ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相は15日「新たに1万人のUAVオペレーター養成を開始する」と発表したが、戦場のUAVオペレーターに求められる技術や能力は商用向けのオペレーターとは完全に別ものだ。
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専門の教育を受けたUAVオペレーターの数が戦場認識力の強度を左右するのかもしれない
ロシア軍と戦うウクライナ軍が要求する情報・監視・偵察(ISR)用途向けのUAVは「4桁」ではなく「5桁」に到達しており、侵攻後にウクライナ軍が養成したUAVオペレーターの数は1万人を突破していたが、フェドロフ副首相兼デジタル化担当相は15日「新たに1万人のオペレーター養成を開始する。ロシアとの戦いは技術戦争の側面が強く、専門の知識をもったオペレーターを出来るだけ多く養成するのが重要だ。今日の戦いでUAVが果たす役割りは計り知れないものがある」と述べ、もうUAVを扱うオペレーターの価値は他の特技職に劣らないところまで来ている。
ここまでUAVを大量に使用した大規模戦争は世界初で、広大な戦場が要求するISR任務の需要を「高価なミリタリー仕様のUAV」で満たすのは物理的にも資金的にも不可能に近く、ウクライナ軍もロシア軍も商用向けの固定翼機やクワッドコプターを大量に使用しており、入手性、機体サイズ、カメラの性能の点からDJI製のMavic3に人気が集まっているらしいのだが、戦場のUAVオペレーターに求められる技術や能力は商用向けのオペレーターとは完全に別ものだ。
戦場で活動する航空偵察チームは安全な後方でUAVを操縦しているのではなく、狙撃兵にように2人1組で前線に出て1人はUAVを操縦し、もう1人はUAVのカメラ映像と地図を比較して発見した目標の座標を特定、この情報を参謀本部のサーバーに送信しなければならず、UAVオペレーターになるには「無人機を飛ばす技術」の他に「戦場を移動するための戦術」「カモフラージュ技術」「地図や地形に関する情報」「UAVに関する技術的理論」「サプライヤーが課す技術的制限を回避する方法」などを学ぶ必要があるらしい。
特に重要なのはGPS信号が妨害されている環境下でもUAVを飛ばすための「手動飛行技術」で、他にも戦場で商用向けUAVを使用するためには幾つもの手順(例えばUAVのカメラは発射地点からある程度離れるまでスイッチを入れない=墜落したUAVから映像データを吸い出した敵が運用地点に砲撃を加えてくるの防止するため)があり、商用向けのオペレーターをただ戦場に連れてきても殆ど意味がなく、恐らくウクライナ軍が確立した運用ノウハウと戦場での経験はNATOにとって計り知れない価値をもたらすだろう。
ロシア軍もウクライナ軍との戦いで同様のノウハウや経験を得ているため、これは中国や北朝鮮といった国に拡散する可能性が高く、専門の教育を受けたUAVオペレーターの数が戦場認識力の強度を左右するのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:FEDOROV
戦争が終われば ウクライナは危険な国になる。
国は疲弊しきってるのに NATO兵器で武装し実戦経験豊富な世界有数の軍事大国に。
西側に取り込んでしまわないと危険極まりない。
ロシアにとってもその方が安全だろう。
>ロシアにとってもその方が安全だろう。
だったら、戦争終わったらウクライナをNATOに加盟させよう。
パイプラインがある限り取り込めると思えないんだよな。
ロシアとウクライナの関係の象徴じゃないかな?
