ウクライナ戦況

ウクライナ人、寄せ集め部隊の問題を改善しないと今後も敵の成功が続く

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは「ロシア軍がクピャンスクやアウディーイウカで前進した」「タバイフカは失われていない」と、全体的な戦況については「敵が多くの戦術的成功を収めている」「寄せ集め部隊の問題を改善しないと今後も敵の成功が続く」と報告している。

参考:на фронті станом на кінець доби 28 січня 2024 року
参考:Хроника специальной военной операции за 27 января 2024 года

残念なことに敵は多くの戦術的成功を収めており、我々が変わらなければ今後も敵は成功し続けるだろう

シルシキー大将は昨年末「クピャンスク方向のロシア軍は何としてもシンキフカを占領してクピャンスクを封鎖する条件を作り出そうとしている」と言及、新たに登場した視覚的証拠(ウクライナ軍の戦車がで攻撃している様子、付近のロシア軍兵士を第30機械化旅団が無人機で攻撃する様子)もシンキフカへの攻撃が続いていることを示し、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも「森林地帯でロシア軍が南方向に前進した」と報告している。

出典:管理人作成 クピャンスク周辺の戦況(クリックで拡大可能)

シンキフカ方向で確認されたロシア軍の前進は決定的なものではないが、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARはキスリブカ方向(クピャンスクの西)について「タバイフカを解放した」と主張。

タバイフカとピシュチェイン=を滑空爆弾(FAB-500)で攻撃する様子が確認されているものの、タバイフカ解放を示す視覚的証拠は確認されておらず、DEEP STATEは「ウクライナ軍がタバイフカに足場を築こうとしたロシア軍を阻止した」と主張している。

出典:管理人作成 キスリブカ周辺の戦況(クリックで拡大可能)

タバイフカ(2020年時点の人口は34人)の価値自体は低いものの、集落の西に広がる高台はキスリブカ方向の戦いにおいて戦術的価値が高く、ロシア軍はタバイフカから高台に登って守りの固いキスリブカ~イワニフカの後ろに回り込むつもりなのだろう。

ウクライナ軍側から見ればタバイフカ周辺は「高台を守るための緩衝地帯」なので、これ以上後ろに下がるとキスリブカやクピャンスクの防衛に影響が及ぼすはずだ。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)アウディーイウカ南部の状況

DEEP STATEはアウディーイウカ方面について「敵がツァルスカ・オホタから後退した」と報告、RYBARは「ツァルスカ・オホタは現在もロシア軍の支配下にある」と主張していたが、DEEP STATEは「敵がツァルスカ・オホタに肉薄している」「オプトネの北東で前進した」と報告。

さらに全体的な戦況の推移についても「タバイフカ周辺とアウディーイウカ方面は依然として困難な状況が続いている。残念なことに敵は多くの戦術的成功を収めており、我々が変わらなければ今後も敵は成功し続けるだろう。ホットスポットで混乱が起こっている原因は『異なる旅団や大隊から抽出された寄せ集めの部隊』で戦っているためで相互運用性に問題を抱えている」と指摘した。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

まとまった単位(旅団単位もしくは大隊単位)の予備戦力が枯渇しているのか、訓練が追いついていないのか、補充兵の供給が滞っているのか、戦略的に有能な予備戦力を温存しているのかは不明だが、ホットスポットに投入される「寄せ集め部隊」の指揮統制や協調面の問題を修正していかないと「敵の成功が今後も続く」という意味で中々興味深い話だ。

追記:記事の投稿時間、コメントの投稿時間を表示してほしい。何時の記事か確認するために、いつも、参考サイトを開いている。時間を表示しないのは趣味ですか?

やり方が分からないので対応しません。

関連記事:シルスキー大将、東部戦線のシヴェルシク方面とバフムート方面が厳しい
関連記事:アウディーイウカの戦い、反撃によってツァルスカ・オホタからロシア軍が後退か
関連記事:侵攻698日目、ロシア軍がバフムートやクピャンスクでも新たな攻勢を開始

 

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

米仏の空母打撃群、通信衛星やGPSに頼れない作戦環境での訓練を開始前のページ

米空軍が1,000機調達予定の無人戦闘機、ボーイングなど5社で競争試作を実施次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ゼレンスキーが軍に南部奪還を命じる、問題は100万人の兵士に必要な武器

