ブラジル海軍の空母サン・パウロはアスベストや重金属の問題で解体処分先のトルコが接岸を拒否、国内でも受け入れ先がなく3ヶ月以上も海上を漂流していたが、大西洋沖で自沈処分され数奇な運命に取り憑かれた艦は完全に姿を消した。
参考:La Marina de Brasil hunde al portaaviones São Paulo
2度の火災で殆ど活躍できないまま退役した空母サン・パウロ、使用されたアスベストや重金属の問題で解体もままならず自沈処分
ブラジル海軍は1990年代に空母「ミナス・ジェライス」の後継艦として仏空母「フォッシュ」を購入、修理や改造を施して2001年に空母「サン・パウロ」としてブラジル海軍に編入したが2005年に火災事故が発生、ブラジル海軍はサン・パウロや搭載機の大規改修を進めたものの2012年に再び火災が発生、再び使用可能な状態に戻すには多額の資金が必要なため2018年に同艦の退役を決定して解体先を探すことになる。
同艦には大量のアスベストと重金属が使用されており、フランスとブラジルが締結した契約には「空母解体は環境に悪影響を与えない」という条項が含まれていたため、入札結果は二転三転して最終的にトルコ企業が1,055万レアル(約2億円)で落札、昨年8月にタグボートに曳航されリオデジャネイロを出港したサン・パウロはジブラルタル経由でトルコ西部のイズミルにある造船所に向かっていたのだがブラジル当局が提出した報告書記載の有害物質(艦内に残存するアスベストの量が9.6トン)が少なすぎる=姉妹艦クレマンソーの解体で回収されたアスベストの量は760トン」と問題になり、トルコ政府がサン・パウロの接岸拒否。
受け入れ先を失ったサン・パウロはスアペ港(ブラジル・ペルナンブーコ州)に戻ることになったのだが、今度は同艦が係留状態で放置されることを危惧したペルナンブーコ州当局がスアペ港接岸を拒否、ブラジル国防省は同艦の受け入れを探したものの他の州も難色を示したため、行き場を無くしてしまったサン・パウロはペルナンブーコ州の沖合を漂流することになり船体の劣化が進行して2,787立方メートルの海水が艦内に流入、航行限界の3,530立方メートルに達するのは時間の問題だった。
そのためブラジル海軍は沿岸から350km離れた水深5,000mの海域にサン・パウロを移動させ「自沈処分した」と発表、これで数奇な運命に取り憑かれたサン・パウロは完全に姿を消したことになったが、環境団体からの抗議が殺到するのは確実だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Rob Schleiffert/CC BY-SA 2.0
最期までフランス以外誰にもメリットを供与しない艦船だったな
もっとでっかい空母のフォレスタル級4隻とキティホーク級2隻をさらっと解体してみせたブラウンズビルって凄い所だったんだな・・・。
水没処分にするなら標的艦にすればよかったのにと考えてしまいました。
海自が火災大型船の沈没処分の際に潜水艦から発射した魚雷が外れて、沈める事ができなかったように何かしら訓練と実戦の違いによる問題を見つける良い機会だったのにと思いました。
当時、海自には単純に直進する長魚雷は無く、自動追尾機能によって、ほぼ静止していた標的を外してしまった恥ずかしい事件がありました。
ただ自沈させたのは本当にもったいない。
浸水してたし、そんな暇なかったんじゃないかなぁ。。
魚雷使うにしろ、火器使うならそれなりに手続き必要だし。
もう色々面倒だし、とりま沈めとくかってノリな気がする笑
この経緯の末に有害物質爆散させるのはいくらなんでも…
第十雄洋丸の話でしたら、もうちょっと調べた方が良いかと。
その自動追尾装置は付いていたんでしょうか?
笑っちゃいけないけど笑ってしまいました。もう解体する手間も費用も面倒くさくなってぶん投げただけだろこれ。
これの重金属の海洋生物に与える影響は、福島のトリチウムとは比較にならないほど大きそう。
世界の海はとっくにはるかに深刻に汚染されてますよ
だからと言ってここでフクシマの言い訳とか要らないから
それ誰に対して言ってるのかすら
トリチウム水は、韓国も中国も
アメリカもヨーロッパ各国も垂れ流してますけど何か。
どうしてトリチウムという次元の異なる話題に引っ張りたいのかい、それこそどうでもいいことだろ?
分かりやすいよなぁ
毎回政治的に振り切っている人はほぼほぼ悪魔化する際に片仮名を使う
福島はフクシマ
安倍はアベと本当に分かりやすい
それどころか、艦内の小物以外は手つかずだろうし、
油関係の海洋汚染もなかなかひどそう、というか油抜きしてないのでは
完全な時間切れだな・・・w
やれやれ、有害物質を含んでいるとはいえ空母の1回きりの沈没処分で抗議が大量殺到なら福島はどうなるやら容易に想像がつくね。
アズベストの成分は珪酸、酸化マグネシウム、酸化鉄が主体なので、成分自体はほとんど無害なんですよね。
ただ、その形状が突起状であるために、肺等に入り込むと人体に悪影響を与えるのです。
感情的な問題を置いておけば、深海に沈めてしまうと言うのは、もっとも安全で確実な処分方法と言えます。
重金属の行方は気になりますが、5000mの海底で食物連鎖に関わるとは考えにくく、最良ではないがベターな解決策に落ち着いたと言えるのではないでしょうか。
深度5000mの海底ですと熱水噴出孔付近に独特な生態系が形成されています
それらの研究により太陽光の届かない深海では、太陽光の代わりに無機物をエネルギーの中心とした独特な生態系が形成されていることが確認されており、大量の重金属の廃棄はそういった生態系に大きく影響しうると思われます
深海にも海流があり、海底の養分を含んで上昇するポイントがあり、プランクトンが大量発生して好漁場になっています。
ということで、マグロを食べて水俣病になろうみたいなことになります。
日本海溝にソビエトか潜水艦用の廃炉を投棄していましたしねと、比較するのもなんですがこれしかなかったのでしょうね。
”自然”に船体亀裂が起きて良かったですね。
「サンパウロが沈みます…」
ただの無機物と言ってしまえばそれまでなんだけど、必要とされて来たのに厄介者扱いで最後はたらい回しにされた挙げ句深海へポイ捨てされるとかかわいそうですね…
数日前にブラジル最大手の新聞がサウジの解体メーカーが買い取り打診したって報じてたが流れたのかな?
おもいっくそフランスとの契約違反だが大丈夫そ?
ブラジルは外国の退役空母を購入するのが大好きなようだ。
次に購入するのはイタリアのジュゼッペ・ガリバルディか? スペインのプリンシペ・デ・アストゥリアスか? タイのチャクリ・ナルエベトか?
いずれにしても、役に立たないポンコツだなあ。
「国際社会からブラジルは大国だと思われたい」という見栄が目的で空母を保有しようとするから、こんな笑い話になるのだ。 ブラジルよ、身の程を知れ。