ウクライナと安全保障協定を締結したオランダは「2024年に20億ユーロの軍事支援を提供する」と約束、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、デンマーク分を加えると2024年の軍事支援額は182億ドル以上=2.7兆円になり、まもなくノルウェーも協定を締結する見込みだ。
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2国間協定を通じて積み上がっていくウクライナへの軍事支援
G7は昨年7月のNATO首脳会議で「米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、カナダはウクライナの長期的な安全保障について協議することを約束する」と発表、これは明文化されていなかったウクライナ支援を「二国間協定の義務に置き換える」という意味で、英国は安全保障に関する2国間協定を1月に締結して「2024年に25億ポンドの軍事支援を行う」と表明。
2月16日に協定を締結したドイツも「2024年に71億ユーロの軍事支援を行う」と、フランスも「2024年に30億ユーロの軍事支援を行う」と、2月24日に協定を締結したイタリアも「必要な支援を提供する(2024年分の支援金額は非公開)」と、カナダも「2024年に30億加ドル以上の軍事支援を行う」と、デンマークも「必要な支援を提供する(2024年分の支援金額は非公開)」と約束していたが、オランダも1日に安全保障に関する2国間協定を締結した。
オランダは締結した協定に基づき「2024年に20億ユーロの軍事支援を提供する」と約束、英国が締結した協定に倣って「協定の有効期間は10年間」「双方が合意すれば延長も可能」「ウクライナがNATOに加盟した時点で安全保障上の義務は終了」という内容だ。
因みにG7の共同宣言に賛同した国(20ヶ国以上)との協議も進められており、ノルウェーも数週間以内にウクライナとの協定を締結する見込みで、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、デンマーク、オランダが約束した2024年の軍事支援は182億ドル以上=2.7兆円になる。
これは軍事支援が新たに上積みされたというより、明文化しないまま各国が行っていた軍事支援を協定という形に置き換えただけで、当該国が2022年と2023年に行った軍事支援額が不明なため「ウクライナに対する2024年の軍事支援額=1年分の支援額」がどの程度増えたのかは何とも言えない。
※日本人からすると安全保障協定と言えば日米安保=防衛義務が含まれるのではと考えるかもしれないが、世界中で結ばれている安全保障協定の形は様々で、ウクライナに提供される協定にも防衛義務は含まれていない。
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※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
なんかタウラスミサイル輸出するのしないの言ってたドイツで色々起きてますね
ドイツ軍でタウラスミサイルをウクライナに送ってクリミアのケルチ大橋破壊する話してたら会議音声が流出しただの、ショルツ首相がイギリスフランスがウクライナでミサイル運用に関わってると暴露しただの…
裏で何かの綱引きやってるんでしょうか
ロシアのプロパガンダチャンネルは、空軍将校の内部会議の録音を公開した。この録音はおそらく本物であり、軍諜報機関が調査を開始した。
リンク
英国兵士がウクライナのミサイル発射を支援、オラフ・ショルツ氏が明らかに
リンク
>世界中で結ばれている安全保障協定の形は様々で、ウクライナに提供される協定にも防衛義務は含まれていない。
つくづく日本の常識と世界の常識は違うものだと思い知らされます、ありがとうございます。
日米安保も、日本の教科書(日本の常識)と違って、仰る通り怪しいですからね。
アメリカの議会次第で、日本に対する米軍派兵の義務はありません。ウクライナ戦争のアメリカ上下院を見れば、100%派兵は前提として有り得ないでしょうね。
>同様に日米安全保障条約第五条の「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という規定について、「米国の憲法で宣戦布告の権限を与えられている連邦議会において認められて初めて、米軍が我が国の防衛のために対応する」という認識を政府は持っているのか。
>また、我が国として、米国の国内法について有権的に解釈し得る立場にはないが、日米安全保障条約の締結は米国においては米国議会によって承認されたものであり、同条に規定する米国の対日防衛義務を承認した同じ議会が、当該義務の履行を妨げるような措置をとるとは考えていないところである。
(令和四年六月十日提出 質問第一三八号 日本有事の際、本当に米軍は日本を守るのかに関する質問主意書 提出者 井坂信彦)
(令和四年六月二十四日受領 答弁第一三八号 内閣衆質二〇八第一三八号 令和四年六月二十四日)
まあ、日米安全保障条約も第5条を読めば分かるように自動参戦するわけではないので、日本の常識も勘違いの類いなんですがね。
そうなんですよね。
おまけでアメリカの核の傘に守られている、というのも幻想で、
明文化され公表されていないうえに、
アメリカ本土が核による反撃を受けるリスクを負ってまで核攻撃はできない。そんなことすれば大統領は選挙で絶対負ける。だから、アメリカの核の傘による抑止は成り立たない。
でも当のウクライナでは西側の核を恐れてロシアの核は抑止されてるとされてるから、まったくの意味なしではないと思う
イヤ、核を恐れているのは西側でしょう。
核があるからこそNATO直接介入なんて事態が起こり得ないのですから。
プーチン大統領は度々メッセージを発しています「核兵器を忘れるな」と。
政府は分かっているでしょうが、西側の世論はどんな血迷った事を言い出すか分からないですからね。
両方でしょう
西側もロシアの核利用にはなんども警告してるし、お互いにけん制しあってるが正しいと思う
もちろん意味はありますね。
敵としては、米軍参戦なり、参戦はしなくとも軍事援助なりのリスクを最大限に考慮しなくてはいけませんから。余程日米関係が悪化しない限り、何もしないということは無いでしょうし。鳩山内閣の頃はそんな感じだったらしい話も聞いてはおりますが・・・。
ま、あくまで同盟は補強要素であるという話で。
共同で防衛に当たる!防衛に当たるとは言ったが、我々はその時期まで明言してはいないことを思い出していただきたい・・・
我々がその気になれば、防衛にあたるのは20年後30年後であることも可能であろう!
という利根川構文そのまんまの条約ですからね。
そういえば、ウクライナもアメリカに「防衛にコミットする!」と言われて気持ちが大きくなってロシアを挑発し続けてこの状況なんですよね。蓋を開けてみたら「武器は送る!」しかし、いつまで送りつづけるとは言っていない・・・
日本が、これを他山の石と出来るかどうか。
イギリスが協定を結んだ時から『安全保障』とは名ばかりで「今まで各国がウクライナにやってきたことをただ文章に起こしただけ」と言われてましたからね。
ウクライナが安保協定で最も望んでいるはずの兵力の提供は絶対に行わないことが最近のマクロンの先走った発言に対する各NATO首脳の反応からも明確になりました。
まぁショルツがイギリスやフランスの正規兵が秘密裏にウクライナで活動していることをバラしてしまいましたが。
アメリカもCIAが2014年からウクライナのロシア国境近くに多数の基地を設置してウクライナの情報機関に協力、諜報員の訓練を行なってきたことが報道されてましたね。もし同じことをロシア、中国がカナダ、メキシコ国境近くで行っていると発覚したらアメリカがどう反応するか見てみたいですね。
あれは元から支援国側の政権が変わっても支援に一貫性を持たせるぐらいの意味しかなかったと思いますよ(ウクライナも納得ずくで)
というか重兵器の提供さえ二の足を踏んでた西側諸国が派兵に踏み切る可能性なんてあるわけない
ただ戦争後にウクライナに駐屯して「次、侵攻したら俺ら巻き込むけどおk?」な派兵はすると思うけど
”勝つまで”続けるつもりなんだろうが今掲げてる”勝つ”条件を達成するのは茨通り越して無理だぜゼレちゃん
まあ続けてもゼレンスキーの懐は痛まないどころか膨らみますからね
ウクライナ国民はともかくゼレンスキー自身に戦争を止める(降伏する)インセンティブはありませんからプーチン老衰死からのロシア崩壊一点賭けで行くんでしょう
砲弾の供与を見る限り支援の約束はしますけど実際にできるのかと思ってしまいます
GDP30兆円程度の国が、国土の2割とGDPの4割を失った代わりに,軍事援助と経済援助で3兆円以上が注ぎ込まれるという歪な状況ですから。もう国家としてはゾンビというかサイボーグというか。
いわゆるバナナ共和国そのまんまになってしまっていますね。
そして厄介なことに,このバナナ共和国状態は非常に安定的なんですね。終わりの無い活発な汚職と権力闘争が続くという点で安定してしまい、際限なく国土が荒廃します。
これは本当にウクライナの人々が求めた未来なのだろうか、と。。。
本当に仰る通りです。
ウクライナ西部~中部(西部寄りの)に、お金が落ち続ける状況ですからね。
ウクライナ西部の戦争支持は、戦争バブルになっているうえに、前線から離れていてるの理由の1つです。
ウクライナ海外避難民は、自国の財産・自国の安全の確保を、数百万人が他国から望んでいるという変な状況です。
ウクライナ東部に今も在住の住民は、自分達が矢面になって、何も報われない状況になっています。
ハリコフは、地下学校を建設して子供を疎開させないようですが、美談のように報道されて色々と歪な状況になっているなと感じますね…
(2023年10月3日 ウクライナ、東部都市に初の全地下学校建設へ 対面教育を継続 ロイター)
(2024/2/18 集中攻撃続くウクライナ第2都市 「意外な場所」へ移った学校 毎日新聞)
安全保障協定(守るとは言ってない
管理人様の仰る通りで、日米安保も、日本の教科書(日本の常識)と違って、既に怪しいですからね。
日本有事に対して、米軍派兵が100%あるとは言えず、米軍が必ず先に血を流すというのも幻想です。
アメリカ議会がウクライナ支援で揉めていますが、政治的な動向によっては議会が左右されるというのが教訓であり、派兵を前提に考えるのは危険です。
令和の国会答弁、かなりリスクある話をしていますね。
>同様に日米安全保障条約第五条の「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という規定について、「米国の憲法で宣戦布告の権限を与えられている連邦議会において認められて初めて、米軍が我が国の防衛のために対応する」という認識を政府は持っているのか。
>また、我が国として、米国の国内法について有権的に解釈し得る立場にはないが、日米安全保障条約の締結は米国においては米国議会によって承認されたものであり、同条に規定する米国の対日防衛義務を承認した同じ議会が、当該義務の履行を妨げるような措置をとるとは考えていないところである。
(令和四年六月十日提出 質問第一三八号 日本有事の際、本当に米軍は日本を守るのかに関する質問主意書 提出者 井坂信彦)
(令和四年六月二十四日受領 答弁第一三八号 内閣衆質二〇八第一三八号 令和四年六月二十四日)
こと台湾有事に関しては日本の安全保障の問題であると同時に、アメリカの覇権(太平洋地域の。基軸通貨としてのドルの地位)にダイレクトに響くのがウクライナとは違うところ
それがアメリカが動くことの保証にはならないけど動機としては一定の重さがある
「約束」「明文化」ねぇ…
ウクライナが欲しいのは「現物」なんですがそれはどこにあるんでしょうか