中国関連

中国企業が新しいC-UASをDIMDEXで披露、中国人民解放軍も導入

中国のPoly Defenceはドーハで開催されたDIMDEXに「CEW-102E」と呼ばれる新しいC-UASを出展、このシステムには小型ドローンと大型無人機に対するソリューションが統合されており、同社はJANESの取材に「中国人民解放軍も導入している」と明かした。

参考:DIMDEX 2024: PLA deploys new integrated C-UAS suite

ここまで具体的に中国のC-UASについて情報が出てくるのは本当に珍しい

中国のPoly Defenceはドーハで開催されたDIMDEXに「CEW-102E」と呼ばれる新しいC-UASを出展、これは4つ車輌で構成された無人機を検出・追跡・妨害する対無人機システムで、最大の特徴は特性が異なる小型ドローン向けと大型無人機向けのソリューションが統合されている点で、同社はJANESの取材に「中国人民解放軍もCEW-102Eを導入している」と明かしている。

CEW-102Eに統合された小型ドローン向けソリューション(EO/IR、RRT、DF、EW、レーダー)は1つ車輌に集約化され、最大30km離れた空域の制御信号を検出・妨害、最大10kmの範囲でGNSS信号(GPS-L1C/A、GPS-L2C、GLONASS-L1 civil code、GLONASS-L2 civil codeなど)を電子的に妨害することができ、搭載されたレーダーもRCS値0.01m²のターゲットを最大6km離れた距離で検出可能だが、EO/IRの検出範囲は明かされていない。

大型無人機向けソリューションは残りの車輌に分散して搭載され、ここには異なる周波数帯域(UHF、L, C, and Ku)で作動する検出・妨害技術が含まれており、見通し距離で制御信号を最大300km、GNSS信号を最大100kmの範囲で妨害できる。

出典:中国中央電視台のスクリーンショット

Poly Defenceが言及したCEW-102Eの無効化手段はソフトキルのみだが、もはやクローズドなシステムはあり得ないため、他の防空アセットとの協調、CEW-102E自体に地対空ミサイルや対空砲など追加できると考えるのが妥当なところで、ここまで具体的に中国のC-UASについて情報が出てくるのは本当に珍しい。

因みにウクライナでは有線(光ファイバーケーブル)制御されたFPVドローンの登場が確認されており、運用上の制限と引き換えに「電子的な妨害を克服できる」と評価されているが、FPVドローンは対戦車ミサイルよりも複雑な機動を行うため障害物にケーブルが絡まる確立が高く「地形的に開けた場所でしか役にたたない」とも指摘されている。

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※アイキャッチ画像の出典:Counter Uncrewed Aerial Systems Sandbox

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コメント

    • Whiskey Dick
    • 2024年 3月 09日

    レーダーは面積が大きいほど、電力が大きいほど探知距離が増大するので、反射断面積の小さい電動ドローンは従来の航空機より大きなレーダーが必要になる。安価な電動ドローン相手にこれだけ大きな機材が必要となると、費用面や隠蔽が難しいといった問題がありそうです。いっそのこと戦車をシリーズハイブリッド化してこのような機材の電源にすることができれば、ドローン攻撃による戦車の陳腐化を解決出来るかも。
    ※有線制御ドローンって実際存在したのか。「配線が障害物に絡まりやすい」欠点については、例えば機動を鉛直方向のみとして高高度から戦域を俯瞰するといった使い方で解決できそうです。若しくは高く揚げた有線ドローンからレーザーや赤外線など高指向性の電磁波を発射し、他のドローンの制御・通信に使用することもできそうです。

    2
    • 思い付きだけど
    • 2024年 3月 09日

    中国が情報を拡散させているということは、ウクライナにもロシアにも拡販したいということかな?

    2
      • tjdg46
      • 2024年 3月 09日

      ウクライナ・ロシアは関係なく、単にコマーシャルをしているだけかと。
      防衛展示会に輸出用の兵器を出展しているので、コマーシャルをしない方がおかしいですし。
      中国は他にも防空レーザー兵器システムや電子戦UAV等を出展していますね。

      5
    • 2024年 3月 09日

    最近 ドラレコや防犯カメラを国内メーカーから中国製に替えたのだけれど
    映像の綺麗さはもちろん機能の多さやアプリの使い勝手、抜群なレベルなのには驚いた
    日米のセンサーやICを使っているから と言うかもしれんが、性能や製品としての魅力ではもはや敵わないかと

    8
    • 黒丸
    • 2024年 3月 09日

    元々は中国国内でのドローンテロ対策の発想でしょうか?
    あれだけ安価で多様なドローンが出てくれば、今の中国共産党の統治に不満を持つ人の手に渡ることもあるかと。
    爆弾や毒ガステロはもちろん、ただのビラ散布でも共産党は嫌がるはず。
    それに備えているなら、少なくとも小型ドローン向けのソフトキル技術は確実に操縦不能にできるレベルになっているかと。

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