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米海軍長官、レジェンド級カッターに基づく新型フリゲート艦調達を指示

フェラン米海軍長官は「コンステレーション級の代替艦は米国設計をベースにする」「新しいフリゲート艦は沿岸警備隊向けOPVの改良版になる」と言及していたが、19日「私はHIIのレジェンド級カッターの設計に基づく新型フリゲート艦調達を指示した」と正式に発表した。

参考:Navy announces new frigate class, taps HII to build off national security cutter
参考:US Navy to develop new class of smaller, more ‘agile’ combatant ships
参考:SECNAV: New Frigate will be Based on National Security Cutter, First FF(X) to be Built at Ingalls

参考:HII to Build Small Surface Combatants for US Navy

新型フリゲート艦の建造はHIIの独占ではなく、他の造船所選定のため競争入札は実施される

米海軍のコンステレーション級フリゲートはFREMMの設計と85%の共通性を保ち、詳細設計の進捗が80%に達した2022年8月に建造を開始したものの、海軍が追加の設計変更を要求したため計画外の重量増を招き、将来のアップグレードを受け入れる重量的余裕が無くなり、米政府説明責任局(GAO)は2024年5月に発表したレポートの中で「コンステレーション級とFREMMとの共通性は遠い親類程度にしか見えなくなった」と批判。

出典:U.S. Government Accountability Office

海軍の強力な擁護者である​ウィットマン議員も「コンステレーション級への資金供給に賛成だが、海軍は過去の失敗から何も学んでいないように見える」「コンステレーション級はオリジナル=FREMM設計の85%を維持する構想から始まったのに、現在では状況が逆転してオリジナルの15%と追加要素の85%で構成されている」「コンステレーション級の方向性に関する疑問は沿海域戦闘艦で問われるべきだった疑問と同じだ」と述べ、ジョン・フェラン海軍長官は11月に「コンステレーション級計画を中止する」と発表した。

フェラン海軍長官は「建造中の2隻のみを残し、残り4隻分の契約を破棄することでFincantieriと合意した」「出来るだけ早く代替艦の詳細をお知らせする」と説明、レーガン国防フォーラムで「新しいフリゲート艦は米国設計をベースにする」「如何なる設計変更も私の承認が必要になる」と、さらに非公式の場で「沿岸警備隊向けのOPVの改良版になる」と発言、海軍調達担当のジェイソン・ポッター氏も今月10日「新しいフリゲート艦は2028年に進水できると考えている」と発言。

この非公式な発言に基づけば「ヘリテージ級カッター(もしくはバーソルフ級カッター)の設計を流用したものを想定している」となり、フェラン海軍長官も19日「私はHIIのレジェンド級(バーソルフ級のこと)カッターの設計に基づく新型フリゲート艦調達を指示した」「これは実績ある米国設計の艦艇であり国内外で国益を守ってきた」「新型フリゲート艦はGolden Fleet構想の一環となる」と明かし、コードル作戦部長も「紅海やカリブ海などの作戦はフリゲート艦の必要性を浮き彫りにした」「我々が保有する小型艦艇はニーズの1/3しかない」「駆逐艦はハイエンドの戦闘に集中させるためにはフリゲート艦が必要だ」と述べた。

HIIも海軍長官の発表直後「海軍から小型水上戦闘艦の設計・建造を委託された」「この艦艇はインガルス造船所が建造したレジェンド級カッターの設計を活用する」と発表したが、フェラン海軍長官は「HIIは本計画の中心的造船所になるが、我々は建造を担当する他の造船所選定のため競争入札を実施する」と述べているため、新型フリゲート艦の建造はHIIの独占ではない。

出典:USNI News

追記:レジェンド級カッターに基づく新型フリゲート艦は設計変更を最小に抑えるため、コンテナ化されたミッションパッケージを採用するらしい。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Elijah Murphy

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コメント

  • コメント (38)

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    • フラット
    • 2025年 12月 20日

    ASW装備もVLSもないみたいなんですけど…価格は抑えられるでしょうが性能は劣化LCSレベル。
    LCSは正規戦への回帰で軽武装が指摘されるようになり、南シナ海で中国海軍に追いかけ回されたのを気に計画を中止してある程度重武装なコンステレーション級へと切り替わることになった。

    それが結局哨戒艦レベルの艦を量産するとなると、「ある程度の質と量を兼ね備える」事を諦めた事になる。
    コンステレーション級の設計をいじくり回したのがトラウマになって確実に作れる艦を作りたいでしょうけど、もはや艦を完成させる事そのものが目的と化してません?
    結局哨戒艦レベルの艦を増やしたところで中国相手には使い道がないんだから。

    46
      • タルト
      • 2025年 12月 20日

      アメリカ近海から出さず、太平洋では使わないとか?
      元々湾岸警備隊の船だし。
      そうなると東アジアでのフリゲートサイズはどうするのという問題が出てきますが。