    レズニコフ国防相がTimes紙に「大統領がウクライナ軍に国の経済にとっ…

  2. ウクライナ戦況

    ロシア軍はドニエプル川に仮設の橋を建設、ウクライナ軍は破壊すると予告

    ロシア軍はアントノフスキー橋の橋脚部分にぴったりと沿うよう仮設の橋を建…

  3. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領が米支援に謝意、HIMARSは正義という言葉と同義

    ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、米国が発表した17番目の支援パッ…

  4. ウクライナ戦況

    ドンバスの戦い、ロシア軍がクレミンナを確保してウクライナ軍は後退

    威力偵察と思われるロシア軍の攻勢は殆どの地域で撃退されたが、ルハーンシ…

  5. ウクライナ戦況

    ロシア軍によるインフラ攻撃、キーウ州の電力設備に深刻な被害が発生

    ウクライナ国営の送配電事業者「ウクレネルゴ」は15日、ロシア軍の攻撃で…

コメント

    • 正論
    • 2024年 1月 29日

    いろんな旅団の敗残兵で
    即席軍集団でも作ってるのかな
    末期的すぎるし、どう見ても引き際

    39
      •  
      • 2024年 1月 29日

      ことの起こりから推移までまるで日中戦争みたいですね

      6
        • 58式素人
        • 2024年 1月 29日

        アレも初めは”事変”で、戦争ではなかったですね。
        後で、うやむやのうちに戦争になったみたいですが。

        5
        • 歴史と貧困
        • 2024年 1月 29日

        人口7000万人(日本)が人口5億(中華民国)に攻め込み、前線をどんどん内陸部へ延ばして泥沼化し、やがて国力の限界に達した(太平洋戦線まで抱え込んだ)。
        ⇒攻め入った側がどんどん制圧面積を増やした結果、末期症状に

        対して、人口1億4300万が人口4400万へと攻め込み、最初期以外は深く攻め込まず、ドンバスに強固な防衛ラインを敷いて制圧した4州の守りを固め、反転攻勢に出た側が大失敗して失速した。
        ⇒攻め込まれた側が「領土奪還」に拘るあまり反転攻勢を仕掛け、末期症状に

        類似点もありますが、戦略判断や結果が真逆になっているのは面白いところです。

        42
          • 匿名11号
          • 2024年 1月 29日

          泥沼化して攻め入った側に打開のメドが立たないんだから、「真逆」ではなく「類似」でしょうね。都市攻撃(戦略爆撃・ミサイル攻撃)が相手国民の厭戦感情を高められないまま惰性的に続けられるのも相似といったところでしょう。

          中国と違ってウクライナの戦略的縦深は狭いし、兵站も短いんだから本来全然違った結果が出てもおかしくないのに、侵攻速度が遅く端末輸送が貧弱なために、同様の結果が出てしまっているのが面白いところです。

          袋小路に嵌った本邦は連合国相手になぜか戦争を仕掛けてしまい末期症状を迎えましたが、ロシアはどうなりますかねえ。

          6
            • 歴史と貧困
            • 2024年 1月 30日

            アメリカからもEUからも支援が停滞し、各地のウクライナの前線が兵力不足で後退している状況が、ロシア側にとって「打開のメドが立たない」と思うなら、その人物は現実認識能力が認知症老人と同じレベルなのでしょう。

            >本邦は連合国相手になぜか戦争を仕掛けてしまい末期症状を迎えましたが
            上記のように考える無能な日本人が多くいた結果でしょうね。そして、自分の信じたいことだけを信じ、現実を見ないから末期症状を迎えるわけです。匿名11号氏は、立派な大日本帝国大本営の末裔として誇りに思えることでしょう。

            2
              • 匿名11号
              • 2024年 1月 30日

              いやいや、あなたも誇るべき立派な大日本帝国大本営の末裔なんだから、当然「自分の信じたいことだけを信じ、現実を見ていない」か自省すべきですよね。(まあ、日本人に限る話でもないですが)

              結局のところ、ロシアは自分達の手では打開できないからこそ、「他国から支援が届かなくなる」や「敵国が音をあげて不利な条件でも停戦に応じる」のに期待するわけで、その現実に目を背けたいがために、他人を認知症扱いするのは迷惑というものです。

              2
                • ( ゚Д゚)
                • 2024年 1月 30日

                「敵国が音をあげて不利な条件でも停戦に応じる」のに期待するのは(そもそも相手を完全に殲滅することを目的に始めた場合以外の)どんな戦争でも同じでは?

                3
      • TKT
      • 2024年 1月 29日

      こないだ1945年のフィリピン、ルソン島の戦車第二師団の動画というのを観ましたが、1945年のルソン島の日本軍は、
      「振武集団」
      「尚武集団」
      「建武集団」
      という三つの集成集団で戦っていましたが、どれも航空部隊、船舶部隊、海軍部隊、兵站部隊、その他と言うような非常に雑多な集成・混成部隊であり、戦闘が進めば進むほど、さらに雑多で複雑な編成になっていきました。

      こういう雑多な集成部隊で、ルソン島のサラクサク峠を時間稼ぎの目的で守っていた、というようなCG動画でしたが、おそらく今のウクライナ軍もそんな感じであろうと想像できます。

      13
      • nachteule
      • 2024年 1月 30日

       敗残兵は含まれるだろうが苦し紛れに?精鋭部隊からの抽出もしているんだから流石に言い過ぎでは?

       元々、精鋭以外の旅団が大隊以上レベルの連携した戦い方に問題を抱えていたはずだから、ただでさえ連携に問題あったのに戦力に余裕がある他部隊からの抽出と訓練兵済み兵士の補充とかで呼吸が合わせづらくなって悪い方向になっている感じだと思う。ウクライナ側の旅団は確認出来るけど、どの旅団が何を吸収してどんな編成になっているかなんて分かる訳が無いんで想像でしかないが。

      2
    • のむら
    • 2024年 1月 29日

    戦争の終わらせ方の話題が全く出なくなり、ウクライナが撮影した映像ばかりが積み上がっていく。
    一体何なんでしょうねこれは・・・無意味すぎる。

    全くレベルや状況は違いますが、
    アルメリアとアゼルバイジャンは常に終わらせ方の議論と戦闘が並行していました。

    今ってウクライナが劣勢でも優勢でも、どこで停戦するかの議論や主張が当事者からは全く見えてきません。初期こそロシアが避難の猶予を与えたりしていましたが、今はそれもない。

    第三国がここで停戦しないと双方に鞭を振るうぞ!みたいなスタンドプレーでもしてくれないと無理ですかね。

    31
      • たむごん
      • 2024年 1月 29日

      アルメニア=アゼルバイジャン、仰る通りで、自分も似たような思いを抱いています。

      パシニャン首相・アリエフ大統領ともに、冷静な国家指導者であり、国内を押さえ込む政治力があるのだなと。
      ナゴルノカラバフは、ホットトピックになってから直ぐに停戦、あっという間に報道は沈静化していますね(両国内は知りませんが…)。

      トランプ元大統領の再選リスク、1.2年前から現実的になっていますが、ゼレンスキー大統領の呼びかけは無視されており厳しく感じています…。

      15
      •  
      • 2024年 1月 29日

      田中宇によると膠着状態で延々と続いた方が米英覇権の衰退が進んで多極化が加速するから意図的に長引かせてるらしいぞ。知らんけど

      7
        • sada
        • 2024年 1月 29日

        与太話ですな。
        なるほど、戦場でロシアが優勢なのは確かです。また長期戦の構えもロシアが先に構築しています。
        でも、例えば先月も揚陸艦が沈められるなど、無視できない損害を被っているのも事実です。
        意図的に長引かせているにしては損害が大きすぎます。
        与太です。

        17
          • 歴史と貧困
          • 2024年 1月 30日

          実際のところ、「長引いてもよいように備えているだけ」で、長引くことにロシア側とてメリットは薄いでしょう。消耗や資金面で考えても、損失が上回る。

          ただ、「長期戦の準備をしていない」側であるウクライナやNATO陣営の長期化のデメリットはより大きい。オランダやデンマークなどにとっては、元来自分達に関係ない東欧の戦争に巻き込まれ自国の軍備に悪影響が出るのは損失でしかない。バルト三国らにとっては渡りに船と思える部分もあるでしょうが、31か国の足並みが揃うはずもない。

          本来ならば停戦を急ぐ必要があるのはウクライナ側であるのに、停戦=政権崩壊となるゼレンスキーは決して認めず独裁軍事政権的な色を強めているため、NATO側からは打開策がない。

