ウクライナ戦況

元豪陸軍少将、ロシア軍の防衛ラインは過去80年間の中で最も複雑で致命的

Economist紙は30日「ウクライナの南進は始まったばかりで、まだ戦いの流れを変えるような結果には結びついていない」と指摘、元オーストラリア陸軍少将のミック・ライアン氏もロシア軍の防衛ラインについて「過去80年間の戦いの中で最も複雑で致命的だ」と述べている。

参考:The jury is still out on Ukraine’s big push south

ウクライナ軍がやろうとしていることはロシア軍を真っ二つに引き裂くこと

西側当局者やディフェンスメディアは4月段階で「ウクライナ軍の反攻作戦は困難なものになる」と何度も指摘していたが、ロシア軍のインフラ攻撃で散々痛めつけられ、ワグネルに押し切られる形でバフムートを失い、4月頃に始まると噂されていた反攻作戦も始まらず、6月上旬に始まった待望の反攻作戦に「レオパルト2がT-90をやっつける様子」「ロシア軍兵士が無惨に敗走する様子」「次々と占領された街や都市が解放される様子」を少しも期待してないかったと言うのは嘘になる。

出典:Ministry of Defence of Ukraine

簡単に言えば「快進撃を見せたハルキウ反撃」の再現を世論は期待していたのだが、この2ヶ月間で目にした成功は「ささやかなもの」と言わざるを得ず、これを「予想通り」と受け止めるか「反攻の失敗」と受け止めるかは人によって様々だろう。

Economist紙は30日「ウクライナの南進は始まったばかりで、まだ戦いの流れを変えるような結果には結びついていない」と指摘し、元オーストラリア陸軍少将のミック・ライアン氏もロシア軍が構築した防衛ラインについて「過去80年間の戦いの中で最も複雑で致命的だ」と述べている。

出典:管理人作成

ライアン氏は「ウクライナ軍が南部戦線でやろうとしていることは占領されたメリトポリとベルジャンシクまで南下し、ロシア軍を真っ二つに引き裂いてロシアとクリミアを結ぶ陸橋を断ち切ることだが、これがとてつもなく難しい。ウクライナ軍の進む先には何百万個の地雷、戦場を監視するドローン、徘徊型弾薬のランセット、ウクライナ軍のドローンを無力化してくるジャミング、長距離ロケット弾、攻撃ヘリという最悪の組み合わせが待ち構えており、地雷を撤去しても航空機や大砲で直ぐに地雷を再散布してくる。これを突破するには最高レベルの諸兵科連合作戦スキルが必要だ」と指摘。

7月始めに前線を視察してきた軍事アナリストのマイケル・コフマン氏も「陸上戦における防衛ラインの突破プロセスや技術は30年ほど何も進化しておらず、航空優勢の恩恵を享受しているNATO軍でもロシア軍の防衛ラインを克服するのに苦労するだろう」と述べたが、ウクライナ軍関係者は現状に絶望しておらず「これを何としても打ち破る必要がある」と言っている。

出典:3-тя окрема штурмова бригада

ウクライナ軍関係者は「我々が採用してきた消耗戦術のおかげて防衛ラインの後ろに潜むロシア軍の兵力は明らかに減っている。150人編成の中隊は20人~30人程度、500人~600人編成の大隊は200人~250人程度まで規模が縮小しており、防衛ラインを突破して先に進むことができればロシア軍は追加の戦力を見つけるのが難しくなるだろう」と述べており、これは「効果的な防衛ラインを一度失えば、力の均衡が崩れて戦場に大きな変化をもたらす可能性がある」という意味だろう。

ただロシア軍も反攻作戦に前のめりになるウクライナ軍の隙を狙っており、Economist紙は「両陣営とも全長1,000kmに及ぶ戦線で相手の脆弱な部分を常に探っている。ウクライナ軍は廃墟になったバフムートの南で前進を遂げているが、ロシア軍も同じように併合を宣言したヘルソン、ドネツク、ルハンシクの支配地域を広げる望みを捨てておらず、特にリマン、スバトボ、クピャンスク方面は混戦模様だ。今のところ前線は血みどろの押し合いで双方とも大きな成功を手にしていない」と指摘したが、ウクライナ軍の士気は「依然として高く保たれている」と付け加えている。

