米国は総額23.5億ドルのウクライナ支援を発表、Ukrainska Pravdaは「ゼレンスキー大統領はシュミハリ首相にうんざりしており、恐らく大統領は首相を解任するだろう」と報じ、ホルティツィア作戦軍はチャシブ・ヤールについて「敵との交戦が運河沿いで発生している」と明かした。
約22億ドルがウクライナの防空ニーズを満たすの必要なPAC-3MSE、PAC-2GEM-T、AMRAAMの購入に充てられる
参考:Biden Administration Announces Additional Security Assistance for Ukraine
バイデン政権は総額23.5億ドル=約3,790億円相当のウクライナ支援を発表、このパッケージは米軍備蓄から支援物資を引き出す大統領権限=PDA経由の最大1.5億ドル、米企業に発注して提供するウクライナ安全保障支援イニシアチブ=USAI経由の約22億ドルで構成され、PDA経由のパッケージにはHAWKシステム向け迎撃弾、HIMARS向け弾薬、155mm砲弾、105mm砲弾、81mm迫撃砲弾、TOW、Javelin、AT-4、小口径弾薬、手榴弾などが含まれている。
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出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin
USAI経由の資金はPatriot向け迎撃弾=PAC-3MSEもしくはPAC-2GEM-T、NASAMS向け迎撃弾=AMRAAMの購入に使用され、米国はウクライナの防空ニーズを満たすため最近「同迎撃弾の輸出優先順位」を変更しているため、従来よりも早く迎撃弾をウクライナに提供できる。
因みにPDA経由のウクライナ支援パッケージは今回で60回目となり、2022年2月以降に米国が発表したウクライナへの安全保障支援(PDA+USAI)の総額は536億ドル=約8.6兆円以上だ。
今後はシュミハリ首相の解任が現地メディアで噂されている
参考:Источники в команде Зеленского говорят, что он “устал от Шмыгаля”
Ukrainska Pravdaは3日、大統領側近筋の話として「ゼレンスキー大統領はシュミハリ首相にうんざりしている」「これは会議における大統領の態度を見れば明らかだ」「もはや大統領が首相の話を聞こうともしていない」「これは意見の対立というよりも感情的な問題だ」「大統領は革新的な解決策や提案を求めており、ここ数年の間に首相も成長を見せたが大統領の要求に応えることが出来ていない」「恐らく大統領は首相を解任するつともりだ」と報じ、別の関係者は「シュミハリ首相解任に関する噂は2ヶ月間で2回目だ」と述べた。
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出典:首相官邸
後任には第1副首相も務めているスビリデンコ経済相、地域社会・領土・インフラ開発相を務めたことがある国営ガス会社=Naftogazのスチェルニショフ最高経営責任者が浮上しているものの、後者は国家汚職対策局のトップ=セメン・クリヴォノス局長との繋がりが問題視され、検察がスチェルニショフ氏の事務所を捜索したことがある。
そのため同氏の首相任命を強行すれば政治的リスクが高く、本当にシュミハリ首相が解任されるならスビリデンコ開発相が最有力候補になるのだろう。
人的損害の比較で勝っているのに「戦争に負けました」では何の慰めにもならない
参考:Zelensky lays out how Ukraine can win, if the West loses its fear of Putin
参考:Zelensky says Russian casualties six times larger than those of Ukraine
ゼレンスキー大統領はPhiladelphia Inquirerの取材に応じた中で「ウクライナ軍と比較的してロシア軍の兵力は本当に多いが、現在の東部と北部では1人のウクライナ人に対して6人のロシア人が死亡している」「以前の比率は1対4だったが、ポクロウシクやハルキウの状況が加わって1対6になった」と述べた。
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出典:PRESIDENT OF UKRAINE
要するにロシア軍の戦死者数(死傷者数ではない)はウクライナ軍の6倍という意味で、この数字は過去2年間の平均ではなく「最近の状況」を指しているが、もはや両陣営が主張する自軍及び敵軍の人的損失数は信憑性が担保されていないため無意味だ。
ゼレンスキー大統領は今年2月「この戦争中に3.1万人のウクライナ軍兵士が死亡した」と明かしたが、これは当局が死亡を正式に確認した数字のみだ。ロシア軍に占領されたり、交戦が続いているため回収できない遺体、戦場で行方不明になった兵士も相当数あるはずなので、ゼレンスキー大統領が言及した「3.1万人」という数字は戦死者数の下限値でしかない。
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出典:Минобороны России
ロシア側も自軍の戦死者数を隠し続けており、最後に言及したのは2022年9月の5,937人が最後で、架空の数字を比較して「敵の人的損害の方が多い」と主張しても意味がなく、重要のは敵の補充能力を上回る損害を与えているかどうか、戦場で成功(領土の奪還及び占領)を収めているかどうかだろう。
人的損害の比較で勝っているのに「戦争に負けました」では何の慰めにもならない。
敵との交戦はシヴェルスキー・ドネツ・ドンバス運河沿いで発生している
参考:Ситуация возле Часового Яра остается критически тяжелой: в “Хортице” рассказали о тактике врага
参考:Мікрорайон “Канал” (штабна назва “Новий”) в Часовому Яру повністю стерто
DEEP STATEとRYBARはバフムート方面チャシブ・ヤール方向について3日「ロシア軍がカナル地区を占領した」と報告、視覚的にもカナル地区の西端でロシア兵士が国旗を掲げる様子が登場し、遂にロシア軍はシヴェルスキー・ドネツ・ドンバス運河に到達した。
ホルティツィア作戦軍の報道官も3日「敵との交戦はシヴェルスキー・ドネツ・ドンバス運河沿いで発生している」「敵は森林地帯に兵士を送り込み、この兵士らは散開して我々の守備陣地に殺到してくる」「この攻撃は大砲、FPVドローン、Lancetで援護されている」「チャシブ・ヤールの状況は依然として深刻だ」と言及。
国防省情報総局に属する戦闘大隊(Реванш)の指揮官も「敵はカナル地区を完全に制圧した」「ロシア軍は莫大な損失を被りながら建物を完全に破壊して成功を収めた」「敵の成功と損失は不釣り合いに見えるもののチャシブ・ヤールの喪失は現実のものになろうとしている」「チャシブ・ヤールの喪失を長期的な視点で見るとドネツク地域の作戦地図を大幅に書き換える」とTelegramに投稿、これをDEEP STATEが取り上げていたが、指揮官の投稿は現在消されてしまった。
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※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
首相が、次は解任の噂ですか。
軍事作戦は、大統領府が中心になって決めていると言われているため、戦争指導・軍事作戦の失敗は大統領や側近にも責任があります。
今年に入ってから、ざっと調べただけでも、高官を次々と更迭しています。
ゼレンスキー大統領は、(大統領選挙を行ずに)延々と責任を押し付けているように見えてしまうため、トップの座に居座り続けているようにも感じてしまいます。
2024年2月 ザルジニー総司令官解任
2024年3月 ダニロフ国家安全保障・国防会議の書記解任(安全保障政策担当)
2024年5月 セルヒー・ルディ国家警備局トップ解任
2024年5月 セルヒ・ルパンチュク特殊作戦部隊司令官解任
2024年6月 ユーリ・ソドル統合軍司令官解任
ゼレンスキー氏とシルスキー将軍の確執も外国の方が仰っしゃっておられました
戦況の不利を誤魔化しきれなくなって他人に押し付けてるように見えます
仰る通りです。
典型的な責任の逃れで、その連鎖反応が悪い形であるようです。
ボグダンさんの指摘で、側近・幕僚も同時に交代となったため、現場が混乱しているというのを思い出しました…
(1)軍本部内の人事再編が、ごちゃごちゃしている
(2)前線部隊の隊長クラスの引継ぎ
(3)部隊移動に指令を出す機関の大量設置
(2024/05/05 【ウクライナ防衛線の危機】勢い衰えぬロシア軍、厳しい状況にあるウクライナについて解説します。 Youtube 23:15~)
その通りですね
まあ、自分は表舞台好きで、戦時中のトップがこうも国を空けるのかと思うくらい色々でかけますよね。
その反面、責任背負わされて解任される高官がこうも相次ぐとなるとですね
独裁者の誕生を見れるかもしれない
仰る通りですね。
日本の総理大臣もそうですが、内政を疎かにして外交に力を入れても、仰る通り国を空けて優先順位が違うのではないかと言われてしまいますよね。
(ウクライナ支援金7000億円に対して、電気代補助金が遅れるなど)
権力闘争とは、こういったものなのかと、仰る通り感じる事があります。
実際に首相が変わるかはともかく、農相と復興相がレースから脱落した今、首相の番が回ってくるのは自然な流れではあります。
シュミハリ首相は省庁や意思決定プロセスの統合と改革による政府中枢及び首相権限の拡大を目指していたため、主要省庁からの援護はあまり期待出来なさそうなのも辛いところかと。
今は勢いのある戦略産業相やデジタル変革相も、欲を出せば遠からず同じ状況に陥るでしょう。
序列で言えば第一副首相兼経済相の繰り上がりが妥当ですが、仮にそうなる場合は経済相のポストを維持出来るかが重要になりそうです。彼女は大統領府長官からの影響が強い人物とされているので、首相職のみ(と経済相の後任人事次第)で事実上の権力剥奪が成された場合、大統領府長官の今後に影響するかもしれません。
今回後任候補として名前が挙げられている二人は復興相の後任候補や権限移譲の話題でも同じ組み合わせで登場していましたが、本当に首相交代となればそちらでも帳尻が合うのかもしれません。
この手の後任候補の予測では大統領府副長官もよく見かける人物ですが、流石に一足飛びで首相は難しいでしょう。
より大きな権限を持っている大統領が革新的な解決や提案を行えばいいのに。なんかクビを飛ばして仕事してる感だけ出してるようで自分はガキだから反骨精神がしゃしゃります。
ボグダン氏がインタビューしたドローン屋も
ロシアの1.5t爆弾で人間が消滅したけど
誰も戦死者をカウントしてないと言ってたな
また、戦死や行方不明者の
給与をネコババするために
指揮官が損耗を申告しないケースもあるらしい
「士気が下がるから本当のことを流すな」と
コメント欄でボグダンが叩かれてたから
情報戦も、もうダメだなと実感しました
ロシアも気に入らない兵士とか都合が悪い奴は脱走兵扱いにして終わりみたいな話しがあったな。当然脱走兵だから兵士としての給与とか恩給絡みが全てパーになってしまって、戦力として使えてお金の節約になるって言うお得な話で、それがまかり通るなら高額に釣られてガチで救いようのない末路しかない訳で誰も応募しなくなるって言うね。
今ですら防衛省がホークの部品を米陸軍に発注しているが弾体まで生産してるのかね、流石に海兵隊が最後まで持っていたミサイルが残っているとは思えない。それのともどこかの国のミサイルを再整備した物なのか。
全てを一社で作っているわけでもないだろうがRTXのミサイル製品ってSM-2、SM-3、SM-6、パトリオット、トマホーク、サイドワインダー、MIM-23 ホーク、AGM-88 HARM、TOW、ジャベリン、スティンガー、RIM-116 RAM、AMRAAM、ESSMと多岐に渡っている。ホークミサイルを作るならば結局はRTXの負担でしかなく、大規模戦争が起きてリソースの供給絞られたら結構なミサイルが割を食う可能性すらありそう。
せめて主力AAMぐらいリスク分散でAIM-260の早期実用と配備とかした方が良いんじゃないだろうか、F-35に搭載出来るBVRAAMが現状一つしかないってのは結構なリスクじゃないだろうか。
ホークの部品代って、2018年の予算が最後じゃなかった?
別名目で購入してたのか。。。
国防総省の公式見て来た
ホークはPDAから
つまり、在庫分から
1-6の交換比率だと今年中にはロシア軍が崩壊し撤退しているのではないかと推測されるのでウクライナの全面勝利も目前ということになるが、実際は比率が逆の恐れの可能性大だと思うが真偽不明で確認の仕様もないので戦線の動きで判断するしかないのかなと。そんな中ロシアの夏季攻勢らしいものが始まっていると思われるが、今回もウクライナの精神的勝利というものではないと良いと思うがどう展開になるか要注目ですね。
昨日の速報から1日置いても報道変わらず、カナル地区の占領は間違い無さそう。かなり早い展開で驚きです。
この勢いで続けて運河越えのノヴィ地区か、線路沿いにソフトネヴィ地区へ進むのか、一旦カナル地区掃討と休息再編ローテ後になるのかは、両者の損害状況や予備兵力等、戦況を占う参考にしようかと。特にウクライナ軍が戦術的後退か、ただ単に突破されたのかが気になります。他戦線でも一気にロシア軍の攻勢が進んでいる事から、組織的撤退を行った何てのは無いでしょうか。
私見的には、先にカリーニン方面の西進を進めてからの市街戦と考えてますが…、どうなる事か。
チャシブヤール攻防戦 第1幕は終幕間近。続く第2幕カリーニン方面攻略と運河西側の2地区攻略。最後はピヴニチュニ地区と耐火物工場含む西部市街地ですかね。当分は攻防が続きそうです。
ウクライナ軍が支えきれなくなるまでひたすら火力を叩き込んで陣地を完全に破壊するという勝ちパターンが確立されている
いっそウクライナで政変が起きて無政府状態になれば
NATOが人道的介入で派遣できる可能性がワンチャンあるのだが、、、
キルレは控えにみても逆でしょうに
砲撃も爆撃も負けてるのにキルレだけ勝ることはありえない
これ支援やめたらやめたで、最後の一突きだってウクライナ人を激怒させるかもしれないですね
泥沼
相当カッカしてるな
部下に当たり散らしてそう
戦況が悪化してるにも関わらず権力争いと責任の押し付け合いですか…これは本当にもうウクライナも長くなさそうですね
イエスマンで揃えて情報バブルの中ですかねこれは。