アルメニア駐EU特使や米国のブリンケン国務長官は「数週間以内にアゼルバイジャンがアルメニアに侵攻するかもしれない」と懸念しているが、アゼルバイジャン大統領の特別顧問を務めるエルチン・アミルベコフ氏は「ザンゲズールはアルメニアの領土だ」と述べた。
参考:Азербайджан вернул себе Карабах. Поставлена ли точка в конфликте?
2020年の停戦協定をベースに協議を行えば「検問なしのザンゲズール回廊」を認めざるを得ない
アゼルバイジャンのアリエフ大統領は15日、訪問先のハンケンディで国旗を掲揚し「この日が来るのを国民は30年間も待ち望んでいた。我々はカラバフの返還によって尊厳を回復した」と宣言、これによってアルツァフ共和国は事実上消滅した格好だが、アルメニアのバラヤン駐EU特使や米国のブリンケン国務長官は「数週間以内にアゼルバイジャンがアルメニアに侵攻するかもしれない」と懸念している。
この懸念は第二次ナゴルノ・カラバフ戦争の停戦協定に含まれている「ザンゲズール回廊の実現」が放置されてきたこと、アゼルバイジャンは武力によるカラバフ返還に際し「国際的なペナルティ=制裁」に直面しなかったことに起因しているのだが、アゼルバイジャン大統領の特別顧問を務めるエルチン・アミルベコフ氏は「ザンゲズールはアルメニアの領土だ」と述べた。
アミルベコフ氏はBBCの取材に「ここがアルメニアの主権領域であると認識している。しかしナヒチェヴァン自治共和国とアゼルバイジャンを繋ぐ安全で信頼できる交通手段が必要で、我々は交渉の準備が出来ているが、もしアルメニアが交渉を先送りするならイランを通過するルートを建設するだろう」と言及したが、BBCは「イランはトルコとアゼルバイジャンの協力関係が強化されることを望んでいないため、アミルベコフ氏が提示したイラン領内を通過するBプランは実現が難しい」と指摘している。
因みにバクー国立大学のアルタイ・ゲユシェフ教授は「アリエフ大統領はカラバフ問題が解決したため「新たな民族主義的なプロパガンダ」を必要としており、次の敵がイランになるのかアルメニアになるのかは不明だ。もしアゼルバイジャンがザンゲズール回廊の検問を認めるなら『関係改善のシグナル』となるが、もしアゼルバイジャンが治外法権を要求し始めれば『新たな軍事作戦の口実づくり』が必要になるだろう」と述べた。
つまりアゼルバイジャンの意図は「ザンゲズール回廊の交渉に現れる」という意味だが、アゼルバイジャンとアルメニアが2020年に締結した停戦協定には「検問なしのラチン回廊」と「検問なしのザンゲズール回廊」の実現が含まれており、この停戦協定をベースに協議を行えばアルメニアは「検問なしのザンゲズール回廊」を認めざるを得ないだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:President of the Republic of Azerbaijan
ラチン回廊はすでに存在しないからゼロベースで交渉するべきでは?と個人的には思いますけどね。
まあ領土奪還において諸外国から制裁もなければ当事者のアルメニアも弱気な現状ならアゼルバイジャンが強気に出るのも当然と言えば当然でしょう。
存在しないラチン回廊の対価を要求されるのは流石にアルメニアの限度超えだと思いますし、アゼルバイジャンが本気で欲しいなら何らかの別の合意は成立すると思いますね
アルメニアが情勢の変化によりノーと言ってしまえば合意は終わりで、アゼルバイジャンとトルコ以外誰も得しない回廊設置に諸外国が手を貸す理由もない。
軍事的対応はナゴルノカラバフだから世界各国が口を挟む余地がなかったわけで、流石に本領に手を出せば諸外国(ロシア含め)の軍事や経済制裁含む圧力は覚悟しなければならないでしょう。
領土奪還において諸外国が制裁を行うような理由がないよね
というか侵略してるアルメニアに制裁せず領土奪還してるアゼルバイジャンに制裁とかあたまおかしい
ウクライナに制裁するようなものでしょ馬鹿らしい
一応今回の紛争は前回の紛争後締結した停戦協定違反ですからね
まあ弱小国同士の紛争なんて諸外国は興味ないと言うことでしょうね。
第二次紛争後の停戦協定はアゼルバイジャン・アルメニア間のものなのでアゼルバイジャン・アルツァフ間の第三次紛争そのものは協定違反ではないのでは。
違反になり得るとすれば、第三次紛争前のアゼルバイジャンによる新ラチン回廊封鎖の方かと。
とはいえ協定を順守するなら封鎖せずに攻め込めという話になってしまいますが。
何で当事国の停戦協定を理由に無関係の第三国が制裁を行う訳?
そもそもアルメニアが一方的に協定不履行を続けていたのはスルーかね?
まぁ次は当然そうなるよね
そもそも各種の合意をアルメニアが遵守しなかった経緯があるので、この件もアルメニアが自分たちに不利な合意を守るとは思えません。
現時点でアゼルバイジャンに交渉の意思があったとしても、アルメニアが非協力的な態度を見せ続ければ
アゼルバイジャンも自分たちが実力行使をしない限りザンゲズール回廊が実現しないことに気づくでしょう
ここの地域の経緯を見た感じでは、
・アルメニアは、グズグズ言い訳並べて履行しない戦法
・アゼルバイジャンは、一時的な被害を甘受して国際社会のちょっとした容認を取り付けたうえで、電光石火で武力で解決する戦法
だから、いまはアゼルが一時的な被害をアピールしている状態なんじゃないですかね。
>アルメニアは「検問なしのザンゲズール回廊」を認めざるを得ないだろう。
この辺りの地理がわからないけど、アゼルバイジャンの資金で、高架道路を作ればいいんじゃない?