          結果として、勝ち目のない投資にアメリカの軍需産業も乗り気にはなれず、支援は先細りを繰り返すという悪循環に陥った。

          7
        •     
        • 2024年 1月 29日

        米英側が長引かせたがってるという陰謀論はよく目にしますが、逆パターンもあるんですね…

        7
    • たむごん
    • 2024年 1月 29日

    例えば、第47独立機械化旅団を見ても、南部攻勢から続けて東部派遣など前線での戦いが続いていますからね。
    とある中隊では、120名中20名の充足率、補充の兵士はほとんどが40代であり。戦闘経験のない将校が非常に多かったと答えています。
    (11月29日放送 BS-TBS「報道1930」ロシアが画策 それとも…/政権転覆作戦「マイダン3」とは… Youtube11月30日)

    ウクライナ軍は、部隊をローテーションできていないため、後方で再編成・再訓練する時間がとれないのでしょう。
    現場の残存部隊から、抽出を繰り返す形になってしまうのでしょうか…。

    Youtubeなどで、『ベテラン・精鋭・士気が高い』と持ち上げられていますが、生身の人間はPTSD・怪我など消耗していきますから、ゲームのようにはいかないですね。

    35
      • ポンポコ
      • 2024年 1月 29日

      管理人さんやたむごんさんの視点は、重用です。

      管理人さんが、寄せ集めと言っているのは、その通りなんですよ。

      ウクライナ軍は、激戦区に凄い数の旅団を投入しています。しかし、1つの1つの旅団が大隊レベルになっているのではないか。

      管理人さんは、クピャンスク方面の第30機械化旅団によるドローン攻撃を示している。しかし、歴戦の第30旅団もドローンくらいでしか、攻撃できなくなっているのではないか。昔に比べて不活性だと思う。

      たむごんさんは、第47機械化旅団の例をあげているが、南部の総攻撃で大損害を受け、そのままアウデイーイウカ防衛で活躍していた。今、ブラットレーやレオパルドは何台残っているのだろうか、士気の高かった若い兵士たちは何人残っているのだろうか。ネットに状況を出していた、女性兵士たちはどうなったのか。

      それは、いまだバフムト南部を抑えている歴戦の優秀な第93旅団にも言える。以前と比べて、活動力が減っている。1個旅団が、実質、どのくらい残っているのか。 

      個人的には、ウクライナ兵のプロ意識や軍隊に向いた国民性に驚いてきた。しかし、ウクライナは、ゼレンスキーは、兵士の損害を度外視した、人命を贅沢に使った作戦や戦略を当初よりずっと続けてきた。この点は、おおむねロシア軍とは逆の方向である。(ロシア軍の方は、なんとか契約兵でまわすようになっている)

      その点が、今になってウクライナ側にマイナスに響いてきているのではないか。ウクライナの強制動員のパワーが落ちてきているのかもしれないが。

      35
        • 歴史と貧困
        • 2024年 1月 29日

        仰る通りだと思います。
        アメリカならば質と量の両面で、中国やインドならば圧倒的な量の力で、仮に「寄せ集め」になっても敵に圧力をかけられるのでしょうが、国力でロシアに圧倒的に劣っているウクライナが取れる戦略ではありませんでしたね。

        最大の失敗は、ウクライナはあくまでウクライナでしかないのに、身の丈を超えた、水に合わない『NATO型の戦い方』を選択(戦闘機などの航空優勢に拘り過ぎることも含め)してしまったことかと思います。つまり、戦争の熱に浮かれて自分の姿すら見失っていた。

        欧米の支援を受けたところで、国体の筋肉や血液にあたる器官が、いきなり“欧米式”に変われるはずなどありえない。徴兵制や動員は平時からの準備の積み重ねと行政能力と人員数がものを言うのですが、軍人でも政治家でもなかったゼレンスキーには、分からなかったのでしょう。

        逆にロシアは、プーチンという独裁者が20年以上も君臨し、2014年のクリミア併合以来、欧米の制裁に耐えられる国家へと改造を進めていた。『2022年の開戦に至るまでの8年間の積み重ね』が、今の明暗を完全に分けているのかと。

        それは恐らく、1895年の三国干渉以来、日露戦争へ向けて9年来の準備を積み重ねた明治天皇率いる日本が、ニコライ2世のロシア帝国に勝利した要因と、一部で重なるのだと思います。

        23
          • たむごん
          • 2024年 1月 29日

          まさに仰る通りです。
          外貨準備高をドル以外に分散、2020年時点でGold(金)は20%以上に高めてきました(日本は4%程度で少ないです)。

          GDPの数字に拘らず、外国銀行の影響力を抑制・不動産価格を抑制するなど(中国は逆ですね)、経済制裁に強い国家体制を構築しようとしてきました。

          >逆にロシアは、プーチンという独裁者が20年以上も君臨し、2014年のクリミア併合以来、欧米の制裁に耐えられる国家へと改造を進めていた。

          17
          • NHG
          • 2024年 1月 29日

          > 逆にロシアは、プーチンという独裁者が20年以上も君臨し、2014年のクリミア併合以来、欧米の制裁に耐えられる国家へと改造を進めていた。『2022年の開戦に至るまでの8年間の積み重ね』が、今の明暗を完全に分けているのかと。

          横からですけどこれはよく言いすぎでしょう
          明暗といえるほど趨勢はまだ決まってないのと、2014年の弱すぎてロシア軍が呆れたウクライナ軍がここまで戦えているのもウクライナの8年間の積み重ねがあってこそでもあり、日露戦争に勝利した日本とダブらすには(双方とも結果が足りず)まだまだ早い

          7
            • 歴史と貧困
            • 2024年 1月 30日

            >日露戦争に勝利した日本とダブらすには(双方とも結果が足りず)まだまだ早い
            そう思われる方もいることは否定しません。私は太陽光、風力発電などの「10年後までの発電量予測」を生業としているため、“現状データからの予測”ありきで書いている部分は実際あるので。

            ただ、私の目からは「戦争の趨勢は最早明らか」と見えます。
            日露戦争は「国力に元来劣る側」であった日本が綱渡りの動員の下、黄海海戦、旅順攻略、奉天会戦、日本海海戦などの勝利があった結果ですが、ドンバスの現状は“国力に勝るロシア側が優勢”となっています。

            [2024年1月でのウクライナ側マイナス要素]
            ゼレンスキーとザルジニー総司令官の確執、動員計画は頓挫中、前線の兵力は不足、弾薬の不足、寄せ集め状態、アメリカからの支援が9/30から何も進んでいない。EUからの500億ユーロも停滞中。ポーランドの外交悪化は改善していない。

            さらに言えば、ベルリンやパリでも農民がトラクターで封鎖抗議を行っており、西欧国家の農民や輸送業者はインフレによる生活苦に陥り極右を支持する層が増え、EUがウクライナ支援に巨額の資金を使うことへの不満が強まる一方。

            これで、「まだまだ早い」というのは、認識が甘すぎると思います(無責任な外野だからできる甘さ)。状況は、【ウクライナにとってどんどん悪化している】のであり、“今すぐ停戦講和を急がねばならない”危機的状況です。「まだまだ早い」という意見は、ゼレンスキーだけしか喜ばせません。苦境にあるウクライナ国民を救うには、敗戦という結果が出てからでは遅いのです。

            7
              • NHG
              • 2024年 1月 30日

              「まだまだ早い」のは評価であり停戦の判断のことではないです
              なのでもういうことはないんですが、話のネタに続きをかくと、ウクライナにとって「危機的状況」だったとしてもロシアにとっては急がなくていい状況なので、ゼレンスキー大統領の一存ではどうにもならない話でしょう(プーチン大統領に「今取った領土だけで満足しろ」というならまだしも)

              あと、現状のデータから10年先を読むというけど、10年先を見るには過去と現在、そしてそこから予想できる直近の未来があって初めて10年先の予測ができるのでは?
              ウクライナの一方的早期停戦論は今しか見ず未来を損切りしようとしてるだけに見えます

              2
        • たむごん
        • 2024年 1月 29日

        ポンポコさんの仰る通りです。
        ウクライナ人兵士の敢闘は、戦争初期から誰しもが認める事と思います。

        問題は仰る通り、長期戦・総力戦になれば、兵士や武器の補充・戦車などのメンテナンスなども重要になる事です。
        ゼレンスキー大統領とザルジー総司令官(軍部代表)の軋轢は、戦争3年目に当たって、現場が見えているのかどうかの差に感じています。

        8
    • D-day
    • 2024年 1月 29日

    本格的にウクライナの野戦軍や兵器や兵士が削られているように見えます。
    砲力はロシア優勢でウクライナが下がっている以上は常識的にキルレートはロシアが上でしょう。ニューギニアやビルマの日本軍の比較で良いと思います。島嶼(沖縄や硫黄島、マリアナなどは死者数は比較にならない位です)ではなく大陸や大きな島での話です。
    撤退、縦深(つまり引いて誘い込む)防御の選択をしないウクライナは本当に亡国、分割しちゃうぞ、の危機感があります。

    28
    • Easy
    • 2024年 1月 29日

    単に使用している武器の相互運用性の問題も大きいでしょう。
    弾薬だけで何種類運用されているのか・・・兵站担当者の悪夢の世界ですよ。

    35
    • 名無し
    • 2024年 1月 29日

    キエフに置いてた戦略予備も投入してしまったのでしたっけ
    予備がないとどこか決壊すると厳しいですねえ

    まあロシア軍は兵力を削るように動いてるから大きく動かさないとは思いますが

    14
    • 名無し
    • 2024年 1月 29日

    親ウクライナOSINTのPoulet volantは東部戦線の特にクピャンスクとクレミンナ方面において、ウクライナ軍は現地のロシア軍兵力に対し過剰ともいえるほどの戦力を投入しているとしていましたが、数の面でかなり劣っているロシア軍が双方ともじわじわと着実に押してきているという事は、どちらにおいてもウクライナ軍の損失がかなり不味い事態になってきていることの証左とも受け取れますからなあ

    アウディーイウカにおいても仮にツァルスカ・オホタからの後退が事実だとしても、そこに展開していたウクライナ軍部隊が殲滅されたという話が本当であればなけなしの防衛兵力をさらに損耗したことになりますし

    ロシア軍を押し戻す、或いは停止させたところも兵力自体は上回っているウクライナが犠牲を顧みずとにかく兵を投入することで何とか食い止めているのでは?という指摘もありましたが、とにかく後退せず手遅れになるまで抗戦を貫くこれまでのウクライナの戦いぶりを考えるとあながち間違いではないと思いますけど、既に人口学的にも動員が難しいレベルで限界に達しつつあるウクライナからすれば兵力温存のためにも思い切った大幅な後退が必要だと思うのですがね…

    28
      • nanashi
      • 2024年 1月 29日

      >親ウクライナOSINTのPoulet volantは東部戦線の特にクピャンスクとクレミンナ方面において、ウクライナ軍は現地のロシア軍兵力に対し過剰ともいえるほどの戦力を投入している
      もはや定数を満たしてる部隊が無いんじゃないですかね、地図上では大量に部隊を投入しているように見えているだけで現実は寄せ集めの敗残兵の集まりなんじゃ無いかと。
      益々末期戦の様相を呈してきたように思いますね。もはやウクライナ上層部もなぜ押されてるのか理解出来て無いんじゃないでしょうか。

      24
        • タラコ
        • 2024年 1月 29日

        もう末期のヒトラー第三帝国じゃないですか。

        19
    • もち麦
    • 2024年 1月 29日

    そもそもウクライナという所に居るだけの人間の集まりが
    自ら犠牲になっても守りたい集団、組織、国家がそこにあるかどうか、かな。

    26
      • 歴史と貧困
      • 2024年 1月 29日

      欧州という土地柄の難しいところですね。
      東欧ならばフン族、ゲルマン人、マジャール人、スラブ人などと次々に東からの民族移動があり、土地と民族は必ずしも一定しない。20世紀では独ソ戦により大規模な変動があり、戦争に追われて別天地への移住を繰り返す歴史とも言えます。

      西欧においても、フランスのユグノー戦争、ドイツ三十年戦争、ナント勅令やその撤回など、戦争や宗教対立に振り回され、何十万人もの集団が追放や強制移住を繰り返された歴史が積みあがって今日に至っている。

      今、キエフのゼレンスキー政権が東方正教会を否定し、クリスマスをカトリックの日付に合わせたことも、戦争に振り回されて庶民の信仰が奪われる一例(安全保障優先でやむを得ないという側面も当然ある)。平時では信教の自由はある程度保証されても、戦時には【敵と同じ宗派】である者たちは迫害されるのが常。

      19
      • NHG
      • 2024年 1月 30日

      開戦このかたロシア配下になりたくないってのがほぼほぼ総意
      そこから「自分が死んだら誰が家族の面倒を見るのか」という個人の意思がでてきて徴兵忌避の流れにはなるけど、一度目覚めたウクライナ人としてのアイデンティティーはもう崩れないのではなかろうか

      5
        • 歴史と貧困
        • 2024年 1月 30日

        >開戦このかたロシア配下になりたくないってのがほぼほぼ総意
        その認識は、クリミア、ドンバスに今も住む「ウクライナ人」の存在を否定し、彼らへの無差別攻撃の正当化
        に使われかねない危険を孕む考えです。“ロシア支配を受け入れた人間はウクライナ人ではないから殺してよい”という極論への変化の序章に。
        その考えはあくまで、「西側にとってそうであって欲しい」だけで、そもそも、米英とて配下になることを望まれるほど好かれていません。好かれているのは“米英の資金”であって、“米英の考え”ではないのが現実です。同様に、恐れられているのは“ロシアの軍事力とプーチン”であって、ロシア支配が好かれる道理もない、所詮は力による支配ですが、力が継続する限りは続きます。

        >一度目覚めたウクライナ人としてのアイデンティティーはもう崩れないのではなかろうか
        それは、自分達の理想(西側価値観)を勝手にウクライナに投影しているだけかと。“そうであって欲しい”という願望に過ぎません。現実は、民主主義陣営の筆頭であるはずのアメリカが、自分たちのアイデンティティーを巡って国論分断を起こしています。ドニエプル西岸と東岸のアイデンティティーがそもそも一致するはずもなく、カトリックと正教会の分布も異なります。

        当然、ロシアの占領下にあるウクライナ人とて、心からロシアの統治を歓迎しているはずもなく、「安全保障と経済成長能力」が、キエフ政権とモスクワ政権のどちらがましか、という現実遂行能力を秤にかけての様子見でしょう。

        ですが、開戦以来西側メディアがこぞって書き立てた、“ロシア支配を嫌悪するレジスタンス活動”は全然表れていません。『ナチスドイツによるフランス支配の崩壊』の前例と異なり、ロシア軍が優勢でロシア経済も崩壊の兆しを見せない中で、先行きの怪しいキエフ政権の統治下へ今すぐに戻りたいと思う人間は稀有でしょう。

        生活保護でも安楽に暮らせる日本人と、ウクライナの現実は全く違いますので。

        7
          • NHG
          • 2024年 1月 30日

          ウクライナ人としての自覚を植え付けられた大きな契機であるロシアからの侵攻を今のウクライナで経験するか、独立派地域で経験するか、ロシア占領下で経験するかで温度差があるのは当たり前ですね
          もしウクライナ軍によるクリミア・ドンバスの奪還・解放が成就すれば表面化し社会問題になるだろうけど、今のウクライナ社会に反映されるウクライナ人の世論は、今ロシアに占領されてない地域に住んでいるウクライナ人のものなので、今それを語る必要性を感じないです

          あとウクライナ人のアイデンティティーの話に、「西側にとって」とか「アメリカのアイデンティティー」を入る余地はないのでは?
          なんだかウクライナ人のアイデンティティーの話のはずなのに、ウクライナ人の存在は無視してる奇妙な主張に思えます

          3
    • ばく
    • 2024年 1月 29日

    どうでもいい事だが、スマホで見るとトップ画が砲塔下に生首が乗っかってるように見えてしまった…迷彩の力ってすごいんだなぁ()

    7
      • 歴史と貧困
      • 2024年 1月 29日

      確かに、生首のように見えますね・・・、画質が若干粗いとなおさらそう見えます。

      3
      • もい
      • 2024年 1月 29日

      ミケーネ帝国だね

      3
    • 58式素人
    • 2024年 1月 30日

    臨時に戦闘団を組む必要があるのでしょう。
    平時編成の完結形が旅団であるとして。
    ある旅団の戦車団と他の旅団の歩兵団/砲兵団/航空団/工兵団/補給団
    のバラバラの部隊を元に新たな旅団を組むような。
    これは、訓練と使用兵器/戦術の共通化でしょうか。時間のかかる作業ですね。
    今のウクライナは、やむを得ないとはいえ、扱う武器の種類も多すぎるような。
    同種の兵器でも、各々の戦術思想を反映しているし、全てを知る人は少ないだろうし。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP