欧州関連

フランス、ウクライナ人パイロットのMirage2000操縦訓練を数日以内に開始

フランスのマクロン大統領はゼレンスキー大統領と会談後「Mirage2000-5提供のための訓練が数日以内に始まる」と言及し、ルコルニュ国防相も「ウクライナに移転する機体はフランス空軍で運用中のMirage2000-5だ」と明かした。

参考:Макрон: Подготовка к обучению украинцев на Mirage 2000 начнется “в ближайшие дни”
参考:Пресконференція Володимира Зеленського за підсумками переговорів з Еммануелем Макроном
参考:KNDS will set up shop in Ukraine to repair heavy weapons, make ammo

ウクライナは15個旅団~20個旅団分の人員に訓練を施す必要性に直面している

フランスのマクロン大統領は6日「明日行われるゼレンスキー大統領との会談でMirage2000-5提供とパイロットの訓練を発表するつもりだ」「目標は夏からパイロットの訓練を開始して年末までに運用体制を整えることだ」「パイロットの訓練はフランス国内で行われる」と、エリゼ宮で行われた首脳会談後の記者会見でも「(Mirage2000-5を何機提供するのか)具体的な数は明かせないが、最優事項はパイロットと地上要員の訓練だ。これは数日以内にフランス国内で開始される」と言及。

出典:Photo by Staff Sgt. Devin Rumbaugh

訓練教官の派遣についても「なぜロシアに『教官を派遣する権利がない』と決めつけられなければならないのか、こういったレッドラインに我々は同意しない」「より多くの動員を行っているウクライナでは効率的な訓練が必要とされており、フランスが訓練教官を派遣するのは正統な措置だ」「我々は教官の派遣について訓練連合を設立したと考えており、既に多くのパートナーから同意を得ているが、(まだ調整が終わっていないため)この場でフランスが訓練連合を立ち上げるとは言えない」と、ゼレンスキー大統領も「フランスの取り組みに感謝する」と述べた。

これらに件についてルコルニュ国防相は「ウクライナに移転する機体はフランス空軍で運用中のMirage2000-5だ」「ウクライナは15個旅団~20個旅団分の人員に訓練を施す必要性に直面しており、これには相当な努力が必要になる」と明かしたため、ウクライナに移転するMirage2000-5はギリシャが手放す機体ではなく「フランス空軍バージョンのMirage2000-5F=Cからアップグレードされた機体」で、フランスが単独で提供可能な機体の上限は27機になる。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

さらにウクライナが必要としている訓練リソースは15個旅団~20個旅団=6万人分~8万人分で、この数字は恐らく追加動員の規模を示唆している可能性が高い。

因みにフランスを訪問したゼレンスキー大統領はKNDSの代表者らとも会談、ウクライナ国内にCaesarのメンテナンスセンターやスペアパーツを製造する3Dプリントセンターの設立、155mm砲弾の生産移管に関する契約に署名した。

出典:Mil.gov.ua/CC BY 4.0 DEED

これを受けてKNDSは6月下旬までに子会社をウクライナ国内に立ち上げて現地企業との協力を開始し、12ヶ月以内にウクライナ国内での155mm砲弾生産を開始する予定だが、これは155mm砲弾を構成する要素(弾殻、火薬、信管、装薬)を全て生産するという意味ではない。

関連記事:マクロン大統領、Mirage2000-5をウクライナに年内提供すると発表
関連記事:仏国防相、ウクライナ向けに155mm自走砲を78門生産すると表明
関連記事:フランス、ウクライナ提供を検討していたミラージュ2000のモロッコ譲渡に同意
関連記事:読みたい人だけが読めばいい内容、ギリシャによるウクライナへのF-16売却話
関連記事:ギリシャ国防相がF-16とミラージュ2000売却に言及、争奪戦に発展する可能性

 

※アイキャッチ画像の出典:Photo by Staff Sgt. Devin Rumbaugh

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コメント

    • 樺太
    • 2024年 6月 08日

    台湾空軍のミラージュ2000-5をフランスが買い戻すか他のフランス製兵器システムとの交換取引で取得できれば提供可能機体数は増えるのではなかろうか

    既に退役したホークを米国経由でウクライナに送った台湾もならF−16Vの配備が進めば応じられる内容だろう
    台湾にもフランスにもメリットの大きい取引となろう

    日本も早期退役が明記されたホークや退役済みのVADS等を早くウクライナへ提供すべきである

    9
      • 名無し
      • 2024年 6月 08日

      台湾の軍事力下げるとかありえないでしょ

      28
        • 樺太
        • 2024年 6月 08日

        F-16Vの能力はミラージュ2000-5のそれを大きく上回っている

        F-16Vの配備が進めば機種統合による運用コスト低減でかえってミラージュ2000-5を放出し、浮いたリソースで他の兵器システムに回すことで台湾の軍事力強化により資するだろう

        10
          • ななし
          • 2024年 6月 08日

          資さないだろ、既存F-16のVへのアップグレードが終わるのが5年先ぐらいだし新規発注分は遅延で納入完了も未定、そも新規発注分はVはミラージュ2000の後継とはされておらず純増計画のようだし。ミラージュ2000の後継としてF-16Vを追加するなら何時の話よ?っていうね。
          あと態々構築した仏系戦闘機の運用インフラ放棄は台湾のおかれている国情を考えると調達多角化の観点からどうなの?っていう疑問があるね。あと中古戦闘機でも纏まった数数になると調達は年単位での話になるのに台湾のおかれている国情を考えると手放したら再取得の政治的ハードル高さがあるから退役させるにしても予備としてストックしておく方が合理的じゃね?

          6
          •  さ
          • 2024年 6月 09日

          台湾危機が近いと言われてる中で、大分先に来る戦力の話をされても困るんじゃないかな?

          5
        • 樺太
        • 2024年 6月 08日

        F-16Vの能力はミラージュ2000-5のそれを大きく上回っている

        F-16Vの配備が進めば機種統合による運用コスト低減でかえってミラージュ2000-5を放出し、浮いたリソースで他の兵器システムに回すことで台湾の軍事力強化により資するだろう

        1
        • F-117A
        • 2024年 6月 08日

        代わりに、ラファールを呼ぶが良い

        5
          • Nabe
          • 2024年 6月 08日

          惜しい、一瞬考えてしまった

          ならば、ラファールと呼ぶがよい!

          6
        • 戦略眼
        • 2024年 6月 08日

        台湾では、使い物にならなかったらしいからな。

        4
    • マダコ
    • 2024年 6月 08日

    邪推ではありますが、存在感のアピール以外に、戦後の商売のための布石もあるように見えますね。今のままでは、アメリカ製兵器一色になって、利権の獲得もできない状態になりそうですし。

    20
      • 774
      • 2024年 6月 08日

      邪推でもなんでもなくそれらの目的も当然あるでしょう

      15
      • a
      • 2024年 6月 08日

      ウクライナは、日本だと小国という扱い方をする人が多いですがロシアを除けば東欧最大の国家です。
      だから、時たまこっちも軍事的野心があるから東欧最大の国家と世界最大の領土を持つ国の衝突に介入を行っているんじゃないかと考えちゃうのは邪推ですかね。

      5
    • 58式素人
    • 2024年 6月 08日

    ”フランスが単独で提供可能な機体の上限は27機になる。”
    一時期言われていたように、Su-24の補充になるのでしょうか。
    ストームシャドウ/SCALP-EGを運用する機体が要るという事でしょうか。
    F16に比べて絶対数が少ないから、今後の増勢はどうなのでしょう。
    難しいような気がしますが。

    8
    • zxr
    • 2024年 6月 08日

    適合する弾薬、部品、整備兵などは?
    東側主体の国にフランス製を持っていって上手くいくのか?
    F-16もそうだが即戦力として役に立つのか?
    呑気に1年2年と言ってるがその時まで待ってられる状況じゃない

    7
      • あるまじろ
      • 2024年 6月 08日

      嫌な話だけど、この戦争、後何年続くと思う?
      ロシアとの敵対関係は何年続く?

      8
        • F-117A
        • 2024年 6月 08日

        10年と思っておけば、その間に台湾戦争があり中国が衰退、プーチンもルカちゃんみたいになってクーデターで失脚とかでロシア敗戦。
        なんであれ、この規模の戦はあと10年は続けられない。

        5
      • NHG
      • 2024年 6月 08日

      整備兵なんかも送るんじゃない? ドイツはミサイル操作の要員も送ってるみたいだし(JSF氏の解釈では「供与した長距離ミサイルでロシア内地を狙わないと信じ切れないから自国兵にやらせてる」そう)
      弾薬や部品は未知数ではあるけど、膨大な数のバックオーダーを抱えてるF-16よりは余裕ありそう

      3
    • たむごん
    • 2024年 6月 08日

    マクロン大統領も、支持率低迷で必死なんですよね(民主主義の宿命ですね)。

    2023年の大統領支持率は、岸田首相と変わらないくらい、与党支持率は自民党よりも低くてボロボロです。

    >最新の世論調査で、同党の支持率は33%。2位のマクロン与党(16%)を大きく引き離し…

    >7年を経て「体制の顔」となったマクロン氏に、若者の視線は冷たい。25歳以下の与党支持率は6%に低迷する。

    (2024年6月3日 ヨーロッパ議会選挙を前に 仏で支持率トップの極右政党が集会 NHK)
    (2024/6/5 28歳「極右アイドル」が旋風 逆風にあえぐ46歳大統領 若手台頭止まらぬ仏政界 産経新聞)

    2
      • s
      • 2024年 6月 08日

      最近のマクロン大統領の振る舞いがまるでゼレンスキーに似てますよね
      対露姿勢もそうですが国内支持の低下の圧力の中で政権開始当初と比べるとかけ離れた政策になっていくというのもまた
      軍需的には利益を得ているものもフランス全体は相当な痛みを負ったこの情勢下、ゼレンスキーを見習って対露挑発で逆転を図ってるのかもしれませんね

      3
        • たむごん
        • 2024年 6月 08日

        たしかに、仰る通りかもしれません。
        勇ましい方が、耳障りはいいでしょうからね。

        フランスは地政学的に、ロシアから離れていて安全なため、バルト三国・フィンランドなどロシアと直接国境を接する国が困るだけでしょうし。
        フランス外務省が、後から訂正する事もあるため、マクロン大統領の話しは話半分で少し様子見するのが正解かもしれませんね。

        2
        • マミー
        • 2024年 6月 09日

        マクロンはサヘル地域のフランス利権を、プーチンに荒らされまくってるから、対露に対して厳しくしないと政権持たんからね。

        2
    • 暇な人
    • 2024年 6月 08日

    もうフライングタイガースでも送れば?
    どうせ兵器の大半はNATOの将兵が操作してるんだし

    9
    • F-117A
    • 2024年 6月 08日

    ウクライナはM777のスペアパーツの40%を国産化したらしいね。
    カエサルも役に立ってるから部品を作りたいんだろう。

    4
      • マミー
      • 2024年 6月 09日

      現在の電力事情でそれは可能なのか?
      大規模に電力使ってる施設は衛星で丸分かりだから攻撃対象になる筈なんだが。

    • 58式素人
    • 2024年 6月 09日

    他所の記事によると。
    チェコの国防大臣が、F-16及びグリペンの訓練で手助けができる、と申出をしたとのこと。
    ホントならば、ウクライナにとって朗報でしょうか。
    砲弾の件も継続中と思いますが、チェコ政府はよく見ていますね。決断も的確に思えます。

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