ロシア人は「道路を走行する車輌」を無人機の攻撃から保護するため電信柱にカモフラージュネットを設置したが、ウクライナ人は「目標への衝突コースに角度をつけることでカモフラージュネットを回避する様子」を公開して注目を集めている。
参考:Russia Hanging Nets Between Lamp Posts To Counter FPV Drones
ロシア軍はカモフラージュネットを道路上の電信柱に設置、ウクライナ軍は衝突コースに角度をつけることで回避
ロシア軍による侵攻を受けてウクライナは2022年夏に量産可能なFPVドローン(First Person View=一人称視点タイプの無人機のこと)開発に着手、地上の固定及び移動目標を攻撃するため開発された「KH-S7」は海外製のコンポーネントと3Dプリンターで印刷された部品で構成され、1kgの爆発物を搭載して「7km先の目標(条件によっては9.5km先の目標まで届くらしい)」まで飛行でき、現地のディフェンスメディアは「実戦で使用した兵士の評判も上々だ」と報じている。
The best delivery service ever.
FPV drones of the joint tactical group “Adam” deliver gifts to the occupiers directly to their dugouts. pic.twitter.com/tolEAP3kGK— Defense of Ukraine (@DefenceU) September 24, 2023
この結果を受けてウクライナ軍は「KH-S7の作戦使用を正式に承認した」と9月7日に発表、25日に「森の中にあるロシア軍陣地を自爆型ドローン(KH-S7を使用したものかは不明)で襲撃する映像」を公開し、海外のディフェンスメディアも「FPVドローンが森の中を木々を避けるように飛行してカモフラージュされた陣地を攻撃する様子」に大きな関心を示しているが、今度はロシア側からFPVドローンから身を守るための取り組みが見つかった。
本ブログでも「ウクライナ軍がバフムート周辺の道路を走行するロシア軍車輌をFPVタイプの自爆型ドローンで攻撃する様子」を沢山紹介してきたが、この被害を抑制するためロシア軍はバフムート近郊の電信柱にカモフラージュネットを設置している様子が確認され、この映像を投稿したロシア人(TF SURICATS)は「ウクライナ軍のドローンは道路を走行する車輌を前後から攻撃するため、このカモフラージュネットはそのような攻撃を防ぐに役立つ」と指摘し、視認性の面からカモフラージュネットではなく釣り糸で出来たネットのほうが「より効果的だ」とも付け加えている。
Counter-FPV drone netting along Russian positions around Bakhmut – “during an FPV final run, it often follows existing roads to strike vehicles, hence the nets. You can see in the video several drones were caught in such nets before.” https://t.co/xtclBf0Rsi pic.twitter.com/oyWXdcPupj
— Samuel Bendett (@sambendett) September 25, 2023
投稿された映像には破損したカモフラージュネットも映っているため「複数の攻撃を実際に防いでいる可能性」を示唆していたが、直ぐにウクライナ側から新たな映像が投稿され、このカモフラージュネットを回避するシンプルなアプローチが披露された。
ウクライナ人のドローン操縦者は「目標への衝突コース」に角度をつけることでカモフラージュネットの妨害を回避しており、現状の対策ではドローン攻撃を抑制する効果が低いものの、ロシア人が提案した「釣り糸で出来たネット=透明なネットという意味」や「ネットでカバーする範囲を増やす」といった対策を行えば異なる結果が得られるかもしれない。
⚡️This morning there was a video with anti-drone nets hanging Wagner above the road near Bakhmut, and already in the evening a video testing their effectiveness 😉 pic.twitter.com/eGXVbfsrJ1
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) September 25, 2023
ただ道路の全てをネットで囲うというのは実現性が乏しいため、ロシア軍が戦車や装甲車輌に採用している「サンフール」の適用拡大が最も手っ取り早いが、これは見た目の威厳とトレードオフの関係にあるため(個人的には)正直見たくない可能性だ。
追記:昨夜から本日午前まで本ブログに繋がらなかったのはサーバーの障害が原因(今月3回目)です。
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※アイキャッチ画像の出典:X(旧Twitter)経由のスクリーンショット
効果的かつ十分な数を用意出来る対策が誕生するまで双方が行うであろうDIY味のある試行錯誤は、不謹慎ではありますが見ていて楽しいのが困るところです。
どことは言わんが独裁国家からサイバー攻撃を受けた可能性が微粒子レベルで…?
コメ欄に居る役に立たないネット工作員たちにプッツンしちゃたんだな、と妄想してみたり
反革命的な発言をした諸氏には「医者」を派遣しておいたゾ
何事かと心配しましたが、
ご無事で良かった。
これやられる方は単純な小銃での撃墜が難しいとしても、
警察とかで捕り物にも使われるネットランチャーの
改良版とかでなんとかならないかなぁ。
サイズや重量や速度込みの運動エネルギーも、
対人捕縛用の強化改良で20~30メートル先で絡め取れるなら、
多分歩兵でも無傷で居られるかも?
