ウクライナ人軍事アナリストのオレクサンドル・ムシエンコ氏は「ロシア軍がスームィ州に対する攻勢を準備しているかもしれない」と警告していたが、ウクライナメディアは「スームィ州の国境地域で住民の避難が始まった」と報じている。
参考:Ціль – взяти Харків у напівоточення. Що треба знати про новий наступ РФ
参考:Почалась евакуація з іще двох міст на Сумщині
この問題だけは完全にウクライナ側の怠慢で、その代償は兵士の血で支払われることなる
RBC-Ukraineの取材に応じたウクライナ人軍事アナリスト=オレクサンドル・ムシエンコ氏は「敵の攻勢阻止に失敗すればボルチャンスク方向のロシア軍はビリィ・コロディアズに進むだろう。さらにリプシ周辺まで前進を許すとハルキウの北部郊外と東郊外が敵の砲撃圏内に収まってしまうと理解すべきだ。ロシア軍はオクチャブリスキーからコザチャ・ロパン、グライヴォロンからヴェリカ・ピサリフカやアフトゥイルカへの攻勢を準備しているかもしれない」と警告。
ボルチャンスク方向からビリィ・コロディアズへの前進はクピャンスク方面への圧力、リプシ方向への前進はハルキウに対する圧力、コザチャ・ロパン方向の前進はハルキウの西側面に対する圧力、アフトゥイルカ方向への前進はハルキウの西側面とスームィの南側面に対する圧力として作用し、現在のウクライナ軍に致命的な問題を引き起こすかもしれない。
ウクライナは動員法改正案の可決に半年以上も時間を浪費してしまい、昨年夏の攻勢、アウディーイウカを巡る戦い、チャシブ・ヤールを巡る戦いで被った人的損失の穴は埋められておらず、慢性的な兵士不足に陥ったウクライナ軍はドネツク方面の攻勢にジリジリと後退を余儀なくされているのだが、ここに振り向けるべき戦力がハルキウ方向に転用されればドネツク方面が苦しくなるのは誰の目にも明らかだ。

出典:СИРСЬКИЙ
要するにロシア軍の狙いは「数が多い方が有利な戦い」をウクライナ軍に強要することで、ハルキウ方面で軍事的な成功を収めるかどうかは副次的な要素に過ぎず、戦場の主導権を失っているウクライナ軍にとっては「ロシア軍に有利な戦いに付き合うか」「領土を放棄して時間を稼ぐか」の2択しかない。
ムシエンコ氏の警告が当たるかどうかは不明だが、ウクライナメディアは「スームィ州のヴォロズバやビロピリアでは住民の避難が始まった」と報じており、ロシア人らは「スームィ方面でも何かが起こるかもしれない」と言い始めている。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
武器不足は米支援の停滞に原因があり、これをウクライナ人の努力だけでカバーするのは不可能な話だ。
しかし、兵士不足は半年以上も前から予見され、前線で戦う兵士、指揮官、アナリスト、メディアが何度も警告していた問題で、これはウクライナ人自身にしか解決できないため動員遅延の代償は兵士の血で支払われることなる。
追記:ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将はNew York Timesの取材に「ロシア軍がスームィ州で新たな攻勢を開始するかもしれない」と述べた。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
夏の攻勢前に戦線が動く動く。先日のハルキウ州への前進どころか、ロシアと面している殆どの領域が侵されてしまっているし、どこから手を付けていいのか。メインが東部なのは変わらないでしょうが、今のロシア軍にはウクライナ軍の反応次第でどこでも動かせる余裕が感じられますし、動かないなら動かないで、東部戦線を優勢に進められている。
個人的には政治的な駆け引きを置いておいて、領土を放棄してでも前線を下げて、戦線を縮小・防御すべきだとは思いますが、今のままだと後退するウクライナ軍を潰しながら、ロシア軍が浸透してきてしまう(そうなりつつある?)し、それも困難でしょうね。
