ウクライナ戦況

侵攻630日目、ザポリージャ方面とドニエプル川沿いの動き

ザポリージャ方面のウクライナ軍がノヴォプロコピフカ北郊外に到達したことが視覚的に確認され、ドニエプル川沿いの戦いについても「クリンキーの敵に対応するためロシア軍は部隊を移動させたり、予備戦力の投入を余儀なくされている」とロシア人が報告している。

参考:Что происходит в зоне СВО: хроника за 14 ноября

流石に「ロボーティネからの南下が再開された」と主張するのは時期尚早だろう

ザポリージャ方面のウクライナ軍は9月下旬「ベルベーヴ西郊外に設定された防衛ライン」を装甲車輌で突破、ロボーティネの南位置する「ノヴォプロコピフカ集落内」にも到達したが、それ以上の進展は視覚的に確認されておらず、ベルベーヴ方向のウクライナ軍は若干押し戻され、ノヴォプロコピフカ集落内への到達も一時的なもので両拠点はロシア軍が支配している。

出典:GoogleMap ザポリージャ州の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

この地域の交戦は続いているものの決定的な動きがないので暫く放置していたが、ノヴォプロコピフカ北郊外=でロシア軍がウクライナ軍の装甲車輌を破壊する様子が登場、この深さまでウクライナ軍の装甲車輌が到達したのは初めてだが、流石に「ロボーティネからの南下が再開された」と主張するのは時期尚早だろう。

因みにロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは14日「ウクライナ軍はザポリージャ方面での前進を諦めていないが、この1週間で敵の砲撃の激しさは激減し、ロシア軍の反撃がピャティハトキ方向で始まっている」と主張しているものの、こちらも反撃を裏付ける視覚的証拠は登場していない。

出典:GoogleMap ヘルソン周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ドニエプル川沿いの戦いについてRYBARは「ロシア軍は砲兵を動員しているにも関わらずクリンキーの敵を掃討出来ていない、残念ながらロシア軍は他の地域から部隊を移動させたり、予備戦力の投入を余儀なくされている。ウクライナ軍はオチャコフとキンバーン砂州の間にあるペルボマイスキー島、ノーバ・カホフカ、ゴルノスタエフカ~カイリー~ヴァシリフカの3方向に上陸する計画を持っている」と指摘しているが、依然としてウクライナ軍が左岸で何を達成したいのかは不明だ。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • ぱあ
    • 2023年 11月 15日

    まさに平押し。
    一体何がしたいのか…。

    9
      • ahoge
      • 2023年 11月 15日

      ウクライナが攻勢に回れるのは2025年になってから(それまでは我慢が続く)というエコノミスト紙の報道と、
      アウディーイウカが既に攻囲され直接的な援護はあまり効果が望めないことを考えると、
      他の戦線でピンポンダッシュして少しでも圧力を下げたいという解釈が概ね妥当なのではないか。

      21
    • 幽霊
    • 2023年 11月 15日

    ドニエプル川沿いではウクライナ側からの砲撃が届く範囲は維持できるでしょうけど前進して砲撃可能範囲から出たら維持できるんでしょうか?
    逆にロシア側の砲撃範囲に入るでしょうし。
    それに前進するには戦車や装甲車に砲兵を川を渡って展開する費用があると思うのですが、川を渡るのは簡単では無さそうですしね。

    14
    • 暇な人
    • 2023年 11月 15日

    おそらくロシア側ウクライナの人的資源にダメージを与えるために長期戦に持ち込んでいる。
    西側は兵器や金は出せても兵士を一部の傭兵や退役将校以外は「脱走兵」「休暇中」などの方便で少数送るのがやっとなので、長期戦になれば人員がいなくなる。

    ウクライナ側もロシアの人的資源にダメージを与え続ければ反プーチン派や厭戦気分が持ち上がり革命はないにしても政権にダメージが与えられ戦争継続できなくなると判断している。

