中東アフリカ関連

ナイジェリア大統領、議会にニジェールへの軍事介入を承認するよう要請

ナイジェリアメディアは4日「ティヌブ大統領が上院にニジェールへの軍事介入を承認するよう要請した」と報じており、ニジェールに対する軍事作戦のためナイジェリア軍が戦力の集結を開始したという報道もあるが、これはナイジェリア軍が否定している。

参考:Niger coup: Tinubu writes Senate, seeks support for military intervention
参考:BREAKING: Nigerian Army Speaks On Starting Military Operations In Niger

ナイジェリア陸軍総司令部は「まだ軍事作戦を開始するよう命令を受けてない」と報道を否定した

西アフリカのニジェールで7月26日にクーデターが発生、大統領警護隊の兵士らはバズム大統領を拘束して「祖国救済国家評議会(CNSP)」の樹立を宣言、大統領警護隊の司令官だったチアニ将軍が新たな元首に就任し、ニジェール軍のイサ参謀総長も「致命的な内部衝突を避けるためCNSPを支持する」と表明したが、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はニジェールの軍事政権を認めず「10日以内に民主的に選出された政府=バズム大統領による統治を回復させなければ軍事介入もありえる」と通告。

これに対してマリとブルキナファソの軍事政権がニジェールの軍事政権を支持し「周辺国による軍事介入を自らへの宣戦布告とみなす」と宣言したが、ECOWASの議長国を務めるナイジェリアも軍事政権に譲歩する気はなく、現地メディアは4日「ティヌブ大統領が上院(元老院)にニジェールへの軍事介入を承認するよう要請した」と報じており、一部では「ニジェールに対する軍事作戦のためナイジェリア軍が戦力の集結を開始した」と報じられているものの、この報道についてナイジェリア陸軍総司令部は「まだ軍事作戦を開始するよう命令を受けてない」と否定した。

本当にナイジェリアがニジェールに対して軍事介入を行うのかは不明だが、ホットスポット(ウクライナとロシア、中国と台湾、中国とインド、トルコとギリシャ、セルビアとコソボ、アルメニアとアゼルバイジャン、モロッコとアルメニア、イランとアフガニスタン、スーダン内戦、シリア問題など)が増えすぎて、たぶん全てをカバーするのは時間的に無理で、、、どうして世界の安全保障環境はここまで悪化してしまったのだろうか?

関連記事:イランとアフガニスタンが武力衝突、タリバン元司令官もテヘラン占領発言で挑発
関連記事:コンゴ大統領、ルワンダ支援の反政府勢力と戦うため国民に参戦を要請
関連記事:契約を履行し続けるロシア、アフリカ諸国に対する武器輸出で中国を抜く
関連記事:第2世代から第4世代にジャンプ、創設57周年を祝うナイジェリア空軍がJF-17初披露を予告

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Sean Castellano

不正がバレたオデーサ州ユジネ市の軍事委員長、最前線の部隊に送られる前のページ

ウクライナ南部を舞台にした反攻作戦、両軍が繰り広げる消耗戦の中身次のページ

関連記事

  1. 中東アフリカ関連

    エジプト軍需生産省の高官、EDEX2021で自走砲K9の現地製造契約を韓国と締結する

    中東系メディアのアル・ワタン/الوطن紙は21日、エジプトが韓国製自…

  2. 中東アフリカ関連

    イスラエル、UAEへのF-35A販売に同意する見返りとしてF-22を要求か?

