30万人動員」を許可、さらに防衛が困難なドニエプル川右岸地域(ヘルソン州)の占領地を放棄することで前線を整理し、相当量の予備戦力を手に入れたロシア軍は満を持して11月末に攻勢を開始、クピャンスク、リマン、バフムート、アウディーイウカ、マリンカ、ヴーレダーで攻勢に出たロシア軍の意図は概ねドンバスと定義される空間の確保にあった。
ただ前線に張り付くウクライナ軍の戦力は侵攻前と比較して桁違いなため「複数の重要拠点」を同時に攻略できるほど各戦場に戦力差はなく、バフムート以外の戦場における攻勢はポジションの改善(もしくはウクライナ軍をバフムート防衛に集中させないための妨害)程度に留まり、本気で攻略を進めていたのはバフムートだけだ。
バフムートに特大の軍事的圧力を加えることで予備戦力を引き寄せて消耗させ、最終的に「ドンバス全体を確保するための突破口になるはずだった」というのが一般的な見方で、約5ヶ月間の戦いでロシア軍はバフムート市内の大半を確保した格好だが、米国防総省のジョン・カービー報道官は1日「バフムート地域だけで過去5ヶ月間に10万人(推定)の死傷者を出した」と発表した。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
カービー報道官は「ロシアがドンバスで試みた攻勢は失敗に終わり、戦略的に重要な領土を奪うことは出来なかった。バフムート地域だけで過去5ヶ月間に10万人(推定)の死傷者を出した。この数字には2万人以上の死者が含まれており、その半数は刑務所から連れ出されたワグナーの兵士だ。ロシア軍はバフムートで漸進的な利益を得たが、そのために『あり得ないほどの犠牲』を支払っており、この地域におけるウクライナ軍の防衛力は依然して強力だ」と記者会見で言及。
つまりロシアは新たに獲得した戦力30万人(+4万人~5万人の囚人)の約1/3を5ヶ月間で消耗したことになり、今後も消耗が続けば他の戦線の戦力密度や予備戦力が失われ、ウクライナ軍の反攻作戦を阻止するのに支障が出るかもしれない。
仮にバフムートを制圧しても直ぐスラビャンスクやコンスタンチノフカへ前進するのは難しく、プーチン大統領は何らかの手段で戦力の補充を迫られるだろう。
因みにカービー報道官は「10万人という数字は(第二次大戦時の)ガダルカナル作戦における米軍死傷者の3倍に相当する」と表現し、まもなく新たな武器支援パッケージを発表すると付け加えている。
追記:その後の報道で10万人の死傷者数は「過去5ヶ月間のバフムート地域」ではなく「過去5ヶ月間のウクライナ全土」に変更された。
関連記事:ウクライナ軍の反攻作戦、互いに演じる役も台本の内容も分かっている戦い
関連記事:ウクライナの反攻作戦、ハルキウやヘルソンほどの成功は見込めない
関連記事:ウクライナ国防相、ほぼ準備が整った反攻作戦は天候と指揮官の決断次第
関連記事:チェコ大統領、ウクライナ軍の大規模な反攻は1度きりで失敗すれば次はない
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
「ガダルカナルの米軍損害の3倍」っていまいちピンとこない表現だな…
我々にはまともに補給できずに大敗北した愚策の作戦という認識でも、あちらさんにとっては苦戦した大きな戦いのひとつという認識なのかもしれません。とちょい調べてみました。全部Wikipediaで恐縮ですが
ガダルカナル島の戦い
>死者7,100人 負傷者7,789人以上
グアム島の戦い(1944)
>死者2,124人 負傷者5,676人
サイパンの戦い
>戦死・行方不明 3,551 戦傷 13,061
硫黄島の戦い
>戦死 6,821 戦傷 19,217
コテージ作戦
>戦死122 行方不明191
沖縄戦は別格として、やはり「ガダルカナル島の戦い」は米国的には相当被害を受けた作戦という認識なのでしょう。
ガダルカナルの米兵犠牲者が多いのは海戦での犠牲者が多いからじゃなかったっけ?
まだ日本海軍が元気だった頃だから撃沈された艦艇が多かったんじゃないかな?