    西側はロシアにダメージ与えればいいと判断している
    第三世界はもっとお前ら潰しあえと思ってる西側と東側が消耗するのは彼らのメリット

    4
      •  さ
      • 2023年 11月 15日

      第三世界は皆、何でもいいから戦争早く終わってくれと思ってるよ
      燃料や穀物の相場の値上がりが、彼らの通貨基準だと洒落になってない
      消費させるのがメリットとか他人事の様にいえるのは力のある国だけだよ

      43
        • 暇な人
        • 2023年 11月 16日

        中東とかの資源輸出国はウハウハですよ
        インドや中国はロシアから安い資源輸入してますのでこれまたウハウハ
        ブリックスとか資源輸出国はかなり美味しい思いをしているし、
        NATOとロシアが弱体化するのは国益でしかない。

        小国とか資源がない国にとっては悲惨ですけどね

        3
    • mugi8
    • 2023年 11月 15日

    >>何がしたいか

    ここに何かしらの狙いがあるというより素人考えだけど正面からの地雷原の攻略ができなかったので最も地雷の少ないorロシア軍としても地雷を撒きたくない場所を調べたらここになったんじゃないかな

    19
    • Easy
    • 2023年 11月 15日

    ほぼ全ての戦線でウクライナ軍の砲撃強度が低下している現象が観測されてますが。
    先々月くらいに100万発のクラスター砲弾を供与されているはずですし、その他の国や自国生産分もあるはずなので、こんなに急に在庫が尽きるとは思えず。

    6
      • 名無し太郎
      • 2023年 11月 15日

      今後のアメリカの支援が怪しくなってきた。おそらく節約しているのだろうね。

      17
        • Easy
        • 2023年 11月 15日

        どうやら関係ありそうな記事がBloombergに出ており。
        イスラエルへの武器供給は表に出ているよりも遥かに広汎でスピーディーに実施されており。どうも欧州の武器在庫をかき集めてイスラエルに送っているとのこと。
        すなわち,ウクライナ向けを全部止めてイスラエルに送ってしまっている可能性が高いかなと。
        そうでも考えないとあまりにウクライナ軍に急激なブレーキがかかっていて、ちょっと不自然ですので。

        12
      • 歴史と貧困
      • 2023年 11月 15日

      在庫はまだあるが、ウクライナに運ばれる前のポーランド、西部のリヴィウ、首都キエフなどで順次輸送中で、必要な前線に必要なだけ送り届けられる状態になっていない可能性もあるかと。へルソン、ザポロージェ、ウグレダール、マリンカ、アウディーイウカ、バフムート、リマン、クビャンスクのそれぞれの戦線へ、何万発ずつを何時までに何百台の輸送トラックや鉄道で運ぶのかを考えるだけでも、兵站能力が破裂しそうです(民間業者も使うなら、資金面も)。

      冬を迎え、ロシアの自爆ドローンによるインフラ攻撃にも警戒せねばならず、前線の兵士が不足し始めているということは、後方の兵站輜重にあたる人員も本来必要な数を満たせなくなっていることも考えられます。

      この戦争が始まって以来、ウクライナ側の兵士の士気の高さや西側兵器の性能は良く聞くのですが、後方から前線への兵站輜重能力がどの程度で推移しているかは、あまり聞いたことがないんですよね。

      17
    • 名無し太郎
    • 2023年 11月 15日

    >依然としてウクライナ軍が左岸で何を達成したいのかは不明だ。

    ・ロシア軍の戦力を引き付ける。
    ・ロシア軍の戦力が手薄になっているところを突いている。

    この二つの理由の内のどちらかか、あるいは双方が組み合わさった複合的なものではないかと思う。またアウディーイウカとバフムートにロシア軍が気を取られている内に、ここに足場を築きたいのではないかと思う。

    7
    • 58式素人
    • 2023年 11月 15日

    他所の動画を見ていると。
    ロシア軍は少しやり方を変えたのかしら。
    BMPで全速(?)で突進し、被弾した位置で歩兵を降車させて、
    その位置を確保するような動きが見えますね。面積を確保するためと思います。
    BMPに乗っていれば、徴集したての歩兵でもOKでしょうから。
    ウクライナ軍は、奪還した場所のロシア寄りに対戦車地雷を仕掛けておくべきでは。
    防御陣地の作成を怠っているのかな。

    3
      • 774
      • 2023年 11月 15日

      1両2両ならまだ耐えられますが10両以上で来られたら止めきれないですね
      仮に止めきれたとしても次やその次の10両は厳しい
      やはり戦いは数だよ兄貴ぃ!

