中東アフリカ関連

空軍近代化を進めるナイジェリア、ロシア製の第5世代戦闘機に関心

Military Africaは「ナイジェリアがSu-75に関心を示している。ナイジェリアがロシア製戦闘機を選択肢に加えたという事実は戦略の転換を意味する」と報じており、エジプト、モロッコ、アルジェリアに対抗するため第5世代機を手に入れたいのかもしれない。

参考:Checkmate: Nigeria eyes Su-75 stealth fighter jet

もしナイジェリアが10年先に第5世代機を調達するなら中国のFC-31、ロシアのSu-75、トルコのカーン辺りが競合するのかもしれない

露国営のロステックは2020年12月末「シングルエンジンの第5世代戦闘機の開発に取り組んでいる」と、2021年3月には「開発を進めている新しい航空機を7月のMAKS-2021で展示する」と発表し、予告通りMAKS-2021で「Su-75 チェックメイト」を披露した。

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

Su-75はロシア空軍向けではなく、米国のF-35Aや中国のFC-31(中国海軍向けJ-35のベース機)に対抗するため開発されている輸出向けの第5世代戦闘機で、基本的なスペックは最大速度マッハ1.8~2.0、航続距離は2,993km、ペイロードは6.8トン以上、ウェポンベイは左右のエアインテーク側面と機体下部に設置されており、ここにR-37Mの輸出版「RVV-BD」や空中発射式の小型無人機などを携行でき、機体単価は2,500万ドル~3,000万ドルに設定されている。

さらにSu-75は政府資金ではなく「ロステックの自社資金」と「潜在的な顧客=アラブ首長国連邦、インド、ベトナム、アルゼンチンからの投資」で必要な資金を確保する仕組みを採用、発表当時にボリソフ副首相は「投資に前向きな国を確保している(後の報道でUAEと判明)」と説明していたが、UAEは投資を確約した訳ではなく「ウクライナ侵攻」や「初飛行の延期(2023年→2024年)」を受けて投資を見合わせたため、ロステックは新たなスポンサーを見つけつ必要に迫られ「エアロ・インディアでSu-75の開発にインドを招待した」と噂されている。

出典:Secret Projects Forum 左がモックアップのSu-75、右が特許画像のSu-75

この話にインドが乗ったかどうかは不明だが、ロシア連邦軍事技術協力局長のドミトリー・シュガエフ氏は7月末にサンクトペテルブルクで開催されたロシアアフリカサミットで「ナイジェリアがSu-75に関心を示している」と明かしたらしい。

シュガエフ氏は「ナイジェリアは空軍力を強化するためSu-75を含むロシア製戦闘機の獲得に強い関心を示している」と明かし、Military Africaも「こうした最新鋭戦闘機を巡る競争は依然として激しいが、ナイジェリアがロシア製戦闘機を選択肢に加えたという事実は軍事力の近代化における戦略の転換を意味する。Su-75の獲得はF-7NiとJF-17を運用しているナイジェリア空軍の質を飛躍的に高めるだろう」と指摘したものの、シュガエフ氏は「(まだSu-75は開発途中なので)契約について語るのは時期尚早だ」と述べている。

出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17

地中海に面する北アフリカ諸国の中でもエジプト、モロッコ、アルジェリアの軍事力は非常に近代的で強力だが、ナイジェリアは経済規模と軍事力の質が釣り合っておらず、ティヌブ大統領は陸軍を近代化するため欧州、中国、韓国から新しい陸上装備を購入、根本的に規模が小さすぎた空軍や海軍への投資も大幅に増やし、空軍はJF-17×3機、M-346FA×24機、A-29×12機、ATR42×2機、T129ATAK×6機、AH-1Z×12機を調達中で、JF-17は運用状況が良好なら35機~40機の追加調達が行われるらしい。

海軍も極少数の旧式フリゲートや旧式OPVと小型艦艇で構成された戦力を近代化・拡張するためフランスから新型フリゲート、トルコから飛行甲板を備えた大型OPV、オランダから水陸両用作戦能力を強化するためLST-100を取得予定で、中・長期的にナイジェリア軍の質と規模は大幅に強化される見込みだ。

出典:sukhoi

つまりナイジェリア空軍はJF-17とM-346FAの導入で航空戦力の質を大きく改善したが、アルジェリアが第5世代機(Su-57E)の導入に踏み切り、これに対抗するためモロッコがF-35Aの調達を模索、エジプトも何らかの手段で第5世代機を手に入れたいと考えているため、ナイジェリアも将来的には第5世代機を導入して軍事力に裏付けられた外交力や存在感を高めたいと考えているのだろう。

もしナイジェリアが10年先に第5世代機を調達するなら中国のFC-31、ロシアのSu-75、トルコのカーン辺りが競合するのかもしれない。

出典:Marco Kuntzsch/CC BY-SA 3.0

因みに「サウジアラビアが小型潜水艦の導入を決めた」と噂されていたが、サウジアラビアは潜水艦を調達するため欧州企業(ドイツ政府はサウジアラビアに対する武器輸出に厳しい)とアジア企業との協力を慎重に検討しているという報告があり、サウジアラビアが求めている小型潜水艦は恐らく「209型クラス(欧州企業とはトルコでアジア企業は韓国ではないか推定)」だろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Rostec 

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コメント

    • 戦略眼
    • 2023年 8月 09日

    将棋倒し式に、きな臭くなっているな。
    各国とも、第5世代機とかにまで資金が回るのか?
    国民が飢えて、内戦が更に広がりそう。

    4
    • 名無しさん
    • 2023年 8月 09日

    チェックメイトは開発自体が完全に止まって、いつ生産できるか全く読めない代物ですよね。
    ナイジェリアが本気で取得しようとしているのか、他の第5世代戦闘機に対する当て馬として言い出してきたことなのか見極める必要がありますね。

    3
    • FXA-05D
    • 2023年 8月 09日

    アフリカ諸国が自前でステルス戦闘機を保有して睨み合いって、なんというか隔世の感がありますなぁ。
    ほんの5年前ならホラ話扱いですぜ。
    21世紀にはアジアとアフリカの時代が来る、って言うのもありえない話じゃないんでしょうな。

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