>コテージ作戦
>>戦死122 行方不明191
言われてみてふと思いましたが、静かな戦線でも両軍に同士討ちの死傷者がでてるんでしょうね
そんなので死ぬのは悲しすぎます
日本側の戦死者の○倍って言われたらすげー悲惨さが伝わるよね
ガダルカナルの日本の戦死者数は8,500名で、米軍より16%多い程度。
その他に1万人以上の餓死·病死者を出しているのが悲惨なところですね。
バフムート陥落はもう確定的だから、先手を打ってあれは実は勝利なんだっていう勝利宣言ってところですかね。
ロシア大損害なのは周知の事実で、皆気にしてるのはウクライナの損害ってところだと思う。
一時期ウクライナ大本営発表が言ってた損害比率は1:10だとか言い出さないあたりまだ良心が残ってるんでしょうね。アメリカさんは。
結局噂の大反攻の進捗と結果で今までの言ってたことが嘘か真か判りそうなので、早期に始まるといいですね。
ウクライナは、損害比率は1:10は最大での話で平均だと、そこまで行かないと2度繰り返し注意してた気がする。
平均値は言わなかったような。
大本営かもしれないけど、雑な推計かもしれんとも思った。
NATOの推計(1:5)に近いと思いますよ。
ウクライナ軍の反撃でロシア軍はバフムートの一部陣地から撤退していますし、バフムートの制圧はまだ時間が掛かりそうです。
陸上自衛隊の現員が22/3/31時点で13万9千人だから
陸上自衛隊がほぼ全滅したようなものですか・・・
狂っているとしか思えない
日本だったら人の補充が間に合わなくて蹂躙されるしかないな…
技能を持った人々は国の宝なんだなって
日本の場合は各自治体が無防備都市宣言を施行するのが最適解でしょ
有事に自衛隊なんて当てにできないわ
占領されたら拷問と虐殺、欲望のままに蹂躙されるのに抵抗せずに受け入れるのですか?
ブチャやらの件を言ってるなら、あれは、市民側がロシア軍の動向をアプリ使ってウクライナ政府に報告したり抗議や火炎瓶投擲やらで無駄に兵を煽ったからでしょ?
レジスタンス紛いな反抗的対応をすればそりゃぶっ叩かれますわ
まぁ最初の一週間はロシア側も民間人に配慮してましたからね…結局その間に火炎瓶やら毒入り食料やらで大損害出して、排除する方向に切り替えましたが。
市民が抵抗してない占領地も虐殺&拷問されてるんだが
ブチャは最初に明るみになったから象徴的になってることもあって名前が良く出るけど、市民がもっと酷い虐殺された町は普通にあるぞ
というかほかならぬロシア人(モスクワ・サンクトペテルブルク以外)がウクライナに送り込まれてバタバタ死んでるんですよね
ロシアの戦争目的も最初はウクライナを併合してソ連軍再建でしたし
仮にウクライナが自ら抵抗せず、むしろロシアへの併合を望んだとしても、下層国民である「ウクライナ系ロシア人」はバルト三国かポーランドで戦死するはめになっていたでしょうね
甘いねえ、だったらロシアを賛える歌の作成を拒んだぐらいで命を奪われたり、弾除け代わりに動員されんだろうに。
結局、ロシアのような軍隊にとっては積極的協力をしない者(必要な時に生命財産を無制限に提供しない者)は、十分に反抗的な住民なんだよ。
>各自治体が無防備都市宣言を施行するのが最適解
そう思い込んでくれる人がこの戦争でめっきり少なくなってしまいましたなあ。
侵略者が他国民の生命財産を尊重してくれるはずがないことがわかっちゃいましたからねえ。
むしろ、無防備都市宣言の必要性がよりクローズアップされた戦争たと思いますけどね
一般市民を戦争に巻き込まない為に、市民側は極力占領軍へ対し極力友好的に接して行くべきでしょう
路上で占領軍の旗の一つでも振れば悲壮な虐殺を防げるのだから、簡単な話じゃないですか
その程度で生殺与奪の権を持っている侵略者が満足するわけがない、ってことがこの戦争であからさまにわかっちゃいましたからねえ。
やべーやつに絡まれちまったゾ…
攻め込まれたら抵抗せずに降参しましょうってことでしょ
そりゃ命「だけ」は助かる「かも知れない」けど
尊厳もへったくれもない昆虫ならまだしも
人間にとって尊厳の蹂躙は肉体的死に次ぐか同等のものゾ
ウクライナは早く降参すべきって勢力と言ってること同じゾ
酷い戦場だとは伝わって来てましたが
想像を絶する損害ですね
プリコジンもそら憔悴するわな
アフリカで暗躍した方が損耗なく儲かってコスパ良いだろう。
バフムト撤退言及は商売人としての願望かもね。
プリゴジンがこの戦争のおかげで相当羽振りがいいとの話もあるけれど、結局、大事な商売道具たる人間を消耗しているから長期的には損が大きい。
