欧州関連

調達ラッシュが止まらないポーランド、今度はヘルファイアを800発購入

ポーランドのブラスザック国防相は31日「ヘルファイアの調達契約を締結した」と発表、米ディフェンスも「この契約の価値は1.5億ドル相当で調達数は800発だ」と報じており、AW149やAH-64Eで使用することを想定しているらしい。

参考:Poland buys 800 Hellfire missiles to arms its new attack helicopters

今年もポーランドの調達ラッシュは止まりそうにない

ポーランドはレオナルド製の多用途ヘリ「AW149」を調達するため2022年7月に契約を締結、32機の調達に18.5億ドル(関連費用を含む)を投資する予定だが、この機体の製造はレオナルド傘下のポーランド企業「シフィドニク」が担当するため大部分の資金が国内に落ちる仕組みで、さらに米国からAH-64Eを調達するため交渉が進められており96機の調達を予定している。

出典:Mariusz Błaszczak

この交渉はまだ合意に達していないものの、今年5月にブラスザック国防相とオースティン国防長官は「ポーランドがAH-64Eを手に入れるまで米国が8機のアパッチを提供することで合意した。数週間以内にポーランド人パイロットの訓練が開始され、ポーランド東部に来年配備される」と発表、米陸軍の在庫からAH-64を提供するということは「ポーランドのAH-64E導入はぼほ確定している」と見て良いだろう。

つまり800発のヘルファイア調達はAW149とAH-64Eに搭載するためのもので、今年もポーランドの調達ラッシュは止まりそうにない。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

因みにポーランドは今年だけでJASSM-XR、劣化ウラン弾、Naval Strike Missile、早期警戒機(Global Eye)、巡航ミサイルを搭載可能な潜水艦の調達に言及、さらに歩兵戦闘車(ボルスク)1,400輌と近距離防空システム(CAMM)への投資、K9の車体を利用したヘビーボルスクの開発を発表、MQ-9B調達に向けた交渉も進められており、ポーランド最大の防衛産業企業PGZは韓国側に「共同開発国の資格でKF-21プログラムに参加したい」と正式な意向を伝達済みだ。

関連記事:ポーランド、巡航ミサイルを搭載する新型潜水艦の調達手続きを年内に開始
関連記事:大幅な軍備拡張に乗り出したポーランド、今度は早期警戒機を調達か
関連記事:ポーランドがCAMMを発注、前例のない技術移転で英国が19億ポンドの契約を獲得
関連記事:ポーランドがK9の車体を流用したヘビーボルスクを開発、エイブラムス部隊向け
関連記事:欧州最強の陸軍を目指すポーランド、1,400輌のボルスク購入契約に署名
関連記事:訪米中のポーランド首相、JASSM-XRの取得や劣化ウラン弾の国内生産に言及
関連記事:ポーランドが米陸軍からAH-64Eを8機取得、NSMの大量調達も進行中
関連記事:ポーランドPGZ、共同開発国としてKF-21計画に参加する意思を正式表明

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army Photo by 1st Lt. Aaron DeCapua, 40th Combat Aviation Brigade Public Affairs

バイデン大統領、対中政策の一環としてインドでのF414生産を承認か前のページ

キーウのパトリオットは健在、発射されたイスカンデルを全て撃ち落とす次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英空軍、アニメやSF映画で登場するような戦場認識力の実現に近づく

    英空軍参謀総長を務めるマイク・ウィグストン大将は「独自に開発を進めてき…

  2. 欧州関連

    印ミラージュ2000改修契約の疑惑がフランスで浮上、汚職防止法をバイパスするスキーム

    インド空軍との契約を確保するため仏タレスに雇われたインド人防衛コンサル…

  3. 欧州関連

    地獄のような連射で消耗するウクライナ軍の砲兵装備、フランスがCaesarを追加提供

    フランスのルコルニュ国防相は新たに12輌のCaesarをウクライナに提…

  4. 欧州関連

    ラインメタル、トラック搭載のエリコン・リボルバーガンMk3で小型ドローンを無力化

    ラインメタルはトラックの荷台にエリコン・リボルバーガンMk3を搭載して…

  5. 欧州関連

    英陸軍、攻撃ヘリ「AH-64」の30mm機関砲が基地に向かって暴発

    英陸軍の攻撃ヘリ「Apache AH Mk.1(英国仕様のAH-64D…

コメント

    • emp
    • 2023年 6月 01日

    マジで資金大丈夫なんか?