戦闘車輌なんかだと自動化したランチャーで、
クアッドコプタータイプならかなり防げそう?
ミサイルみたいな勢いで突っ込んで来る本格的な突進力のある奴は、
無理かな・・・。
SF銃のような形状のアンチドローンデバイス「ND-BD003」なら、有効射程も長く(有効射程1km、上下左右±20度に効果)ジャミングできるので、移動中の装甲車両に同デバイスを持たせて、ドローンを視認したら迎撃させる、とかならすぐできそうな気もしますけど、公開されている記事を見てると、ジャミングでドローン無効化しました、的なのって殆ど見かけないですよね。ジャミング対策が進んだんでしょうか?
撃墜されたのは映像も残せんのでは
気になるのはドローンの歩留まり
何機投入して任務成功率はどの程度なのか
はっきりと視認できるカモフラージュネットを吊るしてもあまり意味はなく、霞網みたいな透明なネットでないと効果が薄いのでしょう。
カモフラージュネットで突入コースを制限して透明なネットで絡めとるといった複合的な防御ならそれなりに効果ありそうですが、前線拠点の場合下手にこうやって防御ネットを張り巡らせると近くに防御価値のある拠点があると自分から曝け出すようなものなので、割と対処が難しいですね。
軍事基地とかもそのうちゴルフ練習場みたいなネットに覆われる日が来るのでしょうか。
いっそ、戦車ごとステルスネット(光学迷彩)で覆ってみたら?
昔話によく出る布みたいなもので。
ここはウクライナ戦争を唯一詳しく解説しているブログだから新露派のハッカーから嫌がらせ目的で攻撃されている可能性が無きにしもあらずなんだよなぁ
あとドローン対策だけど周囲を監視するドローンを複数乗っけた車両を随伴させて常時防護対象の頭上を警戒させとくとかどうだろうか?
確かに釣り針とかはドローンの中継映像では認識出来なそうですし有効な気がします
運が良ければ鳥が引っ掛かってメニューに一品加えられることも…?
とはいえ基本的にはやはり攻撃地点とタイミングを任意で選べる攻撃側が優位であり、何かしらのカウンタードローン装備が普及するまでは両軍ともに被害が出続けるんでしょうね
ゲームだドローンを使った走行車両への攻撃はありふれてるので、
これと同じ様な攻撃戦術も見かけた記憶あるかも
これは後方から追いかけてるけど、前方上空からでもいいですし、ネットより低い高度から攻撃しても良いわけで
電柱ネットが対策になると思った理由が知りたいな
東芝のネット射出するドローンや、アメリカが開発しているらしいネット入り40mmグレネード弾は自爆ドローンに効果があるのかね。
先日の記事のように迂回したり待ち構えたりしてくる自爆型ドローン相手には、四の五の言わずハードキルした方が早いんだろうけど。
何年かしたらもっと進化するんだろうなこれ
台湾有事がささやかれるがこんなの相手にする戦場なんか恐ろしくたまらん
外部の妨害に影響を受けない自律AIによる自爆ドローンが実用化されたら更なる地獄ですね
ドローンが猛威を振るってますね。
実際のところはわからないんですが、何故今まで防衛省はドローンを軽視していたように見えるんでしょうか?
ウクライナ戦争前から軍オタでもないゲーマーでもドローンの可能性を認知していた人は大勢いたと記憶してるんですが。
数年前に秋葉原で買ってきた部品で球形の偵察ドローンを作って展示とかやってたような。
手作り感満載で、とてもまともに予算を付けてやってたようには見えませんでした。
今は違うのかなあ。そうであって欲しい。
日本は地理的に海上及び航空戦が主になると思われるからね。
自衛隊はウクライナ戦争以前からドローンの研究は行っていて、SUBARUと研究開発プロジェクトを進め、そして一定の技術的成果を得て終了しました。
なぜ早い時期からドローンに着目していたのに、配備に慎重だったのかと言えば「予算が付かなかったから」としか言いようがありません。ドローンは単体で見れば、数百万円程度と他の装備に比べれば比較的安価ですが、実戦で成果を出そうと思えば、かなり大量に配備される必要があり、億単位の予算が必要になるでしょう。そして自衛隊は億単位の予算をポンと出せるような組織ではありません。財務省を説得する材料もほとんどありませんでしたが、今回の戦争で非常に効果的であることが証明されましたので、多少は配備しやすくなるんじゃないですかね。
何がすごいかってオペレーターの操作技術がすごい
腕の良さが結果に直結するのがエースパイロットって感じ
ドローンは潰されても、ドローンオペレーターは帰還できる可能性が高いから、どんどん運用能力が向上していくんですよね。敵と互いに弾が届く距離で戦う歩兵なら、戦えば数が減っていくことは避けられないので、そこが大きな違いでしょう。スナイパー同士だと撃ち合う事例もそこそこあるけれど、ドローンオペレーター同士の戦いだと、ドローンを潰し合うことはあっても、ドローンオペレーターにまで手が届くことは稀とも思います。
今後、こうした操縦を苦も無くこなす熟練ドローンオペレーターがどんどん増えていくんでしょう。……ウクライナだけでなく、ロシア側でも同様に。
ロシアの対策は面白いと思うのですが。
それなりに強度のあるネットや釣り糸(?)を使うでしょうから、
支えの電柱を倒されると、ネットや釣り糸が自軍に対する障害物
になるでしょうから、設置位置は考えないとですね。
昔の西部劇映画の駅馬車のように、護衛が散弾銃を持って助手席や
荷台に居るのが良いような気もします。
イスラエル製の対空照準器を付けなくても、自動装填の散弾銃を使えば、
目視照準でマルチコプターの撃墜はできそうな気がします。
ずっと気になっていましたが、このサイトやウクライナ系のニュースサイトには、「福島の汚染水が・・・」「福島で怪現象が・・・」という怪しい広告が頻出しますね。「汚染水」という言葉を使っていることから、広告主は風評加害者の組織だとわかりますが、こういう広告はサイト運営者に広告収入をもたらすのでしょうか?
