米国関連

米海兵隊の最優先目標は無人戦闘機によるF-35の強化、YFQ-42Aもテスト

クラトスとノースロップ・グラマンは先月「米海兵隊のCCA開発を競争入札の末に受注した」と発表し、米海兵隊はF-35Bに随伴可能なウイングマン=CCAにXQ-58Aを選択した格好だが、ジェネラル・アトミックスは10日「CCAの評価対象としてYFQ-42Aが選定された」と発表した。

参考:YFQ-42 Fighter Drone To Test USMC’s Autonomy ‘Brain’ Alongside Crewed Jets
参考:US Marine Corps advances plans for drone wingman
参考:What Marine Corps aviation has in store over the next five years

米海兵隊が通常離着陸のYFQ-42採用に含みを持たせてきたため、XQ-58Aの強みが相対的に低下した

米空軍のF-47、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンとの協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前倒しされている。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Blake Wiles

米国だけでも発表されているだけでYFQ-42A、YFQ-44A、YFQ-48、XQ-58A、XQ-67A、LongShot、Gambit、Vectisなどが開発中だが、空軍主導の協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)は第2弾調達の入札が2026年に開始されるため、今後もCCAはどんどん増加する見込みで、クラトスとノースロップ・グラマンは先月「米海兵隊の無人遠征戦術航空機(MUX TACAIR)計画向けCCA開発を競争入札の末に受注した」「このCCAはXQ-58Aとノースロップ・グラマン製の自律ソフトウェアパッケージ=Prismを組み合わせたものになる」と発表し、米海兵隊はF-35Bに随伴可能なウイングマン=CCAにXQ-58Aを選択した。

Breaking Defenseも「MUX TACAIR計画における唯一の選定となった本件の初期契約額は2億3,150万ドルで、これは24ヶ月間の開発作業をカバーする。さらにXQ-58AとPrismの統合においてクラトスではなくノースロップ・グラマンがシステムインテグレーターを務め、このような枠組みは防衛産業において異例というしかない」と説明し、このMUX TACAIR計画はラピッド・プロトタイピング・プログラム=5年以内に運用開始が可能と判断される成熟したシステムなら通常のアプローチよりも早く実戦配備が可能になる取り組みとして開発が進められている。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE

さらに米海兵隊は米空軍と異なり「新機能を段階的に実装していくスパイラル・アプローチ」を採用し、現在の段階をIncrement1と定義しているため、XQ-58Aは新機能を実装していく度にIncrement2、Increment3と発展していくと予想されたが、ジェネラル・アトミックスは10日「MUX TACAIR計画の評価対象として実施された競争入札でYFQ-42Aが選定された」と発表。

この件について米海兵隊は「MUX TACAIR計画を実現する試験を支援する役割だ」「但し、YFQ-42AがIncrement2として導入される可能性は十分ある」と回答し、War Zoneも「今回の試験はプラットフォームに依存する評価を超えたものになる」「注目すべきはXQ-58Aとの関係性だ」「XQ-58Aが大型化、複雑化、滑走路運用への対応を強める中でYFQ-42Aとの設計・運用上の類似性はかつてないほど高まっている」「CCAが評判通りの能力を実現するかはどうかは別にしても、この分野の供給を特定の企業や設計が独占することはない」「CCAの競争入札は反復的な性質を備えているため誰かが独占するのは現実的でない」と指摘した。

出典:GA-ASI

XQ-58Aは元々「ロケットモーターによる打ち上げ」「パラシュートによる機体回収」を前提にした設計で、米海兵隊向けXQ-58は降着装置を内蔵した通常離着陸対応バージョン(通常の滑走路を用いた離着陸(CTOL)だけでなく、ロケットブースターによる打ち上げ、ロケットブースターとCTOLを組み合わせた運用も可能)になる予定だが、米海兵隊が通常離着陸のYFQ-42A採用に含みを持たせてきたため「XQ-58Aの強みが相対的に低下した」という意味だ。

因みに米海兵隊は今後5年間をカバーする航空戦力計画の中で「最優先事項はMUX TACAIRの試験と開発だ」「F-35を主体とした第5世代機に共同運用が可能な戦闘機(CCAのこと)を増強することだ」と述べ、改めて「F-35Bの調達数を削減してF-35Cの調達数を増やす」と記述してきた。2022年まではF-35B×353機とF-35C×67機を調達する計画だったが、現在はF-35B×280機とF-35C×140機を調達する計画に変更されており、リフトファンがないF-35Cの調達を重視している。

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※アイキャッチ画像の出典:General Atomic

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コメント

  • コメント (10)

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    • kitty
    • 2026年 2月 17日

    海兵隊としては、高価なF-35Bに損耗率の高いCAS任務をさせるより無人機でという当然の流れなんでしょうね。

    5
    • Whiskey Dick
    • 2026年 2月 17日

    F-35完全体(Block4)の完成を待つより、Block4の機能を無人機に組み込んだ方が早かったりして。

    >リフトファンがないF-35Cの調達を重視している。
    リフトファン方式はシンプルな構成かつ低温排気、更にF-35の基本性能が加わることでF-35Bこそ戦闘機の理想形だと考えておりました。現実にはリフトファン追加のため兵器庫の容量が削られ、航続距離と兵装搭載量も(実運用において)F-35Aの半分になるなど現実は厳しいんですね。稼働率も低いようだし、整備面でも深刻な問題を抱えていそうです。

    5
      • AKI
      • 2026年 2月 17日

      他にハリアー後継がない以上、F-35Bは最後まで使われそうですね。
      他は第6世代の開発次第ですが。

      7
        • 全てF-35B
        • 2026年 2月 17日

        単純に空母艦載機が足りないから、割食っているだけです。
        予算は海軍が握っているので、いつもの事です。

        3
      • kitty
      • 2026年 2月 18日

      そもそも、CATOBAR空母が使えないけどSTOBAR空母や強襲揚陸艦だけは使えるなんてシチュエーションが米軍にあるのかと。

      1
    • 58式素人
    • 2026年 2月 17日

    海兵隊が採用する無人機を海軍も採用するのかな。
    使うのは、ほぼ同じ場所(空母/強襲揚陸艦/地上基地)だし。
    何となくですが、このところ(今現在も)やらかし続けている海軍が
    少し後ろに下がっているような感じがするのですが、気のせいかな?。

    3
    • AKI
    • 2026年 2月 17日

    国産武器やライセンス生産の自由度を考えると、機種が絞られたところで共同開発に参入したいところですが、なかなか定まりませんね。

    こいつが本命か?

    2
    • 戦略眼
    • 2026年 2月 17日

    日本はX-BATが良いのでは。
    ヘリのない護衛艦が多いので空の格納庫にX-BATを載せれば、DDHのF-35BやV-22の数を減らさずに済む。

    5
    • セルフリッジ
    • 2026年 2月 17日

    F-35の強化ってなんやねん。0に何かけても0ですよ

    5
      • kitty
      • 2026年 2月 18日

      ゼロは言い過ぎ。

      25mmのGAU-12 Equalizerで機銃掃射もできるし(ただし1斉射で弾切れ)、SDBも落とせます。
      ビーストモードでなら爆弾もたくさん積めます(ただしF-35Bは離陸重量で…)

      問題は、ステルス機の意味・・・。

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