仰る通りです。
ゼレンスキー大統領が、泥濘期が終わるまで、政治決断で選択・集中を決めるしかない状況だったと思います。
どこの住人も、地元を守ってくれとなりますから、政治決断が乏しければどうしようもなくなっていまいますね。
要塞が準備されていないのも、貴重な精鋭を無意味かつ無謀な作戦で浪費したのもウの身から出た鯖である。支援が無限でないことも何年も警告されてきたことで突然の裏切りでは無い。
ウクライナの未来を決める権利はウクライナ人にはあるが、何度も忠告されてきた問題を放置してきたのは言い逃れ出来ない。
半年かけてもモチベーションある人間をまるで見つけられ無いとすればそれは継戦力の限界では無いだろうか。
本当に仰る通りです。
スポンサー国を罵るとは、そもそも論外なんですよね。
日本人は、インフレ・円安・資源高に耐えて貧乏になっているのに、何を言ってるのかと腹が立つ時があります。。
インドなんかは、ロシアとも上手くやってインフレをコントロール、日本を今年中に抜きそうですからね…。
ゼレンスキー大統領は、ザルジニー総司令官を左遷して、大規模動員を拒否しましたからね。
ザルジニー総司令官(英国大使?)の慧眼・分析が、よくも悪くも光ってしまいす…。
ロシア軍が多正面で攻撃すれば、対空兵器などの希少資源も取り合いになり、ますます密度がスカスカになりますよね。
>世界的な緊張は慢性的な火薬不足を引き起こし、砲弾、ミサイル、迎撃弾の備蓄が枯渇している。ロシアは中東地域の紛争が国際社会の関心をウクライナから遠ざけていることに注目し、他の地域でも新たな紛争を引き起こすかもしれない。国際的な対ロシア制裁の脆弱さはロシアが特定国と協力して軍需生産を増やし消耗戦を追求できることを意味している。さらに人的資源を動員することについても「敵が享受している優位性」と「不人気だという理由で動員に踏み切れない我が国の状況」を認識しなければならない
(2023.12.27 ザルジニー総司令官、来年の戦争は今年とは根本的に異なるものになる 航空万能論)
(2024.02.2 ザルジニー総司令官、テクノロジーが進歩しても戦争は武器の数に依存する 航空万能論)
これはまともにやりあうとあちこちでやられてぐちゃぐちゃにされてしまう。
頑張って新たな戦場へのロシア軍の兵站を叩きまくるしか無いのでは。
後ろを叩かれればロシア軍もいったんは引くからその間に何を準備できるか。
「頑張って新たな戦場へのロシア軍の兵站を叩きまくるしか無いのでは。 」
精密誘導兵器がロシア側の電子戦で当たらないから兵站攻撃はできないゾ(多分ここ最近ロシアの弾薬庫破壊系の話を聞かないのはこのせい)
(ブログ「Frontelligence」で戦争関連の記事を投稿しているウクライナ軍の元将校によれば、「人員不足のために、ウクライナは戦場で使える十分な数の大砲を大規模な部隊にあてがって国境に配備するのを見送らねばならない状況だ」)
こんな感じの事がCNNに書かれてからそもそも兵站
叩くリソースを割けるか怪しいゾ
「ウクライナ、ロシアの越境攻撃で弱点露呈 最も過酷な1カ月に」CNN
「ロシア軍のEW能力が効果を発揮、GPS誘導兵器は目標を外しドローンも制圧」航空万能論
GPS妨害に対抗するため、
ドローンの誘導方法を人力操作からAIの自動攻撃に変えているという話はあります
ただし、ウクライナが自力で変更できるのは一部でしょうし、
ドローン自体が足りていないので前線への攻撃を優先してしまうのでしょう
ミサイルの方はGPS妨害が効く旧タイプらしくどうしようもないです
義号作戦でもやらかせと?普通にウ軍兵に拒否られそうですけど。
既出ながら領域拒否も制空権も長距離火力もロ軍有利なので後方補給地点を攻撃するのは無理ゲーかと。
いまここで可能性を挙げたり避難開始してると言う事は、北部国境線各地でさらにロ軍が集結してるのを察知したんですかね?