金があっても補充は限界がある
バフムトで失った戦力・兵器のうちわずかでもスーダンに持ってって暗躍していたら相当稼げたでしょうね。
今からでもそうしたいと思っているのでしょう。
ここしばらくの発言が裏付けてるしね
手持ち戦力がすり潰されてるのは、ロシアでの地位やら安全に直結するだろうし
バフムトを戦略上の要地とする人と、そうではないとする人と、
記事やコメントの中で色々な意見があったけれど、
結論が出るのはもう少し先でしょうか。
少なくも、ウクライナ側の反攻の様子を見ないと、でしょうか。
ある程度建物が無事で防衛拠点として利用でき鉄道などのインフラを早期に復旧して後方からの輸送拠点としても活用することが可能であればロシアにもメリットがある、という論調が多かったと記憶しています。
ただ、バフムト川の西側は主にロシア軍が、後半ではウクライナ軍も建物を破壊しながら戦いましたから現状でどの程度戦略的な価値があるのか不明ですね。
プーチンの国内向けプロパガンダとしては利用可能?なのかもしれませんが、ロシア人が良く知らない地方都市占拠の発表を聴いてどう思うのでしょうね。
ちょっと盛ってますが、プリゴジンが2万5300人失った(死亡)したと自ら発言しているので妥当な数だと思われます
プリゴジンの方が正しい可能性もありますしね。
アメリカの数値はあくまで推計ですし。
戦力を集中できないのは政治的な理由なんだろうか。
全戦線で中途半端な攻勢を繰り返してるのは本当に謎だ。
これ以上は、すでに占領してる所を失うことがロシア政治的に難しいでしょうね
だとすると、政治的には妥当な戦力配分なんじゃないかと
ロシア正規兵を消耗したら追加動員せなきゃならんから選挙を控えるプーにしてはそれは絶対に避けたいという政治的理由だろうね。
だからDPR/LPR軍とワグネルを矢面に立たせて正規軍はサポートに徹するという。
彼らは武器弾薬をよこせと文句は言うが援軍をよこせとは言わない。
血を流すことには不満はないからね。むしろロシア正規軍の援軍が来て戦果を横取りされるのを嫌う。
軍としては攻勢に備えて南部に集中したいものの、プーチンのドンバス開放命令も無視できないという結果じゃないでしょうか。
ペンタゴンの弾き出した死傷者数の予測が正しいと前提に置くなら、ガダルカナルは単純に日本・連合軍足しても43000人の死傷者。ロシアは約10万人って…。
両軍足しての数字越してるんよ。人の心とかないんか?
人の心を棄てないと戦争はやれないという堅い決意、プーチンが戦国大名のように見える
元から囚人兵なんて人間として数えていないのだろう
バフムトだけでこれだけですからね
ヴフレダルやアウディイウカ方面でも大きな損害を受けているのが確認されていますし
かなりの戦力を投入しながら前進が阻止されたクレミンナ方面でもやはり相応の損害を受けていると想像できます
ここで死んだ人達ってここで死ぬために生きてきたの?
何のために殺し合いしてるの
侵略命令出してる人だけ殺せば数人で済むのに
あほらし
それがロシアという土地に生まれた者の運命。
ロシア人の命は肥料並みの価値しかない。
それがロシア。
私たち日本人もその心境に至るまでに戦後何年かかったでしょうね。
いまでも中露を信望するご老人が居ることを考えるとまだ道半ばかもしれません。
ソ連崩壊からたったの30年では「死にたくないがお国のために欧米と戦う」という考えが根強いのでしょう。それでも徴兵を逃れて国外脱出した若者もいるのでプーチン政権が瓦解した後に彼らがロシアへ戻って西側のイデオロギーを浸透させてくれることに期待しています。
プーチン大統領は母親の会に対してどうせ人間は死ぬのだから死ぬ場所と瞬間は私が決めてやると言い放ちました。なので、自分の周りを守る者達でなければ犠牲の数等はどうでも良いのかと…そして、その犠牲が大きくなると思ったから前もってワグネルやカディロフツィや現地兵は正規兵ではないとして、カウント外にしようともしてたのです。
しかし、バフムト攻勢の本来の目標はウクライナの体制が整う前にドンバスを貫く事でしたので、今の市街地争奪戦はその失敗を誤魔化す為の目標の付け替えでしょうね。だからプリゴジン氏はもうバフムトから手を引きたいとか、今後の責任は取らないと言ってるのでしょう。
主攻がワグネル担当で、死傷5万
これはまあわからんでもない
合計死傷者10万なら助攻のロシア軍も死傷5万となってしまう
助攻で同程度の死傷、こっちは直観的には過大計上に思えるが…?