出典:Forsvaret

最も困難な状況を理解しているウクライナ人が困難な反攻作戦の成功を諦めていないのだから、過去80年間の中で最も複雑で致命的だという防衛ラインの突破をウクライナ軍はやり遂げるかもしれないし、本格的で大規模な陸上戦を目にするのは今回が初めてなので「何が起こるか」は予想もつかない。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • 航空太郎
    • 2023年 8月 01日

    これほど広域かつ、迅速に索敵し、発見した敵が動く前に攻撃を叩き込むような戦線は、確かに過去に存在していなかったと思う。これを突き破らんとするウクライナ軍の工夫、努力は頭が下がる思いだ。

    記事内でライアン氏が語ってるように、多分、米軍のように一ヶ月の徹底した空爆による敵の孤立化及び連携の寸断と、そこからの圧倒的な戦力による蹂躙戦ができれば、ロシア軍の防衛ラインを突破することは可能と思うけど、それは米軍だからできる話で、それ以外の勢力で、なおかつ今の縛り条件がある中では、誰がやっても地道に薄皮を剥ぐような戦いを延々とやっていくしかないんだと思う。

    がんばれ、ウクライナ軍。消耗戦術を続けるのは正しい選択だ。削った分だけ未来の負担へ減るのだから……。

    60
      • 拓也さん
      • 2023年 8月 01日

      「未来の負担が減る」かあ…。あまりに削られ過ぎて復興の原動力である人材がいなくなってしまう可能性もあるからなあ。 ウクライナとしても最善の道を尽くしているとは思うが、とにかく少ない犠牲で達成出来ることを祈るばかり。

      43
        • たむごん
        • 2023年 8月 01日

        拓也さんの仰る通り、自分も未来の人材がいなくなっている事を懸念しています。

        ウクライナ兵を見ていると、前線部隊は、若い人がやはり多いですね。(白髪交じりは、ほぼ見かけません)
        いつの時代も戦争は、未来を担う人材から兵士として犠牲になるものだと、何とも言えない気持ちになります。

        ウクライナ避難民も、過半数がウクライナ帰国を望まないという調査も出ていますね。

        21
        • ak
        • 2023年 8月 01日

        トピックから離れているので、本来余り多くを書き込むべきではないのですが。
        人的資源の点ではウクライナは、もうとっくに損益分岐点を超えて復興不可能になっていると見ても良いと思います。

        つまりフランス同様に移民するしかないのですが、復興資金目当てのハイエナは入り込んでも「愛国心溢れる若者」なんてのを期待できるかは、
        そもそも国民意識が希薄な、日本の戦国時代の地域土豪支配が集まった社会みたいな国(アフリカの諸国みたいなもの)で、しかもウクライナ語が話せないロシア系住民が人口の4割近く居た事例も有って、到底無理なんじゃ無いかと想像します。

        29
          • kitty
          • 2023年 8月 01日

          まあ、フランスなら移民したいって人間は山ほどいるでしょうが、下手すりゃ、第二次宇露戦争が起こった日にゃあ、真っ先に最前線に送られるような地政学的にヤバイ国に移住したいなんて外国人はいないでしょう…。

          25
          • NHG
          • 2023年 8月 01日

          出生率次第じゃないかな
          日本はWW2後に家族と引き離されてた兵士が一気に戻ったことにより堰を切ったように子供が増えたから、指導者が将来の展望をうまく示すことができたら人口ピラミッドは改善されそうな気がする(死んだ人が生き返るって意味じゃなく子供が増える。あくまでうまくいけば)

          あとロシアとの戦争により、ウクライナ人に国民意識が強烈に芽生えているとはよく聞きます

          9
        • a
        • 2023年 8月 01日

        最近でもキルレ1:7とかウクライナが言ってるから、大丈夫なんじゃないの。
        ウクライナ発表のキルレはウソとか言っている人たちは何の証拠も持ってないみたいだし。
        ベトナムベビーキラーやニクソンディープスロート事件で自国を刺した、アメリカメディアも追認しているくらいだし。