WW1では各国が航空機とパイロットの大量生産に力を注ぎ、その均衡が崩れたときに戦線が一気に流動的になりました。現在のドローンも往時の有人航空機のように偵察、着弾観測、軽攻撃なんかを担っているわけですが、敵ドローンの排除だけは行えず、大量投入される小型のものでは攻撃力に期待できません。
つまりドローン単独では敵地上軍に大きな打撃を与えるとか、制空権を確保して一方的に砲撃を加えるなんて芸当はできないわけで。強力で絶対必要なのは間違いないが、(敵航空機を排除して制空権を獲得できる)有人航空機と違って増産が敵の弱体化につながるわけではないのが難しいところですね。
偵察、着弾観測は極めて有効に機能してると思う。安価で運用も簡単、人的損害もなし。
これを日本も戦術的に組み込むべきだと思う。具体的ににはMARSと運用の戦場の状況認識拡張に役立つ。
戦車を完全否定するつもりはないけれど、ウクライナの戦争を見ると、損失は当然のながら戦車の方が遥かに多くなる。ウクライナのような平坦で戦車の運用しやすい条件でも戦車は最終的に地域を制圧する時に投入するべきものだというのが良く分かる。日本のように地形が複雑で遮蔽物の多い条件ではまともな運用は難しい。ではどういう戦術が有効か、日本の国土のほとんどが山岳地であり、そこを都市を結ぶ道路が網の目状に走っている、当然、山岳地を通るのでトンネルは数えられないほど存在する、これをMARSの掩体壕、隠れ蓑として利用、ドローンで索敵をして運用する。発射後は道路を使って他のトンネルへ移動する。これなら最悪、情報が途絶した戦場でもMARS運用する小隊単位で完結できる。
あっ、日本はMARSだったwww
✕日本はMARSだった
〇日本はMARS全廃だった
MLRSとHIMARSがごっちゃになっとる。ヨコモジ ムツカシイアルネー
日本は火星だった・・・?(すっとぼけ)
でもたしかに、少子化かつ万年不足気味の自衛隊にとってはまさしく必要な要素ですよね。
仮に次が”台湾危機”とすると。
活動場所は主に海上なのでしょう。
ドローン(マルチコプター)というより無人機の世界でしょうか。
無人機のオペレーターを、多数、養成・確保しておかないとですね。
この前から関東各県名をHNに使ってつまらん投稿してるけど、関東人からイジメでもされた?
意外にボトルネックになるのが「ドローンで収集した情報をどう水平共有するか」という部分で。その部分で今はまだ人間の役割が大きいので訓練が必要ですね。
将来、ドローンが収集したデータをフルオートで共有してAIが分析して現場に指示を出す、となっていくとどんどん人間の役割は小さくなります。それが良いのか悪いのかは分かりませんが。
大きな方向性はその通りですが、現状では(近い将来でも)AIが嘘をつく事を完全に防止する事は技術的に難しく、それを検証する人は必ず必要です。
また流動化する現実にリアルタイムで対応することも同様で、学習データは過去の静止時点以前または離散的に最新データを学習させる必要があるため、軍事におけるAIの活用はまだもう少し先なのかなと推測します。
まあ狭い戦術レベルで、効果的な攻撃方法の考案とかには良いかもしれませんね。
ここでのドローンオペレーターつってもプレデターやリーパーのあれとは全く違うわけで対戦車弾薬の代わりにドローン操作機材を持つ特技歩兵ってだけの話ですね。
歩兵固有装備の小銃と機関銃とアンチタンクにドローンが追加されるだけです。つまり歩兵隊編成の変革やFO機材の再編が必要って話です。
そう考えると人員は他の職種から抽出するしか無い。それか歩兵科のドローンなのか無人機科のドローンなのかあるいは機甲、砲兵科のそれなのか運用職種を考え直す必要もあるでしょう。
これは本当にRMAになるのでは?
RMAは今では民間の間でDXと言われてますね。
これは本当に日本の陸自にもRMAが齎されるものと考えます。
はっきり言ってオチオチしてられない話と思います。
今年中にでも各小隊どころか分隊に一人ドローンオペレーターとドローンを装備するレベルで必須の装備と思います。
射撃や塹壕構築がどれだけ習熟していても、先に相手のドローンに発見されたら上から手榴弾落とされたり砲弾が飛んできたり急襲を食らいます。
精密誘導弾の時代であるから、各分隊がドローンを飛ばし、その情報をその分隊のサバイバルの為と、各分隊のドローン情報を全部合わせて司令部の方でリアルタイムで全体の状況把握をして、敵よりも少しでも早く相手を発見した方が総取りの世界と思います。
つまり陸戦に勝つには各兵士に求められるスキルとして情報収集と分析の速さが敵とガチンコで遭遇した場合の力業での撃ち合いで勝つ力量より優先して貪欲になるべきで、これは太平洋戦争で制海権の決戦兵器がガチンコで殴り合う事に特化した戦艦からガチンコで殴り合う前に勝敗をつける空母に変化したものと同じ革命が陸戦で起きてると思います。
