ウクライナ戦況

ザポリージャ州の戦い、ウクライナ軍がロボーティネに取り残された民間人を救出

ウクライナ軍兵士がロボーティネ集落内のメインストリートに進出したことが視覚的に確認され、第47機械化旅団の兵士は集落内に取り残された民間人を避難させることに成功したが、ロシア軍が反撃を開始してロボーティネの中心部を取り戻したという報告もある。

参考:Защитники с боем вошли в Роботино, эвакуируют мирных жителей – Минобороны

視覚的証拠に従えばロボーティネ集落内の戦闘は順調に南へ、ロシア軍を集落内から押し出していると評価できる

ウクライナ軍兵士がロボーティネ集落内のメインストリートに進出したことが視覚的に確認され「ロシア軍が保持する集落内の地域は無くなった=集落がウクライナ軍支配地域とグレーゾーンになったという意味」と評価する見方がある一方で、ウクライナ側でもロシア側でもないSuriyakmapsは「ロシア軍がロボーティネの中心部を取り戻した」と主張している。

出典:GoogleMap ザポリージャ州オレホボ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

集落内のメインストリート=付近でブラッドレーの支援を受けて戦うウクライナ軍兵士の様子、ロボーティネに入った第47機械化旅団の兵士が集落内=に取り残されていた民間人を装甲車輌で避難させる様子と救出された民間人の様子、ウクライナ軍がコパニ付近=のロシア軍車輌(BMP)を砲撃で破壊する様子、ロシア軍がウクライナ軍陣地=を自爆型ドローンで攻撃する様子、ロシア軍がウクライナ軍車輌=を自爆型ドローンで攻撃する様子、ロシア軍がウクライナ軍兵士=を自爆型ドローンで攻撃する様子が登場。

Ⓐの映像はメインストリートを越えた先=南エリアをウクライナ軍兵士が攻撃しているため、ロシア軍が保持していたと推定される集落南エリアはグレーゾーンに移行したと評価でき、取り残された民間人を避難できたのも「集落内の前線」が南に移動していると示唆しており、ⒹⒺⒻの視覚的証拠もロボーティネとベルベーヴの間を南下するウクライナ軍の前進が依然として続いていることを裏付ける。

以上の視覚的証拠に従えばロボーティネ集落内の戦闘は順調に南へ、ロシア軍を集落内から押し出していると評価できるものの、Suriyakmapsは「新たな増援を受けたロシア軍が反撃を開始してロボーティネの中心部を取り戻した」と主張している。

どのような根拠に基づいて「ロボーティネの中心部を取り戻した」と評価しているのかは不明(暫く待ってみたが主張を裏付ける視覚的証拠はまだ確認できていない)だが、Suriyakmapsの報告は結構当たるので何とも判断に困る状況だ。

ロシア軍は本当にロボーティネ中心部を取り戻したのだろうか?

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※アイキャッチ画像の出典:47 ОМБр

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コメント

    • 鼻毛
    • 2023年 8月 23日

    戦闘地域の被占領ウクライナ民、避難しようとするとロシア側に行くはめになるの気の毒ですね…

    3
      • ふむ
      • 2023年 8月 23日

      去年マリウポリからロシア経由でイタリアに行った人の記事があります
      国交断絶してる訳でも無いので、西側行きたいならロシア経由でも可能なようでそこは一安心

      リンク
      とは言え若ければ学業や友人関係が大変、成人なら職の心配、老いてりゃ旅自体過酷と避難も次善の策であって戦火に巻き込まれないのが第一ですが

      5
    • 産毛
    • 2023年 8月 23日

    ウクライナ軍が攻めてる南部は戦力幅が数キロしかないので反撃が熾烈で進軍スピードは落ちるだろうね。
    あれだけ撤退撤退言われていたバフムートも簡単には落ちなかったのだから、まだ完全制圧には時間が掛かりそう。

    7
    • ふむ
    • 2023年 8月 23日

    一時的にロシアが反撃して中心部取り戻したにしろ、ロシアは縦深防御やってるのだからまたジリジリ退いてロボチネはウクライナが確保するんじゃないですかね
    流石に3つある防衛線の1つめのロボチネを秋の泥濘期まで何としても守り切るつもりは無いでしょう

    ウクライナはどれだけ被害抑えつつ早く進めるかという相反する2要素のバランス取りつつ進めているのか、
    はたまた来年に繋げれば良いと既に今年はある程度割り切っているのか…
    ウクライナ側は支援募りつつ戦争やらなきゃならないんで戦略読めないですねー

    7
    • 名無し
    • 2023年 8月 23日

    ロシア軍は死守命令でも出ているのかな?
    ウクライナ側に効果的に出血をしいているなら追加戦力を追加する意味もわかるのですが、まともな陣地もない状況では予備兵力をすり減らしているようにしか感じられませんね。

    3
      • ふむ
      • 2023年 8月 23日

      「ウクライナ側がマトモに陣地構築する前に一当てして削っとくか」
      くらいのもんじゃないですかね?

      縦深にも限りがある訳で、無限には退がれないんですし
      三重の防衛線を破られる前に攻勢限界を迎えさせる為に、逆算してある程度のノルマはあるんでしょうね
      どの程度消耗させたら退いてヨシ!みたいな

      17
        • class
        • 2023年 8月 23日

        ただ自部隊も削られるのが問題ですね(当たり前)
        クリシェイフカみたいに

        4
        • バーナーキング
        • 2023年 8月 23日

        >三重の防衛線を破られる前に攻勢限界を迎えさせる為に
        いやいくら何でもどこが相手でもいきなり東海地方で防衛戦にはならねえだろ…、と思ってしまったスマン。

        9
        •  
        • 2023年 8月 23日

        マカリフカなんかもそうだったね
        南部防衛はそれが基本戦略なんだろう

        1
      • ポンポコ
      • 2023年 8月 23日

      ロシア軍の場合は激戦予定地や陣地をつくるような村からは前もって、割りと徹底して村人を避難や疎開させるので、激戦地のロボチネで村人を救出という映像は若干ですが違和感があります。

      ロボチネについては詳しくありません。

      一般論として、

      ロシア軍は、ウクライナ軍が強引に攻めてきたら、端を残して退却し、村に入ってきたウクライナ軍を爆撃か砲撃で壊滅させ、端を通ってまた村に入るパターンがありますね。

      5
    • Easy
    • 2023年 8月 23日

    双方が歩兵浸透戦術&歩兵待ち伏せ、偵察はドローン、火力投射は後方の火砲とロケット+徘徊型弾薬という戦術スタイルに収斂してしまい。
    陣地や塹壕深く篭って、不用意に敵が姿を晒したら後方の支援火力に吹っ飛ばしてもらう、という状況では両軍ともどこに敵がどれだけ潜んでいるかハッキリとは把握できず。
    この状況だと歩兵は数を密集しなくても火力は後方から投射してもらえるので、姿を敵に見せないのを最優先に小部隊でもかなりの長期間隠蔽された拠点に潜んで活動を続けることになります。
    敵の歩兵を追い出して完全に町を制圧した、と言えるまでには2週間ぐらいかかるんじゃないですかね。

    9
      • kitty
      • 2023年 8月 23日

      塹壕戦2.0って感じですねえ。

      3
    • たむごん
    • 2023年 8月 23日

    ロシア軍の防衛戦術、攻撃部隊の突出を包み込むようにして、側面攻撃をかける戦術思います。
    ウクライナ軍の残存戦力、ロシア軍の前線部隊・残存砲兵部隊、この辺りにより大きく変わると思います。

    管理人様の記事を拝見したのですが、ロシア軍の砲兵・対砲兵レーダーが削れているようですので、ロシア軍の逆襲は厳しいと思っています。
    泥濘期まで1か月程度になりましたが、ウクライナ軍の検討を願っています。

    4
      • x2jgt
      • 2023年 8月 23日

      泥濘が本格化するのは11月中ですのでまだ3ヶ月ありますよ。

      3
        • たむごん
        • 2023年 8月 23日

        仰る通りですね、ご指摘ありがとうございます。

        10月下旬(気候の幅)、そこまでに前線陣地の守備・防衛ライン(戦線整理)を整える事を逆算して考えていました。

      • Easy
      • 2023年 8月 23日

      > ロシア軍の砲兵・対砲兵レーダーが削れている
      これも微妙な部分で論点となりまして。
      ある程度砲兵が削れているのは確かですが、ロシア砲兵の活動が著しく減っているのは「火力投射の主力をランセットに切り替えたから」という説もありまして。
      実際、非誘導弾の砲火力なんて、対抗砲撃戦で相手の砲兵を狙っても命中率一桁%だったりするんですね。20発とか30発撃ち込んでようやく敵の1門を無効化出来る、ぐらいの感覚です。しかもこっちが撃つと敵が反撃の砲弾を撃ち返して来て、そっちの方が西側の誘導砲弾ですからはるかによく当たる。こんな環境で対抗砲撃戦なんてやっても味方が死んでくばかりです。
      だったら、敵砲兵が活発に活動していて大体の配備エリアが絞れているなら、ランセットならノーリスクで敵砲兵を狙えるんですね。
      そしてロシア的生存戦略としては、「撃ったら撃たれて死んでしまう砲撃戦はやってるフリだけして、安全安心なランセットだけでやってる感を出してこの戦争をやり過ごそう」と、彼らは割とそういう行動を取りますね。

      2
        • ジョチウルス
        • 2023年 8月 23日

        ランセット切り替え説が真実だったとして、それはそれで、ウクライナ側の精密射撃によって砲戦で優位に立ち、ロシア軍の砲撃能力を抑制できているので、結果的にはオッケーだとは思いますがね。

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