          •  
          • 2023年 8月 01日

          それはもはや詐欺師の論調に近いのでは?
          アメリカメディアが過去にベビーキラーやディープスロート事件で自国を批判しているからと言って、今回も本当に違いないなんて確証はどこにもないわけですし
          無論ウクライナの本当のキルレなんて私も分かりませんよ?
          遠く離れた国の戦争の情報なんてバイアスや操作にまみれた粗悪品だらけなんですから

          19
          • 鼻毛
          • 2023年 8月 01日

          今年2月のNHKの記事によるとウクライナ兵士13000人、市民7000人が死亡、この3倍くらいが負傷して障害者になっているとしても10万人も行ってないんですよね。これは多いのか少ないのか…

          第二次世界大戦で日本人は総人口7200万人のうち230万人が亡くなっています。めちゃくちゃ雑な単純計算ですが人口4000万人のウクライナはあと10倍くらい死者が出てやっと戦後焼け野原の日本と同じくらいになります

          6
          • コンビニ
          • 2023年 8月 01日

          未だにロシア軍を排除出来ないゼレンスキーは無能だと言っているものだと思っていますソレ

          4
      • BBQ
      • 2023年 8月 01日

      少なくとも削れば削るだけ日本の未来の負担は減るのですから、ウクライナ兵には頑張ってもらいたいものです。

      17
        • 2023年 8月 01日

        日本としては本来太平洋に使われるべきアメリカの予算が
        ウクライナに浪費されている状況だけどな
        物価もやばいしな
        これ以上の戦争は許せない
        全国民でモスクワまで特攻してもらいたい

        18
        • aaaa
        • 2023年 8月 01日

        自分の手は汚さねえってか。小賢しいね。

        4
    • たむごん
    • 2023年 8月 01日

    戦争初期、反攻初期が、弾薬装備・部隊の準備しているため、突破力が最もあると言われます。

    ウクライナ軍の南部攻勢から、かなりの時間が経過しており、部隊の余力がどの程度残っているのか気になっています。
    ウクライナ軍の予備部隊投入の報道を、戦線拡大に成功と捉えるのか、攻勢が上手くいってないと捉えるのか。(自分は後者です)

    上級国民の利権を守るために、誰も死にたくはありません。
    上層部は勇ましい発言だけで、血を流すわけではないのでよいのでしょうが、前線歩兵は困難な地帯に突撃させられて不憫に感じます。

    上級国民の家族が、戦場で戦死していれば、士気をあげるために英雄として報道する事は昔からよくある話です。
    ウクライナ戦争で、政治家など上級国民の家族が、戦場で死亡した事どなたかご存じでしょうか?

    ウクライナ兵の待遇、特に負傷兵・後送兵はどのような生活になっているのか、大手マスコミは報道していませんが気になっています。
    ウクライナの外国人部隊、日本人傭兵がSNSで酷い待遇を訴えていたものは拝見しました(ロシア兵の待遇の酷さは、既に有名ですね)

    エリート層と家族は、戦争になっても日常生活を国内外で継続でき、お金のない市民が血を流すことがSNSなどで目に見える時代になりましたね。
    当然の事なのかもしれませんが、戦時中の安全地帯で、汚職に励むエリート層の記事を見かけると何とも言えない気分になります。

    33
      • 名無し
      • 2023年 8月 01日

      こんなことはさっさとやめたいと思ってるんでしょうけどね。
      ロシアも今は一旦やめたいかもしれませんが、、
      チェチェンは停戦した後に難癖つけて再侵攻したので、停戦の話は誰も信じないでしょうねぇ・・

      15
      • アイスノン
      • 2023年 8月 01日

      ご主旨は理解いたしますが、それも自身は海外にいる他国民だから言える綺麗事という面もあるのでは。

      日本は終戦でほぼ米軍に占領された形になり、慰安所を設けること等もあり非人道的な扱いは限定的なまま、朝鮮戦争を経て戦後復興につながり、敗戦国の日本と戦勝国の米国は基本的に良好な関係で来られた。
      だから戦わずに降伏するなり戦わずに土地とそこの住民をロシアに譲渡すれば上手く行く的なイメージを持つ方も出ると思う。

      でも日本でも降伏後に旧ソ連に参戦され(対日参戦)、日本人も非人道的な扱いをされたし、シベリア抑留もされ大きな損失を被った。仮にGHQを指揮するのが旧ソ連だったらかなり異なる敗戦観になるのでは?