敵と直接遭遇してしまった場合は陸自は多分強いと思いますが、今のままでは中露の陸軍と対戦する場合、ドローンを使った情報収集や手榴弾落としで陸自が戦闘に入る前に相当削られてしまいます。
今後敵と同等かそれ以上のドローンを使った情報収集能力を持たない陸軍は、上から殴られ放題の栗田艦隊のようなもんになると思います。
特にこの記事でウクライナ軍が素晴らしいと思えるのは、中国の民間ドローンも軍事用に使えるように改造するという、情報収集できるものであれば何でも使えるようにすることをスキルとして定義してる事ですね。
有事の場合には全ての物資が絶望的に不足しますが、上記で書いたように精密誘導弾の時代には先に情報収集した方が勝ちですから、こういう風に情報収集力が落ちないようなスキルを軍隊がつけるのは弾薬と同じように継戦能力維持の為に重要なスキルと思います。
南西諸島防衛にはいささか射程短いし
沖縄本島に上陸でもされない限り使う機会ないよ
本島に上陸されたら脆弱な上陸直後の地上軍を叩くのに有効かもしれないけど、冷静に考えたら上陸されたら降伏しか択はないからやはり使い道はない
北海道の狭い海峡を隔てて対峙するサハリンは友好国のロシアだしMLRSマジでいらねー装備だな
このご時世に全部廃棄処分ってなかなか出来る判断じゃないから凄いと思う
上陸されたら終わり。的な意見が散見されますが。
それは因果関係が逆なのです。
強力な地上部隊が存在することで、敵に占領するために大群を上陸させることを強要させて、侵攻をあきらめさせるのです。
いくら厳重に空海を防衛してても、少数の部隊なら上陸される可能性はあります。地上部隊がいなければ少数部隊で制圧されてしまいます。
返信に値する相手じゃないと思うよ
ロシアが友好国であると主張するような思想が偏っているか物事の見え方がひどい人だぞ
上陸されたら終わり論を言ってるのはミリオタですらないと思ってる
ブラックホーネットナノよりも到達距離の長いISR用ドローンが野戦では実際には有用らしいのは分かりましたが、隠れて接近し、いちいち操縦し、マークした敵を味方砲兵部隊に連絡し、とか大変ですね。もっと効率化できないのかと思ってしまいました。小型ドローンの運べる火薬量では大した損害も与えられないという事が根底にあるのでしょうか。
自律的な小型自爆ドローンのスウォーム攻撃による敵防衛陣地の蹂躙はまだまだですかね。
人間がコントロールできない自律攻撃兵器は誤爆とか危険だからそれはない。
つい最近も暴走した18歳が上官撃ち殺したばかりじゃないですかねえ?
おっしゃるように戦線が入り組んだ野戦では難しいのかも。上陸前準備攻撃のような敵味方の境界がはっきりしてる場合には自律型自爆ドローンは使えそうに思います。スマート化された毒ガスみたいなかんじですね。
昼のNHKワールドニュースで、塹壕陣地に爆薬を投下するドローンに殺さないでくれと嘆願し投降したロシア兵の映像が流れました。
頭上から当該兵士を監視しつつ、別のドローンから「ドローンの誘導に従い投降せよ」とのメッセージを投下させ、ウクライナ軍陣地まで誘導して捕虜としています。
少なくとも、メッセージを投下したドローンは商用クアッドコプターだったようです。
身の安全を訴えるロシア兵に対し、ドローンを左右に振るなどして意思疎通をしてる様子が伺え、思わず笑ってしまいました。
オペレーターがコントロールしてたからこその投降劇ですね。
記事内の説明を読む限り、促成栽培で育成できるものではないと思うのですが、そんなにすぐに要求技能を習得できるのでしょうか?
「戦場を移動するための戦術」「カモフラージュ技術」「地図や地形に関する情報」「UAVに関する技術的理論」「サプライヤーが課す技術的制限を回避する方法」など…これだけでも育成期間に6ヶ月~1年は欲しいように思えます
「サプライヤーが課す技術的制限を回避する方法」てのが気になりますね。
参考記事によると、サプライヤーが課した、製品を軍用に使用する事への禁止事項や制限を解除する方法のようですが。
中国製市販ドローンも大量に使用されてるようで、システムに何か組み込まれているんでしょうか。
平時でも潰しが効くなら人気職になるか?すぐに省人化が進みそうではあるが。
管理人さん、このような無価値で有害な荒らしコメントは削除したほうがいいと思います。この場に不要な存在なので。
アジアに仇なしているのは中露北だよ。
日本は戦後一貫して平和主義の優等生。
どこにも仇なしてなどいない、むしろ大人しすぎるくらい。
中国が脅威なのはその急速な軍拡や日本への領海空侵犯、技術を吸い取り急速に発展させていることなどから明白。
中露が協力関係なのは事実。
桁違いに安い装備で歩兵に観測能力を付加できる、ただし個別の観測を集約するとかまだまだこれから、って話やな…民生品だし使い捨てでもないから小銃感覚で配れる、と。
更に小型ドローンのネットワーク化、とか、攻撃兵装との連携とか思い付くには思い付くな…
全体はともかく小規模なところの戦い方は結構変わりそう。