    31
      • しんらんがな、かまへんがな
      • 2023年 6月 01日

      ロシアに命差し出すよりも借金返しながら自由の身で生きる事を選んだのでは?
      金は稼いで払えばよいが、死んだ命は戻らない。
      働けばいい。
      金を持っていた殺されたバフムトの民間人に「資金大丈夫か?」と問うような無意味さ。

      31
        • emp
        • 2023年 6月 01日

        それは理想論すぎるでしょ
        病気や怪我を恐れすぎて、収入に見合わない保険に入る人と一緒だよ
        侵略する気がないなら、軍事費なんてまさしく保険料だし

        28
          • LAST4
          • 2023年 6月 01日

          戦争もなんもない平和な時代ならそうなんだけど、今はすぐ隣の国で大規模戦争が始まってるわけだしもう戦時と同じだと思う。
          「恐れすぎて」という不安症的な状態ではなく、目の前で既に「起こっている」事態になってしまった。
          収入に見合わなかろうと、国民の命を守るためにポーランドとしては早急に備えるしかない。これは日本も同じ。

          39
            • 名前
            • 2023年 6月 01日

            ロシアの侵略の脅威が分かりやすくなったというのは理解できるとして、脅威が増しているかと問われたら、ウクライナ相手に戦力を大きく漸減させて、脅威はむしろ開戦直後より減っている。
            それでもNATOにポーランドが入っていなければ、これくらいの軍拡は当然だが、そうではない以上、GDP比5%(世界にいくつもないレベル)になるほどの急激な軍拡は過剰に思える。
            日本もロシアへの備えをそれほど増やしているわけじゃなく、むしろ対中国に力を入れている。

            8
              • NHG
              • 2023年 6月 01日

              半分はNATOという枠組み内でのインセンティブをとりたいなど軍備以外のものを狙ってそう
              あと兵器や弾薬の備蓄(絶対量)はアメリカ以外の西側は頼りにないというのも明らかになって、自分がNATOの兵器番となって同盟国に色々と供給(販売)したいというものあるだろうから額面通りには受け取れないと思う

              12
      • ななし
      • 2023年 6月 01日

      ヘルファイヤは比較的安いミサイルだけど資金の心配をしたくなるよね

      1
    • tx
    • 2023年 6月 01日

    ポーランドは経済もマイナス幅は欧州で最も大きいし財政も良くない中で一体どこから資金を調達するのか
    戦争を起こすこと前提に見えなくもない

    17
      • ヤゾフ
      • 2023年 6月 01日

      ポーランドの経済成長率ですが2021 6.85%、2022 4.87%となっておりコロナ渦の2020年除いて経済規模は拡大してます。
      生産の現地要求も公共事業としての政府支出増大として見るなら今後の需要刺激策としても悪いものではないです。
      また、ポーランドの軍備拡張は隣国ロシアの侵攻が歴史的な経緯含め政策決定に影響を及ぼしてるので、ポーランドからの開戦、NATOの構成国としてどこに攻め込むのか疑問です。

      12
        • 匿名
        • 2023年 6月 01日

        EUの支援ありきの経済成長率なのでね…

        経済成長率が高いから政府の財政に余裕が有るというわけでない
        経済成長に伴って税収も上がってるし、危険域ではないけどポーランドは常に経常収支は赤字
        最大の貿易相手のドイツは景気後退だし財政に安心できる要素は無さげ

        12
    • general
    • 2023年 6月 01日

    破産しそう

    14
    • おわふ
    • 2023年 6月 01日

    最近は日本も相当頑張っているが、当面主力のF-35がコケないかだけが心配

    2
    • 名無し
    • 2023年 6月 01日

    何処から購入資金が?