      ウクライナでもブチャの虐殺や子供の大量連れ去りが起きている。
      しかもロシアは東部占領を企図した訳ではなく、もともとキーウを含め全土を攻撃してきている。
      これでウクライナがいまの被占領地を放棄すればロシアは満足してそれで収まるのか。
      あるいはウクライナが低姿勢に出れば増長してさらに欲を出すのか。実際2014年のクリミア併合で満足せずに今回になったのも事実。

      結局、ウクライナで多くの犠牲者が出ていて戦争を止めさせてあげたいのはヤマヤマだけど、誰もロシアをコントロールしきれない以上はウクライナ政府を批判しても仕方ないのでは。
      あなたの言い分を突き詰めると、ウクライナ政府は戦争を止めるために(ロシアが望むなら)ウクライナ全土をロシアに譲渡すべきで住民をロシア人にすることもロシアの自由ってことになるのでは。

      そもそもで言うと、1994年のブダペスト覚書で、ウクライナらが核を放棄し核不拡散条約に加盟するに際し、米英露が主権と国境の尊重、武力行使を控えるといった安全保障を合意していたのにこうなった経緯もある。

      39
        • たむごん
        • 2023年 8月 01日

        アイスノンさんの仰る趣旨は、もちろん理解できます。

        仰る通り、エリート層の1994年の核放棄も失敗ですし、日本の被害も終戦を1年早く決断すれば違ったものになります(1945年に沖縄・硫黄島、本土空襲・原爆・満州侵攻だからです)。

        ウクライナ市民も、EU支持対ロシア強硬をウクライナ指導部に求めましたが、隣国に訳の分からない国があると外交は難しいですね。
        エリート層がミスすると、庶民は生活のために甚大な血を流すという話でした(エリート層は権力と金力ありますからね)

        日本も、核保有や核シェアリングもないため、他人事ではなく危機感があります。
        通常弾薬すら1週間程度しかないですからね。

        6
          • 古銭
          • 2023年 8月 01日

          あくまでウクライナの核放棄についての話となりますが、当時のウクライナの状況を考慮すればクチマ政権のやったことを失敗扱いするのは非常に酷だと思います。

          ロシアに侵略を受けた今でこそ西側の自由経済・民主主義国家扱いを受けていますが、当時のウクライナは世界三位の核保有・東側国家として警戒の対象でした。
          前任者であるクラフチュク元大統領の無計画な反露及び経済政策は国内を疲弊させ、西側へ近付こうとする努力も中途半端なもの。対露は勿論、対西側への抑止力でもあった肝心要の核戦力でさえも、廃棄時にはロシアの設備を借りないといけない状態です。当然、持っているだけで睨まれ続けます。
          このような状況でろくに身を切らずに利益だけを享受するというのは、ソ連復活でもしない限り難しいのではないでしょうか。

          国家の維持さえ可能なら大きな北朝鮮になることが正解、と決断するのは難しいと思います。
          まあクチマ政権でないとそうなっていた可能性は割とありますが……

          12
    • ak
    • 2023年 8月 01日

    まあありていに言ってしまえば「もはやプロパガンダ以外には言う事(ニュース)が無いレベルにまで、前線が停滞している」って事だけど。

    停滞したままの時間が味方してくれるのは、果たしてどっちサイドなんだろうねぇ?

    42
    • ポンポコ
    • 2023年 8月 01日

    南部のロシア軍の防御陣地の堅さと兵力不足の弱点はその通りだと思う。ウクライナ軍は、南部は航空優勢または火力優勢のどちらかがないと難しいと思う。

    そのため、バフムト方面に再び力をいれ始め、その中でもとれそうなクリシチュウカに多数の旅団を投入している。

    ウクライナ軍は、南部の再攻撃も含め、短期的な戦果を求めているような気配もある。しかし、ウクライナ軍は、多少の戦果を得たとしても、兵士の損失が大きすぎるのではないか。

    南部の総攻撃の場合は、外国で訓練した貴重な部隊だから、まだ損失をさけている。しかし、バフムト南方のクリシチュウカなどは、投入されている歩兵や警察官の旅団などかなり無理な人海戦術を続けている。

