ドイツ軍は25日「地上ベースにおける防空能力のギャップを埋めるため短距離及び超短距離を保護する防空システム(LVS NNbS)の開発契約を締結した」と発表、地上部隊に随伴可能な近距離防空システムの再取得に乗り出した。
参考:Decisive step’: Germany inks $1.3 billion short range air defense development contract
参考:Starting gun sounds for Germany’s advanced short- and very short-range air defence system – development contract awarded
10億ドル以上の投資は「低空の戦いにおける制空権の重要性」を示している
冷戦終結後の西側諸国では「戦闘機による制空権確保」「高度な防空システムによるエリア・ディフェンス」「弾道ミサイルに対する対処能力」への比重が高まり、その分だけ近距離防空(地上部隊に随伴可能なシステムを含む)への関心は薄れ、ドイツ陸軍も後継システムの取得なしにゲパルトを退役(2010年頃)させてしまう。
それでも独防衛産業界は近距離防空への投資を続け、ディール・ディフェンスが開発したIRIS-T SLSやIRIS-T SLMをエジプト、ノルウェー、スウェーデンが購入、ラインメタルが開発を進めている拠点防空に特化した「SkyNex」にも中東諸国が関心を示し、この構成要素を流用した自走式の対空戦闘車輌「スカイレンジャー」も発表したが、この時期のドイツ軍は近距離防空への投資意欲(優先順位)が極端に低下していたため発注には至らなかった。
しかしウクライナとロシアの戦いは「特性の異なる脅威を単一レイヤーで対処する難しさ=多層式防空システムの重要性」「Shahedのような安価な脅威の登場=低空域で対処すべき目標の増加」「前線に大量投入される小型ドローン=低空の戦いの成立」といった課題を突きつけ、米シンクタンクのアトランティック・カウンシルも「ハイエンドの有人機が制空権を確保できても有人機が飛行する高度と地上の間に広がる“air littoral”の戦いは別ものだ」と指摘。
air littoralとはドローンが主戦場とする戦場の低空=低空の戦いを指し、ドイツ連邦軍総監のカルステン・ブロイアー大将も「ウクライナとロシアの戦いは特にドローンの重要性が非常に高く、このレベルでの制空権が将来の戦場で重要になると学んだ」と言及していたが、ドイツ軍は25日「地上ベースにおける防空能力のギャップを埋めるため短距離及び超短距離を保護する防空システム(Luftverteidigungssystem Nah- und Nächstbereichsschutz=LVS NNbS)の開発契約を締結した」と発表して注目を集めている。
LVS NNbSは空中の脅威から「移動中の地上部隊」や「重要拠点」を保護するためのシステムで、IRIS-T SLM、TRML-4D、スカイレンジャー(公開されたイメージ画像にはMANPADS搭載するボクサーが映っている)などをより高度に統合して「低空域における迎撃ゾーンの拡大」を実現するらしい。
要するに「地上部隊に随伴できるだけの機動力をもつ近距離防空システム」を再取得するという意味で、このシステムに対する10億ドル以上の投資は「低空の戦いにおける制空権の重要性」を示しており、同分野への投資や取引は今後大きく拡大する可能性を秘めている。
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※アイキャッチ画像の出典:Diehl Defense GmbH & Co. KG
日本の自衛隊、政府、等の認識はどうなってるのでしょうか?アメリカ兵器を買ってれば大丈夫。なんて思ってるのでしょうか?西側兵器が最強。も、怪しくなってますが。どなたか詳しい方教えて下さい。
日本の防衛装備に関しては、先ずはこちらをご覧になってはいかがでしょうか?
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有難う御座います。
拝見しましたが現実的なドローン対策が無くて草。
というかようやくドローン自体に予算が付いたかという感。
レーザーとかマイクロ波とかレールガンなんて未来技術への投資が悪いとは言いませんが明日の問題に対処する具体性を見い出せません。
ドローンで敵地観測してりゅう弾砲で攻撃みたいな訓練はウクライナ戦争前からやってるはずだけどね
ロシア・ウクライナ戦争なみのドローン戦に追随できる国は(というかロシアとウクライナですら対ドローンの決定打は打ち出せてない)どこにもないから高望みすぎると思う
良くも悪くも日本は島国ですからね…今話題になってる安価な小型ドローンでは近隣の仮想敵国からは航続距離の関係上国内向けでは驚異度が低く、優先度が低いのかなと。国内を直接打撃しうる弾道弾や離島、領海、領空防衛が優先されているだけではないでしょうか?
流石に外国製兵器買っていれば大丈夫とか思っていないからこそ、実を結ぶか分からない物を予算付けて研究開発している訳で・・・。でも日本固有の縛りとか戦訓とかテスト環境、予算面とか組織や人材の絡みで外国製品勝った方がマシってのは割とあるのではないだろうか。
想定している装備を見るに日本はレーザーやマイクロ波兵器と中近対空ミサイルで機関砲のエアバースト弾での迎撃を捨てている感じでイスラエル寄りかなとは思う。またどうしても世界初?の独自色出したいせいか155mm榴弾砲用に統合対空信管の研究して三式弾ぽい事を狙ってますね。155mmりゅう弾砲等とかあるからワンチャン戦車砲も有り得そう。個人的には高射機関砲システムの実用化も視野に入れても良いんじゃないかと思うんだけどな。
機甲機動部隊の主に対AHの独力防空に対UAVを含めるとそもそもAWの部隊じゃ数が足りなすぎる。UAVなんぞどこにでもいつでも飛来するのだから低空レーダー連接でIFVの中口径火砲でエアバしてAWに協同できないともはやダメだろう。
今後のは近距離と短距離のSAMだけの部隊にAWが復活で防空部隊を再編成するだけでなく他職種の火砲でネットワーク連接戦闘しないと意味がない。その範囲はIFVに限らず戦車と榴弾砲も含める事になる。最終的にUAV迎撃は分隊機銃でも対ドローン照準補助で連接戦闘が可能になるだろう。個人防護のジャマーでソフトキルはそれ以前に普及するだろうがハードキルの手段を新たに追加するのは歩兵の積載的にも悪手だろうし標準弾薬以外を用いる事にも恐らくならない。あるなら対UAV用UAVだろう。
歩兵が装備できる対ドローン照準システムはSMASHってやつがそうなんだろうけど
実際どうなんでしょうね?