それで、土地の使用料をアルメニアが受け取れるように出来れば、折り合いもつきそうに感じる。
検問設置は主権と領土が絡んでくる話なので単純な土地使用の問題では済まない次元の判断が絡む
アルメニアの主権領域である以上は検問設置はアルメニアの当然の権利
ラチン回廊との相互主義で検問無しならわからなくはないが、ラチン回廊はアルメニアにとって最早無価値
もともとソ連時代にはアゼルバイジャン本国とナヒチェヴァンは鉄道で接続されていて、(ソ連時代なので完全自由ではないが)アゼルバイジャンにある程度の管理権限があったらしい
んで1988年からの第一次ナゴルノ・カラバフ戦争の際に、アルメニアはこの鉄道を破壊してナヒチェヴァンの封鎖作戦をやっている
だからアゼルバイジャンは、あの時壊した鉄道に代わる回廊も作れと要求してるわけだ
建設費用を出すとか、土地の使用料を払うから作らせてくれ、という問題ではない
アルメニア負担で復旧するのが筋だろうとアゼルバイジャンは言ってるのだと思うよ
>あの時壊した鉄道に代わる回廊も作れと
>アルメニア負担で復旧するのが筋だろうとアゼルバイジャンは
ソ連時代に利用されていたものを、現在のアルメニアがアゼルバイジャンに提供する義務がないですよね。
アルメニアの国内にある鉄道をどうしようと、アルメニアの自由です。
正当な対価もなしに、どうやってアルメニアがそんな要求を飲めるのかと、思ってしまいますね。
「飲めるのか」もなにも、嫌ならその設置に断固反対して合意しなけりゃ良かったじゃん。
アゼルバイジャンは、過去の合意を守るよう要求しているのですか?
ラチン回廊なき今
アルメリアが譲歩する必要はないし
イランも支援するのでアゼルバイジャン単独では何も出来ないでしょう
問題はトルコがイランと本気で戦争する野心と覚悟を持った時ですね
同じシーア派なのにイランがアゼルバイジャンに反発してるのって国民の4分の1を占めるアゼリー人(アゼルバイジャン系)に飛び火するのを恐れてるのね
今の国境線は帝政ロシアとの戦争の結果引かれた物だから民族意識を煽るには十分過ぎる材料な訳だ
アルメニアは領土問題をさっさと片づけてアメリカの後ろ盾が欲しいのでは
アメリカとの合同軍事演習とかロシア見限った発言を見るにこの問題も意外とスムーズに片付いたりして
新ラチン回廊とザンゲズル回廊の相互検問設置案などアゼルバイジャンは被侵略側かつ勝者としては譲歩を繰り返していましたが、実際に返ってきたのはアルツァフ共和国の大統領選挙による主権侵害や、22年にようやく開始され未だ終わらないザンゲズル回廊の(鉄道建設に関わる)現地調査でした。
第一次紛争後の各種合意がどう扱われていたかも加味すれば、テル=ペトロシャン政権崩壊後のアルメニアにとって対話や合意はどういう概念なのかが透けて見えます。
とはいえ他国(アルメニア本国)領への侵攻は地域・国際社会で許容される可能性が低いだけでなく、今まで成功していた中立外交を捨ててトルコに依存・心中する覚悟も必要でしょう。効果的な制裁や実力行使が早期かつ簡単になされるとは思いませんが、超長期的に見てそこまでのメリットがあるかには疑問符が付きます。
圧力や挑発を用いて(民意が強硬派に傾くことを嫌う)パシニャン政権を動かすか、揺さぶり続けることで強硬派に権力を握らせてアルメニアを暴発させる方が分は悪くとも無難かなと。
アゼル側は有利な立場にあるのでしょうが。引き続き自制的に行動しては。
ここでテキトーなことを言えば。
ナヒチェヴァン自治共和国の領土をアルメニアに売却したら、 と思います。
国民は引き取る形で。100年くらいのローンで。米国に支払保証をさせて。
アルメニアとの領土紛争を解決し、ザンゲズール問題を不要とし、
煩いイランを説得し、狡いトルコと縁を切り、姑のロシアを黙らせ、
ハイエナのフランスを排除できます、と勝手な想像をします。
アルメニアが購入するであろう武器類は、対トルコに向けさせる形で。
なろう系じゃないんだから強制移住を軽々に言うな
この残った問題をどう片付けるかについては、両国間で争いをやめて新しい一歩を踏み出していく形で決着がつくとよいですね。
アゼルバイジャン(イスラム教国)の外交ですが、イスラエル支持。
10月13日のCIS会議にも、アゼルバイジャンは出席しています(アルメニアは欠席です)。
アゼルバイジャン=トルコは同盟国ですが、アゼルバイジャンはイスラエル支持・トルコはイスラエル批判を発表しており、外交は是々非々で行っていますね。
アゼルバイジャンは、同盟=何でも追随ではなく、外交を巧みに行っているように感じます。
アルメニアの感情も理解できますが、ロシアとの関係修復を怠っていて、大丈夫なのか不安に感じますね。
EU圏・アメリカに頼るつもりだったようですが、イスラエル情勢により、アルメニアの思惑は外れているように見えます。
本来ならロシアが仲介してしかるべきなんだが。
ロシアのメンツ潰しのためにアメリカかフランスが出張ってくるかな。
元々ロシアはナゴルノカラバフ問題についてアゼルバイジャンの主権を認める立場でした。
アルメニアが無視してきた合意にはロシアが絡んだものも含まれます。
ウクライナ戦争以前からそうなので、ロシアからすればアルメニアが自分たちの仲介を勝手に蹴って破滅しただけという感じではないでしょうか。
サムネ画像、鼻かんでるみたいだな