ロシア政府は召集令状を徴兵対象者のスマホに送付することを始めたと報道されました。送付時点で本人が令状を受け取ったと見做すそうです。指定期日に出頭しなければ徴兵拒否扱いとなります。
兵士の損失が無視できないレベルな証かもしれません。
この報道ですがその後修正があり、バフムートではなく全ての戦域での被害を合計したものとのことです。
リンク
ミリーが昨年の11月9日に露軍の死傷者10万超 ウクライナも同じ水準 っと言ってたから露軍の死傷者は累計20万ぐらい・・・と言いたいのかな?
流出した機密文書の数字と同じになりますね(
死傷者189,500~220,300人のうち戦死者35,500~43,000人)。
ロシアの負傷兵は5割近くが確実に死に絶えるらしいから
1か月で7万人強は死んだことになる、下手したら10万弱が既に死んでても全くおかしくない
>ロシアの負傷兵は5割近くが確実に死に絶えるらしいから
何処の情報でしょうか?
にわかには信じられないのですが。
ワグネルチャレンジの刑務所にいた人たちはともかく、DPR/LPR軍の兵士はロシアに酷い扱いを何年もされ続けても命令に従ってウクライナ軍と戦い続けるのか?
それともまともな人らはドンパスからとっくに逃げてて今のDPR/LPR軍は頭Zな兵士ばっかなのか
ロシア側の戦い方が損害度外視な人海波状攻撃による耕しだったので…それを5ヶ月も繰り返したらそりゃまあそうなるだろうなと。むしろあんな戦い方をしてて数千人しか死傷者がでないなんていう大本営発表を信じれる方がちょっと…数週間くらいで超えちゃうでしょそんなの。それと忘れられやすいけど、市街地だけじゃなくて包囲してる周辺も入るからね。ロシアは市街地は包囲してるけど、無理矢理包囲を維持してる側では逆に包囲されてるし、都市を包囲するエリアを維持しなきゃならない側でもある。そりゃ楽ではないでしょう。
元ネタのロイターみたら
WASHINGTON, May 1 (Reuters) – The White House on Monday estimated that Russia’s military has suffered 100,000 casualties in the last five months in fighting in the Bakhmut region and other areas of Ukraine.
なのでホワイトハウスはウクライナのバフムート他でロシア軍はこの5か月間に10万の死傷者を出したと推定してる となるので10万の死傷者はウクライナへの侵攻全体でこの5か月に出たと推定してる数字で「バフムート地域だけで10万」というのは誤訳でないかと
ちゃんと文末に、表現が修正されたって書いてるがな
よく言われる経験則が死者の比率が3割強ですから現代の正規戦で2割の推計が出たのは何が起きてるか考える上で貴重です。
ただ負傷者が丸々リタイアしたのではなく何割かは復帰しているので戦前の地上兵力28万人+動員30万+PMC等諸々が投入されて宇側による直近の露運用中兵力推計が約36.9万人との事なのでリトレーニング中や退役、後方勤務を加味すれば時折出てくる荒唐無稽な損害比の数字は弾けるかな、と。
長大な戦線に対して両軍兵力が足りていないため開戦後しばらくの失敗や急場凌ぐための無茶な投入はあったにしろ数字として出すとそこまで異常な戦闘やってるようには思えないんですよね、経験豊富な下士官の消耗など数字に現れない部分の指摘もあるので質的な変化はあrのでしょうけど。
ロシアは侵攻側にも関わらず人員有利のウクライナによる消耗戦に付き合うのを露骨に嫌がっています。ウクライナもロシアも基本的に人命軽視の作戦を強行しがちで相性が最悪なのが、現場の兵士にとっては気の毒なことです。