昔は広告が出るだけでサイト運営者に収入がありましたが、最近は広告をクリックしたり、広告から商品を購入した場合にだけ広告収入がサイト運営者に入るように変わってきたと認識しています。誰にもクリックされない怪しい広告でサイトの広告を埋め尽くしてサイト運営者の収入減を絶つという、一種のサイバー攻撃ではないでしょうか。
それは「追跡型広告」というヤツでは…。
いや、私にはそう言う広告でないです。
福島関連の記事を大量に見ているのでは無いですか ?
今時はコンピュータに紐づくクッキーを見てどんなサイトを見てきたかをサイト側が見て広告なり、おすすめなりを出すようです。
ワイはガリガリの外人モデルが水着を着た広告出るんだけどw
(外人や水着とか検索してないのに)
僕のところに表示されている広告はどすけべエロ漫画広告だからかそれはないと思う
単に追従型広告でコメ主さんがそういった単語に反応して検索しているから表示されているだけだと思うけどね
私も画面に同様の広告が表示された事があります
「福島の汚染された水」だとか
そういう文字を表示するだけの広告ですね
何らかの商品をアピールするものではなく
日本人にそれを見せて嫌がらせようという目的のものだと思われます
悪意の塊ですので、もちろんその先に飛んだりしない方がよいです
どのブラウザを使用なさっているかはわかりませんが
例えばGoogle Chromeの場合
広告の右上の「×」をクリックすると
その広告の表示を停止したり
問題のある広告だという事を報告する事ができます
一種のサイバー攻撃という予測は外れてはいないかも知れませんが
誰が、誰に向けて、何の目的で、という所は特定できませんので
悪意のある何者か、としか言えませんね
表示の停止の操作をお勧めします
皆さん、コメントありがとうございます。
記憶は定かではありませんが、1年ぐらい前に1・2回、福島の異常現象という広告を見たことがあるので、それのせいかもしれません。Edgeのクッキーの設定画面には「追跡されたサイトはありません」と表示されますが、念のため *.ru とよくわからないサイトのクッキーを全部削除しました(ロシアのサイトのリンクを深く辿った後、数日にわたって「アカウントをハッキングした。金払え」というメールが送られてきたことがある)。
私はここの管理人さんの広告収入には、あまり貢献できてないようで、何だか申し訳ないです。でも、応援してます!
ドローン対策のサンシェード付き戦車を見てると第二次世界大戦末期のパンツァーファウスト対策で金網付けたT-34を思い出す。 見た目で言えば土嚢付けたM4や履帯を貼り付けまくったIV号戦車も結構醜い(個人的には大好きだけど)なので生存性が少しでも上がるのなら見た目なんてなりふり構っていられないでしょうね。
依存症とかじゃないんですけど、航空万能論見れないと落ち着かないんですよ
依存症とかじゃないんですけど
外の空気吸って冷静になって
て、カディロフさんも言ってような
まあ最近ネット全体が重いように感じますし、OSやブラウザのアップデートの頻度も高いように思います。
今月3回目のサーバー不調ですか
最近はあまり見かけませんがサーバーの大規模障害で復旧不可という事態も起きたりしますので
ブログのデータのバックアップをしておいた方が良いかもしれませんね
コメントが記入不可になっているエントリがあるのですが、不毛なレスバ抑制のためのクローズとかあるのでしょうか?
もちろん、それは構いませんが、できれば措置の実施に、一言あるとありがたいです。