インド太平洋関連

インド海軍が2隻目の国産空母建造計画を提出、ヴィクラント級空母の再発注

インド海軍は2隻の空母=改キエフ級を改装したヴィクラマーディティヤと国産のヴィクラントを運用中だが、現地メディアは「中国海軍のインド洋進出に備えて2隻目の国産空母建造計画を国防省に提出した」と報じており、ヴィクラント級空母の再発注を希望しているらしい。

参考:With China on its radar, Navy moves case for 2nd indigenous aircraft carrier

インド海軍はIAC-2が就役するまでにTEDBFの運用準備が整っていることに期待しているらしい

インド海軍は改キエフ級を改装した空母「ヴィクラマーディティヤ(約46,000トン)」と、2022年9月に就役した国産空母「ヴィクラント(約40,000トン)」を運用中で、電磁式カタパルトとスキージャンプを併用する国産空母「ヴィシャル(65,000トン)」の建造計画も浮上していたが、Times of India紙は21日「インド海軍が中国海軍の拡張(インド洋進出)に対応するため2隻目の空母建造計画を国防省に提出した」と報じている。

出典:Indian Navy / GODL-India 公試中の空母「ヴィクラント」

国防省に提出された建造計画は「噂された65,000トン=ヴィシャル」ではなく「コーチン造船所にヴィクラント級空母(IAC-1)を再発注する=IAC-2を建造するという意味」というもので、この計画は国防長官が主催する国防調達委員会、シン国防相が主催する国防調達評議会、モディ首相が主催する安全保障委員会から承認を得る必要があり、インド海軍はIAC-2が就役するまでにTEDBFの運用準備が整っていることに期待しているらしい。

同紙の取材の応じた関係者は「IAC-1の建造には13年も掛かったが、コーチン造船所は同艦の建造で空母建造に関する専門知識とノウハウを身につけることが出来たため、IAC-2は8年~10年で建造できるだろう」の述べている。

出典:Josh097/CC BY-SA 4.0 TEDBF

因みに電磁式カタパルトとスキージャンプを併用するヴィシャル級空母の建造計画が「ヴィクラント級空母の再発注」に取って代わったのか、ヴィシャル級空母を構成する要素の開発に時間がかかるため「ヴィクラント級空母の再発注」でひとまずギャップを埋めるだけなのかは不明。

インド海軍はヴィクラントで運用する戦闘機にラファールMを選択したが国産艦上戦闘機「TEDBF」の開発も進めており、2026年にプロトタイプの初飛行、2031年に量産機の生産開始が予定されている。

関連記事:印メディア、海軍は艦載戦闘機にF/A-18E/FではなくラファールMを選択
関連記事:インド海軍、2隻目となる国産空母計画を修正して「無人機運用にも対応させる」と発表
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関連記事:インド、第5世代戦闘機の試作機が2026年までにロールアウト可能

 

※アイキャッチ画像の出典:Government of India/GODL-India

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コメント

    • 名無し
    • 2023年 9月 27日

    この世でも数少ないローテ回せる国になるな。軍オタ界隈だと米帝を前提に空母は3隻必須みたいなこと言う人結構いたけど。
    空母もってても普通は数少ない空母を使ったり使わなかったりだし。

    9
    • トト
    • 2023年 9月 27日

    正味、インドには軍事力より中国の代わりになる世界経済エンジンになってくれたほうが助かるのだが中々上手く行かないね。

    3
    • ホテルラウンジ
    • 2023年 9月 27日

    この前もインド空軍が日本に飛来して合同演習してましたが、3隻目の空母ですか。
    オートバイに20人くらい乗ってパレードして、パキスタンとの国境ゲートで毎日パキスタンとイキり合戦イベント
    してただけに見えてた国が本当に強くなってきたんですね。
    経済界でも名だたる企業のCEOがインド人だらけで更にイギリスの首相までインド人ですからね。
    インドの時代きました
    ただ地理的にも歴史的にも日本と国益が対立しない寧ろ一致する点が多い国なんで頼もしいです。

    18
    • さつよ
    • 2023年 9月 27日

    インドはポテンシャルの塊ではあるが、様々なしがらみのせいで眠れる獅子と化している
    といった印象がありましたが、近年は存在感を増し、着々と目覚めつつあるようですね。
    個人的に高いところより言わせていただくなら、軍事面より経済面での覚醒を期待していたところもありますが。

    13
    • えぞ
    • 2023年 9月 27日

    ここ数年の状況を見ていると、どうも国粋主義、全体主義的な方向へ進んでしまっている懸念があって、
    いずれ第2の中国になりかねない気がしますね。

    いまは対中国という意味では仲間に引き入れたいけども、
    インドと日米は基本的な価値観を共有してはいないんじゃないかなぁ…

    57
      • 朴秀
      • 2023年 9月 28日

      対中国というだけで持ち上げていたら
      後で酷い目にあいそうだよな

      1
    • APFSDS
    • 2023年 9月 27日

    資材調達や建造ノウハウはヴィクラントの難産でできているだろうから、問題は予算通過と確保かな。

    2
    • 無印
    • 2023年 9月 28日

    流石にエレベーターが小さいのは改善するかな?

    2
    • たむごん
    • 2023年 9月 28日

    日本とインドは、遠交近攻に置いて相性がいいですし、中国が仮想敵国という点も共通してますよね。
    安倍首相の置き土産を生かして、軍官民の友好関係を深めて欲しいと思います。

    9
    • ブルーピーコック
    • 2023年 9月 28日

    「IAC-1の建造には13年も掛かったが、IAC-2は8年~10年で建造できるだろう」

    ククク・・・そうやって期間を決めちゃうと、不測の事態で納期が間に合わなくなった時に苦労するフラグになるぞ・・・

    6
      • たろう
      • 2023年 9月 28日

      8~10年って時点で既に大概なんでそこは大丈夫でしょう
      仮に延期でも元々インドの装備調達は順延する宿命にあるし

      5
    • 58式素人
    • 2023年 9月 28日

    先の事とは思いますが。
    中国の次のことも考え始めておくべきでは。
    日本にとっては、マラッカ海峡からペルシャ湾あるいは
    スエズ運河へ至る途中にインドはありますから。
    仲良くするか、協力するか、敵対するか、ですが。

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