その兵員どこから来たのか…
我々からは派手にやり合ってる風に見える東部戦線って、実はロシア的には大した兵力使ってないんじゃないですか。
そうは言っても志願兵が足りない状況下において、純粋に民主的なプロセスでの動員拡大に時間がかかるのは当然です。
動員法改正案についての議論は最終的に9個ほどのセクションに分けられ、各業界・地域利益代弁者のトーナメント戦じみた状態になっていました。参加セクションと主張で各々の地盤と立場が透けるため、見ている分には興味深かったです。
この惨状をシステムや政治家への批判に置き換えるのは容易でしょう。しかし利害調整を困難にした根本的な原因から目を背け続けた場合、早ければ来年にも同じ事態が起こりかねません。
国境地帯については、積極的に守る価値の無い場所についても騒がれるのが政治の辛いところですね。
エネルギー産業への深刻な被害が(避難民の受け入れ先として機能してきた)農村部にどれだけ影響するかは気になるところです。場合によっては新たな火種になってしまうでしょう。
動員法改正は、それほど効果はないのではないか。
街角での拉致のような動員は続いている。
ウクライナの動員の現状は、法や制度よりも、もっと卑近なことだと思う。
動員する側の軍事委員らのやる気の度合いと、動員される側の男たちの徴兵忌避の度合いのせめぎあいになっていると思う。
どういった意味で法改正の効果が薄いとしたのかはわかりませんが、改正案から重要な要素の多くが消えてしまったという点や、兵力不足は支援が十分だった頃から言われていた(そもそも国力差がある)という点から、対象を二歳拡大するだけでは弥縫策に過ぎないとは思います。
対象年齢の引き下げやその他の改正自体は純粋な動員対象の拡大なので効果が無いということはないでしょう。
街頭動員の有無は何か関係があるのでしょうか。
動員という概念そのものの是非について語る場合を除き、志願兵以外の兵士を調達する手段が強引になるのは当然のことだと思いますが。電子令状の送付時点での効力発動が改正案から削除されたこともあり、古典的な手法しか残っていませんし。
そういえば、トラック運転手が、徴兵対象者通知の手交に激怒。
一部サボタージュしているというのを、どこかで見かけた記憶があるんですよね(曖昧です)。
事実ならば、西部国境からの物資搬入に支障をきたしそうなものですが、どうなんでしょうね。
既に起きていることであれば、今回の法改正には関係ないのではないでしょうか。
その場合、何かしらの手段で確保した動員猶予・免除条件を喪失したか、単に今まで赤紙が来ていなかっただけとなりますが。
大規模な運動にならない限りは18日以降に強化される法的手続きの対象になるだけで終わるかと。
金融資産など財産の差し押さえ、免許証の取り消しも、最近は加わるようです…。
海外なら、パスポートの更新停止ですね。
ガーシー氏の事例みたいに
旅館返納命令出さないのは
だいぶ手ぬるいと感じますね
もっと言えば、パスポートとビザは別だから
長期や永住ビザさえ手に入れれば
逃げ切れるんですよね
そもそも多重国籍者もいるし
仰る通りですね。
そういえば、ロシアが受け入れるという話しも、見かけた気がします(ソースは曖昧です)。
兵役逃れ、財産没収の罰則もでてますから、どうなりますかね。
>民主的なプロセスでの動員
ハイエース動員…
ハイエースに新たな風評被害が・・・。
これはどうなんだろうね
スームィから侵攻する必要はなくない?
それよかクピャンスク方面とハリコフ突出部を接続させたほうがいい気がするが
そこまで宇軍の体力が切れそうってことなのかな
ハルキウ包囲が完成するまで、新鮮な可能性があるキーウ方面からの増援部隊を断つためじゃないかな。
スームィ方面なんて兵力的にはカカシしか居ないだろうから、クルマでイオンに買い物に行く感覚で展開完成すると思うんだよね。
キーウの戦略予備は完全充足で存在するのか?という話はさておき露軍の狙いとして一番大きそうなのはそれであってそう
スームィを占領する必要はないですが、ハリコフの件がある以上ウクライナは対応を迫られます。
仮にブラフでも住民は避難させ、軍を割かねばいけません。
訓練兵部隊を適当に展開するだけで、前線の兵力が居なくなるのですから。
記事にあるとおり「数が多い方が有利な戦い」をウクライナ軍に強要することが目的なのであれば、新しく開く戦線はロシア軍の兵力が許す限り多いほうがよいので
スームィ方面で具体的にどこかの都市を陥落させるとかをしなくても、ウクライナ軍の予備兵力を誘引できてどこかの方面で兵力不足が致命的になればそれでよいという考えでは
良いことがあるとすれば、誰の目にも追加動員の必要は明らかだから、追加動員しやすくなることと、NATOに今まで貰ってない兵器を要求しやすくなることぐらいかな。
人月の神話は本当のデスマーチにも成立するのだろうか。
確かに要求は出来るでしょうが、それが貰えるかどうかは…
ハリコフを攻める気配をみせれば
否応なしに大兵力が集結する筈なので
市民が避難して減ったところで
多連装ロケットと滑空爆弾のシャワーじゃないかな
ハリコフがアレッポになれば
ウクライナは政治的に苦しくなってくる
油断していて兵力がほとんど入ってない大都市は、人質(都市質?)が相応しいですよ。
軽装歩兵部隊でも敵がいる以上対応せざるを得ない
そうすると他の戦線に穴が開く
対応しないならそのまま進むだけ
軍記物に出てきそうなお手本通りの陽動作戦ですな…
これは、戦線を広げて予備兵の枯渇を狙い、さらに追加動員される予定の動員兵を訓練不十分の状態で前線に持ってこざる得ない状態にし、ウクライナ兵にさらなる甚大な被害を与える2重の策と見ました!
なんつーか、大戦略とかファミコンウォーズでも、だいぶ終盤の情勢だよな。これ。
2日前の記事でコメントしたアフトイルカへの進撃が現実になりそうですね
かつてバトゥーチンのボロネジ方面軍がクルスク方面から進撃したルートは機甲戦力にとって絶好の戦場ですから、ロシア軍がこの地形を利用するのは当然のことでしょう
ハリコフ正面の戦力が歩兵主体かつ予想されていたよりかなり戦力が少なかったことからもしやと思っていました
本当の被害を発表すべきだったのでは?
死者3万一千人では100万を越えるウクライナ軍において動員の必要性がないのですから
タリバンのアフガン制圧みたいになってきたのかなあ
まあ領土が広すぎるので占領側も大変そうでありますけど
新たな動員は反発も大きいですからねえ。
日本は中国相手には連戦連勝でしたし、対米戦は44年くらいまで拮抗してましたし(国力違う相手に拮抗した時点で負け確定)
海戦なので兵士はあまり死ななかったので大規模な動員に着手したのはそれこそ45年の本土決戦の前になってから。
日本からは逃げ場がないし、日本においては兵士になるのは名誉なことでむしろなれないと地域で肩身が狭くなるくらいなので動員にはさして反発はありませんでしたが(うちのなくなった爺様もいい成績で兵士になれたのを自慢してました)
ウクライナはどんどん逃げてますからね、この状況で動員は難しい。
民主国家ならなおさら、ロシアでも30万の動員のあとはやれてない。日本は選挙は戦争の初期だったのでさして問題なかったですが本土決戦の前とかだったらどうなったことか
それに兵士を動員すれば勝てるのならすると動員すると思いますが、動員しても寿命が延びるだけなのがね。