    流出人口の算定により、大きく変わってくるが、ウクライナの動員は、10%に達してないにしても、すでに人口の数%を越えているのではないか。かなり強引な動員がいつまで続けられるか。

    14
      • 古銭
      • 2023年 8月 01日

      言い方は悪いですが、主に東部からの生活基盤再建が果たせていない避難民がいる内はどうとでもなるのでは。
      国内避難民は最盛期には約1000万程存在するとされていました。去年と比べるとUNHCR等による国内避難民への言及は減っていますし、報告する組織によって百万単位で違うことも珍しくない不確かな情報ですが、極端なものを除けば少ない推定でも500万はいるそうです。その全てが徴兵対象者でないとはいえ、100万を割ることはないように思えます。

      確かBBCの去年の記事でしたが、民衆間で東部避難民の徴兵対象者情報の密告が増加しているとのことでした。もしそれが真実かつ今も続いているのであれば、原因は正義感のみではないでしょう。
      近頃は各地での強引な徴兵が騒がれがちですが、状況が厳しくなった際に西部の人々と政府の思惑が奇妙な形で一致してしまうようなこともあるのかもしれません。

      10
        • ポンポコ
        • 2023年 8月 01日

        冷静なご意見ありがとうございます。
        国外避難民は言われているより多そうです。

        例えば、ロシアやロシア占領地に避難しているウクライナ人はロシア側の発表では1000万とか、西側の発表では300万とかですが、数百万はいると思います。ロシア占領地では徴兵できませんしね。

        西側にも避難民は多く、今も流出が続いていますが、成年男子の出国は禁止されています。また、国外にいた出稼ぎ労働者には帰国勧告がされています。

        国内避難民については、おっしゃる通りで、戦場が東側から近づいてきた時に、避難民が出ましたが、国内避難民は徴兵しています。だから、国内避難民は徴兵可能人口ですね。

        例えば、マリウポリ方面の避難民は彼らだけで旅団を編成し、バフムト方面で壊滅しています。そのバフムトのすぐ西側にチヤシウヤールという街がありますが、そこで小さな子どものいる男性が、「避難して検問でひっかかって徴兵されたら、子どもと離れ離れになるから避難できない」と語っていました。

        ただ、ウクライナでは、200万くらい動員されていると思うので・・・。

        7
          • 古銭
          • 2023年 8月 01日

          確かに国外避難民は徴兵対象者として見るのは難しいでしょうね。出国条件が年齢性別病気等での徴兵対象外、三人以上の子供を扶養している、その他特例ぐらいなので。
          最盛期は1000万とも1200万とも言われ、今は600万強とされていますが、こちらは軍事ではなく経済及び国家運営の観点で見るべき情報になりそうです。開戦直後の時点で避難民のEUへのパスは無条件で最低1年、最長では3年となっていましたが、1年半後にはどうなっているのやら。

          出稼ぎ労働者は開戦前だと400万ほどいると言われていたでしょうか。去年の夏頃にはその内から自発的な帰国者が半数などというニュースも見かけましたが、正直なところ信用しきれません。
          全員が徴兵対象者でないにしても、それだけの数がいれば国内志願分も含めて強引な徴兵問題が起きることなどあり得ませんし、EU圏で生活していける人々が? というのもありますね。

          国内避難民及び帰国した国外避難民で生活基盤が再建出来ていない人々は、やはり言い方が悪いですが戦時には国家の負担かつ不安要素になりがちです。
          徴兵可能というより、徴兵しておかないといけない人々になってしまう可能性がある以上、やはり兵力的にはまだまだ問題ないと個人的には考えています。

          4
    • 1.44スキー
    • 2023年 8月 01日

    俺に出来ることは黙って戦況見守る事とオヤジギャグを少し言うしかできん。

    少しずつでも元の土地を取り戻し、露軍を追い出していければいずれは、ある程度元には戻るだろう。
    武運長久を祈る。

    15
    • 2023年 8月 01日

    ロシア軍が致命的ミスをしてそこにウクライナ軍が付け込まない限りウクライナの勝ちはほぼないかな。
    ただそういうあり得ない凡ミスをするのがロシア軍でもあるから予想が難しいところではある。