ここの記事の
「理想的なカウンタードローンシステム?米軍が魔法のスコープ「SMASH」ベースの新型を開発」
みるとかなり良さそうだけど対応できるのはクアッドコプター型だけみたいだし(それでも単価10万円程度で安いし、ウクライナで対歩兵で問題になってるのはクアッドコプター型だしね)
機関砲やレーダー搭載できる車両と比べると歩兵の対空ってなると大変だよなぁ
低コスト故に大量に飛んでくるドローンを、如何に低コストで撃ち落とすかが肝となりそうなのですが、
えーと、完璧にイメージでものを言いますが、兵器産業ってコスト抑えるの苦手そうで大丈夫かな、と。
お値段あがりましたけど、命かかってるのですから仕方ありませんね、ハイスペックです、みたいな。
仰る通りで、難しい問題ですね。
国防関連は、統廃合・巨大化が進んだだため競争圧力が働きにくく、高コスト化しているという問題(特にアメリカ)を抱えているように感じています…。
苦手も何もそう言う事業だから致し方ないでしかない。確実に安いのは消費が約束されて簡単に作れて数が出る銃砲弾ぐらいじゃないの?民生品だろうが作るのに手間が掛かるとか材料が高級とか不良率が高い物や小ロット生産なんて値段上昇は当たり前だし。
薄利多売も良いだろうがメーカーは儲けがなければ嬉しくないし潰れたら困るのは誰よって話だし。10式戦車なんてもろ生産量の影響受けている兵器。
”ウクライナとロシアの戦いは特にドローンの重要性が非常に高く、
このレベルでの制空権が将来の戦場で重要になると学んだ”
当然とは思いますが、既存の防空が不要になったわけではないと思います。
従来の複合防空をブラッシュアップ(ステルス機、UAVなどの低RCS目標の検出と
同時多数目標の並行処理)と、最下層(超低空)にもう1層付け加えることでしょうか。
費用対効果にもよりますが、UAV/ATGM/ASMのステルス形状化もあるのでは、と想像します。
日米は高射砲モドキを復活させる模様
ミサイルと比較して安く広範囲を制圧したいってニーズには確かにマッチするけど、令和のこの時代に高射砲へ回帰とか世の中何が起こるか分からんもんだね
”日米は高射砲モドキを復活させる模様”
何を復活させるつもりでしょうね。インドのようにボフォース(L60)かな。
色々と楽しい想像(笑)ができそうです。
的は亜音速巡航ミサイルと速度が100〜500km/hくらいの無人機でしょうか。
何を保管しているかはわからないのですが。
Mk33速射砲(3インチ)やMk42速射砲(5インチ)が出て来たりするのかな。
近しいものなら、35mmL90やVADSでしょうか。
復活と書くと語弊を招きますが、要は155mm榴弾砲の対空信管を開発するということですね
自衛隊の場合は「令和5年度 事前の事業評価 統合対空信管の研究」に記載されています
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システム統合というと時間と金がかかって後頓挫という悪いイメージしかありませんが、スカイネックスやスカイシールドを買った方が時間短縮になるのになと思う。
中国は「低空の戦い」に特化した近距離防空システムを最近開発しましたね(625ガン・ミサイル複合兵器システム)
低空対空は数を揃えなきゃいけないしコストも下げなきゃいけない
それでいて進化していくドローンに対抗できるように性能も上げなきゃいけない
なんとも頭の痛い課題ですね
> 米シンクタンクのアトランティック・カウンシルも「ハイエンドの有人機が制空権を確保できても有人機が飛行する高度と地上の間に広がる“air littoral”の戦いは別ものだ」と指摘。
友軍が制空権を確保してくれていても、地上部隊にとっては安全ではなく、ドローンでタコ殴りにされる可能性すらあるとは怖い時代が来たものですね。
将来の戦場は、クラスター爆弾の子弾サイズのドローンが歩兵や戦闘車両に襲いかかる地獄かもしれません。
短射程の防空兵器を、どこに・どのように配置するのか、防空陣地も再設計が求められそうですね。
短射程は相応の数が求められますから(防空エリアが狭い)、防衛装備調達に変化がでるのか注目したいと思います。
ドローンが安過ぎてコスト的に対処は無理でしょ
ラジコン並みだし
今のところ火力の低い通常弾でしかないけど
生物化学兵器載せ始めたらどうするんだろ
敵国後方の生産地域ごと核で焼く時代が来そうで嫌だなぁ
スズメバチやバッタサイズの超小型ドローンが大挙してやってきて、敵兵に忍び寄って猛毒の毒針打ち込んで回る未来の戦場が思い浮かんだ…
日本の場合、小型ドローンが何百kmと日本海を超えてやってくる可能性は低いから参考にならない気がします。
相変わらず弾道ミサイルと巡航ミサイル対策の優先順位が高く、続いてシャヘドのような大型自爆ドローン対策として防空レールガンと電波妨害で対処するつもりではないでしょうか?