米陸軍は次世代戦闘車両プログラムに含まれる無人戦闘車輌(RCV)について「まもなくフェーズIの契約を締結する」と言及しており、10トン以下のRCV-Lightは2020年後半に登場する可能性が高く「陸上戦における無人化戦力の普及」は目前に迫っている。
参考:Army ‘very close’ on contracts for Robotic Combat Vehicle program
陸上戦における無人化戦力の普及も目前に迫っている
米陸軍はエイブラムス、ブラッドレー、M113の後継車輌、歩兵旅団戦闘団向けの火力支援車輌、地上無人車輌を対象にしたプログラム「Next Generation Combat Vehicle(NGCV)」を進めており、M113の後継としてAMPV(約2,900輌調達)、歩兵旅団戦闘団向けの火力支援車輌としてM10 Booker(約500輌調達)を調達中、ブラッドレーの後継は現在開発中で、ジェネラル・ダイナミクスが提案した「AbramsX」は陸軍の正式なプログラムではなく同社のデモンストレーターに過ぎない。

出典:Abovfold/CC BY 4.0
エイブラムスの後継車輌に対する要求要件が固まっていないため、開発が本格化するのは「2020年代後半になる」と言われているが、NGCVに含まれる最後のピース=地上無人車輌の開発は「Robotic Combat Vehicle=RCV」として正式に動いており、米陸軍は10トン以下のRCV-Light、20トン以下のRCV-Medium、30トン以下のRCV-Heavyの開発を検討している。
RCV-L(全長5.68m×全幅2.23m×高さ2.38m以下)は回転翼機での輸送を想定し「消耗型システム=戦闘での損耗は許容される」と定義、RCV-M(5.84m×2.71m×2.38m以下)はC-130での輸送を想定し「RCV-Mは戦場での生存性がRCV-Lより高い」と定義、RCV-H(8.89m×3.65m×3.6m以下)はC-17で2輌輸送を想定、既存の敵車輌を全て打ち負かすことができる直接射撃兵器が搭載され「有人車輌並な戦場での生存性が必要」と定義されているのが特徴だ。

出典:Photo by Kevin C Mcdevitt RCV-Mのプロトタイプ
2020年にRCV-LとRCV-Mのプロトタイプ取得が始まり、2022年6月から8月にかけてフォートフッドでテストした米陸軍は「2023年にRCV-Lの開発(EMDフェーズ)に進むかどうかを決定する」「RCV-Mの開発は当面延期する」と述べていたが、今年3月にRCV-Lのプロトタイプ提案依頼書(RPP)を正式に発行、これにOshkoshとBAEが関心を示しているらしい。
米陸軍関係者は17日「RCVプログラムのフェーズIに関する契約締結が間近だ」と明かし、フェーズIの契約を授与する請負企業は最大4社、提出される設計の成熟度を評価して2025年第1四半期に最終的な請負企業を1社に絞り込む予定(これがRCV-Lの契約なのかRCV-MやRCV-Hの契約なのは不明)で、最低でもRCV-Lは2020年後半に登場する可能性が高く「陸上戦における無人化戦力の普及」は目前に迫っている。
The ACT3205 RCV-H unmanned tank killer concept proposed by the US Army GVSC. ACT3205 features an automated 120mm cannon, a 650hp hybrid electric drive, hard-kill APS, and costs only one-sixth of M1A2 SEPv3 per unit. A C-17 aircraft can carry two ACT3205s and a control vehicle. pic.twitter.com/UJt843EGcz
— Ronkainen (@ronkainen7k15) April 7, 2023
因みに米陸軍の戦闘車両を研究開発するGround Vehicle Systems Center=GVSCはRCV-Hのコンセプト案(Robotic Counter Armor/ACT3205)を提示しており、軽量バージョンの120mm滑腔砲「XM360(35発/自動装填装置付)」を搭載することでM1A2と同等の致死性を確保、650hpの次世代エンジン、ハイブリッド方式の駆動装置、ハードキル方式のAPSを備えて「ユニットコストはSEPv3の1/6になる」と主張して注目を集めている。
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※アイキャッチ画像の出典:US Army Photo by Bruce Huffman
米軍も新兵の確保に苦慮しており、軍で一番金がかかるのは人の教育と維持費であることを考えると無人化が軌道に乗ればコスト削減の恩恵も大きいというのは理解できる流れです。
とはいえ米軍の「次世代兵器」開発のパターンを踏まえれば想定以上にコストが増えて挫折の繰り返しなので不安ですが。
無人AFVの良いところは人的損失が無いことで、危険な斥候や威力偵察、更に爆薬を満載させて自爆攻撃が出来る事
よって安価でコンパクトなものが良い
重装備・大型化するほど高コストになるし、今の技術だと搭載火器を有効に使うのには人の手が必要でコスパがよろしくないだろう
そう考えると3つのタイプで有効そうなのは消耗型システムのRCVーLかな
ウクライナの地雷原みたいな環境になったらそういうの先陣切らせたいですよね
もはやSFの世界だなぁ。
いずれ何もかも無人の軍隊(整備班は抜きにして)とかが出来るのだろうか、、、
本邦も何か開発してるのだろうか?
無人に関しては全ての分野で遅れを取りそう、、、
GVSCはRCV-Hのコンセプト案は、future combat system のMCSの無人版みたいだ
人が乗ってないなら、防御はAPSに全振りしても問題無いのだろうか
MCSは有人なのに防御はAPSに全振りと言う、かなり無茶な要求だった
随伴歩兵はロボット犬かな?
無人車両からわらわら出てきたら、完全にヤッターマンですわ
完全に無人にする前に、一人乗りの物を作って試してみて、
問題点を洗い出して解決する方が良い気がします。
昔のStrv.103戦車みたいな物を今の技術で作ってみては。
一人乗り前提ならば、小型にできるでしょう。
完全無人にした時にも、回収時や回送時には有人の方が良いので
一人分のスペースは必要ではないかと思います。
いきなり無人はハードルが高いです。
実験段階ならともかく実戦配備で1人乗りにするメリットはないでしょう
人1人乗せるだけでもかなりのスペースを取りますし、その分機材の搭載スペースが減りますから
それに回収時や回送時に有人でコントロールする必要があるなら外部コントローラーで十分だと思います。
将来的にはどんな形が良いのかはまだ未定と思います。
現段階では、車両の形式が多いみたいですね。
舗装道路上でも、車両の自立運転はまだと思います。
しばらくの間は、人間の補助は必要と思います。
自動運転の技術は既にできている説もあります。
新しいものを無闇に怖がる人々やタクシーバス等の職を失う人々や保守的な政治家などが反対して実用化のネックになっているという話もあります。
事故は人間も起こし人間より事故を起こす確率が低いとも言われます。
人身事故を起こした時に責任の所在が明確では無いのも問題かもしれません。
通常は所有者や使用者が損害賠償責任を問われると思いますが、誰が過失障害や過失致傷の罪に問われるのでしょうか ?
流石はアメリカです。
保守派の反対よりイノベーションを後押しする気概があります。
完全無人の自動運転タクシーを、24時間いつでも呼べる時代がやってきた:サンフランシスコでの“営業解禁”が意味すること
リンク
ここからは主題と外れますが、高齢化社会の日本での運転免許返納問題の解決の為にも自動運転が田舎でできたら良いですね。
家に引きこもりになったら老人は簡単にフレイルや認知症になってしまうだろう。
都会だと電車があるから良いのですが。
ご教授ありがとうございます。
サンフランシスコ市は思い切ったものですね。
成功すると良いですね。
仰る通り、日本でも近日中?(それとも即時?)
に必要となると思います。
回収用なら中にスペース設けなくても、車体外側にむき出しの簡素なハンドルアクセルブレーキペダルがあれば事足りるんじゃないですかね
無線操縦オンリーだと通信装置が破壊あるいは故障したらどうしようもないですから
費用対効果としては、テスラの自動運転車にリモートコントローラと500キロくらいの爆薬積んで突っ込ませる方が安くて早くて効果がありそうですけどね。
個人的にはこの手の自動遠隔タイプの兵器が高い防御力を持っているのにはどうもコンセプト的な矛盾を感じてしまいます。
安くいくらでも作れてバンバン使い捨てに出来るって方が結局は戦場を支配することになりやすいので。
シャヘド136の陸上版みたいなものですかね。すごく有用な気がします。
補給や継続性の面も考えると車両型爆弾はコスパ激悪だと思う。簡単な話、戦車タイプなら弾薬の許す限り敵を撃破する可能性があるけど、自爆タイプだと周辺10~20mを道ずれにするのが精いっぱいだから。
あとウクライナ戦争であぜに落ちたり泥でスタックしてニッチもさっちもいかなくなった車両の動画をいくつか知ってると、結局はそれを復帰される人手がいくつも必要だから、現時点では有人部隊の火力オフセットのような形で組み込むのがベターではないかなと思うところ(あくまで陸上ドローンの話)。
軽トラが安くで量産できてることを考えると、限界まで効率化されれば結構恐ろしいことになる可能性はある
今すぐ現実的にできるとは思わないが、数十年もしたら舗装路以外での自動運転も民生利用されてるだろうから、
流用してアレコレもできるだろう
航空機と違って、地上それも道路じゃないところを走らせるとなると安く作るのは無理なんじゃないですかね
自爆ドローンは安さもさることながら対象よりずっと優速じゃないと意味がないんで、自爆ドローンやるなら最初から空飛べる現行のが向いてると思いますね
今こそパンジャンドラム復活の時でしょう?
塹壕にストンと落ちるサイズ感で
最初に大量の無人戦闘車両で前進してそれを後方から支援するのかな
長期間の包囲とかも可能だし戦争のルールが変わりそう
ウクライナ戦争の新兵が、テレビゲームが役立ったというインタビューが掲載されていました。
無人機の攻撃力・用途によって、AI制御と遠隔操作に分かれるものと思います。
米原潜が、Xboxのコントローラーを活用した事が話題になりましたが、ゲームのUIに寄せていく形になるのかもしれません。
コントローラーを64かゲームキューブにしてくれれば…
今のAIは俯瞰的な状況判断ができないので。
通信が必須ですが。画像データを送信しようと思うとかなりの通信量になります。
最大の弱点の電波妨害にどれぐらい耐えらえれるかでしょうか。
あと、無線で操作するということは、電波を常に出し続けることになりますが。
その電波に向かってミサイルが飛んでこないか。。。
有用な観点だと思います。
ただ妨害電波も対策することは可能でむしろイタチごっこの感があります。
このウクライナ侵攻直後くらいまでドローンは使えないとの考えが主流だったと思いますが、実際は安い商用ドローンが大活躍してます。
兵器への実用化はどうかわかりませんが、レーザーや赤外線などでのラジコン操作の技術はすでにあります。
戦場の霧の中での状況判断は現状人間に敵いませんが、ルールベースなどで行動を決定することにすればまったく動けなくなることは回避できます。
有人機より強い兵器にならなくても、損耗を覚悟で安価な使い捨て兵器と考えれば、有効な兵器になることは期待できそう。
今回の紛争ではロシアに無視されまくっていますが国際法などの観点で解決しなければならない倫理面の問題が山積してます。
ほんとドローン使えないとか言ってたの誰なんだよ
今や陸海空全部ドローンやん
(ありゃアメリカ陸軍が開発した戦術ロボットで、イクストルって奴だ。こいつは有線操縦の移動砲台みたいなもんですが、この状況だと厄介ですね。
って、いつ呟けばええんや。。。)