ポーランドは米国製MLRS「HIMARS」と米陸軍が開発した次世代防空レーダー「LTAMDS」を調達する意向を表明、ウクライナに提供したT-72M1のギャップを埋めるため韓国政府とK2PL調達に関する交渉を行っているらしい。
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正式にLTAMDSの調達を打診したのは恐らくポーランドが初めてだろう
ポーランドは昨年10月、1967年に制定された時代遅れの国防法(防衛義務法)を廃止して新しい国防法(祖国の防衛に関する新法)を導入すると発表、安全保障委員会のカジンスキー議長は「平和を望むなら戦争の準備をせよという古の原則に従って行動することが重要で、この国が置かれた状況に現在のポーランド軍はフィットしておらず、我々は『規模が小さくても十分に武装した軍隊』という今流行りの概念は断固として拒否する」と述べ、ポーランド軍の規模を14万人→30万人(現役25万人+ボランティア5万人)に拡張すると主張していた。
この新国防法は議会を通過して今年4月に発効、規模拡大に伴う新たな装備調達にポーランドは乗り出している。

出典:대한민국 국군 / CC BY-SA 2.0
ウクライナに予備機材だったT-72M1を提供して生じたギャップを埋めるためレオパルド2の調達を進めているが、代替戦車の提供を約束したドイツとの交渉が不調で、国防省のオシエパ次官は「ウルフ・プログラム(次期主力戦車調達計画)に基づきK2PLを調達するため韓国政府と交渉を行っている」と明かしており、陸軍もK2PL調達に反対していないが「時間がかかる」と指摘しているためオリジナルのK2を先行導入する可能性も浮上しているらしい。
さらにブラスザック国防相は「砲兵部隊を強化するため米国製のHIMARSを500輌調達する」と26日に表明、米レイセオンも「ポーランド政府がLTAMDS調達に関する要請を米政府に提出した」と25日に明かしている。

出典:DVIDSHUB / CC BY 2.0
ポーランドは砲兵部隊を強化するため「グラディウス・システム」と呼ばれる無人機システムに20億PLN/約580億円を投資すると発表したばかりだが、今度はHIMARSを500輌も調達するというのだから驚きだ。
最も興味深いは米陸軍が開発した次世代防空システム向けレーダー「LTAMDS」の調達にポーランドが乗り出した点で、このレーダーはパトリオットシステムに含まれるAN/MPQ-53やAN/MPQ-65の代わりに統合防空ミサイル防衛(IAMD)で使用することが想定されており、パトリオットレーダーとほぼ同サイズながら出力を2倍に引き上げたフェーズド・アレイ・アンテナ(主1基:副2基)を3基備えているため常時360度の警戒を行うことが出来る。

