欧州関連

トルコ企業がドローン生産年12万機を1年半で達成、迎撃ドローンも発表

2024年に設立されたトルコのドローン企業=Skydagger Dronesは1年半で年間12万機のドローン生産能力を達成し、14カ国へFPVドローンを3万機輸出することに成功、さらに4月4日に迎撃ドローン「HUNTER」を正式に発表して注目を集めている。

参考:Skydagger Drones

とにかくスピード感と規模が桁違いのトルコ企業、日本が2030年までに達成する生産体制をSkydagger Dronesは1年半で達成

トルコのドローン企業「Skydagger Drones(スカイダガー・ドローンズ)」はBaykarの支援を受けて2024年に設立され、3.5インチ~15インチまでのFPVドローン=SKYDAGGER RTFの生産に特化し「2026年末までに月1万機の生産能力を確立する」と述べていたが、既に14カ国へFPVドローンを3万機輸出することに成功、Baykarのハルク・バイラクタル氏も今年1月「Skydaggerが年間12万機のドローン生産能力を達成した」と発表して注目を集めていた。

SKYDAGGER RTFを構成する主要部品(機体、バッテリー、モーター、飛行制御コンピューター、ビデオ通信システム、光ファイバー、弾頭など)の80%以上は自社開発かトルコ国内で調達されたもので、2026年末までに主要部品の国産化比率を100%に引き上げ、潜在的な紛争におけるサプライチェーンの脆弱性を排除してトルコ軍の作戦継続能力を担保する予定だ。

さらにSkydaggerは3月26日に迎撃ドローンらしき映像をSNSに投稿、4月4日に迎撃ドローン「HUNTER」を正式に発表して注目を集めている。HUNTERは昼夜の交戦に対応し、最高速度も320km/hなのでShahed-136の迎撃に対応でき、弾頭を搭載した迎撃だけでなく直撃方式の迎撃も可能なためHUNTERは再使用も可能な迎撃ドローンに分類される。

2023年~2025年初頭までの防衛市場はFPVドローンとShahedの話題で溢れかえっていたが、ウクライナ軍が2025年後半から迎撃ドローンの本格運用を開始して効果を実証すると防衛市場も即座に反応し、既に市場は入手可能な迎撃ドローンが複数投入され、米陸軍とポーランド陸軍は元Google CEOのエリック・シュミット氏が開発したサーベイヤー迎撃ドローンを、フランス軍もスタートアップ企業のAsterodynが開発したAST78迎撃ドローンを導入中だ。

さらにフランス軍はShield AIのHivemindを採用したDestinus製のホーネット迎撃ドローンやHarmattan AI製のゴビ迎撃ドローンもテスト中で、Shahedタイプの自爆型無人機には迎撃ドローンで対処して「高価な迎撃ミサイルを本来の目的に使用する」という流れが現在のトレンドであり、SkydaggerのHUNTER発表も現在のトレンドを押さえたものと言える。

出典:防衛省・自衛隊

追記:日本国内のドローン生産は年間1,000機前後(2024年実績)で、政府は研究開発や設備投資に必要な費用の最大50%を助成して2030年までに8万機の生産体制(民生用中心)を整備する予定だが、これと同じ規模の生産体制をSkydaggerは1年半で達成したことになり、本当にため息しか出てこない。

関連記事:日本企業がウクライナ企業に約16億円を出資、迎撃ドローンのグローバル展開を目指す
関連記事:エアバスも対自爆型無人機分野に参入、バード・オブ・プレイ迎撃ドローンを発表
関連記事:米陸軍がFreedom Eagleを採用、Shahed136クラスの無人機迎撃ミサイル
関連記事:小泉防衛相、自衛隊を無人装備品を駆使する世界一の組織に変革する
関連記事:米陸軍がサーベイヤー迎撃ドローンを中東に配備、その規模は最大1万機
関連記事:日本がウクライナ製攻撃型無人機の自衛隊導入を検討、イスラエル製に代わる選択肢
関連記事:今後10年間の軍用機需要は27兆円、無人戦闘機への投資額は有人戦闘機を猛追
関連記事:再利用可能な徘徊型迎撃弾、米軍がRoadrunner-Mの調達を開始
関連記事:軍上層部が全面的に支持するレーザー兵器、脅威と直面する兵士は信頼せず
関連記事:海上での無人機迎撃、米海軍が駆逐艦にCoyoteとRoadrunnerを導入
関連記事:台湾が低コストの防空兵器開発を開始、安価な迎撃ミサイルと迎撃ドローン
関連記事:ウクライナ軍の経験と技術、欧米は戦い方を教える側から教えてもらう側に
関連記事:Shahed-136が米国や中東の防空網をすり抜ける原因、装備が最適化されていない

 

※アイキャッチ画像の出典:Skydagger Drones

日本企業がウクライナ企業に約16億円を出資、迎撃ドローンのグローバル展開を目指す前のページ

イランの弾道ミサイル攻撃、終末段階の迎撃を回避する手段を編み出す次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    欧州が取り組む武器システムの主権回復、ITAR Freeがトレンドに浮上

    欧州はウクライナとロシアの戦争を通じて「武器システムの主権確保が如何に…

  2. 欧州関連

    ドイツ軍によるナゴルノ・カラバフ紛争の分析結果、アゼルバイジャン軍と戦っても勝ち目がない

    昨年9月に勃発したナゴルノ・カラバフ紛争に関する報告書の取りまとめを行…

  3. 欧州関連

    強力な短距離離着陸能力を備えるMojave、英空母でのテストで能力を示す

    英海軍は再利用可能な無人機の艦艇運用に関心があり、強力な短距離離着陸能…

  4. 欧州関連

    英新政権のGCAPに対する立場、国防政策の見直し完了まで何も約束しない

    英国の新首相は「国防政策の徹底的な見直し」を発表、ポラード国防担当政務…

  5. 欧州関連

    トルコ、リチウムイオン電池搭載で浅瀬運用に特化した潜水艦「STM500」の詳細を発表

    トルコの防衛産業「STM」は沿岸海域の浅瀬運用に特化した小型潜水艦「S…

  6. 欧州関連

    ポーランドのGCAP参加、目前の脅威に間に合わないので投資するな

    ポーランドもGCAP参加に関心を示しているという報道があるが、ポーラン…

コメント

  • コメント (15)

  • トラックバックは利用できません。

    • もへもへ
    • 2026年 4月 05日

    >本当にため息しか出てこない。
    あまりにも日本が周回遅れすぎるのと無能過ぎてため息しか出てこないというのは、そうだと思う。
    もう勝ち目も追いつける気も全くしないから、諦めざる得ないんじゃないか。

    戦後体制になって80年以上経ったわけですから、賞味期限が切れたんですよ。
    日本という国の。

    4
      • 匿名11号
      • 2026年 4月 05日

      とはいえ、日本人の生命財産を守ってくれる奇特な国が他にあるわけでないですからねえ。
      制度システムは大幅にいじくるにしてもいい国にしていくしかありますまい。

      まあ、維新から80年経ったところで戦後体制に切り替わったわけで、
      そろそろ切り替わり時であってもおかしくはありませんがね。

      8
    • ななしのシロウト
    • 2026年 4月 05日

    年産12万機、月産1万機
    1分に1機の大量生産 (昼勤のみの場合)
    ドローンの生産革命か?

    2
      • 航空万能論GF管理人
      • 2026年 4月 05日

      2024年に設立された米国のスタートアップ企業=XDOWNもデュアルユース技術で構築した攻撃用ドローンを幾つか発表し、最近「月6,000機(年7.2万機)の生産能力を確立する」と述べています。

      多くの軍隊でこの種のドローンは耐久財から弾薬や砲弾と同じ消耗品に扱いに変更されているので、演習等でも大量消耗が見込まれています。米陸軍も兵器廠や補給廠で小型ドローンを独自に月1万機生産する予定で、3年以内100万機のFPVドローンを調達します。欧州でもドローンの調達規模は1度の契約で数千機~数万機が一般的で、アフリカ諸国でもFPVドローンの調達が盛んなため、2030年までに日本全体で年8万機の生産体制(民生用中心で軍事向けドローンの生産規模はこれよりも少ない可能性が高い)という数字は世界的にみて非常に小規模だと言わざるを得ないと思います。

      とにかく日本は海外と比較してドローン分野への投資額が恐ろしく少なく、投資スピードも非常に遅いため、このままではどれだけ基盤技術があっても軍事分野のドローンに要求される「量という質」を満たせないでしょう。

      13
    • 中村
    • 2026年 4月 05日

     さすがにその量を消費してる国と言うと、まさか両方に売ってる?

    2
      • 中村
      • 2026年 4月 05日

       「両方」は言い過ぎたかな。しかし、ガザにしろレバノンにしろ戦場で消費されてるんだろうなとは思う。そりゃ、今は作れば作っただけ売れるでしょう。

      2
    • あろは
    • 2026年 4月 05日

    こうなると本当に戦いは数だよ、の世界ですね。
    戦争が始まった後の供給能力の維持も重要になりますから、被災も考慮した上で国内でのサプライチェーンの構築も重要になるのでしょうか
    生産工場も全国に分散した上で、被災した場合の代替供給路の選定とか大変そう……
    パーツもなるべく汎用性が高いものにして、部品の供給が多様化できる設計など考えるポイントが多過ぎる

    3
      • たむごん
      • 2026年 4月 05日

      仰る通りです。

      いろんな戦争の戦訓でも、数が大事というのはよくありますよね。

    • らんらんるー
    • 2026年 4月 05日

    すごい生産量だね、設備はある程度使い回せるだろうけど、後々負担にならないかな?
    ドローン大量消費時代が今後何年も続くという読みかね
    電子部品諸々の生産量はうなぎ登りだけど、軍事用ドローンと他の比率がいまいちはっきりしないのよね

    • Kaeru
    • 2026年 4月 05日

    紛争国でバンバンMade in Japanのドローンが人間を殺すのが当たり前にできないのであれば、今から大量生産の設備を整える理由がないよね
    法整備が出来ても国民が感情的に納得できない程度にはいい意味でも悪い意味でも平和主義な国民になってしまったわけだし。
    自衛隊だけが相手じゃ商売にならないんだし
    ビジネスになるなら日本はむしろ輸出する側に回るだけの工業力がまだあるんだから、これを日本衰退と結びつけるのは安易だとおもうわ

    3
      • 名無し
      • 2026年 4月 05日

      むしろ逆に衰退したら日本でもこういう商売が増えるだろうけど
      現状商売としては安定しない、利益も低い、国際的な評判も悪くなる可能性が高いビジネスを日本が積極的にやる理由があんまり無いんですよね
      大学卒業しても仕事が無いとかも無いし
      普通の民生機器売った方が利益もいいしこんなに面倒くさくも無いからね

      5
      • 名無し
      • 2026年 4月 05日

      むしろ逆に衰退したら日本でもこういう商売が増えるだろうけど
      現状商売としては安定しない、利益も低い、国際的な評判も悪くなる可能性が高いビジネスを日本が積極的にやる理由があんまり無いんですよね
      大学卒業しても仕事が無いとかも無いし
      普通の民生機器売った方が利益もいいしこんなに面倒くさくも無いからね

      1
    • たむごん
    • 2026年 4月 05日

    トルコは、インフレや通貨安のイメージが強いですが、経済を着々と伸ばしています。

    トルコ軍を、イラク・シリアに派兵したり安全保障環境厳しいですから、兵器産業の育成・売込みを着実にやってきたのでしょう。

    日本は、対中国というのがベリーハードですから、自衛隊の方々の犠牲を抑えるためにも無人機ドローン備蓄など、しっかり行って欲しいですね。

    3
    • 2026年 4月 05日

    >本当にため息しか出てこない

    ホントですね。
    ナゴルノ以降「ドローンなど正規戦で役に立たない」と現実逃避し、
    時間を無為に浪費したツケが回ってきています。

    • 2026年 4月 05日

    とはいえこの規模の生産ラインを立ち上げて、半年以下で陳腐化するともいわれる戦場で「使える12万機」になるのだろうか
    MQ-9クラスのMALEと違って、ぶっちゃけガチの使い捨て以外にほとんど使い道がないなわけで
    それを織り込んででも生産するのだとなれば、いくらなんでも経産省と防衛企業だけに背負わせるのは無理がある
    日本国民全体に「降ってきてないだけでもう既に平時とちゃうんやで」と認識させるところから始めないと真似できんでしょ

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP