ウクライナ軍参謀本部は6日「バフムート方面のボダニフカ、クリシェイフカ、アンドリーフカで攻撃を撃退した」と発表したが、新たに登場した視覚的証拠は「ロシア軍の前進」を示唆、さらにロシア人ミルブロガーは「クリシェイフカの高台陣地を占領した」と主張している。
参考:Россияне пытались наступать на 7 направлениях фронта – Генштаб
参考:Соледарское направление: удачные атаки ВС РФ на нескольких участках
登場した視覚的証拠とRYBARの報告を加味すると「ウクライナ軍が押し戻されている」のは確実
ウクライナ軍参謀本部は6日「バフムート方面のボダニフカ、クリシェイフカ、アンドリーフカで敵の攻撃を撃退した」と発表したが、新たに登場した視覚的証拠はロシア人ミルブロガーが運営するRYBARと、ウクライナ人が運営するDEEP STATEが報告していた「ボダニフカ付近での前進」「バフムート南西に位置するダーチャでの成功」「クリシェイフカの戦術的高地(高台陣地)への肉薄」が事実である可能性を示唆している。
新たに登場した視覚的証拠でボダニフカ北の森林ゾーン=Ⓐでウクライナ軍陣地を攻撃する様子、ボダニフカ北東の貯水湖付近=Ⓑでウクライナ陣地を掃討する様子、攻撃を受けてバフムート南西に位置するダーチャからⒸに逃げるウクライナ軍兵士の様子、クリシェイフカの戦術的高地(高台陣地)=Ⓓに対する砲撃の様子、BM-21によるクリシェイフカ集落内=Ⓔへの攻撃の様子を確認。
さらにRYBARは6日「ロシア軍は3つの地域を同時に攻撃しているためウクライナ軍の状況はますます悪化している。バフムートの南側ではクリシェイフカの戦術的高地に対する襲撃を成功さえ、ロシア軍は戦術的に重要な高台陣地を占領した。これによりクリシェイフカやアンドリーフカを常時監視することができ戦術的優位を確保した。6月に失われたバフムート南西のダーチャでも大きな成功を収め、このまま前進できればクリシェイフカのウクライナ軍陣地は深刻な事態に直面するだろう。ベルヒフカ貯水地からボダニフカに向けても戦闘が続いている」と報告。
登場した視覚的証拠とRYBARの報告を加味すると「ウクライナ軍が押し戻されている」のは確実で、もし「大きな犠牲を支払って夏に奪還した高台陣地」を奪われていればクリシェイフカやアンドリーフカのウクライナ軍は相当不利な状況に追い込まれたことになるが、まだ高台陣地の占領は視覚的に確認されてない。
個人的にロシア軍の前進スピードが「陣地戦にしては早い」と感じており、ウクライナ軍側に何らかの問題が生じている可能性もある。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
命を賭けて戦っている両軍兵士には申し訳ないが、もはやこの段になっては「こまけぇこたぁいいんだよ!」という心境…。
確かにウクライナ側が下がる速度が早過ぎるので。
もちろん補給や弾薬不足のせいかもしれませんが,前線で密かに撤退と戦線整理が始まっているのかもしれませんね。
仰る通りですね。
重要な部隊、高価値目標から順に、交代させることになると思います。
野戦防空部隊・電子戦部隊・自走砲部隊などは貴重ですから、この辺りから早めに下げていくのでしょう(地上戦に巻き込まれないようにするため)。
ウクライナ最前線歩兵は、これら支援部隊の援護が薄くなっていく事を、勝手に想定していました。
ウクライナ軍が砲撃支援、火力密度を高めて撤退線を行えればよいのですが、大砲の弾薬も少なくっていますからね…
航空優勢のない中で、撤退戦は本当に難しそうですね。
ロシア軍としてはここからが大変
さすがにウクライナ軍も反斜面陣地を構築してるだろうしね
ロシア軍の侵攻が早いのはウクライナ軍が珍しく柔軟に対応して有利な陣地まで撤退したからじゃないかな
まあ夏に無理攻めしたところに反撃くらって初撃とその追撃戦でかなり被害を受けてそうだから不利ではあるんだろうけど
リンク
この期に及んでまだ我々は勝利している!
って発表しているので、きっと勝ってるんでしょう。()
反転攻勢どころか押されてるというには幻想なんだよ、きっと。
ウクライナの早すぎる退却要因で思い付くのを書いてみましたが他に原因としてありそうなもの教えてください。
①単純にボロ負け
②補給がないため前線整理
③地雷原やキルゾーンを構築したエリアへの誘引
④政争している軍部の静かな反乱
⑤どこかで一点突破を図るための戦力集め
ゼレンスキーライン構築に前線の人員が抜かれたか?
アンドリーフカで戦ってたアゾフが竜の歯の出来損ないみたいな対戦車障害並べてる動画公開してた。
これはロシア軍が攻撃して前進しているというよりも、ウクライナ軍の方がロシア軍の攻撃より先に自主的に退却しているのではないでしょうか?
補給の問題でいえば、1944年のインパール作戦では、佐藤幸徳中将の第31師団が第15軍の牟田口廉也中将に
「約束通りに米を送れ!」
「米のあるとこまで退却する!」
といいながら、許可なしに独断で退却を続けた話もあり、今のウクライナ軍もゼレンスキー大統領に忠実なシルスキー上級大将に従う部隊と、ザルジニ大将に従う部隊に指揮系統が分裂しているともいわれ、どっちかがどっちかに補給をしないということも考えられますし、そもそもすでに弾薬の備蓄がないということもありえます。そうなれば退却どころか投降してもおかしくありません。マリウポリでアゾフ連隊が投降した先例もあります。
とりあえず退却する先はチャシブヤールかコンスタンチノフカでしょうか。そこに弾薬の備蓄がいくらか残っていればの話ですが、なければ地雷原もキルゾーンも設定できません。
さすがに②だとは思いますが。
戦線整理をどのレベルの意思決定でやってるかが問題ですね。
大統領またはザルジニー将軍以下、防衛戦の算段がついての計画的な撤退か。
それとも中央政府が麻痺しているために前線のどこかの司令部がやむなく緊急避難的に実施している戦術レベルのものなのか。
戦術レベルの退却だとすると,退却する部隊への援護が不十分になりますから,下手を打つと追撃からの総崩れもあり得ます。
古今東西、退却戦の難しさは言わずもがな。ウクライナ軍の底力が試されますね。
去年のロシア軍のヘルソン右岸みたいに負担になる場所から徐々に撤退してるのかな。しかし大きな犠牲と時間を払って、唯一めぼしい戦果を得られた土地を早々に手放すのは現場兵士としてはなかなか堪えそうですね(尤もそんなこと言っていられる状況ではないかもしれないが)。撤退戦の厳しさの一端が分かったような気がします。
大丈夫大丈夫!ウメロフ国防相はロシア軍の3重の防衛線の内第2防衛線を突破したと発表してるし
反転攻勢はまだ終わってない!
アメリカの軍資金は年末までに尽きると報道される一方でウクライナでは政権と軍部が対立し、ウクライナ軍は劣勢に立たされて、プーチンはやっと自分たちの時機が来たと高笑いしている姿が目に浮かぶね
ロシアとしてはまたとないボーナスタイムにかっさらえるだけ領土をぶん取るつもりだろうね
去年のロシア見たな感じでは?
戦線の立て直しではないかと
予備戦力尽きてるなら、来年には終戦しそうですが
シベルシクは放っておいていいのかしら?鉄道がつながれば補給がはかどるだろうに??
シベルスクまでは手が回らないのが実情なのではないかと。
リマン、シベルスク、チャシフヤールはいずれが突破されたら他の側面に回り込まれるので、防衛線とするなら全て確保しなければなりませんが、駐屯している戦力だとシベルスクが最も少ないように思われます。
第3独立強襲旅団が、龍の歯を使って陣地構築している動画を出しているので、ご興味ある方はご覧ください。
ウクライナの龍の歯は、ロシアと比して見た目が貧弱であり、バフムト方面への物資不足を感じてしまいます…
(2023/12/06 youtube【岩田清文×佐々木正明】東部要塞マリンカ陥落かロシア国旗掲揚の映像、投降ウクライナ兵“射殺”映像も…ロシア軍最新鋭攻撃ヘリ「Ka52M」映像公開…軍事力近代化を誇示【深層NEWS】(2023年12月5日放送 BS 日テレ「深層NEWS」より))
管理人様、分かりやすいMAPありがとうございます。
ウクライナの反攻・バフムト反攻時は、逆に低地から高台(西から東)に攻め込んでいますから(現在の防衛線)、相応の損害を受けている事を理解しやすかったです(日本のマスコミのプロパガンダは、本当になんなんだろうなと…)。
面白い対比ですね、勉強になりました!
ウクライナの対戦車障害物は、対戦車障害になっていないような気がしますね。
ロシアの方は積み込みと積み下ろしを効率化するために金属のフックがついています。テトラポットと同じですかね。
というか、護岸工事かなんかの会社に造らせてんじゃないでしょうか。もしかしたらこの竜の歯は同じ型枠で民生用の何かに使ってるのかもしれないです。または、こういう時に備えて倉庫の中に型枠だけ数万個単位で保管していたとか。
ソ連の遺産、おそるべし。
仰る通りです。
ロシアですが、龍の歯の上げ下ろしに、車両式の小型クレーンを活用する画像映像を見かけます(汎用性があって物凄い便利なんですよね)。
ウクライナの前線画像では、こういった作業車輛を見かけた記憶がないため、やはり物量が違う気がしています…(自分が見落としているだけかもしれません)。
仰る通り、旧ソ連の遺産として、龍の歯を防衛用に保管してきたのは(すぐ製造できるようにしていた)、現実性の高い推察と思います。
護岸工事など、民生品の会社が製造している事も、現在進行形で有り得ますね。
ゼレンスキー大統領(ウクライナ)は、とんでもない国と、単独で戦う事を決断したのと感じています…。
ロシアの龍の歯はおいてあるだけで、レオパルドのドーザーブレードで簡単に除去できるお粗末なものとか言われてましたけど、ウクライナのはそれ以上にお粗末ですよね。
専用のコンクリートの塊ではなく線路の枕木を地面に指しただけ、開戦前は銃に見立てた木の板で訓練してる映像とか出して、ロシアを油断させたりとかしてましたけど、さすがにいまさらそんな事はしないだろうし、ウクライナの資材不足は損国みたいですね。
仰る通りで、深刻と考えています。
この動画を出したとしても、普通と考える位に、物資不足が常態化していると見る事もできるかもしれません。
ロシア軍の龍の歯、簡単に除去できるという解説ありましたね。
ウクライナ軍の龍の歯(貧相な杭)、その方ならば、どういう表現(ウルトラ擁護)になるのか興味深いものがあります。
リマン、イジュームあたりまで
露軍が奪還しそうな勢いになってきましたな
ゼレンスキー要塞はどの辺に作るんでしょうか
極寒の中の人力での突貫土木作業でシベリア抑留なみの犠牲者出しそう…
去年の秋に領土よりも兵力を取ったプーチンと
去年の冬に兵力よりも領土を狙ったゼレンスキーの対比があったけど
ようやくゼレンスキーも兵力維持を考えたのかな
しかし後退は難しいぞ
何処まで退くんだろうか
東部戦線の冬の大地は防衛側に圧倒的に有利ですから、思いの外は下がらずに済むかもしれないですよ。
ただ、じゃあこの先の春の泥濘が終わった時に戦場の盤面がどうなっているか。その頃には追加の支援も届くでしょうが、同じくロシアにも大増産した各種砲弾やミサイルが備蓄されます。
どっちにメリットがあるかは、歴史の判断待ちですかね。
シベリルク方面はビロホリフカが露軍にとって鬼門になってますね。そのためスラビャンスク再制圧に進めないですし。
また、南米ベネズエラ方面も緊張してきました。南米は第2次大戦時も別個にペルーエクアドル戦争やってましたし。