    4
    • MAT
    • 2023年 6月 01日

    国土防衛にお金を使うのは今の情勢的には正解なんだろうけど、政権変わったら調達数一気に減るんじゃないか?ってくらい調達してるよね。
    前だと戦車1000両くらい調達する話もあったし、他国と比較しても増強ペースが尋常じゃないのが少し心配なところ

    13
    • 58式素人
    • 2023年 6月 01日

    隣のベラルーシ次第で、戦火が及ぶと考えているのでしょうか。
    いつ頃と見積もっているのか、伺ってみたいものです。
    ウクライナが耐え、ポーランドが予防することで、
    ロシアが引っ込んでくれると良いのですが。難しいかな。

    7
    • nachteule
    • 2023年 6月 01日

     一生懸命に対ロシアで装備揃えているけど冷戦期に装備を揃えた国と同じで、結局はロシアに使わずに別の国に流すか、米国みたいに湾岸戦争で備えてきた真価を発揮するみたいなパターンがありえそう。

    3
    • 熱可塑性エラストマードアストッパー
    • 2023年 6月 01日

    ヘビーボルスクはK9のパワーパック、履帯、懸架装置、転輪、起動輪、誘導輪を流用するけど車体は新設計のようです。
    ヘビーボルスクの開発にはハンファ社が協力してAS21レッドバックで使われた技術を提供します。

    • ホテルラウンジ
    • 2023年 6月 01日

    このブレない軍拡はポーランドなりの世界地図を描く絵がありそうですね。
    勿論表向きは対露戦なんですが、表向きの理由以外にもありそうです。
    端的に言えば独仏に代わってEUの盟主の座を狙った筋書きがあるんでしょう。
    その筋書きがポーランドの奥の院で練られて単独で実行に移されてるのか、それとも
    アメリカの奥の院とも話がついていてポーランドと米国で連携して次のヨーロッパの
    統治のデザインを作っていってるのか
    勿論、軍拡の果てにポーランドが独に侵攻するとかそういうアホみたいな短絡的な展開はありえないと思います
    安全保障の責任を果たしてきた貢献度と信頼性で独仏よりも情報の上流に入れる事で情報面から
    EUの中で一番有利な国際政治を展開できる立場に入れる事を狙ってるとか。

    1
    • RAAF
    • 2023年 6月 01日

    よくウクライナ向けに在庫を送ったので補充したいけれど生産が追い付かない事例が以前紹介されていましたが、ヘルファイアミサイルに関してはどうでしょうと調べた所、
    ノルエーから約百六十発ほど発射機込みで送っているとか。
    アメリカの援助に関する記事を読み直すと供与の話も見つからなかったことから、弾薬切れで待機中なのでしょうか?
    今回のポーランド向けの話で納期が長いとかについて触れられていないことから、正常な生産体制のようですね。

    1
      • nachteule
      • 2023年 6月 01日

       そんなソースが見付からなかったのでソース貼って貰えませんかね?多分国とミサイルを間違えている気がしてならない。提供されたのは亜種であって米軍が使用している物ではないでしょう、ウクライナに地上海上から発射するようなヘルファイアの発射プラットフォームが有るなんて聞いた事がない。
       IM-SHORADが提供されているならミサイル提供もあり得そうだが新しいから提供するというとね。

        • クローム
        • 2023年 6月 01日

        リンク
        横からですが、ノルウェー政府自身が供与を発表しているので間違いないと思います。

        ヘルファイアってあんな小さな三脚みたいな発射台から発射出来るんですね、知らなかった。

        1
        • RAAF
        • 2023年 6月 01日

        ググったら2022年9月8-9日の記事で何件か出てきましたので
        リンク

        リンク

        リンク
        同じ日にちの記事か集中しているので、その日に発表があったようですね

        リンク
        これはスエーデン物で2022年6月2日の記事です

        運用実績の話は見つからなかったので、実際には供給されていないのでしたらご勘弁を。

        2
      • nachteule
      • 2023年 6月 02日

       ヘルファイアと言いつつもRBS‐17のような感じですね。ノルウェーがデリバリーしたと言う話はあったので。
       RBS‐17はボフォースがカスタマイズして陸上発射と弾頭重量増加したものです。サイズは同じでも陸上発射で同等の射程なら推進系も強化していると思います。

       同じヘルファイアでも搭載するプラットフォームに合わせた物が作られているので、単純にヘルファイアだから使えるだろうでは無いと思います。LCSからの垂直発射なんて無改造で出来るとは思えない。
       ヘルファイアがベースであって米国が未対応の発射プラットフォームの為にヘルファイアを出すって流れはあり得ないかと。

    • チェンバレン
    • 2023年 6月 02日

    ロシア絶対止めるマンと化したポーランド
    もう分割されてたまるかという強い意志を感じる

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP