韓国の釜山でMADEX 2023が開幕、バブコック・カナダとハンファオーシャン(旧・大宇造船海洋)は「カナダ海軍の次期潜水艦プロジェクトに関する技術協力協定を締結した」と発表、両社はヴィクトリア級潜水艦の後継艦提案で手を組む格好だ。
韓国はいち早く現地企業と手を組むことで、総額600億カナダドル=約6.2兆円以上と見積もられているプロジェクト受注に先手を打った格好だ
カナダ海軍は10年以内に退役が始まるヴィクトリア級潜水艦を更新するため「最大12隻の新型潜水艦を調達したい」と政府に働きかけているものの、政府の内部文書によれば「新型潜水艦の調達には最低でも15年はかかる見込みで、採用する調達戦略によっては25年かかる可能性がある」と指摘、これは国防支出を国内雇用に結びつける国内建造方式では時間がかかるという意味で、海軍のトップシー司令官は「時間的制約と海軍のニーズを考慮した場合、韓国のような国から潜水艦を購入するのが理に叶っている」と指摘した。
The Globe and Mail紙の取材に応じたトップシー司令官は「新型潜水艦に関する決定は連邦政府が行うものだが、同盟国の事例を参考にすればカナダ国内で潜水艦を建造するのは非常に難しいと思う。時間的制約と海軍のニーズを考慮した場合、韓国のような国から潜水艦を購入するのが理に叶っているだろう」と明かし、同紙は「カナダ海軍にとって最も重要なのは数ヶ月間の連続運用能力と北極圏をカバーできる長距離航行能力で韓国のKSS-III(島山安昌浩級潜水艦)は我々のニーズを満たしている可能性が高い」と指摘。
さらに同紙は「次期戦闘機の選定で時間を無駄にした教訓を活かし、次期潜水艦で同じ過ちを犯してはならない。カナダは迅速に決定を下して行動を起こさなければならない。カナダ海軍は今月中に韓国と日本に視察団を派遣する予定だ」と、韓国メディアも「カナダ海軍の関係者が5月10日と11日にKSS-IIIを建造している大宇造船海洋と現代重工業の造船所を視察した」と報じていたが、バブコック・カナダとハンファオーシャンは7日に開幕したMADEX 2023で「カナダ海軍の次期潜水艦プロジェクト(Canadian Patrol Submarine Project=CPSP)に関する技術協力協定を締結した」と発表して注目を集めている。
CPSPはカナダ国防省がヴィクトリア級潜水艦の後継艦を検討するため立ち上げたプロジェクトで、両社はヴィクトリア級潜水艦の後継艦提案で手を組むという意味だろう。
この協定にはバブコック・カナダが請け負っているヴィクトリア級潜水艦の保守に「ハンファオーシャンが協力する」という内容も含まれており、韓国はいち早く現地企業と手を組むことで総額600億カナダドル=約6.2兆円以上と見積もられているプロジェクト受注に先手を打った格好だ。
Flash: Germany’s TKMS & India’s MDL sign MoU to bid for India’s Submarine project under project 75i. pic.twitter.com/DKUWCqTsFu
— Sidhant Sibal (@sidhant) June 7, 2023
追記:ドイツのTKMSとインドのマザゴンドック造船所は7日「共同でインド海軍が実施する潜水艦(プロジェクト75-I)入札に参加することで合意した」と発表、52億ドル=約7,500億円の契約を巡って韓国のハンファオーシャンと勝負することになる。
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※アイキャッチ画像の出典:Babcock Canada
>カナダは迅速に決定を下して行動を起こさなければならない。カナダ海軍は今月中に韓国と日本に視察団を派遣する予定だ
軍が早く欲しがっても、政治が動かないのなら、話は進まないだろう。
まだまだ先の長い案件だと思っていますが、日本も海外需要を受注できる準備はしておかないと。
判断が早い!(AA略
国策で兵器輸出に力を入れている韓国はやはり違う
日本は兵器輸出しないという世論が変わらないのであればこのままでいいのだけど、ほんとうにこのままでいいのか?
よかーないけど、結局政治も国民が関心のある内容(点数を取れる・選挙で勝てる)がどうしても優先になってしまう。
このブログに来て管理人さんの記事を読んでいる人は、
・兵器の輸出によるコストダウン
・兵器の数が増えることによる製造ラインの維持・メンテナンス需要による部品数の維持
・兵器が売れることによる、新規企業の参入・新技術の開発
・有事における兵器共通化の大切さ(お互い融通できるし、規格もあっている)
・兵器の輸出が相手国へ一定以上の影響を及ぼせる
など、兵器輸出には多くの利点(それに伴う欠点も)があることを知っているが、多くの人は残念ながら兵器輸出に関心がない(一部は嫌悪)と思う。
今回、ようやく政府が重い腰をあげだしたので、歯がゆいがとりえず応援するしかない。
焦らず進めていけばええ。
ダンピング上等の韓国や中国に価格競争しては行かない。
受注出来ました!でも大損しました!!では話にならない。
当面は政治的な支援目的を継続して徐々に広げていけばええ
あの魔境に急いで入っても碌なことにはならんと思うり
韓国の防衛産業は国内向けより輸出の方が利益率を高く設定できるので、逆に収支はプラスだと思います。
そうなると日本が入り込む隙間はさらに狭くなりますが。
利益率が高く出来る根拠はなんだ?
各国が必死こいて雇用を確保するしようとするの中で、アッサリとライセンス生産を許す理由が値段が安くて自分の所で生産しても儲からないからだと私は分析しているが?
理由としては
①アメリカの軍事系サイトであまりにも安いから、大量注文する事で韓国の経済を衰退させるのでは?と意見があった事。
②造船業界でダンピングで各国から訴えられている事、LNGタンカーで売り上げは上がってもフランスの技術を使っているから利益率が低い等の例がある事。
潜水艦の船体設計ですら国内に招いた海外の設計会社の事務所にさせてる。韓国風に言えば核心技術のかなりの部分を外国に頼っている韓国に利益率が上がる要素がどこにあるのか?
自動車産業で国内で得た利益を利用して海外で薄利多売している状況なのに、自動車産業よりもさらに海外への技術依存が高い軍需産業で利益率を海外で伸ばせる道理はなんだ?
あと、重ねて言うが利益が無い分野で無理してシェアを広げる意味は無い。無理せず得意分野からコツコツ広げて行けばいい。それが国益に繋がる。
>利益率が高く出来る根拠はなんだ?
前に本サイトで紹介されていましたね。
「韓国軍向けの契約は防衛産業原価計算基準によって利益率が9%~16%に制限されているのに対し、海外輸出は当該国との交渉で価格が決まるため利益率を高く設定できる」とのこと。
「韓国の武器輸出額が武器輸入額を上回る、2021年受注額は50億ドル突破が濃厚」
リンク
ダンピングしてるだろって指摘対して、法令で利益率の上限が無いから利益率高いとか意味がわからん。
現実問題として外国に販売する際は競争相手がいる事忘れてないか?市場原理も知らんのか?設定出来る利益率に上限が無くても、相手が納得しない値段で買わないんだから、海外で吹っ掛けたら他所の国の製品を選ぶだけだぞ。
最近出た韓国の貿易統計でも、主要輸出品でプラスだったのは自動車だけ。つまり、言うほど全体の中で軍需産業は儲かってないか、主要品目にすら入ってないかの二択って事なんだが?
利益率が高く出来ることは分かっていただけたとして、韓国の防衛産業は今年も営業利益と業績の拡大が続いております。
韓国の防衛産業の収支がプラスなのは事実なので、言うほど儲かっていなくても大損はしておりません。
ですので、日本が入り込む隙間はさらに狭くなっております。
韓国防衛産業、輸出大ヒットで「第1四半期も笑顔」
リンク
👺「………」
天狗は何だ?
鱗滝さんだろ。
この場合は、「判断が早い」か?
普通にカナダの決断(損切り)が遅いだと思うぞ。
もう日本は韓国の躍進に指加えて見てるしかできないんだろうな。終わってる
韓国は納期に自信ニキだもんなぁ
技術移転も大盤振る舞いだし
前記事のアメリカのF-16Vの納期が5~6年後ってのを見ると尚更そう思うわ。
政府の決定もなく要求仕様も決まってない潜水艦が、そのF-16Vの納期を下回れるんですか
豪州の潜水艦調達(原潜への中継ぎ)も手伝えてしまいそうな勢い…
「短納期」が韓国国内外でこれまで無数の問題を引き起こしてきたことを考えると、
評価するにはまだまだ年数がかかる(しばらく様子を見なければいけない)と思いますけどね
防弾チョッキも
防弾チョッキの件だけど、選定の時点からおかしくて。
ムン政権時に韓国企業の防弾チョッキは「特定団体に利益が行く」って理由から突然選定から排除されて
ただの輸入業者の中国産防弾チョッキが選ばれたんよ。
ほんで、テストの時も韓国企業はテストすらさせてもらえずに脱落なのに、中国産のやつは撃たれる場所まで教えてもらって、そこだけ追加で強化したバージョンでテストを合格して、選ばれたって流れ。
2022年10月に韓国がポーランドと288両を契約した「Homar-K MLRS(K239)」がポーランド企業でロールアウトした。ポーランドのJelcz 800トラック(8×8のP882)のシャーシにK239のシステムを載せ、FCSは同じくポーランド製のTopaz C2を搭載している。第18機械化師団(M1A2を受領予定の部隊)が最初に受領する模様。
リンク
しかし韓国の兵器生産における納期は本当に早い。5月にはK2戦車の第3便となる7両がポーランドへ到着し、ポーランドの保有するK2は22両になった
前にも書いたのだけれども。
AIPはどこの何を使うのだろう。
興味があります。
「売るだけ」なら、あきづき型調達を優先するために1年建造しなかった時もあるし、潜水艦22隻体制も完成しているので、海自→カナダ海軍を毎年交互に建造するやり方なら出来なくなくはないと思う。
ただそんな単純な話じゃないと思い知らされる。現地企業との提携は輸出先の政府・軍とのパイプ役になるし、保守・管理の面でも安心感に繋がる。この辺の上手さは経験の差。
数年前のここのサイトの記事で、世界の潜水艦はマルチロール化(VLSや特殊部隊の運用能力)してるのに対して、日本は対潜・対艦戦闘に特化しているので、その辺も含めて難しいんだろうね。
アップデート予算を掛ける余裕のない体制の我が国ですし、22隻体制化で古参艦は予定よりこき使われているわけで、むしろ入れ替えの新造作業を1年おきに輸出に回す余裕なんてないのでは…。
>新型潜水艦に関する決定は連邦政府が行うものだが、同盟国の事例を参考にすればカナダ国内で潜水艦を建造するのは非常に難しいと思う
同盟国の事例…いったい何ストラリアなんだ…
どうでも良いことだとは思うけどBabcockってカナにすると濁点無しのハブコックなんですか?
日本にかつて存在したバブコック日立も含めて濁点付きのバブコックだと思っておりました。
カナダ次期潜水艦事業は韓国が唯一の候補となる。 韓国側ソースによると、すでに日本政府は韓国に対して勝算がないと判断して諦めているという。
この辺の動きが早いのが韓国の強みですね。
不安材料といえば3000トン級潜水艦は初めの新設計でまだ運用実績があまりない点ですかね。
日本の場合艦艇の輸出にはかなり熱心ですが、潜水艦の輸出ついてはメーカー・政府がどこまで考えてるか見えません。
そういう意味でエジプトの件がどうなるか気になります。
島山安昌浩級潜水艦はバブコック・コリアが設計に絡んでるので、将来の知的財産をめぐる訴訟を避けるために提携は必然かと
順当な決定ですね。
品質はともかく、韓国産なら欧米造船所と違ってカナダの希望納期には間に合うでしょうね。
(韓国特有のパリパリ思考?で。品質はともかく。ディスっているのではありません、韓国の思想・文化の問題)
カナダとしても呪われた以前の潜水艦よりは遥かにマシな潜水艦なるでしょう。カナダの期待に添うかは知りませんが。
続報を待ってます。
カナダ海軍の場合、過大な性能要求以前に「まともに動いて乗員訓練のできる艦を、可能な限り早く入手する」ことが必要だと思うんですが、彼等自身どう考えているんでしょうね。
航空万能論さんの旧記事「カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?」でもあるように、運用実績がほとんどゼロな状態ならば、旧型でもいいから早期入手したいと考えないのかな?
多くの国への納入実績のある209型や、今後10年で10隻が除籍予定のおやしお型を入手して、乗員養成や多数艦の運用実績を積むことこそが最優先事項だと思えるんですけど。
そもそも安倍・菅時代と違って左側の票を当てにしている岸田政権が売り込むつもりは無いでしょうね
韓国の勢いはいいが戦車とはわけが違うので実績が殆どないこの分野でましてやカナダが発注するだろうか
政治的にカナダの中で韓国はそこまで信頼関係があるか
日本はメーカーが乗り気ではないが政治的に可能性はあるのでは?
潜水艦に限らず日本製の”兵器”は良くも悪くもガラパゴス状態でワンセットで売らないと使えない。
潜水艦ならソナーはイギリス製で魚雷がアメリカ製とかになったら結局は新設計になるし、そうなると今度はコスト上昇とかになるわな。
良くも悪くも韓国製は他国製品の組み合わではあるけど、その分組み換えとかはしやすい面があるからカナダの希望のすべてを確認しないと日本で製品では売り込めないだろうな。
トップシーとは海軍司令官にふさわしい名前だな
>同盟国の事例を参考にすればカナダ国内で潜水艦を建造するのは非常に難しい
言われているぞオージー
本気で、北極海パトロールをする気かしら。しかもAIPで。
夏期ならばともかく、冬季は難しいのでは。パトロールは夏期限(?)かな。
何年か前に、北極海から氷が消えた夏があったそうですが・・・。
通常潜の航続力を考えると、カナダの北極海沿岸に基地が必要では?。
今現在は、全くありませんね。
大人しく(笑)原潜に転向(笑)したら良いのでは、と思います。
お金を出す気があるならば、宗主国(英国)の造船業に出資したら、などと妄想します。