    イスラエルはアラブ首長国連邦へのF-35A販売を認める代わりにF-22…

  3. 中東アフリカ関連

    サウジアラビアがAkinci導入、トルコは史上最大の武器輸出契約を獲得

    サウジアラビアはAkinci購入契約に署名、Bakyarのハルク・バイ…

  4. 中東アフリカ関連

    弱みを握られたEU、リビア停戦合意の裏でトルコは戦略的要衝を確保

    リビア国民統一政府とトブルク政府はリビア全域で停戦することで合意したと…

  5. 中東アフリカ関連

    イスラエル、2022年の武器輸出額が過去最大の125.5億ドルを記録

    イスラエル国防省は14日「2022年の武器輸出額が125億5,600万…

  6. 中東アフリカ関連

    イラン、アルメニア支援のため戦車200輌を含む部隊を国境沿いに派遣

    イランはナゴルノ・カラバフ地域を巡るアルメニアとアゼルバイジャンの戦い…

コメント

    • はぁ
    • 2023年 8月 04日

    ウクライナ侵攻が全てを変えたというわけではないが、ありとあらゆる火種に戦争という手段を与えたのは間違いない。

    28
      • hiroさん
      • 2023年 8月 05日

      ウクライナ侵攻後に火種が発生したのはニジェールだけじゃないの?
      他のホットスポットも戦争·紛争が起きたのはウクライナ侵攻前だと思うけど。

      11
        • 廉価
        • 2023年 8月 05日

        戦争という手段を与えたって表現だから、別に火種自体はその前にあったという解釈。

        17
      • k.ziro
      • 2023年 8月 07日

      事の始まりはアフガニスタンからじゃないかな?
      ハリス副大統領はやってくれましたねえw

    • もり
    • 2023年 8月 05日

    もういつ世界大戦が始まってもおかしくないな

    4
      • しゃる
      • 2023年 8月 05日

      『この日から第三次世界大戦が始まりました』ってよりかは
      『世界各地で大小の戦争が同時多発的に勃発して、このあたりから世界大戦っぽくなったのでこの期間を第三次世界大戦って命名します』てな感じですね

      31
    • ブルーピーコック
    • 2023年 8月 05日

    技術革新と、情報化社会で色々と誇張されてるのと、前々から燻ってた火種が顕在化しただけで今までも別に平和という訳ではなかったような。
    雲散霧消してから忘れられてるけど数年前までイスラム国が暴れてたり、南スーダンのことがあったりと毎年どこかしらは燃えてる。

    38
      • 拓也さん
      • 2023年 8月 05日

      少なくとも私達の見る「世界」が平和に見えただけで世界中を見渡してみると戦火が絶えることはなかったですね。でもこの火が我々の目にも映らざるを得ない大きさになってしまったのは脅威だと思います。

      18
      • ふむ
      • 2023年 8月 05日

      ニジェール周辺は通貨もCFAフランで、為替レートは概ね固定(たまの改定はアリ)
      外貨準備高の50%をフランスの国庫に保管する規定が残っていたり未だにWW2以前の帝国主義時代・植民地経営時代の仕組みが色濃く残っているようですしね…

      アフリカはアジアより概ね独立が早く、その代わり色々と独立性薄い仕組みが残ってたりするんですよね
      マリやブルキナファソで起きた事がニジェールでも起きた、と順番が回ってきただけと考えると前々から燻っていた火種という解釈は同意ですねー

      16
    • 霞ヶ浦
    • 2023年 8月 05日

    フランス何も出来なかったら面子まる潰れだけどどうすんだろ

    12
    • タチコマァ
    • 2023年 8月 05日

     世界は連動してますからね……特にウクライナ侵攻で大義なき戦争の敷居がある意味で低くなった感は否めない

     アフリカの政情不安については食糧危機のほかにロシアが工作した結果説もあるが何処まで真実なのだろうか……

    14
    • 拓也さん
    • 2023年 8月 05日

    まあ冷戦終結から30年以上経ち、アメリカの弱体化と中国の躍進、格差の拡大…。 ここまで状況が変わるとかつての安全保障の枠組みはとうに限界がきているのだと思います。近年アフリカでの騒乱が絶えないのも西欧諸国(主にフランス)が及ぼす影響が低下した為だと考えられます。アメリカもアフガンから撤退しましたし欧米を中心とした安全保障はもう維持できないと思います。

    9
    • くじら
    • 2023年 8月 05日

    英米メディア見てる限り、ニジェールのクーデター支持者は親露傾向(ワグネル等の支援有無は不明)な一方、介入可能性が指摘されているナイジェリア軍は空軍主力戦闘機がJ-7、加えて近年ラゴスに中国が軍事基地建設する意図があるのではと指摘されてたりと中国の影響力が強いようで……

    西アフリカ情勢は複雑怪奇というか。ECOWASは2018年に中国の援助で本部を建設してるし近年は西側からの影響力は低そうな雰囲気。とはいえ彼らの本音はどこからも指図は受けたくなくて、一番距離があって支援額も多い中国を資源と港湾施設を見返りにスポンサーに選んだというのが実情なんだろうけど

    ……北部でリビアとも国境接してるんだよねニジェール、2022年にマリでロシアの工作や支援の影響でクーデター起こったのと地続きの事象に思える、ナイジェリアが今回に限って介入企図してるのはロシアが疲弊してる今ならこのあたりの資源利権をぶんどれると中国が踏んだせいなのか、それともナイジェリアが地域大国として目覚めつつあるのか

    にしてもアフリカ情勢も取り上げてくれるこのブログ改めてほんとに貴重っすね……

    34
    • たむごん
    • 2023年 8月 05日

    アメリカは、2つの有事に即応できる体制が目標でしたが、ウクライナ戦争による弾薬不足で失われています。
    管理人様の仰る通り、世界中で緊張感が高まっていますが、大規模な対応は厳しいでしょう。

