欧州関連

イタリアがインドネシアからPPA級哨戒艦を受注、契約額は11.8億ユーロ

Fincantieriは28日「インドネシア国防省とパオロ・タオン・ディ・レヴェル級哨戒艦(PPA)供給に関する契約を締結した」「この契約額は11億8,000万ユーロになる」と発表、納期を短縮するため建造中のPPA2隻=イタリア海軍発注分をインドネシアに提供するらしい。

参考:contract signed for the supply of two PPAs to Indonesia

フランチェスコ・モロシーニのインドネシア寄港が契約につながった

PPAはイタリア海軍のルポ級フリゲートとミネルヴァ級コルベットを更新するためFincantieriが開発した多目的海洋哨戒艦(5,000トン~6,000トン)で、高度な省力化技術とモジュール設計を採用し、顧客のニーズに合わせて搭載する兵器システムを変更でき、哨戒任務から本格的な戦闘任務まで幅広い用途に対応できるのが特徴だ。

イタリア海軍は2023年にフランチェスコ・モロシーニ(PPAの2番艦/哨戒構成)を極東に派遣、インド太平洋地域で米第5空母打撃群やEU海軍部隊などと演習を行いながら、国際的な防衛展示会への参加や潜在的な顧客国への寄港(18ヶ国)を精力的にこなし、Fincantieriも「今回の契約は2023年7月のインドネシア寄港が発端で、この取引の枠組みはさらなる発展に繋がるかもしれない」と述べている。

因みにインドネシアはFincantieriとカルロ・ベルガミーニ級、BabcockとArrowhead140の供給に関する契約を締結済みで、既にArrowhead140建造のための資金供給が始まっており、インドネシア国営企業のPT PALは2022年11月「今月中に建造部品の切り出し式典を行う」とJANESに明かしていたが、今のところカルロ・ベルガミーニ級について続報がない。

カルロ・ベルガミーニ級はワークシェアの協議が終わっていないため契約が有効になっていない=まだ資金が開放されていない可能性が高いが、PPAは完成品の輸入なのでカルロ・ベルガミーニ級よりも早く取得できるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Marina Militare

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コメント

    •  さ
    • 2024年 3月 29日

    インドネシア海軍は本当に急激に軍拡してるけど、大丈夫なのかねぇ…
    焦っているようにすら見えるけれど

    3
      • jimama
      • 2024年 3月 29日

      海賊対策じゃないですかね、特にドローン対策
      あの辺昔から海賊が元気ですし
      インドネシア近海みたいな多島海だと
      こっそり小型の偵察ドローン飛ばして獲物を見つけたり
      海軍の船が近くに来たら水上ドローンをぶつけるor逃げる
      がやりやすいですし

      3
        •  さ
        • 2024年 3月 29日

        それならその予算で、シグマ級のような中小の船をより多くそろえる方が良いはずなんだよね

        インドネシアの軍オタたちの会話とかツイッターで見たことあるけど結構な頻度で
        「PPAのフル規格を導入する事で弾道弾の迎撃能力を確保するべき」とか
        そういう会話が割と普通にされていて

        「インドネシアに弾道弾迎撃能力とか、別にそこまで要らないのでは?」と思った経験が何度かあるのだけど
        インドネシアの国民や軍はそうではないのかもしれない

        9
    • 774rr
    • 2024年 3月 29日

    哨戒艦とか言うてるけどフリゲートとか駆逐艦と差が無いじゃん
    VLSの付いてない本邦のもがみより戦闘力高そう
    凄いね〜

    4
    • 58式素人
    • 2024年 3月 29日

    思うのですが。
    他所ごとながら、見た目、復元力は大丈夫でしょうか。詰め込みすぎでは?。
    赤道付近には台風は無いとは思うのですが。他所に出向いた時は要注意みたいな。
    しかし、しょうがないとは言え、固定式のフェイズドアレーレーダーの艦は、
    どれもこれも、頭が重そうですね。

    6
    • たむごん
    • 2024年 3月 29日

    インドネシアが、価格や用途を基に、決める話ではあるのですが。

    日本やアメリカが、インドネシアにあらゆる投資、安保にコミットメントしてきたきたと思うんですよね(もちろんメリットもあるのですが…)。

    ヨーロッパが、かっさらうなら、色々と考えてしまいますね。

    まあいいんですけど。

    8
      • 黒丸
      • 2024年 3月 29日

      過去の冷戦期間中はインドネシアと米国には安全保障関係がありましたが
      冷戦終結後に、東ティモール地域でのインドネシア軍の独立派住民弾圧行為等があり
      米国は軍事援助等を打ち切り、禁輸措置等の制裁を行い、その後しばらくは関係が冷え込んでました。
      21世紀になってテロとの戦いの中でインドネシアでもイスラム過激派のテロが発生したこともあり
      米国とはテロ対策分野を中心に協力関係はありますが、
      武器については調達先の多様化と国産化の努力をしています。

      1
        • たむごん
        • 2024年 3月 29日

        仰る通りです。
        日本とインドネシアの関係も、資源国有化・LNG輸出制限・鉱物資源輸出制限・新幹線輸出問題などにより複雑になってますからね。

        外交関係は流動的なものとして、お互い是々非々で、上手に付き合っていくのが大事と思います。

        9
    • 無印
    • 2024年 3月 29日

    建造中のイタリア海軍向け艦艇が、輸出で引っこ抜かれるのは2回目かな?
    本気で輸出を勝ち取りに行く気なら、自国の海軍に少し我慢してもらう覚悟も必要なんですかね

    建造中のもがみ型を輸出する代わりに、あさぎり型とあぶくま型をまだまだ使いまっせ~
    日本で例えるならこんな感じですかね

    3
      •  さ
      • 2024年 3月 29日

      PPAに関してはイタリアでも、
      新規調達をやめてより戦闘的な船に変えるべきだ論は何年も前から言われていたから
      手放しやすかったのかもしれない

      4
    • さめ
    • 2024年 3月 29日

    インドネシアのzodajakartaというメディアは、3/16の記事で、日本側がインドネシアに対してもがみ型の速やかな導入を強く求めていてインドネシアもそれに応じた話し合いをする見込みである旨報じている

    単なる飛ばし記事なのか記事が事実で日本が失注したのか、それとも水面下でまだ協議が進んでいるのかはわからないけど
    少なくとも一部のインドネシア人にとって日本が売り込みをかけていると認識されているのは確からしい

    1
    • Eno
    • 2024年 3月 30日

    インドネシアの軍事的野心は馬鹿に出来ないです。既に南メンタワイのエンガノ島をロケット専用島として押さえています。80年代の中国を見ているようです。順調に発展したら20年後新たな世界の軸になるつもりで準備をしていると思います。

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