出典:raytheon Lower Tier Air and Missile Defense Sensor
LTAMDSは既存のパトリオットシステムにも接続可能で「12ヶ国が関心を示している」とレイセオンが明かしているが、正式にLTAMDSの調達を打診したのは恐らくポーランドが初めてだろう。
因みに米国の次世代防空システムはパトリオットのようにミサイルやレーダーをパッケージ方式で開発するのを止めて別々に開発を進めている。
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※アイキャッチ画像の出典:raytheon Lower Tier Air and Missile Defense Sensor
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現状から振り返るとポーランドに先見の明があったと言えそうですね。
危機意識は根拠のない楽観や希望的観測を退け、現実を直視させるのでしょうか。
お隣が強盗に襲われてる最中に、慌てて鍵を注文するのは泥縄式と呼ぶが、
強盗とも話し合い解決しましょうとか言うよりはよほど現実的であります
>HIMARSを500輌
すげえなぁ…
無人機と組み合わせたら、500輌のHIMARSはまさに大噴火の如き大火力を発揮するわけですか
確か対艦攻撃にも使えるはずだったので、一気に日本を抜いてしまう勢いですな…
日本も欲しいなぁ
沿岸レーダー、低空レーダー、対砲レーダー及び対迫レーダーをファミリー化する多目的監視レーダーを開発試作中
MIMOレーダーの次世代警戒監視レーダーも試作中
パトリオットミサイルのレーダー更新として米陸軍から発注されて
老舗レイセオンが開発したレーダーです。
パトリオットを使っている日本もそのうち導入するかもしれません。
軍拡を続けるポーランドの財政状況が気になりますね
いっそ次世代レーダとリンクさせて、MARSを多目的なミサイル発射機にする計画でもできないだろうか
日本は祖国防衛の危機という現実問題にも目を向けさせようとしない野党とメディアでいっぱいなので羨ましい。
昨日、核シェルターの普及率の数字をとある本で読みましたが、日本は0.2%なんですね
欧米諸国は低くても50%程度です。
有事の際の民間防衛マニュアルまるものが市町村自治体で配られる事もありませんし
世界唯一の被爆国で冷戦時代は米ソに挟まれた最前線な国でこれですからね
「備えあれば憂いなし」の筈ですが、備える事自体が戦争を肯定して悪だって風潮が
長かったですから、今回の戦争で少しはこの意識も変わるかな
日本は土地が狭いからね
庭もまともに作れんのに核シェルターなんて非現実すぎる
横に広げる庭と違って、地下に作るシェルターにその理由は当たらないのでは。
やっぱり危機感が決定的に足りないのが一番の理由だよ。
『規模が小さくても十分に武装した軍隊』という今流行りの概念は断固として拒否する
耳が痛いな。
やっぱ国の基礎たる国防に関しては、常々議論を交わし変更するべき部分はどんどん変えなきゃいけないよな。
オリジナルK2の調達ですか。実際数少ない新車ですからありでしょうけど、そんな余裕が韓国にあるのかですよね。自分の所の古い戦車の置き換えにすら手間取ってるから、現地生産タイプの調達のほうが早いんじゃないかなあ。
日本も10式の海外供給をやれりゃ開発費用の足しになんだろうけど、単なる法体制のみならず他の戦車に比べて小さいし軽いから、実戦で使われないと何とも。
更新が遅いのは予算の都合であり、製造キャパの問題じゃありません
むしろ本国陸軍の調達数が減っている分余裕を持って輸出に回せるかも
そっか単に置き換え費用をケチってるのが問題ですか。ムン大統領、北朝鮮シンパだったし日本に対抗するため海軍とミサイルに金突っ込んでたからなあ。
そしたらオリジナルK2は買えそうですね。
しかしそうだとしたら、なおさらウクライナにT80?を送れよって思うし、ポーランドにK2をタダで渡すくらいやっても良いんじゃないかと。
いや実際はもっと酷い
政争に巻き込まれて国産パワーパックの搭載許可が下りず、エンジン未搭載の車両が倉庫に転がっている
それは韓国製エンジンとドイツ製のエンジンを組み合わせたパワーパックを搭載して解決し、昨年末までに引き渡されたし、今はもう同じ組み合わせのパワーパックで三次生産に入っている(現在までの予算上はこれで最後、四次生産があるかどうかはこれから決まるかもしれない)。
あれ三次生産車だったのか
政争のほうではパットン完全置き換えの四次生産車の国産採用で揉めていたが生産ラインではその前の三次生産車が去年まで止まっていたのか
四次生産車も既に調達が決定してるから生産も始まっているはず
政争でトラブって、生産が一時止まっていたのは二次生産の約100台
三次生産の50両は何のトラブルも起きていない
あと四次生産は昨年末に行うかどうかを検討するという報道があって以降、決行するか否かは情報はないし、予算も決定されてない(予算決定するにしても早くて今年の暮れ辺り)
どういう流れで韓国が自国の主力戦車をウクライナに渡せとかポーランドに最新鋭の戦車をタダで渡すって話になるんだ?
T-80はK2遅延のせいでボロボロなのに戦力外に出来ないし、ウクライナに渡して即戦力に出来るようなインフラが韓国内にあるならなおさら渡さない可能性すらある。
現状保有するT-80は部品取りかレストアベースで渡して浮いた予算でK2配備急がせるのも手かなとは思うが、あんなボロのT-80でも保有するより古い戦車より戦闘力は上。
ポーランドの増強を好意的に考えるなら、休戦中の韓国でも目の前にある戦力維持に関してはありだとは思わないのかな。
まあそんなに怒りなさんな。T-80もボロボロなのは知らなかったですが、ロシアから借金の代わり贈られたという、当初から筋の悪い戦車だったはずですし、もう修繕部品も手に入んないだろうから、さっさとウクライナに押し付けてK2に置き換えろよ、と思っただけです。ただ確かにウクライナにT-80の修繕インフラがなければ意味が送ってもしょうがないのは事実ですが。
>休戦中の韓国でも目の前にある戦力維持に関してはありだとは思わないのかな。
最近は対北じゃなくて、対日をも考慮した海軍に金を突っ込んでいるように見えるから、あまりアリとは思ってないです。向こうの言い分も理解はできるので、そこに口を出す権利はないですが、不信感を持つぐらいは許されると思いますが。
韓国のK2生産キャパはおそらく年間50~100両程度。(部品注文の期間が2年程度かかるので、注文から引き渡しまでに3年くらいかかる)
ただし、K2の生産と同時並行してK1戦車の改修事業も行っているので、全力のキャパはもっと上でしょう。
先行調達する量にもよるが、他の戦車の改修を待っているよりもよっぽど早くはあるはず。
しかし、先行調達したK2は、ポーランドの地形に適しておらず、後々K2PLを生産し始めたところで、K2PLに改修できないのでどうしようもなくなってしまうだろう(K2PLは車体延長と転輪の増加、装甲強化などが予定されている)
あとK2の調達量削減は予算をケチっているのではなく、生産価格の高騰や、AH-64Eを購入したり、ウォーリアープラットフォームなる歩兵装備の向上計画(歩兵の着用品や小銃の更新等)で予算を確保する為に行われたこと。
それとK2戦車の生産コストは、ドイツ軍のレオパルド2A7Vの改修費用より高く、200両(+生産中50両)しかないんだから、タダで配るわけないだろう。
日本の10式は小型軽量なので、山岳や島嶼での使用が適していると思う。
こういうところで、実戦経験が詰めればいいのにね。
少なくとも、ウクライナやポーランドでは、適してないんじゃない?
市街戦ならいけるかも知れないが。
ERAがなくてAPSがなくてRWSもない戦車なんて市街地戦じゃあ論外でしょうが
それはこの戦争見てればむしろ痛感するものだと思うけど
まあ、10式は日本の地形に合わせて作られた戦車だからウクライナでは活躍しづらいでしょう。
整備はどうすんの?
よーし、日本は12式地対艦誘導弾能力向上型を2000発用意しよう(空目)
後はUCAVに600億投資。
MLRSの後継装備は高速滑空弾です
それもはよ
UCAVに投資する価値はあるかも知れない。
冷却ファンが側面にビッシリ。大出力のレーダーは放熱もすごいんだろうな。
ポーランドは現状のNATOで1番ロシアに近いわけですが、
盾としての役割を果たすぶん防衛費などは多少NATOから融通してもらえたりするのでしょうか?