      7
        • NIVEA万能論
        • 2025年 12月 20日

        このバーソルフ級ベースががコンステレーション級の代替と言ってるんですが…

        6
      • ろみ
      • 2025年 12月 20日

      完成させる事が目的というかそれが目的にならざる得なくなってしまった感じでしょうね。
      なにせコンステレーションで5年も時間を無駄にしたので予定通りの数を配備する事が最優先でしょう。
      特に機関部に欠陥のあるフリーダム級は予定前倒しで退役している艦も多くLCSに毛が生えた程度の艦艇であっても代替艦の調達は急務です。

      21
        • NIVEA万能論
        • 2025年 12月 20日

        そもそもLCSでは正規戦には能力不足だからという理由で代替艦の開発を始めたのにLCSに毛の生えた程度の艦しか用意出来ないとなると「結局何がやりたかったのか」という話になってしまいますね。

        34
          • NHG
          • 2025年 12月 20日

          LCSと同じくミッションパックの性能しだいになりそう
          レジェンド級カッターで調べると、(沿岸警備隊の次世代艦隊構想の)外洋における中核を狙ったもので、日本のもがみ級に近いサイズ感だから、ミッションパックまわりさえ上手くハマればLCSの焼き直しとして成功しそうな気がする

          8
            • 他人事では無い
            • 2025年 12月 20日

            失敗する未来しか視えない。
            ボニファス級をそのまま導入すべきだろう。

            12
              •  
              • 2025年 12月 20日

              沿岸警備隊でとは言え、2008年から運用も始まってるレジェンド級(バーソルフ級)よりまだ進水すらしていない設計段階のボニファス級のが上というのは意味が分からない。

              9
              • NHG
              • 2025年 12月 20日

              やはり対中国を考えたら、省力化され小さい艦艇がいっぱい欲しいのではなかろうか

              1
                • 逆じゃね?
                • 2025年 12月 20日

                逆に考えるんだ。
                このフリゲートを中東や中南米に回すことで、より多くのイージス艦を中国近海に送り込むことができる

      • たま
      • 2025年 12月 22日

      沿岸警備隊モデルで1000億、ダメコンは米軍仕様だという説と満たしてない説と諸説ある。軍用に改造して装備追加したらいくらになるか想像もできない。

    • ため息
    • 2025年 12月 20日

    >追記:レジェンド級カッターに基づく新型フリゲート艦は設計変更を最小に抑えるため、コンテナ化されたミッションパッケージを採用するらしい。

    あっ…

    56
      • kitty
      • 2025年 12月 20日

      死亡フラグですよねえ。

      1
      • 病まんと
      • 2025年 12月 20日

      一応レジェンド級は満載4000tクラスでサイズ的には3000t台のLCSよりは大きく、船体構造も奇抜ではないので造船コスト抑えつつ色々装備載せる余裕はあるのでは
      LCSの場合小さ過ぎる船体に色々無理に詰め込もうとしたのが問題の一つですし、レジェンド級はその点ではミッションパッケージ載せるとしてもサイズや重さ的に余裕はあるかと
      まぁ実際に出来てみないと何とも言えませんが皮肉にもLCSのお陰でパッケージのノウハウ自体は手探りの当時よりも発展してる事に期待したい所

      4
      • 2025年 12月 20日

      LCS2.0の爆誕ですね
      どんな感じで破綻するのか楽しみ

      31
      • 名無し
      • 2025年 12月 20日

      さくら型にも対艦ミサイルコンテナ積むみたいですからまあ。
      問題は無人化ややっぱ重武装化するとか言い出さないかって事ですかねえ。

      12
    • もがみん
    • 2025年 12月 20日

    ミッションパッケージを置く空間を作るために改造が始まり… ふりだしに戻る、と。

    3
    • aaa
    • 2025年 12月 20日

    すでに有るコンテナ型装置を採用するならコレも有りでしょう。

      • 2025年 12月 20日

      それならフリーダム級の機関部を再設計した方が艦を作る方が良くないかな

      7
        • トーリスガーリン
        • 2025年 12月 20日

        FFG(X)にはインディペンデンス級とフリーダム級の両方の発展型の案が出てたけど、ロッキードのフリーダム級は辞退してましたからね…
        ただまさに数日前に進水したサウジ向けのフリーダム級には最初から対艦ミサイル&VLS搭載という代物が出てきているので、機関部の問題解決してるならこれで良くね感
        ただ建造に6年近くかかってるのではよ建造しろというオーダーにはまず答えられない(;・∀・)

        8
        • aaa
        • 2025年 12月 21日

        機関部を再設計するなら戦隊も延長してVLSを追加したい、SPY-6レーダーも載せたい、AWS10にしたい、ダメコンも強化したい、どうせならあれもこれも・・・となってコンステレーション級と同じ轍を踏むことになりかねません。東シナ海などでバーク級を補佐する目的のフリゲートは別途必要だとは考えますが、自国の沿岸や近隣国でのちょっとした紛争にもバーク級を投入せざるを得ないという状況からは脱することができます。

        5
    • 折口
    • 2025年 12月 20日

    これは軽フリゲートというより重装備のコルベットなのでは。57ミリとRIMとASMランチャーっぽいものはありますが、艦首ソナーとかフェイズドアレイアンテナはポンチ絵には盛り込まれてないっぽいですかねこれ。本当に中東方面やカリブ海でだけ使う前提で、インド太平洋方面やヨーロッパには一切転用できないという割り切りなんですね。

    1
    •  
    • 2025年 12月 20日

    LCSが正規戦に耐えられる能力を持てなかったのは艦艇の規模が3000トン以下で、拡張性が足りなかったからで、他方コンステレーションは欧州仕様の中型フリゲートに無理に大型艦仕様のイージスシステム搭載したから量産性を損ねてしまったんだろうし、イージスは諦めてLCSレベルの兵装にするにしても、今後の拡張性と量産性の両立を考えれば、米国設計で沿岸警備隊ともある程度は共用、過去のペリー級と同レベルの4000トンクラスは悪くはないんじゃないかと。
    正規戦に耐えるってのも曖昧で、そりゃLCSみたいな非正規戦舐めプは駄目でも、
    小さいイージス艦が必要なのか、アーレイ・バークと協調して戦えたら良いのか?
    が明確ではなかった。

    8
    • HEAT信奉者
    • 2025年 12月 20日

    改修を最小限にするって
    コンステレーション級でも似たようなことを聞いた気が

    26
    •  
    • 2025年 12月 20日

    3000トン級のLCSに載せていた装備を元々4000トン級の艦に載せるのと、1万トンを超える巨艦に積まれているイージスシステムを元々6000トンくらいの艦に載せるのは同じじゃないと思うけどな。何でも否定的に捉えるのはどうなのか?

    2
    • arvante
    • 2025年 12月 20日

    もがみ型でいいじゃん(挨拶)
    あの、レジェンド級カッターベースの新型フリゲートって、傍目からはコンステレーション級建造時に米海軍や米議会が入れてきた横槍の尽くが実現できなさそうにみえるんですが。
    Mk.41のStrike-Length化や、米海軍基準の抗堪性の実現や、プロペラの固定ピッチ角化による静粛化とかその他もろもろ、あれらによる遅延はいったい何のためにあったのやら。

    14
      • A
      • 2025年 12月 20日

      まさにもがみ型で充分と思いますね。

      6
      • aaa
      • 2025年 12月 21日

      バーク級の補佐という意味では豪仕様のFFM-AAWでもいいような気もしますが、ホバート級を小改造したものを新規に建造するほうがいいのでは?

        • aaa
        • 2025年 12月 21日

        失礼。
        FFM-AAW → FMF-AWでした。

    • Z
    • 2025年 12月 20日

    日本のもがみ型か韓国海軍のフリゲートをベースにミッションパッケージを導入したほうが、アメリカ海軍には良さそうにも思えるがどうなんでしょうか?

    6
      • 2025年 12月 20日

      コンステレーション級を見ればわかるように他国の設計入れるとアメリカ基準のダメコンに適合するように改悪するから駄目です

      8
        • 台湾大好き
        • 2025年 12月 20日

        ならばアメリカのダメコン基準に適合したアーレイ・バークの船体をそのまま使って、上構と武装を軽量化した、ライトバージョンでよくないですか? 治具や設計は済んでるんだから失敗しようがない。

        7
    •  
    • 2025年 12月 20日

    結局コンステレーションで外国の設計を使うのが嫌になったからこういう対応を取るんじゃないかな。船体の設計レベルでイタリア→アメリカで基準を満たす満たさないとかやるのは面倒だし。いつもアメリカから兵器を買うか国産兵器使うかで揉めてる日本には何だかんだわかるような…

    • 匿名
    • 2025年 12月 20日

    なんか知らんけど、「ミッションパッケージ」が大好きなんやろなぁ…🙄
    LCSも結局コンテナ式のパッケージ開発に頓挫した記憶あるけどまだやるのか?🤔…

    7
      •  
      • 2025年 12月 20日

      そのミッションパッケージ構想が20〜30年である程度の成熟を見たと言う事なんじゃないのかなと。すぐ採用しろと言ってんのに今から開発するわけでも無かろう。

    • 無印
    • 2025年 12月 20日

    >新型フリゲート艦の建造はHIIの独占ではない。
    コンステレーション級の為に、アメリカにやって来たフィンカンティエーリに仕事を分けなきゃ、マズいよね

    • もへもへ
    • 2025年 12月 21日

    もう米海軍は議会に艦艇開発権限を取り上げられるまで好き勝手すればいいと思う。
    もうここまで来ると自浄は期待出来ない。

    あと30年くらいアーレイ・バーク級を作り続けるしか、最早現実的なプランはないんじゃないか。

    17
    •  
    • 2025年 12月 21日

    なんというか欧州や米国の全ての機能を単艦にぶち込んでやろう精神は改めた方が良いんじゃないかなと。何で全艦イージスとか全艦フリゲートで揃えようとなるのか?
    複数の艦種を作って艦隊を編成すりゃ軍需と海軍双方の柔軟性が向上するだろうに。

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