      15
      • Easy
      • 2023年 11月 15日

      実は防御陣地を作るにも命令が必要です。
      現場の部隊が防御陣地を作るとしても、資材や装備は結局は軍の後方から支給されなければなりません。
      すなわち,それなりの上層部で防御線を作ると意思決定しないと、ちゃんとした防御陣地は作れないのです。
      ロシア軍はスロヴィキン将軍以下、1年前には防御線の構築を決定して作業に取り掛かっていますが。
      ウクライナの場合は,本来は今頃無敵の西側装備で破竹の勢いでロシア軍を蹴散らしているはずだったので。
      本格的な陣地構築の命令は出ていないんじゃないでしょうか。
      まあ、理論上は,前進を続けるなら防御陣地は不要ですので。
      前進こそが最大の防御なんですね。前進出来れば、という条件が付きますが。

      17
        • hiroさん
        • 2023年 11月 16日

        何処のエリアのことを言われています?
        ウクライナだって全線線で攻勢に出る計画なんかしていないし、防御すべきエリアは陣地構築をしていますよ。

        5
      • 58式素人
      • 2023年 11月 15日

      最前線の部隊に対戦車地雷を携行させ、最前線の部隊長判断で設置が出来れば良いですね。
      面積が欲しい場合は、BMPは縦隊ではなく横隊で突撃するでしょうから、
      夜間に二列の対戦車地雷を互い違いの形で設置して置けば、足止めはできるでしょうね。
      BMPの幅は3mくらいでしょうから、一列目を5mピッチで、二列目を5m離して、
      やはり5mピッチで一列目とピッチを半分ずらして設置すれば、まず引っ掛かるのでは。
      地雷機材の運搬のために、最前線の部隊にはハイブリッドエンジンで静かに動く
      小型トラックなどがあると良いですね。既存のSUVにハイブリッド車はなかったかしら。
      以前のロシア歩兵は、車両が被弾すると一目散に逃げ帰る姿をいくつも撮られていますから、
      その場に留まるように命令が出たのでしょうね。きっと。

        • Easy
        • 2023年 11月 15日

        前線の判断で地雷設置すると、後ろから来た味方がその地雷を踏んで死者が出ます。
        「借金と、地雷の敷設は計画的に」
        なので、あまり現場任せにはしないのが今の主流ですよ。
        ちなみにカンボジアやベトナムでは現地判断で埋めまくって戦後に酷いことになりました。

        15
          • 58式素人
          • 2023年 11月 16日

          これも動画を見ていると。
          ロシア戦車がウクライナの地雷に引っ掛かる
          とされるものを結構見ます。
          単純に地雷原の運用の問題では無いかと思います。
          放置地雷が問題になっている場所は、決まって、
          地雷原の記録が取られていないようですね。

          3
    • 朴秀
    • 2023年 11月 15日

    次々と戦線を開くことにより
    ロシアの防御を手薄にできるぞ

    勿論ウクライナの戦力密度も手薄になるんだが

    9
    • りにあ
    • 2023年 11月 16日

    雨季に入って水位が上がる前にドニエプル川を渡河できましたね。今日権世の大潮干潮がラストチャンスと思ったので。東部は背攻める側のロシアにどれくらい寒波が来るか?ですね。。去年は暖冬で冬将軍が威力発揮しなかったので。

    1
    • 2023年 11月 16日

    単純に南の方がロシアの兵站が薄くなり、砲撃戦でウクライナ有利かな。
    ロシアは逆にザポリージャよりはアウディウカで戦いたく、南よりはクピャンスクで有利に戦いたい。
    あとヘルソンは例のダム破壊で地雷が流されてるから防備も薄い。

    2
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