    4
    • n
    • 2023年 8月 01日

    上級国民と下級国民というより、過半数を民意とする51:49の問題だと思いますけどね
    人口 4159万人(2021年 国家統計局)
    継戦派2121万 和平派2038万人 この場合過半数の継戦が民意となり、2038万人は望まない戦争を続けることになる
    和平派2121万 継戦派2038万人 この場合過半数の降伏が民意となり、2038万人は望まない占領統治を受け入れることになる
    継戦派と和平派ではなく、親欧米派と親露派でもいいです
    4159万人のうち2038万人という半数近い人々が望まない結果になるのが民主主義の過半数を民意とするシステム

    実際には51:49ではなく50.1:49.9とかもっと小数点が多いかもしれない。または9:1や99:1かもしれない
    9:1でも国民の1割の415万人が望まない結果になるんですよ
    望まない戦争に無理矢理動員されるってのは、100:0でもない限り発生してしまうしまう現象
    そして100:0はまず有り得ない
    ウクライナの和平(降伏)派が過半数を超えるまでは上級国民の押し付けではなく民意
    和平派が過半数を超えた場合に、継戦派がそれに従うのも上級国民の押し付けではなく民意

    良心的兵役拒否の法制化を求めなかったのが戦争反対派のウクライナ国民の失敗ですね
    51:49で49側になってしまった場合に回避する方法は良心的兵役拒否しかない

    4
      •  
      • 2023年 8月 01日

      51:49に拘っていますが正直そこの数字は気にする必要はないと思います
      なぜなら和平なり降伏なりを決めるのは政府であって、国民投票で決めることでは無いからです
      例え全国民の6割が和平派だとしても政府が和平を望まなければ戦争は続きます
      仮に国民投票を行ったところで投票できない国民や地方格差、裏工作などの問題が出てくるでしょう
      そしてこれはウクライナとロシア両者に共通する問題です

      5
        • n
        • 2023年 8月 01日

        51:49にこだわってるというより上のほうで大多数の普通のウクライナ人は和平を望んでるのに、
        安全な場所にいる政府や軍の上級国民が無理やり戦わせてるというニュアンスのコメントをしている人が何人かいるのでそれに対する反論ですね

        そう考える根拠が、ここでも記事になった強引な動員が続出してる=動員に反対してる人がいっぱいいるじゃないですかってことみたいですからその否定
        例え1%しか停戦を望む人がいなくても41万人、男性に限ってその半数でも20万いるのだから動員反対者続出として記事にできるくらいの数にはなるでしょう
        10%なら男性だけで200万人以上ですよ。少数派だけど全然少数じゃない
        少数派の意見も反映するのが真の民主主義とかいわれそうですが、戦争を継続するか降伏するかで少数派の意見の反映は難しいですよ

        戦前の日本でも、何もせずに領土を手放すなんて日清や日露で戦った英霊に申し訳ないって戦争を望む国民が多数派で、アメリカと戦争するくらいなら領土手放せという国民は少数派でしたが今のウクライナもそれと変わらないんじゃないですかね
        降伏する場合についてもウクライナは玉音放送がないから大変かもしれない
        ウクライナ政府が降伏を決めても反ロシアの継戦派の国民が従うかどうか
        最近停戦した例として、ここの記事では英断というコメントが多かったパシニャンへのアルメニア国民の扱いは最悪ですからね

        3
    • ななし
    • 2023年 8月 01日

    戦局が動くとしたら、損耗と補給のバランスが致命的な水準に達してどこかの戦線が破綻した時でしょうか。
    Oryxでカウントされている分だけ見ても、ロシア側の戦車や装甲車両自走砲の損失は既に耐えがたい水準に達しており、かといって西側諸国からの供給に頼りきりのウクライナ側も全く余裕はなく綱渡りなのは間違いないので、どっちの陣営が先に限界を迎えるのかは分かりませんが。
    ウクライナは南部戦線の初動で失敗した後にロシアの重砲類を重点的に削る方向にシフトしたようですが、これはボディーブローで少しずつ削ることを選択したという事になるので、亀の歩みのようなじわじわとした進み方になりそう。
    まあクピャンスク、イジューム、リマンがロシアに落とされて一番きつかった時期に比べると状況ははるかに改善していますし…

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