    ちなみに大量のウランが、ニジェールにあるため、核拡散に繋がる甚大なリスクもあります。
    ウラン鉱山が、テロリストに支配されたり、闇マーケットに流れないことを願っています。

    2
    • ふむ
    • 2023年 8月 05日

    うーん、悪化してるんですかね?
    ずっと荒れてる地域が荒れてるだけのような気も…

    アフガニスタンとか対ソ対米と2大勢力相手に戦い続きでしたし、中東も第何次中東戦争とか恒例行事、
    バルカンは安定の火薬庫でアフリカは無理矢理引いた国境線が災いして不安定…と

    まあ良くなっている気もしませんけども

    10
    • ぱんぱーす
    • 2023年 8月 05日

    ECOWASにはECOMOGという紛争解決のための統合軍がありますが、これはお金持ちのナイジェリア主導で作られたものみたいですね。
    しかしこの統合軍、「Every Car or Movable Object Gone(自動車や動かせるもの全部持ち去る)」とか言われててほとんど山賊です。
    リベリア内戦はECOMOGのおかげで解決したようですが、略奪は酷いものだったようで……。
    うーん、いかにもアフリカ。

    14
      • ななし
      • 2023年 8月 05日

      軍隊というところは大抵略奪してます。米軍も例外ではありません
      戦地から送る郵便物は無料なのでイラク戦争時に米軍兵士が貴金属類等を現地から自分の家に送りまくってます
      某日本人元傭兵が書いた本に国連軍に参加したインド軍が家電製品や車を船一杯に積み込んで持って帰ってたと書かれてました
      お行儀がいいのは自衛隊ぐらいじゃないですか?

      13
        • ぱんぱーす
        • 2023年 8月 05日

        言われて見てアブグレイブ刑務所事件を思い出しました。
        先進国でも戦争になれば人間の残酷な一面が剥き出しになりますね。

        4
      • ブルーピーコック
      • 2023年 8月 05日

      ナイジェリアは西アフリカの盟主を目指してますからね。ただ理想は高くとも現実は治安と経済と宗教・民族問題でうまくいっていませんが。
      産油国なのに精製できないのは早く改善すべきだとは思います。

      3
    • general
    • 2023年 8月 05日

    順当に行けばナイジェリア、コートジボワール、セネガルの同盟が内陸国の貧乏軍政クラブに負ける道理はないわけだが、はてさてどうなることか

    7
    • coach buzzcut
    • 2023年 8月 05日

    モロッコとモメてるのはアルメニアじゃなくてアルジェリアだルルォ!?
    管理人兄貴は体を大事にしてしっかり寝て休んでホラ

    西アフリカの情勢不安定化何が怖いって政府と正規軍が弱体化してイスラム過激派が拡大することよね
    次はモーリタニアあたりが危ない気がする

    13
    • Active Present
    • 2023年 8月 05日

    顕在化されただけだって意見もわかるけど、現実的に経済がブロック化されていってるのがかなり気がかりなんだよなあ。

    4
    • 折口
    • 2023年 8月 05日

    西アフリカで多国間戦争が起こってしまったら、参加国の規模を考えるとコンゴ動乱やオガデン戦争以来の大戦争になってしまうんですかね。普通に正規戦なので平和維持軍の出る幕じゃないですが、最近クーデターや内戦で世間を騒がせている西および北アフリカ地域の殆どが旧フランス植民地で、これもフランスの国際的な存在感の低下が遠因の一つなのかなあと思ったり。

    6
    • 黒丸
    • 2023年 8月 05日

    ウクライナ侵攻の前に、アメリカによるアフガニスタン撤退で
    アメリカの政策・軍事能力の弱体化リーダーシップの欠如が可視化されたのが
    今回の安全保障環境悪化の始まりのような

    7
    •  
    • 2023年 8月 05日

    ロシアによる安全保障もアメリカによる安全保障も全てが今は当てにならなくなった。西側も東側ももうウクライナ以外に介入する余力はないしするつもりもないのだから今こそは、というのは多いだろう。もはや第何次までやる気かもわからない中東戦争かな次は。

    6
    • (^q^
    • 2023年 8月 06日

    >どうして世界の安全保障環境はここまで悪化してしまったのだろうか?
    第三次世界大戦はおそらくシリア内戦の頃に始まっていて、ウクライナ戦争で全世界に延焼し始めるのだろうと私は考えています。
    原因はアメリカの衰退、SNSの発達と中国の過剰生産能力、シェールガスに始まるエネルギー革命でしょう。
    グローバリズムと大規模緩和、過剰生産の逆回転が進行している環境下ですので、農業や資源で稼いでいる国が不安定になりやすそうですね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP